【令和8年2月】市長の海外出張に関する報告

更新日:2026年02月24日

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令和8年2月、つくば市長がフランス・グルノーブル市、イギリス・マンチェスター市及び同国バーミンガム市を訪問しました。

1 出張概要

出張者及び期間

市長、秘書課職員1名(随行):2月1日(日曜日)から2月8日(日曜日)

業務担当職員
①政策イノベーション部職員2名:
・2月1日(日曜日)から2月5日(木曜日)1名
・2月1日(日曜日)から2月6日(金曜日)1名
②市長公室職員2名:2月4日(水曜日)から2月8日(日曜日)

日程表(PDFファイル:36KB)

総経費

2 主な出張成果

   本出張では、フランス・グルノーブル市で開催された国際会議を通じ、世界各地の研究都市や自治体が直面する課題とその対応の方向性を学ぶとともに、本市が進めるスーパーサイエンスシティ構想や社会実装の取組を広く発信することができた。会議の合間や食事会における参加者との対話を通じて、各都市の政策課題や成功事例について率直な意見交換を行い、今後の連携可能性を具体的に議論するなど、実りある機会となった。
   また、グルノーブル市長及びグルノーブル都市共同体議長との会談では、気候変動対策、スマートシティ、公共サービスの運営など幅広いテーマで認識を共有し、今後もオンライン等を活用しながら定期的に政策に関する意見交換を継続していくことで合意した。都市規模や社会的背景は異なるものの、「科学と市民生活を結びつける」という共通の課題意識のもと、実践的な学び合いを進めていく。

   イギリスにおいては、市長公約事業である労働者協同組合を活用した地域課題解決の仕組みや、生物多様性の推進に向けた先進的な取組を重点的に視察した。マンチェスター市では、協同組合の全国組織や現場の運営主体との対話を通じ、公共調達をルールの範囲内で工夫することで地域内に富と雇用を循環させる手法、住民出資によるコミュニティ協同組合の運営モデルなど、実務に直結する知見を得た。バーミンガム市では、行政・専門家・市民が連携して緑地の保全と活用を図る仕組みを確認した。今後、つくばの自然の保全と環境関連の雇用創出に資する施策を検討していく。また、市立図書館では若者や求職者向けの支援機能が充実しており、市民の成長と文化の拠点としての役割について多くの知見を得た。新たな図書館整備において、これらの学びを生かしていく。

   これら一連の調査・対話を通じて得られた知見は、市が進める市民協働のまちづくり、地域内経済循環の促進、生物多様性つくば戦略に基づく自然と都市機能の調和といった政策方向に直結するものである。今後、関係部局と調整しながら具体的な施策へ落とし込み、市政運営に着実に反映させていく。

3 出張先での主な行動

2月1日(土曜日)夜~2月2日(日曜日)

東京発 ミュンヘン経由 リヨン着
リヨン空港からグルノーブルへ移動

2月3日(火曜日)

① 国際会議「ハイレベルフォーラム」への出席及び登壇(グルノーブル市)
   市の姉妹都市でもあるフランス・グルノーブル市は、パリに次ぐ第2の研究都市であり、2026年の「ヨーロッパのイノベーションの首都」にも選出された、今イノベーション分野で世界で最も注目されている都市の一つである。今回、グルノーブル市に所在する世界的研究開発拠点「GIANT」が主催する国際会議「ハイレベルフォーラム」に出席した。本会議には世界70都市の自治体・研究機関等が参加し、「研究から現実へ~大変革におけるイノベーション~」をテーマに議論が行われた。つくば市は単独自治体としてプレゼンテーションの機会を得て、「つくばエコシステムの最新動向」を発表した。研究成果をいかに社会実装し、社会課題解決につなげるかということが必須条件となる現在の潮流において、市の特性である約1万5千人の研究者、8千人を超える博士人材、150を超える研究機関・スタートアップの集積について具体的なデータで示し、スーパーシティ構想に基づくオンライン診療、自動運転、インターネット投票等の社会実装の取組を紹介した。発表後、各国関係者から市民合意形成の手法や規制改革のプロセスに関する多くの質問が寄せられ、本市の取組への高い関心が確認された。

ハイレベルフォーラムで登壇する市長

② グルノーブル都市共同体との政策対話
   グルノーブル都市共同体のクリストフ・フェラーリ議長と会談した。同共同体は、グルノーブル市を含む49の近隣自治体で構成される広域自治体であり、市町村単独では担いきれない気候変動・交通・住宅・水道・廃棄物・都市計画等の分野を広域的に運営している。会談では、既存住宅の断熱改修、脱炭素型公共交通の整備、地産地消の推進、産業構造の転換などについて事例を共有した。特に、2050年を見据えた住宅の80%改修計画や広域共通運賃制度、植物性食品の導入による食分野の改革は示唆に富むものであった。今後、オンライン等を活用した定期的な政策交流を行うことで合意した。

フェラーリ議長と対談する市長

③ エリック・ピオル市長との会談
   グルノーブル市のエリック・ピオル市長と会談し、水道事業の再公営化、学校給食政策、市民参加型予算等について意見交換を行った。水道事業の再公営化後、インフラ投資を民営時代の約3倍に拡充しつつ料金を安定化させた事例、所得連動型給食料金やオーガニック化の取組、年間約100万ユーロ(約1.9億円)規模の市民参加型予算制度など、環境と社会正義とを統合するアプローチについて説明を受けた。今後も、都市としての連携を深めることを約束した。

ピオル市長、在リヨン領事事務所の尾形所長と市長
2月4日(水曜日)

グルノーブルからリヨン空港へ移動
リヨン発 ロンドン経由 マンチェスター着

2月5日(木曜日)

④ 労働者協同組合に関する視察・面会等(マンチェスター市及びその近郊)
   イギリス・マンチェスター市では、イギリスの協同組合の全国的統括機関である「Co-operatives UK」のCEOと面会し、協同組合の基本的な理念や現在の在り方、地域課題解決のために住民が設立した協同組合の事例、コミュニティ株による地域経済循環の手法について協議した。また、イギリスを拠点とする労働者協同組合連合体「Workers.coop」の理事から、公共調達をルールの範囲内で工夫することで地元発注を増加した「プレストン・モデル」や地域富の循環(コミュニティ・ウェルス・ビルディング)の具体的実務を聴取した。

「Co-operatives UK」CEO ローズ・マリー氏との協議の様子
「ロッチデール・パイオニア博物館」で説明を受ける市長

   「ロッチデール・パイオニア博物館」を訪問し、協同組合運動の成立過程を学んだ。産業革命期、劣悪な労働環境と食糧事情の中で、住民が出資により共同店舗を設立し、安全な食品を適正価格で供給したことが協同組合の起点であるとの説明を受けた。協同組合が地域の連帯を基盤に生活を守る仕組みとして発展してきた経緯を確認し、本市の労働者協同組合施策への示唆を得た。

   ヘブデンブリッジ及びヘプトンストールでは、住民運営の商店兼郵便局及びパブを視察し、運営に携わる住民及び利用者から直接生の声を伺った。高齢化や経営難で閉鎖の危機にあった郵便局や憩いの場を、住民が株主となり資金を出し合って作る「コミュニティ協同組合」を通して、地域のサービスを自分たちの手で守り運営する実態を確認した。

商店兼郵便局の視察の様子
2月6日(金曜日)

マンチェスターからバーミンガムへ移動

⑤ 生物多様性施策・図書館の複合化に関する視察・面会等(バーミンガム市)

ロード・メイヤー(市長)であるイクバル氏と挨拶する市長

   バーミンガム市では、イギリスで初めて「Nature City」として認定された取組について、市長、行政担当者、自然保護団体「Wildlife Trust」と意見交換を行った。市は自然を不可欠なインフラとして位置づけ、都市計画の中心に自然環境を据えるというアプローチを採用している。特に注目すべきは、行政がNGOと連携し、市民ぐるみで緑地の管理・保全に取り組んでいる点である。さらに、生物多様性のネットゲイン(※)や緑地のアクセスを市民の基本的人権として捉える哲学も学んだ。また、環境保全に向けた雇用創出のために、有給でトレーニングプログラムを提供していることは、持続的な環境保全活動を支える重要な施策であり、現在進めているグリーンシフトにおいて今後の参考となる取組である。

【※】ネットゲイン
損失分以上の環境面における価値が生み出されること

生物多様性施策の担当者から説明を受ける市長

   バーミンガム市立図書館を視察し、複合型図書館整備に向けた運営モデルを確認した。この図書館は、19世紀の牧師であり活動家のジョージ・ドーソンの思想に基づいた設計がなされている。図書館を単に本を読む場としてだけでなく、市民の自立を支援する場所として、ビジネス・知的財産センター(BIPC)が設置されているなど、地域住民が自身のキャリアやビジネスの向上に繋がる支援を受けられる仕組みが整えられており、図書館の役割の進化が示されている。また、バーミンガム市内の30を超える地域図書館がネットワークとして連携し、中央図書館と共に市民がどこに住んでいても質の高いサービスを享受できる体制を築いている点も学びとなった。

バーミンガム市立図書館内部の様子
2月7日(土曜日)~2月8日(日曜日)

バーミンガムからロンドン(ヒースロー空港)へ移動
ロンドン発 東京着

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