令和8年度市政運営の所信と主要施策の概要(音声読み上げ用ページ)

更新日:2026年02月13日

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令和8年度市政運営の所信と主要施策の概要

令和7年つくば市議会定例会令和8年2月定例会議の開会に当たり、予算及び議案等の提案に先立ち申し上げた令和8年度の市政運営に対する所信と主要施策の概要について掲載します。

はじめに

新年は、つくば出身の宇宙飛行士、諏訪理さんが国際宇宙ステーションで長期滞在することが決定するという大変嬉しいニュースで幕を開けました。
本年度は、スポーツや芸術文化の分野で活躍されている様々な年代の方々をはじめ、R8周辺市街地活性化協議会の皆さんや市内企業、大学・研究機関における取組など、市民自らが考え、行動されている現場に触れる機会が数多くありました。そうした一つひとつには、「市民とともに創る」まちづくりの原動力があり、本市の持つ秘めた力とそれらが積み重なることによる将来への可能性を強く感じました。そして、今後もさらにその力が大いに発揮されるためには、行政が活動しやすい環境を整えていくことが重要であると、改めて認識した一年でした。
市が主体となる施策としても、「青のカフェ」の設置や、高齢や障害などにより、ごみ出しが困難な世帯への支援の開始、つくスマアプリを利用した通報対象の拡充や、「休日夜間デジタル急患センター」の対象を全市民に拡充するなど、つくばの未来を見据えながら、市民一人ひとりの幸せにつながる施策を着実に進めてきました。

こうした市民の皆さんの主体的な取組や、それを支える施策を積み重ねてきた結果、本市は2025年1月1日時点の住民基本台帳人口において、人口増加率が全国第3位、特別区を除く市としては全国第1位となりました。これは、単なる人口の増減という数字にとどまらず、これまで取り組んできたまちづくりの方向性が、「選ばれるまち」として一定の評価をいただいた結果であると受け止めています。
一方で、本市を取り巻く社会経済情勢は、依然として大きな変化の中にあります。 政府統計によれば、全国の消費者物価指数は直近の一年間で約3.2%、3年前と比べると約9.4%上昇しており、物価高が一過性のものではなく、複数年にわたって市民生活に影響を及ぼしていることがうかがえます。こうした状況は、市民生活のみならず、自治体経営そのものにも直接的な影響を及ぼしています。

人口が増え、まちが成長している中にあっては、行政運営についてもまた、質・量ともに変化させていかなくてはなりません。これまでのように量的な拡充を前提とした施策だけでは、将来にわたって市民サービスを持続させていくことが難しくなってきています。「誰一人取り残さない」という視点や、「持続可能性」などの視点に立ち、今まで以上に市民一人ひとりに目を向けた質の高い施策への転換を進めることが求められています。
また、本市が研究学園都市として歩み始めた時期に整備された公共施設や都市インフラは膨大な数にのぼり、老朽化による更新時期を迎えています。限られた財源の中で、すべてを従来どおり維持し続けることは、もはや現実的ではありません。私は、就任以来、将来世代に責任を持つ市政運営のためには、上水道、下水道料金の改定についても、避けて通ることができないと考え、覚悟をもって市民の皆さんに一定のご負担増をお願いする決断をしてきています。今後は、公共施設や機能の複合化・集積化を進め、周辺市街地では日常生活に必要な機能が身近に整うまちづくり「15分都市」に取り組むとともに、テクノロジーも積極的に活用していきます。市民の利便性を高めると同時に、行政運営の効率性を高めることが、持続可能な未来につながると思っています。

こうした認識のもと、来年度予算は、「未来への持続可能な投資」をテーマに編成しました。これまで様々な財政指標を健全な数値で維持し、財政の規律を守りながら市民に寄り添った施策を積極的に行ってきましたが、今回は急激な物価上昇や人件費の高騰といった状況が続く中、限られた財源をどのように将来へ生かしていくのか、従来にも増して大変厳しい判断と責任ある選択が求められました。
令和8年度は、小中学校や市民体育施設等へのエアコン設置や児童発達支援センターの整備など、緊急性の高い事業については重点的に予算を配分するとともに、市民ニーズを的確に捉えた施策が展開できるようにしました。一方で、既存事業については、来年度から効果や重要度を改めて検証し、見直しや縮小、場合によっては廃止も含め、不断の改革を進めていきたいと考えています。
本市がこれからも、「世界のあしたが見えるまち」として成長を続け、市民一人ひとりが将来に希望を持てるまちであり続けるために、目の前の課題への対応はもちろん、次世代への責任を果たせる市政運営を、皆さんとともに、全力で取り組んでいきます。

令和8年度当初予算(案)の概要

それでは、令和8年度当初予算案の概要について説明します。

一般会計 1,227億1,000万円
特別会計 382億8,281万9千円
水道事業会計 113億6,442万7千円
下水道事業会計 186億7,508万6千円

合計、1,910億3,233万2千円 としました。
 

一般会計では、前年度当初予算と比較し、46億1,500万円、3.6%の減となり、過去2番目の当初予算額となりました。
歳入のうち市税については、人口増加等に伴う市民税や固定資産税の増加により、 7.5%の増を見込んでいます。
歳出については、行政窓口のデジタル化や部活動改革・地域展開推進事業、児童発達支援センター整備事業や(仮称)つくば市陸上競技場整備事業、スマートモビリティ推進事業や芸術文化創造拠点整備事業、地域包括支援センターの増設などを通して、様々な背景を持つ全ての世代の市民に寄り添う事業の推進と、未来につながる基盤づくりを進めていきます。

令和8年度の主要施策

次に、6本の柱に沿って令和8年度の主要施策について説明します。

(1)徹底した行政改革 さらに市民第一の市政へ

まず、徹底した行政改革では、科学的根拠に基づく「たしかなデータ」と地域の困りごとを解決する「やさしいテクノロジー」を活用することで、市民の幸せにつながる新たな政策を創ります。また、市民サービスの向上と持続可能な行政運営の実現に向け、デジタル化等による業務効率化をさらに進めます。

具体的な取組としては、つくばスーパーサイエンスシティ構想の実現に向け、人生の最終段階において、本人の意思を尊重した医療・ケアが救急搬送時等にも適切に提供されるためのデジタル環境の構築や、外出が困難な重度障害者等の遠隔就労モデルの社会実装に向けた取組を進めます。

また、書かない窓口システムの導入により、市民の窓口手続きの利便性向上や待ち時間の削減、職員の業務負担の軽減を図るとともに、生活保護業務における窓口や訪問時の面談記録作成にAI議事録サービスを導入し、記録内容の正確性向上と業務の省力化を進めます。

さらに、市が保有する様々なデータを可視化・分析し、根拠に基づく政策立案や既存事業の見直し等を可能とする「庁内データ利活用基盤」の本格導入や、煩雑な使い分けを要する現行システムを見直し、新たな庁内ネットワーク基盤を整備・活用することで、職員の業務効率化と市民サービスの向上を一層加速させます。

(2)安心の子育て・教育 こどもとママパパにもっとやさしい子育て環境

次に、安心の子育て・教育では、各家庭の状況や一人ひとりのこどもの成長段階に応じた支援や、多文化共生を支える学びの基盤整備を進めます。また、児童生徒増に対応した教育環境や、中高生が多様な活動を行い、安心して過ごせる環境を整備します。
具体的な取組としては、すべてのこどもが本に触れる機会を得られるよう、読み聞かせの「体験」と「絵本」をセットで提供するブックスタート事業や、来日間もない児童生徒を対象に、日本語や学校生活の基礎習得を支援するプレスクール・プレクラスを新たに開始します。
また、学校施設の老朽化や教室不足に対応するため、香取台小学校の増築工事や吾妻小学校建替え及び高山中学校増築の設計事業を進めます。
さらに、部活動改革・地域展開推進事業により、教職員の負担軽減を図りながら、地域と連携した持続可能で豊かなスポーツ・芸術文化活動を創出するとともに、中高生を中心とした若者の居場所や多様な活動を支援する場となるユースセンターの整備に向け、利用者世代とともに検討を進めます。

(3)頼れる福祉 すべての人が自分らしく生きる社会

続いて、頼れる福祉では、高齢者や障害者、貧困など様々な困難を抱えるこども、病気を有する人など、様々な状況にある市民が、住み慣れた地域で自分らしく生活できるよう、一人ひとりに寄り添った施策を推進します。

具体的な取組としては、市民の利便性向上や地域特性に応じた相談体制強化を図るため地域包括支援センターを1か所増設するとともに、こどもの発達に関する切れ目のない適切な支援を行う児童発達支援センターの開設に向けて事業を着実に進めます。

また、貧困の連鎖を防ぐため、つくばこどもの青い羽根基金を活用したこどもの進学支援に関する補助制度や、がん治療等に伴う外見の悩みを抱える患者が利用するケア用品への助成制度を新たに創設します。

さらに、配偶者等からの暴力の防止や、困難な問題を抱える女性への支援を強化するため、配偶者暴力相談支援センターを新たに設置します。

(4)便利なインフラ 快適で持続可能なインフラ整備

次に、便利なインフラでは、一人ひとりが誇りを持ち、安全で安心して暮らせるまちを築くために、未来を拓く鍵としてまちの土台づくりに挑戦し、移動手段の充実や良好な道路環境を整え、快適で持続可能なインフラの整備・維持管理を進めていきます。

具体的な取組としては、自動運転バスのレベル4の運行を見据えた既存バス路線におけるレベル2での有償運行や、つくば駅周辺での一人用モビリティ「つくモビ」の運用サービスを拡充するなど、実証実験から社会実装へ着実に事業を進めることで、市民が科学技術を実感できるまちづくりを加速させるとともに、様々なモビリティを統合し、自家用車に依存せず、いつでも、どこへでも移動できる「つくばスマートモビリティ」の実現を目指します。

また、移動手段の一つとして利用者数が増えているシェアサイクル「つくチャリ」の利用エリア、台数を拡充することで、移動の利便性向上や道路渋滞の緩和、市民の自転車利用の促進を図ります。

さらに、既存の道路や河川、水路など、市民生活に直結するインフラの適切な維持管理や、つくばの象徴的な公園として親しまれている中央公園のリニューアルを進めることで、市民や来訪者の安全性と快適性の向上を図ります。

(5)活気ある地域 つながりを力に活気ある地域へ

次に、活気ある地域では、緑豊かな自然の息吹をまちに宿し、新たな産業の芽吹きを育てながら、心安らぐ環境と活気ある経済が調和する、暮らしやすく誰もが住み続けたいまちを築いていきます。また、多様な人々が集い、スポーツを楽しめる拠点の整備など、地域のつながりを育むまちづくりを進めます。

具体的な取組としては、森林所有者と利用希望者のマッチングにより放置された森林の適切な管理と有効活用を図る森林バンク事業の拡充や、豊里ゆかりの森における木工シェア工房の整備を進めます。

また、不足する産業用地の計画的な創設による経済の活性化や、区域指定エリアの追加により市街化調整区域内に新たな住宅用地を創出することで、市内の住宅ニーズに対応していきます。

さらに、街なかで気軽にアーバンスポーツを楽しめ多様な世代が交流できる場の整備や、上郷高校跡地への陸上競技場整備を着実に進めることで、つくばらしいスポーツ環境を創出します。

(6)誇れるまち つくばの魅力をともに創る

最後に、誇れるまちでは、つくばの地域資源を生かし、地産地消の推進や、利用者と生産者がつながる観光・生活拠点、アートが響き合う創造・交流拠点などの整備を進め、つくばの魅力を高めます。また、今ある自然やその恵みを大切にし、生きものを身近に感じられる豊かな環境を未来につなげる取組を進めます。
具体的な取組としては、つくば市産の地酒等の普及促進を図るため、つくばのおさけ推進協議会と連携したPRイベント等を実施し、地元産業の活性化を促進させるとともに、観光拠点・市民生活拠点としての「道の駅」の整備検討を進め、生産者と利用者のつながりを育みながら、つくばの魅力を最大限発信していきます。
また、旧田水山小学校を芸術文化創造拠点としてリニューアルし、市内の様々な資源を生かし多様な個性が連携・協働し芸術文化を推進するプラットフォームを形成するほか、つくばにふさわしい複合機能を備えた図書館の整備検討を進めるため、ワークショップ等を通じた市民ニーズの把握や、市民や有識者等との熟議を重ねていきます。
さらに、生物多様性に関する協議会の設立や、市民団体との協業による自然体験会などの実施を通じて、ネイチャーポジティブの実現を目指し、つくばの豊かな自然を守り、次世代へ確実に引き継いでいきます。
 
以上、令和8年度の市政運営の所信の一端と主要施策の概要を申し上げました。

むすびに

冒頭で申し上げた通り、多くの自治体が人口減少と向き合う中で、つくば市は今、人口増加率全国1位という成長の只中にあります。しかし、この数字が示すのは「成功」だけではありません。極めて重い「責任」です。これだけ多くの方々に「選ばれているまち」であるからこそ、私たちは、今ここに暮らす全ての市民の生活を守り抜くと同時に、これから育ちゆく未来の世代に対しても、胸を張って引き継げるまちをつくる責務があります。
この責務を果たしていくためには、時に市民の皆さんにご負担をお願いする決断も避けては通れません。上下水道料金の改定もその一つです。これは決して「人気のある政策」ではありませんが、数十年料金改定されてこなかったという不都合な真実から目を背け、問題を無責任に先送りすることは、私にはできませんでした。来年度以降も、事業の見直しや縮小という難しい判断、厳しい選択が求められる場面があると考えています。
しかし私は、そのような厳しい選択を乗り越え、責務を果たしていくための原動力こそが「希望」であると考えます。その希望は、どこか遠くにあるのではなく、また、行政が一方的に与えるものでもありません。それは、すでに市民の皆さんの中にあります。市内各地で新たな価値を生み出そうとする市民、スポーツや芸術で心を震わせてくれる市民、そして日々の暮らしの中で互いに支え合う地域の市民。そんな「市民の力」こそが、つくばの最大の財産であり、希望であり、私が掲げ続けてきた「ともに創る」市政の原点です。
先日訪問したイギリスのマンチェスターでは、まさにその一つの到達点とも言える光景を目の当たりにしました。そこでは、「コミュニティ協同組合」の仕組みを通じ、市民自らが資金を出し合い、自分たちの手で郵便局やパブ、コミュニティスペースを守り、運営していました。「行政がやってくれるのを待つ」のではなく、「自分たちのまちは、自分たちで守り、良くしていく」。そんな強烈な当事者意識と誇りが、まちを力強く動かしていました。
行政だけで解決できる課題は、年々少なくなっています。しかし、市民が立ち上がり、行政がそれを全力で支える「対等なパートナー」として手を携えるならば、乗り越えられない壁はありません。
「世界のあしたが見えるまち」は、華やかな未来だけを指すのではありません。困難な課題に直面しても、目を背けず、対話を重ね、最適解を導き出し続ける。その「悩み、挑戦する姿勢」そのものが、モデルになると信じています。
つくばの可能性を信じ、市民一人ひとりの幸せと、持続可能な未来のために。議会の皆さまのご理解とご指導をお願い申し上げるとともに、新年度も市政運営に全身全霊を捧げることをお誓い申し上げ、私の所信表明といたします。
令和8年2月13日 つくば市長 五十嵐 立青

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