つくば市長公式ブログ2025年1月

更新日:2025年03月14日

ページID: 23706

2025年1月

1月6日・1月7日【つくば市の未来の教育を共に創る2日間】

ワークショップの集合写真

つくば市の教育大綱の実現に向けて、学校現場と行政が一体となり、がっつり2日間のディスカッションを行いました!
今回は、HatchEduのみなさんのファシリテーションのもと、校長・教頭・教務・担任の先生方、教育委員会、学び推進課、教育長、そして私も加わり、現場のリアルな声をもとに未来の教育について深く議論しました。特に重要なのは、データ分析から議論を始めたこと。年末に実施した児童生徒と教員への大規模アンケートを、HatchEduの石井さんが詳細に分析してくださり、これが議論の土台となりました。
教育はどうしても個々の経験や思いが強く出やすい分野ですが、データが加わることで全く新しい視点が得られます。例えば、学校の楽しさと授業の楽しさの学年別の相関関係や、先生の勤務年数別の課題などを分析し、仮説を立て、ワーキンググループで議論しました。そして、議論で終わらせず、合意した内容は来年度予算にしっかり反映していきます!特に、現場の人手不足は深刻です。つくば市はすでにかなり分厚い支援をしていますが、まだ十分とは言えません。先生方の負担軽減のため、既存の業務や研修の棚卸しもさらに必要だと感じます。
先生たちの環境をサポートすることが、私の仕事です。これからも現場の皆さんと対話を重ねながら、教育大綱の理念を一歩ずつ実現していきます!

1月8日【令和7年新春市長特別点検】

消防職員の整列の様子

中央消防署にて「令和7年新春市長特別点検」を行いました。整然と並ぶ消防職員の引き締まった表情と真っ直ぐな姿勢に市民の生命と財産を守るために、日々厳しい訓練をしていることがビリビリと伝わる瞬間です。
災害はいつ・どこで起こるかわかりません。昨年の能登半島地震では、つくば市の消防職員も現地に駆けつけ、尽力しました。今年も市民生活を守るため、消防本部、市役所職員一同全力で努力していきます。

1月8日【 4月16日開催!大相撲つくば場所 in カピオ】

立浪親方と市長の記念写真

立浪親方(元 旭豊関)が4月16日に開催される大相撲つくば場所のPRのために来庁されました。つくば市での開催は、多くの市民にとって力士たちの迫力ある取り組みを間近で体感できる機会です。どうぞお楽しみに!

1月9日【「Fashion Forms」の報告と共創の可能性について】

Fasion Formsに参加した皆さんとの記念撮影

五十嵐純子さんが昨年11月に行われたイベント「Fashion Forms」の開催報告と、アプリの紹介に来てくれました。

私は参加できずに残念だったのですが、「Fashion Forms」では、障害のある人が自分に合ったファッションを楽しめるようデザイン・コーディネートされ、当事者やご家族、デザイナーの思いが形となった素晴らしい機会になったとのこと。

車椅子ユーザーにとって、制服が通常のままではとても不便なので、カスタマイズの補助は学校を超えて必要性があることを強く認識しました。

時間が足りませんでしたが、自治体の福祉に関する情報を学習する「ふくしのヘルプbot」や「みんなのトイレマップ」も紹介してくれました。

ファッションでも、ボタンやファスナーの調整、車いすで着やすいデザインが必要なように、情報でも一人ひとりが求めるものがスムーズに提供される仕組みを創っていくことはとても重要だと思います。これから色々な取り組みを一緒に行っていきたいです。

1月10日【令和7年 つくば市新春賀詞交歓会 開催!】

賀詞交歓会であいさつする市長

ホテルグランド東雲にて「つくば市新春賀詞交歓会」を開催しました。多くの皆さまと新年のご挨拶をすることができました。
この数年だけでも、人口増加率日本一やスーパーシティ型国家戦略特区の指定、脱炭素先行地域への選定など大きな動きはありますが、最も重要な変化は市民に寄り添う市政へと転換したことだと思っています。不登校支援の取り組みや年末の小児オンライン診療導入について挨拶で言及したところ、多くの方から反響がありました。
また、今回は、つくばのおさけ推進協議会のみなさんにもブースを出してもらい、大盛況でした。地域に豊かなお酒があることは誇らしいです。
つくばこども青い羽根基金へのご協力もお願いしました。とても多くのみなさまにご寄付をいただきありがたく思います。つくばのこどもたちのために大切に使わせていただきます。
フードロス削減にも取り組んでおり、そもそも量を過剰にならないように調整していただいています。余ったら環境省の「mottECO」を活用してお持ち帰りいただく予定でしたが、東雲さんの美味しい料理で、きれいに無くなっていました。
今年も「世界のあしたが見えるまち」の実現に向けてみなさんと歩みを進めていきます。

1月10日【つくばから科学技術イノベーション政策への貢献を 】

筑波研究学園都市交流協議会・新春講演会の様子

賀詞交歓会の前は、毎年恒例の筑協(筑波研究学園都市交流協議会)の新春講演会。
今回は、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官の柿田恭良氏をお迎えし、国で策定中の第7期科学技術・イノベーション基本計画について、つくば市の未来に直結する多くの学びがある大変興味深いお話を伺いました。あまり多く読まれる計画ではありませんが、実は国の科学技術政策の根幹を作る超重要なものです。
講演終了後、この計画策定のプロセスで、筑協として具体的な提案を行っていこうということになりました。科学のまちとしてできる貢献をしていきたいと思います。

1月11日【未来を照らす光を考える:日本放射光学会】

壇上で挨拶する市長

日本放射光学会のシンポジウムが開催され、トップクラスの研究者がつくばに集まり最前線が語られました。
放射光は、物質・生命科学から産業イノベーションまで、幅広い分野で活躍する重要な技術で、文字通り「未来を照らす光」です。
つくば市には、世界有数の放射光施設である高エネルギー加速器研究機構(KEK)のフォトンファクトリーや陽電子施設があり、年間約3,000人の研究者が訪れ、革新的な研究が行われています。
これからも科学技術イノベーションの力で、未来を切り拓く研究環境を全力で支えていきます!

1月12日【令和7年つくば市二十歳の集い 開催】 

つくばカピオで午前・午後の2回に分けて二十歳の集いが開催されました。
実行委員長のメッセージが良かったし、友人との再会や恩師からのビデオメッセージに笑顔があふれ、温かな雰囲気でした。
これからの時代を創っていく世代です。自分の人生を自分らしく歩んで行ってほしい。おめでとう!

新成人と市長と教育長 新成人と市長と教育長

 

1月13日【消防団出初式と観閲式 】

出初式で消防車が出発する様子

日々訓練を重ね、地域を守る消防団の出初式と観閲式に参加しました。今年1年もみなさんと力を合わせ市民生活を守ります。

1月13日【茅葺き(かやぶき)「筑波流」への道】

萱刈りでの集合写真

みどりの地区にある市有地を行って筑波山麓の茅葺き民家の屋根補修に使う茅(ススキ)を集める「茅刈りイベント」へ。
茅葺き屋根は、日本の伝統建築のひとつ。茅を刈り、束ね、運ぶ「茅採取」の作業は、その美しい景観と文化を支える大切な技術です。今日は参加者の皆さんが茅を集めて束ねる「茅をまるく」作業を見せてもらいました。
みどりのエリアは、かつて「萱丸(かやまる)」と呼ばれていた場所。そして、恥ずかしながら知らなかったのですが、八郷地区はじめ筑波山周辺の茅葺きは、かつて冬の間作業できない福島等から職人が集まり競い合い、大消費地にも近かったことから様々な装飾が施される技術の高いものとなり、「筑波流」と称されているんだそうで。
知るととたんに誇らしい山麓の建築文化です。消防の出初めの前後だったので作業ができずに残念。
やさと茅葺き屋根保存会の皆さんをはじめ、研究学園の仲村さんのお声掛けで谷田部区会のみなさんが多く参加されてました。伝統文化を未来へつなげていく取り組み、しっかり応援していきたいと思います!

1月14日【「脱炭素」をわかりやすく】

ワークショップの様子

つくばが目指す脱炭素の形について、市民にわかりやすく伝えるためにどうデザインするかというワークショップへ筑波大学へ。
私は前半のみでしたが、原忠信先生のすばらしいファシリテーションのもと、ゼミ生のみなさんや市職員と一緒に、ブランディングについてアイデアを議論しました。
「ONE to ZERO」のキャッチコピーは、一つひとつのアクションを重ねてゼロカーボンを実現しようといった意味が込められています。そのためにも、内容をわかりやすく伝えることはとても大切。市民とともにグリーンシフトを加速させます。

1月15日【筑波山地域ジオパーク認定商品が今年も誕生!】

認定式の集合写真

今年も筑波山地域ジオパークの魅力がたっぷり詰まった認定商品が誕生しました!ジオは五感で楽しむもの。大地の恵みを活かした商品は、ジオパークの魅力をより身近に感じられる大切な存在です。魅力ある認定商品を手に取って、筑波山地域の大自然と文化をぜひ感じてください!

1月15日【つくば西スマートIC、春の開通に向けて順調! 】

工事中のつくば西スマートICの様子

つくば西スマートICの工事の進捗状況の視察へ。
つくば市が担当する周辺工事も、ネクスコ東日本の皆さんのご尽力で本体工事も順調に進んでいます。
西部地区の利便性向上とつくば全体に大きなインパクトをもたらすこのスマートIC、今年の春に開通予定です!

1月16日【モンゴル国立中央児童図書館長が来訪 】

モンゴル国立中央児童図書館の皆さんとの集合写真

モンゴル国立中央児童図書館のフレルバートル館長をはじめ関係者の皆さまが来庁され意見交換。一緒にいらっしゃった日宿さんは、つくば市内に来月モンゴリアンテーマパークをオープン予定です。モンゴルから輸入してきたゲルに宿泊できるそう。文化交流が広がっていきますね。

1月17日【筑波山梅まつり2月8日開幕!】

表敬訪問の様子

「筑波山梅まつり」と「水戸の梅まつり」の合同で石破総理へ表敬訪問をしました。
今年の筑波山梅まつりは、2月8日(土曜日)~3月9日(日曜日)まで開催予定です。1,000本の紅白の梅が咲き誇り、ジオパークならではの景観とともに楽しめます。さらに、展望デッキ、ガマの油売り口上、限定グルメも盛りだくさん。ぜひ、筑波山の春を満喫しにお越しください。

1月18日【小田地区どんど焼き! 】

燃え上がるどんど焼き

小田城跡歴史ひろばのどんど焼きに参加しました。
どんど焼きは、お正月飾りを燃やして無病息災を祈る日本の伝統行事。しかし、今では実施する地域が少なくなっています。そんな中、小田地区の若手有志団体「七色武士」の皆さんが、地域を盛り上げる素晴らしい取り組みを続けています!
今年は書道家の内山崚さんによる書道パフォーマンスも。七色武士の代表の小出さんから、昨年末に「2025年への願いを込めた漢字一文字を選んでほしい」とほしいと言われていました。
対立や分断が目立った年を踏まえ、2025年は地域も、市民と自然も、市民と科学も、色々なものが結びつき、かつて地域社会にあった結(ゆい)のように助け合う幸せな1年にできればと考え「結」という文字を選びました。すばらしいこの作品は市役所1階に展示予定です!ぜひご覧ください。

1月19日から1月25日【北欧出張①スウェーデン・マルメ市:スタートアップ拠点Minc】

Mincでのプレゼンの様子

北欧に出張に来ています。1月22日・23日に、フィンランド・タンペレ市で開催されるOASC(Open and Agile Smart Cities)の会議に登壇し、つくば市のスーパーシティについて話し、世界のスマートシティのAI利用などについて各自治体の代表者等と議論する予定です。OASCはスマートシティを推進する各国自治体や企業のネットワークで、今回を機につくばも加入し、海外都市の優良事例を学びつつ、つくばの取組も共有していきます。
そして、この会議への出席に合わせ、スウェーデンのスタートアップ拠点、図書館やユースクリニック、ユースセンター、ごみ処理施設や環境施策など先進地での視察や意見交換を入れています。
ということで、まずは、スウェーデン南部に位置するマルメ市のスタートアップ拠点「Minc」を訪問し、ぺーションCEOたちと意見交換をしました。マルメは多様性や持続可能性を重視する先進的な街です。

[マルメ市の特徴]
・ 多様性豊かな街:186か国の人々が暮らし、人口の48%が35歳未満。つくばは145か国で、日本の中ではトップクラスですが、マルメははるかに多様かつ若い街だということがわかります。
・SDGsの先進都市:スウェーデンの自治体で初めてSDGs実施を表明し、2030年までに100%再生可能エネルギーを達成する目標を掲げています。
・ライフスタイル:朝は7時過ぎくらいに保育園にこどもを送り、8時には仕事を開始。16時には退勤し、家族との時間を大切にするライフスタイルが根付いているとのこと。

[スタートアップ拠点「Minc」の活動]
2002年に設立されたMincは、スカンジナビア地域で初のスタートアップ支援のプログラムを提供する施設です。以下のような活動をしています:
・起業支援:事業アイデアの検証や資金調達を支援。コワーキングスペースやネットワーキングの場を提供しています。
・女性起業家の活躍:スタートアップ創業者の約40%が女性で、成功した女性起業家がロールモデルとして活躍。例えば、首に巻くエアバッグ型ヘルメットを開発した女性起業家がMincで事業化を進め、多くの人々に刺激を与えた。
・助け合いの文化:マルメはスウェーデンの中でもコミュニティ内での相談や支援が非常に活発で、次の世代や仲間の支援の意識が強く、地域のネットワークがスタートアップ成功の土台を築いているとのこと。
・グローバルな繋がり:Mincの取締役には、iPhoneの顔認識技術に使われている企業「Polar Rose」の創業者などもいます(Appleに買収された)。現在アメリカに拠点を移していますが、マルメと世界を繋ぐ重要な役割を果たしている。

[Japan Business and Innovation Hub]
Minc内には、日本とマルメ広域圏をビジネスで繋ぐための「Japan Business and Innovation Hub」が2024年に設立されました。このプロジェクトは、日本からの視察団やビジネス進出をサポートするための活動を行っています。活動内容は以下のとおりです:
・日本進出に関するアドバイスや情報提供。
・視察団の受け入れ支援(2024年には12グループをサポート)。
・コラボレーションやネットワーキングを促進するイベントやセミナーの開催。
・プロジェクトマネージャー:ブロムベリ・ヒロミさんが運営を担当しており、今回の視察でも多大なサポートをいただきました。日本の企業がアクセスしやすい環境が整っています。

[注目のスタートアップ:MedBeat]
Mincには、心電図記録デバイスを開発するスタートアップ「MedBeat」も入居しています。
・概要:2018年に医師のErik Rask氏が設立。長期心電図記録デバイスを提供しており、性能はもちろん高い耐久性とデザインも特徴です。
・ヴィジョン:提携クリニックを通じてデバイスを配布し、最大7日間心電図を記録。データは直接MedBeatに送付され、医療現場の効率化に貢献しています。
・グローバル展開:MedBeatは日本進出も視野に入れており、Mincの支援を活用して国際的なネットワークを拡大中です。

[学びとつくば市への展開]
日本からも注目が高まっているマルメ市のスタートアップ事情は、多様性を活かした助け合いの文化、行政と民間の連携、そして何より顔が見える関係作りが鍵となっていました。Mincが行っていることはつくばスタートアップパークと同じ方向性ですが、より多様かつ深い関わりをしている印象です。今年Minc関係者が来日するので、そのタイミングでスタートアップパークにも来てもらいつくばのスタートアップに刺激を与えてもらいたい思います。

1月19日から1月25日【北欧出張②スウェーデン・マルメ市:市役所ミーティング】

マルメ市役所での意見交換会の様子

マルメ市役所で、へデン副市長、ノード産業局長、Japan Bridge Scandinavia のマッセン理事長と昼食を取りながら意見交換しました。
市役所は、1546年建築の歴史的建物で、市長がクリスマスイブにバルコニーからスピーチを行う伝統がありかなりの人が集まるそうです。つくば市役所前で市長がクリスマスイブにスピーチしても誰も来なそうですよね。先週末にマルメのシンフォニー・オーケストラ100周年に合わせてヴィクトリ王女も訪問しコンサートに参加したそうですが、市民と芸術の近さも長い歴史で培われてきたようです。

[そもそも役所に市民は来ない]
手続きはすべてオンラインで行われるので、市民が市役所に来ることはまずないそうです。この建物は迎賓であったりイベントに使われることがメインで、職員が働く建物は別にあるそうですが、そこにも市民は来ないとのこと。ご案内いただいたブロムべリさんも、20数年間で一度も市役所には行ったことがなく、必要なものはすべてオンラインで完結していると話されてました。日本で言えばマイナンバーと類似の仕組みが浸透しており、自治体レベルではなく、国としての制度が完全なオンライン化を可能にしています。

[環境施策の先進事例]
先にも書きましたが、市として掲げた2030年カーボンニュートラルの達成は確実とのこと。市民の自転車通勤率は約40%。雨の日でもかまわず自転車に乗るそうで、スウェーデンには「天気が悪いのではない。服装が悪いのだ」ということわざがあるようです。SDGsを国内で最初に達成することを宣言し、環境分野で行政が積極的にリードし、市民も当然のように持続可能な選択をしているそうです。

[都市再開発とスタートアップ支援]
マルメ市は造船業で栄えましたが、その衰退をきっかけにまちは一気に失業率も高まり危機的な状況になったそうです。そこで、造船所だった地区を大規模な再開発に取り組み、スタートアップを雇用創出の柱としています。

[日本とのつながりの強化]
2021年設立のJapan Bridge Scandinaviaを通じた日本との関係強化が進められています。つくば市の研究機関集積には大いに注目しており、近い内に訪問を計画したいとのことでした。相互に学び合っていきます。

1月19日から1月25日【北欧出張③スウェーデン・ルンド市:IDEONサイエンスパーク】

IDEONでの集合写真

マルメ市から電車で10分、お隣の都市ルンド市にあるIDEONサイエンスパークへ。IDEONは1983年に設立され、2023年に40周年を迎えたヨーロッパを代表する起業の支援施設です。これまで多くの企業がここから生み出され、例えばBluetoothの技術はこのIDEONで生まれました。ウェスフェルト副CEOたちと意見交換を行いました。

[IDEONサイエンスパークの概要]
・施設規模:16の建物に400社の企業と35のスタートアップが入居。1万人の雇用を創出。
・主要分野:生命科学、新素材、バイオテックを中心に、最近はサイバーセキュリティ、宇宙、エネルギー、半導体分野が加わっています。
・所在地の強み:ルンド大学、大学病院、医療系の起業支援、放射光施設などがトラムで結ばれ「ルンド・イノベーション地区」として集積しています。

[イノベーション創出の仕組み]
IDEONは、研究者やスタートアップ、既存企業を集め、アイディアのマッチングを促進し、イノベーションを創出しています:
・ネットワーク支援:スタートアップがメンター、投資家、パートナーとつながる場を提供。
・スキルアップ:週1回、ピッチ技術向上のためのトレーニングを実施。
・自治体との連携:企業が開発した技術を市が最初の顧客となる形で実証を支援。市と企業を繋ぐ役割を担っています。

[スウェーデンの環境とIDEONの魅力]
・スウェーデンはヨーロッパで最もイノベーティブな国の一つで、スコーネ地方はその中心的地域です。IDEONはルンド大学(4万人の学生が在籍)との強い連携を活かし、世界中から優れた人材を引き寄せています。
・強調していたのが、地区のQOLの高さです。インターナショナルスクールの整備等家族向けの環境も充実させ、自然や良質な農作物が身近にある生活環境の魅力も世界中から人材を集めるにはとても重要と話してました。

これまで日本からスタートアップがIDEONに参画したことはないそうですが、学園都市としてつくばとの類似性は高くありました。日本への訪問を計画してるということで、こちらもつくばに寄ってくれることになると思います。

1月19日から1月25日【北欧出張④スウェーデン・ルンド市:MAX IV世界最先端の第4世代シンクロトロン施設】

「MAX Ⅳ」視察の様子

MAX IVはIDEONと同じエリアに2016年にオープンし、最新のX線分光、散乱、イメージング技術を駆使して研究と産業利用の両面で貢献しています。カリス代表やみなさんにご案内いただきました。

[シンクロトロンとは?]
ものすごく平たく言うと、電子の粒をすごい速さでぐるぐる回して、その途中で出る「放射光」を使う装置です。放射光はとても明るく、X線や紫外線など、目に見えない種類の光も含まれています。つくばの高エネルギー加速器研究機構のフォトンファクトリーでも同様のことが行われています。
この光を使うと、ものの中身や構造を細かく調べられます。例えば:
・薬の研究:新しい薬がどうやって体に効くかを調べる。
・材料の研究:スマホやパソコンに使われる金属やプラスチックの性能をよくする。
・環境研究:汚れた水や空気をキレイにする方法を探る。
といったことに使われます。目に見えないレベルで物の中をのぞいたり、新しい発明の手助けをしたりできることです。科学の世界ではとても重要な施設です。

[MAX IVの特徴と機能]
・第4世代シンクロトロン:これまでの施設の100倍以上の明るさを実現し、より細いビームとなります。性能としては現在世界最高。
・ビームライン:16本のビームラインを備え、液体や固体サンプルの解析など幅広い科学的課題に対応。
・利用者層:年間1700人以上のユーザーを受け入れ、90%がヨーロッパから、41%がスウェーデン国内。アカデミックユーザーはほぼ無料で利用可能。

[組織と資金]
MAX IVは、スウェーデン研究評議会(65%)、ルンド大学(14%)をはじめとする17の機関から資金提供を受けています。また、産総研や東北大学ナノテラスと連携し、情報共有や人材交流を進めています。現在は世界最高と書きましたが、今後の他の地域のシンクロトロンも更新されていくので、MAX IVも更新を随時していく計画とのことです。

市のレベルというより国家的・国際的なプロジェクトですが、MAX IVがあることでヨーロッパ各地からルンドに人材を集める大きな求心力になっていることを考えると、つくばの研究機関の存在の大きさを改めて捉え直す機会にもなります。現在進めているつくばのグローバル化指針の具体的な政策を確実に実行していきます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑤スウェーデン・リンシェーピン市:市役所での意見交換】

リンシェーピン市との意見交換の様子

マルメを早朝に出て、電車で3時間ほど北にあるリンシェーピン市を訪問し、ミカエル・サンフリドソン市長や市の主要な政策立案者やリンシェーピン大学副学長などとディスカッション。ランチまで含めてたっぷり3時間、まちづくりの哲学、イノベーション、都市計画、環境等について話しました。

[リンシェーピン市の特徴と強み]
リンシェーピン市という名前は日本ではあまり馴染みがないと思いますし、私も森顧問(元政策イノベーション部の部長で、現在在スウェーデン大使館)から教えてもらうまでは知りませんでしたが、実はとても注目されている都市です。
人口約17万人と規模はつくばより少し小さくスウェーデンでも5番目ですが、そのうち19,000人が研究者という知の集積地です。サーブという世界的な航空機企業の発祥の地で、今でも様々な拠点が置かれています。
2023年にはヨーロッパの都市で最も革新的な取り組みをしている市に与えられる「欧州イノベーション首都賞」を受賞するなど、産学官連携を活かした成長が際立っています。特に、リンシェーピン大学は約4万人の学生を抱え国内外から学生を集めています。そして、驚くべきことに卒業生の48%が市内に定着していることが、市の強力な成長基盤となっています。

[スタートアップ支援とテストベッド制度]
そのような環境の中で、新しいチャレンジをするためにリンシェーピン市では、「テストベッド・バウチャー」という仕組みでスタートアップを支援しています。年間10件分の予算があり、実証実験の場を提供することで、新しい技術やアイデアの実現をサポート。
これはスタートアップにとっては信頼性向上や投資獲得につながり、市にとっては地域ブランドの強化とイノベーションの拠点としての認知拡大が大きなメリットとなっています。
つくばで行っているスマートシティトライアル事業と同じ内容ですが、審査基準は「納税をちゃんとしているか」くらいであまり厳しく見ている様子ではなく、市も細かく介入したりするというより大枠で合意してあとは自由にやってもらうことで創意工夫を促しているようです。ここから成功事例が数多く生まれているとのことでした。

[未来への投資:高速鉄道と新シティセンター]
リンシェーピン市は飛行機の関係で高層ビルを建てられない制約があるため土地の確保が非常に重要になります。そこで、現在中心市街地に通っている電車の線路を別の場所に移動させ、新たに13ヘクタールの土地を中心部に生み出し、新たな街区を作る計画だそうです。
その土地を、住宅や商業施設、会議場などを備えた持続可能な都市としてデザインするという大胆な計画で、今ある鉄道の路線を曲げようとするなんて既存の駅前の住民など怒り出しそうなものですが、長期的なまちの成長に必要なことだと対話を重ねてきた成果のようです。これもつくばで言えば現在進めている70街区の規模を何倍にもしたものだと考えられます。

[課題への対応:高齢化社会とデジタルツール]
色々上手くいってる様子ですが課題を聞くと、やはり高齢化社会への対応が挙げられました。とはいえ出生率は1.9と、少子高齢化社会とはちょっと毛色が違いそうです。デジタルツールを活用し、高齢者の状況を把握して支援につなげる仕組みづくりを進めていくとのことです。
産総研が開発したギネス認定の世界一の癒しロボットのパロは知っている人が2人もいて、これからパロがどんどん必要になるよね、と語っていました。

[対話と協働の重要性]
市長をはじめとする皆さんが共通して「協働の精神」こそがリンシェーピンの本質と話していたのが印象的でした。みんな口を揃えて「コラボレーション」と言います。リンシェーピン市では市役所と、大学、企業、市民が連携し、ともにまちを育てている意識が共有されているとのこと。
私が目指す「ともに創る」をすっかり実践しているモデルという印象を持ちました。歴史的に協働を続け、まちとして順調に成長をしながらも、果敢に新たなチャレンジを続ける姿勢には学ぶところが多くあります。
同時に、つくば市が筑波大学と深く連携し、スーパーシティのアーキテクトをお願いしている鈴木先生などは市役所にも机を置いてもらい定期的に登庁していることを伝えたら、市長もリンシェーピン大学の副学長も驚いていました。
つくば市も同じくイノベーションと持続可能な発展を目指しています。知見を共有し合い、持ち帰りの多い建設的な時間となりました。

1月19日から1月25日【北欧出張⑥スウェーデン・リンシェーピン市:市の技術公社のごみ処理施設】

ごみ処理施設の視察の様子

市長との意見交換の後、リンシェーピン市が100%の資本を持つ技術公社「テクニスカ・ヴェルケンTekniska Verken」が経営するごみ処理施設を訪問しました。森顧問から事前に情報をもらいぜひ訪問したいと考えていましたが、聞いていた通りものすごくインパクトのある施設でした。
施設は1902年に電力供給会社として設立され、1922年から市営となりました。多くの自治体がごみ処理を民営化する中、リンシェーピン市は市営を選択し、地域に利益を還元しながら持続可能な運営を続けています。

[仕組み]
仕組みをとてもシンプルに言うと
ごみを回収する
→徹底的に分別し、使えるものは素材としてリサイクルする
→それ以外のものを燃料にして発電する
→発電した電力を市内に自分たちの電線を使い供給する
ということです。
処理量は年間100万トンということで、そのうちリンシェーピン市から出されるものは3.5%ほどとわずか。残りはどうしているかというと、国内の他の自治体、あるいはノルウェーやイギリスなど海外から廃棄物を有料で受け入れています。
つまり、エネルギー源となる廃棄物の引取りを有料で行い、さらにその廃棄物から得たエネルギーでさらなる利益を生み出しています。従業員は約1,100人、206,000人の顧客を抱える巨大企業です。

[持続可能なエネルギーへの転換の追求]
リンシェーピン市は1970年代のオイルショックを契機に、化石燃料から廃棄物・木材へのエネルギー源転換を開始したそうです。
持続可能性をとことん追求するために研究部門による挑戦が続けられていて、化石燃料由来のプラスチックを使わないエネルギー生産を目指し、分別技術の向上や大学との共同研究を進めているとのこと。例えば、排出される二酸化炭素を収集し、それを食用の炭酸ガスに変えるような取り組みも実現が近いようです。

[市民とともに進める取り組み]
持続可能な運営のため、家庭ごみの分別ルールを導入。リンシェーピン市は食品廃棄物回収のための専用の袋を各家庭に用意しており、市民はそれを分別します。これはバイオガスの原料としても使われることになり、トラックや産業用燃料としてもかなり活用されているとのこと。小学生を対象にごみ分別教育を実施し、地域全体での意識向上を図っています。

[世界で最も資源効率の良い施設を目指す]
Tekniska Verkenは、廃棄物処理施設、バイオガスプラント、温水暖房プラント、水力・風力発電設備、浄水場などを運営し、世界でも最も資源効率の良い地域を目指しています。
こういう風に自前でエネルギーを生み出すことは、エネルギー危機への対応でも大きくプラスになったそうです。ウクライナ危機でヨーロッパ各国でエネルギー価格が急騰して大きな問題となる中、リンシェーピン市は市民に価格転嫁をほとんどすることなく影響を最小限にすることができたそうです。
つくば市では現在、クリーンセンターで発電した電力を自己託送といって市内の公共施設で使うことや、脱炭素先行地域でも市民が提供してくれた廃食油等を使って発電すること等を進めています。今回の技術公社の各種の取り組みのスケールの大きさには圧倒されますが、すべてを上手く噛み合わせるとここまでのことができるのだということを感じます。あらためて市で行っている施策を今回学んだ視点から捉えてみます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑦フィンランド・タンペレ:OASCのネットワーク】

OASC代表の歓迎挨拶の様子

リンシェーピンの技術公社の視察を終え、電車と飛行機を乗り継いでOASCが開催されるタンペレへ到着しました。OASC(Open & Agile Smart Cities)は、スマートシティの実現に向けた国際的なネットワークで、世界160以上の都市や地域が参加しています。

[スマートシティを支える「MIMs」]
OASCで特に注目されているのが、「最小限の相互運用メカニズム(MIMs)」という共通基準です。これは、異なる都市やシステムがデータや技術を円滑に共有できるよう、「最低限のルールを決めて連携しよう」という仕組みです。クーネグラーツ代表や参加者から、さまざまな取り組みが紹介されました。

[データ連携がもたらす可能性]
データ連携により、例えば救急車到着時に患者の既往歴や服薬情報が瞬時に共有されることで、正確で迅速な治療が可能になります。これにより、アレルギーや持病を知らずに治療を進めるリスクを大きく減らし、救命率を向上させることが期待されています。
あるいは、個人が使用する健康アプリと病院や薬局のデータを連携することで、生活習慣や健康データを活用し、病気の予防や早期発見に役立てることも可能です。例えば、心拍数の異常が事前に医師へ通知され、重篤な疾患を未然に防ぐことができるかもしれません。
また、災害時には、交通データがリアルタイムで連携されることで、最適な避難ルートや避難所の空き情報を迅速に案内できます。これにより、より多くの命を守ることが可能となります。

[個人情報の取り扱いと合意形成の課題]
このように便利なデータ連携ですが、繊細な個人情報を多く扱うため、何でも共有すれば良いというわけではありません。データを適切に取り扱うための丁寧な合意形成が重要であり、これは世界中で議論が進んでいるテーマです。

[つくば市の取り組みとOASCからの学び]
つくば市も国に先駆けて「プライバシー影響評価」を進めています。これは、プロジェクト参加者が自分の個人情報がどのように扱われ、どのような影響があるかを事前に説明する仕組みです。この日OASCで話されていた内容や各自治体のアプローチは、つくばの取り組みに多くの示唆を与えてくれました。
つくば市も今回OASCに加盟しました。世界での議論も実践も手探りで前進している段階なので、世界中の都市と知見を共有し合いながら、つくばが作るモデルを世界へ発信していきます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑧フィンランド・タンペレ:OASC登壇】

つくば市の取組についてプレゼンする市長

初日のプログラムで登壇し、つくば市の取り組みを発信しました。新規加盟都市は4つでしたが、「つくばはじっくり話して」と特別に長めの時間をくれたので、研究学園都市としての特徴やヴィジョン、スーパーシティの取り組みについて話しました。
その後、多くの参加者から前向きなコメントや具体的な協力の提案をもらい、昼食や夕食の時間も「話をもっと聞かせてくれ」と声をかけてもらう場面が続きました。こういう場では、登壇と同じかそれ以上に、合間にある対話がとても重要です。今のつくば市のニーズに合うもの、かつ貢献できるものについては検討を深めていきます。
「私の地図につくばが加わった」というコメントが印象に残りましたが、つくば市の挑戦も課題も率直に共有し、市民の幸福につながるアプローチを同じ課題を持つ各都市と一緒に考えていきます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑨フィンランド・タンペレ:OASCクイズショー形式でAIを語る】

クイズショー形式のセッションに参加する市長

OASC2日目は、特別企画として、趣向を変えたクイズショー形式のセッションに登壇。今年のテーマ「AIは本当にスマートシティに役立つのか?」を基に、ヨーロッパと日本の2チームがAIに関する知識や視点を競い合う内容でした。私はNECフェローの望月さんとペアが指定され、日本チームとして参加しました。
クイズの前半は、AIの歴史や基本知識を問う難易度の高い問題が続き、後半はさらに深い議論が求められる聴衆参加型の形式に。後半では、「もしも○○だったら、世界はどうなるか?」という仮定に基づき、それぞれのチームが短時間で答えをボードに書き、聴衆の投票で評価されるという内容でした。

【問1】もし人類が生存を完全に機械に依存したら?
私たちの答えは 「No WAR but No HAPPINESS」 。機械の合理性によって戦争は無くなるかもしれないけれど、その代わりに人間が支配され、幸せのない世界になるのではないか、という視点です。

【問2】もしサイバーハッカーたちが政権に対して怒ったら?
私たちは 「DAO BIGBROTHER」 という答えを提示しました。ジョージ・オーウェルの『1984』に登場する監視社会の象徴「ビッグブラザー」と、分散型自立組織(DAO)を掛け合わせたアイデアです。ハッカーたちが中央政権に対抗して影響力を持つ結果、中央集権は弱まるかもしれないが、同時に分散的な新たな監視社会が生まれる可能性がある、という未来像を描きました。

どちらの答えにも高い評価をいただきました。最終的には日本チームが勝利。これまで多くの会議で登壇する機会がありましたが、クイズ形式で議論を深めるというスタイルは新鮮で、楽しみながら刺激的な時間を過ごしました。
もちろん勝ち負けが本質ではなく、議論を通してアイデアを共有し、多様な視点を引き出すプロセスが重要です。一問あたりの考える時間が短くスリリングな場面もありましたが、望月さんのおかげで有意義なディスカッションができました(いや、勝つとやっぱりうれしいんですけどね)。
問いを投げかけられることで、自分自身の捉え方として、ディストピア(極端な技術発展や機械的管理が行き着いた社会で、監視や抑圧、不平等が蔓延し、人々が自由や幸福を失う状態)に対する強い忌避感があることを再認識したし、AIとスマートシティの未来について新たな気づきも得ることができました。
スマートシティもAIもあくまでも、人間の幸せと地球のためにあることを常に議論の中軸に置いていきます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑩フィンランド・タンペレ:クンモラ市長との意見交換】

タンペレ市役所でのランチミーティングの様子

OASCの開催地、タンペレ市長のカレルヴォ・クンモラ市長とランチをともにしながら、市政や都市づくりについて意見交換しました。タンペレは人口約25万人でフィンランドの第3の都市、平均年齢が41歳と若い街で、特に大学生が多い活気ある都市です。現在、年間2%という高い人口増加率を誇り、その半分が移民や外国籍の人という点も印象的でした。

[複数の政策をつなげ合わせる視点]クンモラ市長は、世界的に活躍したアイスホッケー界のレジェンドです。OASCのような国際会議はもとより、スポーツや映画祭、エンタメが都市に経済的・観光的価値やファン獲得をもたらすことの多面的な効果を捉え、複数の政策をつなぎ合わせています。
例えば、最近完成した新スタジアムでは、イベント時に公共交通の無料チケットを市民に提供しているそうです。「一度公共交通の便利さを知れば、車に戻る人は少ない」という視点です。
あるいは、タンペレはムーミンゆかりの地であり美術館も人気ですが、新たに「ムーミンonアイス」というアイスショーも始めるそうです。こうした今あるリソースを組み合わせ、文化と国際性をうまく結びつけ、街の魅力を発信しています。

[市役所チームの国際感覚]
そして、市役所の国際部門はそのために「世界のトレンドを常にキャッチし、現地で学ぶ」ということをしているそうです。職員が世界を周りながら、これは誘致に値すると思うものは仕掛けていくそうで、今度はダーツの世界大会を計画中とか。
実際、私も2年前にハイレベルフォーラムという別の国際会議でタンペレを訪れましたが、短期間で2回も来ることになるとは思いませんでした。(なお、2年前にお会いしたイコネン市長は現在は中央政府の地方担当大臣になってるとのこと。)

[移民政策とデジタル活用]
こういった対外発信や誘致施策の取り組みは、国家としての人口減少に対する危機感の現れでもあります。タンペレ市は移民を積極的に受け入れており、そのために市内のイベントでは英語も必ず併用しているそうです。また、移民が必要な情報を得やすいようにチャットボットを導入するなど、デジタル技術を活用した市民サービスにも力を入れているとのことです。
タンペレ市の取り組みは、スポーツ、文化、移民政策、そしてそれらをデジタルでつないでいく視点が徹底しており、つくばのスマートシティの推進にも参考になることが多くありました。

1月19日から1月25日【北欧出張⑪フィンランド・タンペレ:新スタジアム】

スタジアム内部

タンペレ市長との昼食中に「この後のスケジュールは?」と聞かれ、環境分野のディスカッションだと答えたところ、「じゃあ市で作った新スタジアムの視察を兼ねてそこの会議室使ってやったらいい」と提案がありました。急遽調整してくれ、完成したばかりのスタジアムを訪れる運営会社のCEOの方にガイドをしてもらいました。

[2024年に完成した複合型スタジアム]
このスタジアムの特徴は、なんと住居と一体化していること。周囲には住居が並び、下には駐車場、さらにショッピングセンターも併設されています。
住居部分は民間によって建設・売却されることにより、スタジアム自体の建設費は4300万ユーロ(約70億円)。世界情勢による資材高騰等はありましたが、複合化によって市の負担を抑えつつ、効率的な運営が実現されています。収容人数は通常8,000人で、夏のコンサートでは最大15,000人を収容可能とのこと。

[多様なイベントで活用]
スタジアムではプロのタンペレのサッカーチームの試合だけでなく、年間300試合以上のイベントが開催されており、地元コミュニティも大いに活用しています。こうした取り組みによって、初年度ながら単年度では黒字を見通しているとのことでした。

[つくば市へのヒント]
つくば市でも学校の地域利用やプールの複合利用などを進めていますし、何か施設を作る際は複合利用を前提に考えていますが、住居とスタジアムの複合化という発想には驚きました。開発コストをおさえながら施設の価値を最大化する意識をより強くする機会となりました。

1月19日から1月25日【北欧出張⑫フィンランド・タンペレ:環境政策】

タンペレ市の環境政策について説明を受ける市長

タンペレ市の環境部門の責任者インハさんに、環境政策の目標や取組についてお話を伺いました。タンペレ市では、1990年比で2030年までにCO2排出量を80%削減するという目標を掲げています。その実現に向けた戦略や、市民参加を促す仕組みはとても参考になりました。

[遅れたら市長に直接説明]
2年ごとに更新される「ロードマップ」と400もの具体的なアクションプランを基に、目標達成を目指しているタンペレ市。その進捗状況は年3回チェックされ、遅れがある場合は担当者が市長に直接説明する仕組みです。もちろん遅れたからといって怒られるといったわけではないですが、何をしていくかをともに考え、計画が絵に描いた餅にならないよう徹底しているそうです。

[市民参加を後押しする仕組み]
通勤時の公共交通や自転車の利用率は現在45~50%。すでに相当に高い数字に思えますが、69%に引き上げることを目指しているそうです。たとえば、市の公式アプリに、移動時にどれだけCO2を削減できたかを可視化できる機能を入れたりしているそうです。楽しみながら市民の意識向上を図っているとのこと。
そして、意識を高めるために、市の様々なイベントに環境部門の職員が顔を出し、市民の声を聞いて計画に反映させているそうです。
市民共創型の取組は進んでいるように思えますが、それでもまだまだ浸透はしていないとのこと。つくば市の「気候市民会議」を簡単に紹介したらとても関心を持っていたので、今後オンラインで情報を共有し、協力の可能性を探ろうと提案を受けました。
相互に学びながら、持続可能な未来に向けた取組をともに加速させます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑬スウェーデン・ストックホルム:ノレーン国会議長との意見交換】

ノレーン議長と握手する市長

ストックホルムでは、スウェーデン国会のアンドレアス・ノレーン国会議長と面会し、多岐にわたる議論をしました。ノレーン議長は昨年つくば市を訪問し、筑波大、サイバーダインやサナテックシード、JAXAなどを視察され、つくばの先端技術や研究環境に大きな関心を寄せてくださっていました。私もその際、議長夫人のリクエストを受け、つくば市内の女性研究者たちとの意見交換を実施した経緯があります。今回の対話でも、女性の社会進出について深く議論が盛り上がりました。

[議長としての看護休暇取得]
ノレーン議長は、議長になって時に、こどもが病気になり休暇を取得したことで、それが大きなニュースになったそうです。議長夫人からはつくば来訪時「それがニュースになるということは、スウェーデンでもまだまだ課題が多い」とのお話もありました。私からは、つくば市役所での男性育休取得率100%の達成や、民間企業での育休取得を後押しする補助金制度について紹介。育児を社会全体で支えるために、具体的な制度から社会の認識を変えていく重要性について議長と認識を共有しました。

[民主主義と女性の社会進出]
また、スウェーデン議会における女性議員の増加や、専業主婦をテーマにしたトレンドについても意見交換。スウェーデンに長い時間を掛けて根付いた「男女ともに働き、男女ともに子育てをするスタイル」は変わらないだろうとお話をしていました。
そこにはスウェーデン社会で
・半分の人が働かないというのは人口が少ない国で、マクロ経済でみてもマイナスしかない
・女性が収入を得ることは本人にとっても社会にとってもプラスで生活にも余裕が出る
・DV等の際にも自立して行動ができることにもつながる
・何より自己決定をしていくことは本質的な人権
といった考えが定着していることがあるようです。

[スマートシティやスタートアップへの関心]
議長からは、つくば市のスーパーシティ構想やスタートアップ支援について多くの質問がありました。特にかかりつけ医とデータ共有をするLEBERの小児夜間休日オンライン診療サービスや、脱炭素社会に貢献するサーマリティカの海外進出についてもとても関心を持ってもらいました。つくばが科学技術の力で社会的課題を解決しようとしている姿勢は、先般の訪問とあわせて十分ご理解いただけたと思います。
様々な角度のテーマで盛り上がり、予定時間を大幅に超えて45分以上話し合う貴重な機会となりました。「民主主義を守るために世界が連携して取り組む必要がある」と力強くお話されていたので、国と立場は違えど、つくばから世界に貢献する努力を続けていきます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑭スウェーデン・ストックホルム:若者のための図書館LAVA】

LAVAの説明を受ける市長

ストックホルム市内にある図書館LAVAを案内してもらいました。この図書館は、ただ本を読む場所ではなく、若者たちが自由に創造力を発揮し、学び、交流できる文化的なハブです。
LAVAの由来は「溶岩」。変化し続ける柔軟性を象徴しているそうです。その名前の通り、ここでは若者たちが自分のアイデアを形にし、可能性を広げています。

[多様なワークショップ]
・映像制作や音楽制作、裁縫、3Dデザイン、DJなど、多様なワークショップが開催されています。
・特に裁縫は人気で、古着をリメイクする子たちも多いとか。素材費だけで利用できるのはありがたいですね。
・楽器の貸し出しも自由で、2週間レンタルもOK!なんと筑波大学出身の明和電機のみなさんのオタマトーンもありました。すごく人気だそうです。

[年齢に応じた部屋構成]
・小さな子どもから若者まで、それぞれの年齢に合わせたスペースがあり、親の関与も調整されています。
・0歳~9歳を対象にした部屋は親も入ってOK
・10歳~13歳を対象にした部屋は、親は入れない。主に本を読むことをメインにしている。
・今回案内してもらった場所は14歳~25歳用で、大人は入れても座れない仕組みに。若者が自分たちで自由に過ごせる環境を大切にしているそうです。

[柔軟な施設デザイン]
・本棚やパーテーションが簡単に移動できる設計で、レイアウトを自由に変えられます。
・スクリーンプリント機や音楽制作機材も完備され、創造の幅が広がります。

[シンプルなルール]
ここでのルールはシンプル。「お互いをリスペクトし、親切にすること」。若者の自主性と主体性を尊重しつつ、スタッフはサポート役に徹しています。このようなアプローチが、1日200~300人もの若者を引き寄せています。
柔軟でクリエイティブな施設の運営には、現在検討を始めるところのつくばの新たな図書館やユースセンターのヒントが多くありました。

1月19日から1月25日【北欧出張⑮スウェーデン・ストックホルム:Youth Guidance Center(ユースクリニック)】

ユースクリニックの外観

ストックホルム市で最も大きなユースクリニックである「Youth Guidance Center」を訪問しました。この施設は、若者たちが健康や悩みについて気軽に相談できる場であり、心身のサポートを提供する重要な役割を担っています。

[歴史と施設概要]
スウェーデンでのユースクリニックの最初の設立は1970年。今回訪れた施設は15周年を迎え、もともと郵便局だった建物をリノベーションして使用しています。スウェーデン全土には約220の同様のクリニックがあるそう。
クリニックは13歳から22歳の若者を対象にしていて、利用者の約80%が女性、20%が男性です。年間約1万人が訪れ、98%が「満足」と回答する高い評価を受けています。

[サービスとアプローチ]
ユースクリニックでは、医師、助産師、カウンセラーがチームを組み、若者一人ひとりに寄り添った対応を行っています。たとえば、助産師は検査や健康相談を担当し、必要に応じて医師と連携します。また、カウンセラーは若者の生活背景や悩みに耳を傾け、精神面の支援を提供。一度の検査には約30分が確保されて、丁寧な対応がされています。
待合室はゆったりとした設計で、利用者同士が顔を合わせずに済むような配慮もされてました。親と一緒に訪れることも可能ですが、相談内容はプライバシーが厳守されており、相談者の希望が優先されます(ただし、リスクが高い場合は保護者への報告が義務付けられています)。

[学校や地域との連携]
エリアの学校すべてが、学校単位で毎年8年生(中学2年生)の時にクリニックを訪問し、利用方法や性に関する基本的な情報を学ぶ機会を設けています。これにより、この場所の存在を全員が知り、困ったときにクリニックに足を運びやすくなる仕組みを作っています。また、学校ナースとの連携も強化しており、半年に一度、情報共有や協議の場を設けています。

[若者の声に寄り添う姿勢]
「なんの理由がなくても来ていい」という方針を掲げ、週に3日は予約なしで利用できる仕組みを採用しています。一度でも拒否されると来なくなってしまう可能性があるため、スタッフは言葉遣いや態度にも細心の注意を払っています。
相談内容としては、男性の場合は漠然とした不安や体の変化、プレッシャーに関する悩みが多く、女性の場合は性に関することや学校での人間関係、SNSによる自信喪失などが目立ちます。SNSへの依存が高いため、それが自己評価や人間関係に影響を及ぼしていることを強く危惧していました。

[学びとヒント]
無料で質の高い支援を提供するこのクリニックの取り組みは、つくば市が現在進めているユースセンターにおいてもとても参考になりました。若者が相談を受けられる体制を作るために保健センターを活用していく準備をしていますが、その方向性が適切であることも確認できました。
私がロードマップにも入れているユースセンター(活動場所としてのセンターと、今回のようなクリニックと両方ですが、今回はクリニックの意味)を進めているのは、日本では中学校卒業後の高校から大学生、あるいは働き始めている若者への支援体制が少ないという問題意識があります。
また、性に関する相談できる場が少なく、正しい情報がない若い世代がネット上で調べかえって不安に陥ることを避ける環境を用意することも大切だと思っています。今回の訪問でも、性に関する情報はをネットに氾濫しすぎていて、検索で解決することはまずないため、すべてをまとめたサイトを構築しそこをあらゆる機会に案内しているとのことで、このページは国外からも評価されアクセスが多いそうです。
今回訪問したセンターの利用者はカウンセリング部門は18歳以上が7割という数字は予想していたより高めで少し驚きましたが(助産師の相談はまた別の数字とのこと)、それだけ社会全体で若者への支援体制ができているということだと感じます。若者にとってアクセスしやすく、安心して相談できる場を作ることがいかに重要かを認識したので、つくばでのセンター設置に活かしていきます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑯ スウェーデン・ストックホルム:居場所としてのユースセンター「フリスヒューセット」】

インターン生から説明を受ける市長

ストックホルムで訪問したフリスヒューセットは、若者の「居場所」としてのユースセンターの理想的な形を示す施設でした。色々な使われ方がありますが、ここではユースセンターには機能的に2種類あり、ひとつは⑯でアップした心の不安や性の相談機能を持つ「ユースクリニック」、もうひとつが若者の居場所として様々な活動をできる「ユースセンター」と整理しておきます。
今回は後者にあたる居場所で、民間企業が運営するこのセンターは、若者の生活を支える多様な機能を備え、教育と交流の両面でとても豊かな体験を提供していました。

[多機能施設としてのフリスヒューセット]
フリスヒューセットは、当初はユースセンターとしての機能だけでしたが、現在では学校も併設しており、7歳から高校生まで約1,000人が在籍しています。授業料や食事は無料で、ビーガンやベジタリアンメニューにも対応しています。生徒たちと話し合いながら、フードロスを減らす工夫も行われています。
学校は午後3時で終了し、それ以降はユースセンターとして運営され、学校に通っていない若者たちも利用できる仕組みです。

[ユースセンターの主な取り組み]
・豊富なアクティビティ: フリスヒューセットでは、バスケットボールチームが375チームもあり、ダンスや音楽レッスン、スケートボードパークなど80を超えるプログラムを提供しています。さらに、ムービーナイトやゲームナイトといったイベントも定期的に開催されています。
・社会的支援: シングル家庭の子どもたちを対象にしたソーシャルプログラムも充実。キャンプや釣りなど、お金のあるなしに関わらず同じ体験ができるよう配慮されています。
・多目的空間の活用: 体育館には1,500人収容の可動式シートがあり、スポーツやイベントなどさまざまな用途に活用されています。

[若者の声を尊重する仕組み]
フリスヒューセットでは、入学試験は設けず、「ここで何をやりたいか」という意欲を重視しています。図書館には司書やITスキルを持つスタッフが常駐し、若者たちの学びをサポート。また、子どもたちが施設に求めるものを直接聞き取ることで、ニーズに即した運営を行っています。

[資金と運営の工夫]
施設運営の66%は国からの補助金で賄われ、残りはEU、市、企業からの支援や寄付によっています。また、EUボランティアとして案内してくれたのは、ウクライナ、ポルトガル、スペインからのインターン生で、国際的な連携がされています。

[つくば市への示唆]
つくば市のユースセンター構想にも多くの学びを得ました。特に、若者にとってアクセスしやすい場所に施設を設置すること、プロセスでもその後も何よりも若者の声を聴いていくことが重要だと強調していました。
顔が写るので施設内の様々な写真が撮れてないのですが、ビリヤードをやっていた若者たちは我らスーツの一団を見て「何しに来たの?ここを買うのはやめてよ、僕らの場所が無くなっちゃうから!」と話しかけてきました。ここが大切なたまり場になっていることがよくわかります。
フリスヒューセットから、普段使っている若者へのアンケートフォームを共有してもらえることになりました。参考にしながら、つくば市のユースセンター準備を進めていきたいと思います。

1月19日から1月25日【北欧出張⑰スウェーデン・ストックホルム:小屋もある公園「パークレーク」】

公園に設置されている小屋の外観

ストックホルムには小さな小屋があって室内でも遊べる機能がついた公園「パークレーク」があります。現在検討を進めている全天候型施設のひとつの考え方として、駆け足ですが様子を見てきました。小屋の中ではボードゲームやカードゲームなどを楽しむことができます。
公園全体は、季節に応じた利用方法が考えられています。冬は無料のスケート場として開放され(スウェーデン人にとってスケートは無料で当然に提供されるものという考え方があるそう)、夏は芝生エリアとして活用されています。
この日もスケート場には平日朝の時間帯でしたが、こどもたちも、保護者も(仕事は休んでいると思われる)たくさん集まってきていました。
滞在中あちこちで、そもそもスウェーデンの人々は雨や雪といった天候を気にせず、公園で遊ぶ文化が根付いているそうです。「天気が悪いのではなく、服装が悪い」のことわざ通り、天候に合わせた服装を整え、積極的に屋外で楽しむ姿を多くの場所で見かけました。
寒風吹きすさぶ中でスキーウェアのような格好をしたこどもたちが楽しそうに遊んでいたり、保護者もばっちり防寒している様子を見ると、こういう慣習が必ずしも日本になじむのかはわかりませんが、公園の中に簡易な小屋があることで活動の幅がぐっと広がることは実感しました。
全天候型の遊び場のイメージは日本では大きな屋内施設ですが、市民の憩いの場であり、コミュニティ形成の拠点でもあり、子育てにとっても必須な公園のこのような取り組みを、つくば市の議論でも活かしていきます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑱:デンマーク・コペンハーゲン:市民の憩いのゴミ焼却施設「コペンヒル」】

「コペンヒル」外壁のクライミングウォール

報告順がちがっていて、初日の日曜日の移動日でしたが、少しでも学びを得るため、コペンハーゲンの「コペンヒル」を視察してきました。ここは、ゴミを焼却して発電する施設でありながら、市民の憩いの場として親しまれているとても注目されている場所です。

2019年に完成し、屋上が人工芝のスキー場になっているというユニークな設計で、建物の側面には高さ85メートルのクライミングウォールもあります。
さらに、屋上にはジョギングやウォーキングが楽しめる歩道や、カフェ&バーが併設されていて、テラスでくつろぐ人々の姿も印象的でした。年間3万世帯分の電力と7万2000世帯分の暖房用温水を供給しながら、遊びと環境の両立を実現している点は非常に参考になります。
「誰もが行きたくなるゴミ処理施設」という発想ですが、実際に滞在している間にもスキーをやりに来る人達が跡を絶たない様子に、その理念が実現されていることがよくわかりました。公共施設の枠にとらわれずに考える重要性を再認識させられます。

1月19日から1月25日【北欧出張⑲:デンマーク・コペンハーゲン:多様な文化交流のための「スーパーキーレン」】

鉄道の車庫をリノベーションした「スーパーキーレン」内部

コペンヒルを手掛けたビャルケ・インゲルス建築事務所が設計した「スーパーキーレン」という公園を訪問。この公園は、50以上の国から移り住んだ人々が暮らす地域に作られたもので、多様な文化の中で住民同士が交流しやすい場を目指して整備されています。
公園は「赤」「黒」「緑」の3つのゾーンに分かれていて、それぞれテーマが異なるのが特徴です。赤のゾーンはスポーツがメインで、黒のゾーンには日本の職人が作ったタコの滑り台があり、親子連れに大人気でした。緑のゾーンは見通しが良く、安心感のある空間になっています。
さらに、公園内にはスケボーができるスペースやカフェ、図書館もあり、若者が勉強したり、親子でくつろいだり、お年寄りが読書を楽しんだりと、多世代が思い思いの時間を過ごしていました。
もともと鉄道の車庫をリノベーションした場所で、細長い形状もユニーク。スポーツ施設やベンチも充実していて、地域の日常にしっかり溶け込んでいる印象でした。つくばが目指しているたまり場のヒントがたくさん詰まっています。

1月19日から1月25日【北欧出張⑳デンマーク・コペンハーゲン:自転車道とシェアサイクル】

シェアサイクルで自転車道を走行する様子

コペンハーゲンではシェアサイクルを利用して市内を移動しました。市内全域で歩道、車道、自転車道がしっかり分かれており、とても安心して走行できる環境が整っていました。
自転車の移動がどんどん増えているヨーロッパの首都の中でも、コペンハーゲンは最も整備されている都市とされているそうです。徹底して自転車レーンがありました。
シェアサイクルの利用はアプリをインストールするだけで簡単。来訪者向けには時間単位や1日単位のプランが、地元の方にはサブスク型の利用があり、価格帯も多様でした。ポートもたくさん設置されているため、どこでも乗り降りでき、非常に使いやすかったです。
ちなみに出張先で自転車に乗るのにヘルメットが無いのが不安だったので、今回小さく持ち運べるものを日本で買っていきました。通常のものと比べれば防護力は下がるかと思いますが、十分安心感が得られました。
今つくばでもつくチャリの車両やポートの増を進めていますが、自転車レーンも増やしていく計画です。移動の手段としてもっと自転車が増やせるような努力を続けていきます。

1月19日から1月25日【北欧出張㉑:「森の墓地」と「ストックホルム市庁舎」とまとめ】

「森の墓地」への道

出張最終日、空港に向かう前に、駆け足となりましたが森顧問の案内で「森の墓地(スコーグスシュルコゴーデン)」とストックホルム市庁舎を訪問しました。
森の墓地は、20世紀の人工物として初めて世界遺産に登録された場所です。以前、つくば市が公営墓地を検討していた際にも参考にした場所で、森の中にある公園のような墓地です(民間霊園から樹木葬など多様で安価な葬送形態が増えたため、市では各霊園の案内パンフレットを作成し情報提供を行っています)。
深く冷えた朝の澄んだ空気の中、森の墓地はあまりに静謐で美しいものでした。広大な森林地帯で覆われているスウェーデンでは、「死者は森へ還る」という考え方が根付いているそうです。
ストックホルム市庁舎は、ノーベル賞の晩餐会が行われる場所として有名です。荘厳な建築に圧倒されながら、この特別な空間でつくば市からの受賞者が再び主役となる日を想像しました。
これで出張報告は終わりです。
今回も少しでも現地で議論や視察の時間を活用するために、移動が深夜や早朝に及び、例えばヘルシンキに深夜到着して仮眠の後、すぐ次の都市タンペレへ移動するようなスケジュールもありました。ハードさもありましたが、その分充実したものとなりました。
今回の出張は、すべて公約ロードマップに掲げている分野の視察や意見交換でした。スマートシティや環境分野では、つくば市の取組が高く評価される一方、デジタルツインの活用や脱炭素への取組など、欧州都市の踏み込んだ事例から多くを学ぶことができました。
これまで政策の空白に近かった若者政策でも、多くのヒントを得る機会となりました。また、大胆な組み合わせの複合施設や多目的用途の施設からは、つくばでの取組でもまだまだ踏み込めることがあることを実感しました。
登壇や対談を通じて、とても多くの反響があり、つくばの存在感をある程度示すことができたと考えています。もちろん、プレゼンスを高めること自体が目的ではありませんが、「つくば」を世界の都市リーダーたちの地図に加えられたことには大きな意義があったと思います。
協業の提案も数多くいただきましたが、市民への具体的なメリットを基準に、丁寧に検討していきます。
今回の出張では、在スウェーデン日本大使館一等書記官で、つくば市の顧問でもある森祐介さんに、日程調整やご案内に大変なご尽力をいただきました。森さんには普段からスウェーデンや欧州の先進施策についてオンラインでアドバイスをいただいており、今回の充実したプログラムもその積み重ねのおかげです。
つくば市政策イノベーション部長時代に見せてくれた類まれな手腕は健在で、行く先々で人々から信頼されている様子が強く伝わり、現地での活躍ぶりにも改めて感銘を受けました。
さらに、水越駐スウェーデン日本国大使から直接、スウェーデンの現状や取組についてお話を伺うことができたのも貴重な機会でした。大使館の皆さま、マルメやルンドでの調整を担ってくださったブロムベリひろみさんをはじめ、関係者の皆さまに心より感謝いたします。
昨夜帰国し、今朝から通常業務を再開しています。不在中にご迷惑をおかけした場面もあったかと思いますが、今回得た知見をつくば市の政策にしっかりと活かしていきます。

1月27日【筑波山地域ジオパークが再認定されました!】

再認定のお祝いのくす玉を割る市長

筑波山地域ジオパークが日本ジオパーク委員会の審査で「再認定(グリーンカード)」を取得しました!イエローカードが出されることもある審査で、前回に引き続き一発でグリーンカードとなったことは関係者のみなさんの努力の成果であり、ありがたく思っています。
今回の再認定に向け、ジオサイトの見直しや教育活動の強化、そして「つくばジオミュージアム」のオープンなど、多くの取り組みを進めてきました。また、昨年には筑波山塊の花崗岩が東アジア初の天然石材遺産として国際認定されるなど、世界的な注目も集まっています。
これからも、筑波山地域ジオパークを通じて地域の魅力を五感で感じられる活動を進めていきます。ぜひジオミュージアムやジオサイトへお越しください!

1月27日【地域連携公共ライドシェアがいよいよ運行開始!】

土浦市の安藤市長とドライバーの福本さんと市長

つくば市・土浦市・下妻市・牛久市が連携し、地域住民の生活を支える新しい移動手段「地域連携公共ライドシェア」の本格運行がスタートしました。
今回、土浦イオンを出発した安藤土浦市長が乗る車両に、私が広岡交流センターで合流。つくばセンターまでの区間を一緒に乗車し、その利便性を体感しました。
このサービスは、国交省が指定する「交通空白地」でのみ運用できる仕組みです。つくばでは、バス路線が廃止された「桜ニュータウンエリア」やバスが終了した時間に観光客の帰りの足を支える「筑波山エリア」など、公共交通が不足している地域をカバー。通勤通学や観光需要に応えることで、地域の移動環境を改善することを目指しています。
今回の運行でドライバーを務めてくださった福本さんは、新婚旅行で訪れたハワイでライドシェアの便利さを実感したことがきっかけで応募されたそうです。つくばでライドシェアが始まるのを私のXで知り(うれしい!)、空き時間に地域に貢献できるならと思い参加したとのこと。
運転もすごく丁寧で安心して乗れましたし、「日本でもライドシェア文化がもっと広まってほしい」との思いもお持ちで、地域の交通を支える担い手としての熱意を感じました。
地域のドライバーが活躍する仕組みが今回の取組の特徴で、運行を通じて公共交通に関心を持つ人材の育成にもつなげ、今後タクシーやバスの運転もできる2種免許を取るための支援もしていきます。
全国でドライバー不足が大きな問題となる中、複数の自治体が合同で行うモデルとして早くも各地から視察依頼がきています。まずはみなさんに利用していただいてこの運用を定着させていきたいと思います。ぜひご活用ください!

1月30日【 JAPAN STARTUP SELECTION に登壇!】

品川区長、熊本市長との記念写真

スタートアップ都市推進協議会(スタ協)主催の「JAPAN STARTUP SELECTION」に参加し、ANRIの鮫島さんのコーディネートで「地方発!ディープテックスタートアップの可能性」について大西熊本市長と。TSMCの大規模工場の投資が進む熊本と、TSMCの研究開発拠点が置かれたつくばでの連携の可能性など盛り上がりました。パーカーをYシャツの上から着たらモコモコになっちゃったけど。

イベントにはつくば市からは、地域の情報を可視化するアプリ「dokoiko」を開発する株式会社Palames、病院間でMRIの貸し借りを可能にする「Seamr MRI」を提供するSeamr株式会社の2社も参加。どちらもつくば市の「スマートシティ社会実装トライアル支援事業」に採択されていて、全国展開し得るポテンシャルです。

途中から地元品川区の森澤区長も合流してくれました。日本各地で生まれるスタートアップの挑戦を、自治体が連携して支えれば大きな力になります。連携して取り組んでいきます。

1月30日【国道6号牛久土浦バイパスの早期整備を国交副大臣へ要望】

土浦市の安藤市長をはじめ関係者とともに、古川国土交通副大臣に要望書を渡す市長

スタートアップセレクションの前は、土浦市の安藤市長や関係するみなさんとともに古川国土交通副大臣に対して国道6号牛久土浦バイパスの建設促進を要望へ。現在、5.2km区間が暫定開通し、つくば市内でもイオンつくばから茎崎方面へ抜ける区間の改良工事と用地買収が進行中です。

慢性的な渋滞をしている6号の緩和はもちろん、この道路は通学路にもなっており多くの車が行き交うため、安全性向上や交通の流れの改善が期待されます。バイパス全線の早期整備に向け、引き続き働きかけていきます。

1月31日【TX東京方面延伸に向けた茨城県の協力を要望】

守谷市長、つくばみらい市長とともに大井川知事に要望書を渡す市長

つくばエクスプレス(TX)と都心部・臨海地域地下鉄の接続事業化促進期成同盟会への茨城県の参加を、会長の守谷市の松丸市長、つくばみらい市の小田川市長とともに大井川知事に要望しました。

先日TX沿線の自治体と期成同盟会を立ち上げましたが、東京延伸は2040年開業を目指す「都心部・臨海地域地下鉄構想」とセットで推進すべき重要なプロジェクト。今後2~3年が事業化の鍵となります。沿線自治体一丸となり、実現へ向けた動きを加速させます。

この記事に関するお問い合わせ先

市長公室秘書課
〒305-8555 つくば市研究学園一丁目1番地1
電話:029-883-1111(代表) ファクス:029-868-7623

お問い合わせは専用フォームをご利用ください。