つくば市長公式ブログ
2026年2月
2月3日【出張報告:グルノーブル①世界の「知」が集まる最前線】

フランスのグルノーブル市を訪問してました。 現地が誇る世界的な研究開発拠点「GIANT」が主催する国際会議、「ハイレベルフォーラム(HLF)」に出席するためです。
・グルノーブルとの深い絆
つくば市の姉妹都市でもあるグルノーブルは、パリに次ぐフランス第2の研究都市。 2026年の「ヨーロッパのイノベーションの首都」にも選出された、今、世界で最もホットなエリアの一つです。つくば市とは2012年から交流が続いており、今回もご招待いただきました。
・研究から「現実」へ
今年のテーマは『研究から現実へ 〜大変革におけるイノベーション〜』。 世界中から70もの都市が集結していて、その数は年々増えている成長している会議です。写真はHFLの代表のブルーノさん。
今の議論の潮流は明確です。
「素晴らしい研究成果が出た」だけではもう評価されず、「それをどう社会実装し、現実を変えるか」が必須条件になっていること。
これは、スーパーサイエンスシティを目指すつくば市にとっても、ど真ん中の課題です。 世界のトップランナーたちと議論し、つくばの未来に活かせるヒントをしっかり持ち帰ります。
2月3日【出張報告:グルノーブル②グルノーブル・アルプ共同体のフェラーリ議長と対談】

ハイレベルフォーラムの合間に、グルノーブル・アルプ共同体のクリストフ・フェラーリ議長と対談。この共同体はグルノーブル市を含む49の周辺自治体で構成される広域自治体です。
フェラーリ議長は、2015年につくばで開催されたハイレベルフォーラムに参加した際、つくばのエコシステムに感銘を受けたそうです。彼自身も科学者であり、「政治家であっても科学者としての視点を持ち続けること」の重要性を語りつつ、つくば市を「科学の街」として高く評価してくれています。
対談の中で、グルノーブル・アルプ共同体でのカーボンニュートラルやイノベーションに関する取り組みについて、様々な角度からお互いの事例を共有し話がとても盛り上がりました。
主なトピック:
▼住宅の断熱リノベーション 2050年までに既存住宅の80%を更新する必要があるとの認識のもと、住宅の断熱リノベーションを推進している。エネルギー消費とCO2排出を削減し、夏場の猛暑対策にもなるこの取り組みに対し、自治体が補助金を出したり、専門家による無料相談を提供するなど、積極的に支援しているとのこと。
▼モビリティの脱炭素化 バイオガスバスや電気トラム、鉄道など、脱炭素化された公共交通機関の整備を進める。約70万人が対象となる広域の共通運賃制度を導入するなど、利便性向上にも力を入れている。
▼地産地消の推進 肉の消費を減らし、植物性タンパク質の摂取を増やすなど、食生活の変革を促す。地域の農業を支援し、地産地消を進めることで、フードマイレージを削減する取り組みも。
▼産業の再構築 カーボンニュートラルを実現するためには、地域の産業を再構築し、環境負荷の低い製品を地元で生産することが重要。マイクロエレクトロニクスなどの先端産業に加え、化学産業なども含めた産業構造の転換を進めている。
【今後の連携について合意】
今回の対談を通して、お互いの都市の強みを学び合う「Policy Learning(政策学習)」の重要性を確認し、今後もオンライン等で定期的に政策に関する意見交換を行うことに合意しました。 単なる訪問にとどまらず、継続的に議論の場を持つことで、具体的なプロジェクトへと発展させていく予定です。
ともに学び合い協力し合うことで、より良い未来を創造できると確信する時間となりました。
2月3日【出張報告:グルノーブル③ エリック・ピオル市長とのランチ対談】

ハイレベルフォーラムの合間に、グルノーブルのエリック・ピオル市長とランチをしました。 在リヨン領事事務所の尾形所長はじめ事務所のみなさまも同席くださりました。
ピオル市長とはもう何度も会ってお互いのことはわかっているので、形式張った会議ではなく、食事をしながらじっくりと対話。膝を突き合わせてのそれぞれの政策についての理解を深めます。ピオル市長の言葉の端々から、あらためて変革にかける凄まじい熱量と、緻密な戦略を感じました。
話題は多岐にわたりましたが、つくばにとってもヒントが多くありました。
▼ 水道は「市民のもの」へ(再公営化の成功)
グルノーブルはフランスでいち早く水道の再公営化(1999〜2000年)を成し遂げた都市です。 かつては民間企業に委託していましたが、汚職や価格高騰が問題になっていました。
その水道を公営に戻した結果どうなったか?
株主への配当が不要になった分、インフラへの投資額を民営時代の「3倍」に増やせたそうです。しかも料金は値下げ(安定化)を実現。
短期的な利益ではなく、長期的視点でインフラを守れるようになった、という話には公共事業の本来あるべき姿を見ました。
▼ 給食は「健康格差」をなくす最強のツール
ピオル市長にとって、給食は単なる栄養補給ではなく、「健康の公平性」を実現する手段です。徹底しているのが「連帯価格」という仕組みで、親の所得に応じて価格が変わり、最低価格は一食あたり0.75ユーロ(約120円)。最高で7〜8ユーロです。
そのようなアプローチをする背景には、低所得層の子どもの肥満率が高所得層の3倍もあるというデータがあったからだそうです。厳しい経済状況の家庭の子にこそ、質の高い食事を学校でしっかり食べてもらう。これが社会正義だというわけです。
メニュー構成にも工夫がされています。
「肉・魚のスタンダード」か「ベジタリアン」の2択に絞ることで廃棄ロスを減らし、浮いたコストをオーガニック化に回しているそうです。今や50%以上がベジタリアン食とのこと。
さらに、調達も工夫しています。本来は「地元産優先」としたいのですが、EUのルールによりそのままではそれは難しい。そこで、市が出資して協同組合を作ることで、合法的に地元農家から直接買い付けるルートを確立したとのこと。こういう仕組みの工夫も重要です。
▼ 市民が使い道を決める予算(参加型民主主義)
年間80万〜100万ユーロ(約1.5億円〜1.9億円)規模の予算を、市民が直接使い道を決める仕組みです。 アイディアを募集し、そこからアイディアの発案者同士での交渉等を行いながら精度を高めて、市民による投票で予算をつけていきます。
面白いのがその進化の過程。最初は市全体で募集していたそうですが、それだと声の大きい層や組織票に偏ってしまったそうです。
そこで今は「近隣地区(Neighborhood)」単位での提案・投票にも重点を置いているとのこと。市民参加型予算はヨーロッパでは広がってきていますが、先駆者の一人であるグルノーブルでより生活に密着し多様な市民の声が反映されるように改良を続けていることは印象的でした。
▼ 街から広告を消して、木を植える
これは別の場所で話題に出たのですが、2014年の市長就任直後にやったのが、公共空間の「脱広告」です。 民間の巨大看板を撤去し、その場所に木を植えたり、市民のための掲示板を設置しました。
「公共空間を商業主義から解放し、市民の手に取り戻す」という強烈なメッセージは、市民からの強い支持を得ているとのこと。
【対話を終えて】
グルノーブルの政策の真髄は、「環境」と「社会正義(格差是正)」を完全にセットで進めている点にあります。
給食では調達を工夫しつつ所得連動価格とセットにすることで、こどもたちの健康改善につなげる。理想を語るだけでなく、協同組合を作って法的ハードルを越えるような実務的なスマートさも兼ね備えています。
つくばも「科学」と「社会」をつなぐ街として、この統合的なアプローチから学べることが多くあります。ピオル市長は次期の選挙には出馬しないことを表明していますが、今後も都市としての連携を深めることを約束しました。
2月3日【出張報告:グルノーブル④ ハイレベルフォーラムでの単独プレゼン】

ハイレベルフォーラム(HLF)のメインセッションにて、つくばのエコシステムと現在の取り組みについてプレゼンテーションを行いました。
今回、世界中のイノベーション拠点が集まる中で、単独の自治体としてプレゼンの機会をもらったのはつくば市だけでした。
プレゼンでは、単に「研究学園都市です」と言うだけでなく、約1.5万人の研究者や8,000人以上の博士号取得者が集積し、人口あたりの研究者割合が突出して高いことや、150を超える研究機関やディープテック・スタートアップの存在など、つくばがいかに特異な「知の集積地」であるかを具体的な数字で示しました。
その上で、科学を社会実装する「スーパーシティ」の取り組み――オンライン診療や自動運転、インターネット投票などの事例――を紹介し、私たちが目指す「Science for Society(社会のための科学)」のビジョンを共有しました。
プレゼン終了後、会場では本当に多く声をかけられました。
「Tsukubaの名前はもちろん知っていたが、これほどの規模で知が密集しているとは知らなかった」 「スーパーシティのプロセスをどうやって市民と合意形成しているのか?」
といった声や、具体的な手法への質問を数多くいただき、確かな反響を感じています。
こうして現地に足を運び、熱量を持って伝えることで、つくばという街の解像度が上がり、その存在が確実に世界へ広がっていくことを実感します。
引き続き、つくばのポテンシャルを世界に繋げていきます。
2月3日【出張報告:グルノーブル⑤会議場の外にこそ、本当の価値がある。山道バスでの90分 】

ありがたいことに国内外の色々な会議にお声がけいただき出席しますが、いつも感じるのは、公式なセッションと同じか、それ以上に「休憩時間」や「食事会」などのオフタイムに価値があるということです。
「むしろ、そのために来るんだ」と断言する参加者もいるほどです。
・ タンペレ市との「バス車内サミット」
夕食会場へ向かうバスの中、たまたま隣の席になったのはフィンランド・タンペレ市の副市長でした。 山道を揺られること約90分。この長い移動時間のおかげで、対話がぐっと深まりました。
タンペレには私も過去2回訪問していますが、人口規模がつくばと同じくらいで、スマートシティの取組など共通点が非常に多い都市です。 話題は、移民の方々への施策から都市計画、そして「次の大きな仕掛け」まで多岐にわたりました。互いの悩みや知見を共有し合い、改めてオンラインで政策を学び合おうということになりました。
・ ケベックとの偶発的な出会い
写真は撮れませんでしたが、帰りのバスで隣になったのは、カナダ・ケベック州のエコシステム責任者。気候変動の国際パネルにも参加されている方で、環境施策について非常に示唆に富む話ができ、世界の先進事例を教えてもらいました。
オンライン会議は便利ですが、こうした「たまたま隣り合わせた人」と意気投合し、そこから政策に直結するような深い話に発展するのは、リアルの場ならではの「セレンディピティ(素敵な偶然)」です。
もちろん、そう頻繁には行けませんが、行ったからにはこうした出会いを最大限つくばの市政に還元します。
2月5日【出張報告:マンチェスター①協同組合の中心地 】

フランス・グルノーブルを出て、バスでリヨン空港へ。そこからロンドンを経由し次の目的地、イギリス・マンチェスターに到着しました。ほぼ一日がかりの移動でした。
▼世界初の近代工業都市
マンチェスターは18世紀に世界で初めて産業革命が起こった地。かつて世界の工場として発展し、現在は再開発によってメディアや文化、学術の拠点として生まれ変わっている、非常にパワフルな都市です。
▼ 労働者協同組合(ワーカーズコープ)の本場
今回の訪問の目的は観光ではありません。マンチェスターは、イギリスの協同組合連合組織(Co-operatives UK)の本部が置かれる、協同組合の聖地のような場所でもあります。
つくば市では現在、働く人が出資して経営にも携わる「労働者協同組合」の設立支援を進めていますが、イギリスでは以前から、この組合が地域と連携し、公共サービスの担い手として公的な仕事を受注する枠組みが確立されています。「市民が主体となって地域課題を解決する」ためのシステムをはじめ、労協の色々な形を学んできます。
元サッカー少年としては、ユナイテッドとシティという世界を代表する2つのビッグクラブがある街なのですが、残念ながらスタジアムに行く時間はありません。産業革命の地で、新しい働き方と公共の形をしっかり学びます。
2月5日【出張報告:マンチェスター②英国協同組合のトップに聞く。地域経済を救う「最強のビジネスモデル」とは?】

英国の協同組合(Co-operatives)を束ねる「Co-operatives UK」のCEO、ローズ・マーリー(Rose Marley)さんにじっくりとお話を伺いました。
協同組合が決して過去の遺産ではなく、「格差」「気候変動」「AI時代の雇用」といった現代の課題に対する、最も合理的で強靭な解決策であるということを力強く話していました。
要点をシェアします。
▼ 英国における協同組合の規模
まずその規模感が大きい。
*英国内に約7,000の独立した協同組合が存在
*年間売上高は約400億ポンド(約7.5兆円)
*会員数は1,400万人
「Co-op」というとスーパーマーケットのイメージが強いですが、実際は農業、住宅、クリエイティブ産業、テックまで、あらゆる分野に広がっています。
▼ 一般企業との決定的な違い:富の行方
株式会社の目的が「株主への利益最大化」であるのに対し、協同組合は「メンバー(従業員・顧客・地域住民)による所有」です。 原則は「1人1票」。 ここで生まれた利益は、遠くの投資家やタックスヘイブンに消えるのではなく、配当や再投資を通じて地域コミュニティに留まり続けます。
▼スタートアップの2倍!驚異の「生存率」
ローズさんが示したデータは 「設立から5年後の生存率は、一般的な企業の2倍高い」というインパクトの強いものでした。
なぜか? それは協同組合が「投資家がExit(売却)して儲けるため」に作られるのではなく、「住む場所が欲しい」「地元の店を守りたい」といった切実なニーズベースで作られるからです。だからこそ、不況にも強く、ビジネスとして極めて強靭です。
▼新しい潮流:テックとプラットフォーム・コープ
協同組合は今、デジタル領域で進化しています。 例えば、Uberへの対抗馬としての「The Drivers Co-op」。 プラットフォームに手数料(20-30%)を抜かれるのではなく、ドライバー自身がアプリと組織を所有する。これにより、労働者の手取りが増え、労働条件も改善されます。自分のデータを自分で管理する「データ・コープ」も始まっています。
▼ 「コミュニティ株」が地元のパブを救う
英国らしいのが、経営難のパブやライブハウスを住民が買い取る「コミュニティ・オーナーシップ」です。 住民が少額ずつ出資(Community Shares)して共同オーナーになる。この手法で救われたパブは100件以上にのぼりますが、コミュニティ所有になってから倒産した店は一件もないそうです。住民=オーナー=顧客なので、地域全体で支えるからです。
▼自治体ができること:調達の力
自治体ができることには、 「調達を変えること」があります。
市役所、病院、大学といった地域で影響力を持つ大きな組織(アンカー機関)が、多国籍企業ではなく、地元の協同組合や中小企業から優先的に購入する。 そうすることで、税金が地域内で給与として循環し、地域の富が蓄積されていく(Community Wealth Building)。こちらについては次に詳しくご紹介します。
2月5日【出張報告:マンチェスター③地域経済を守る「調達」の仕組み:ルールをどう乗り越えるか?】

「地元の農家から野菜を買いたい」 「地元の中小企業に仕事を出したい」
自治体がそう思っても、簡単にできない壁があります。それは「競争入札のルール」です。 「地元だから」という理由だけで優先するのは、公平な競争を阻害するとして法律で制限されていることが多いからです。
今回の対話で、Workers.coop(英国労働者協同組合連合)のジョン・アサートン(John Atherton)さんが教えてくれた「プレストンモデル」は、地元にお金を回すための戦略として世界的にも注目されています。
▼ 課題:巨大企業しか勝てない仕組み
給食の食材や市の業務を「まとめてドカン」と発注するとどうなるか?規模の経済が働き、価格競争力のある多国籍企業や大企業がかっさらっていきます。地元の小さな農家や企業には、そもそも入札に参加する体力(規模)がありません。結果、税金は地域外へ流出します。
▼ 解決策:分割と協同(Segmentation & Cooperation)
そこで彼らが実践しているのが、この2つです。
①「発注を細かく刻む(Segmentation)」
巨大な一つの契約にするのではなく、発注単位を意図的に細分化します。 例えば「市内全域の野菜」ではなく、「エリアごとの人参」「季節ごとの果物」のように分ける。こうすることで、大企業にとっては「旨味が少ない(手間がかかる)」案件になり、逆に地元の小規模事業者にとっては「手の届く」規模になります。
②「協同組合をつくる(Cooperation)」
それでも個々の農家では対応しきれない場合、地元の農家たちに「協同組合」を作ってもらいます。これで供給能力を確保し、入札の土俵に上がれるように支援します。
▼ 結果:Win-Winの地域経済
「地元優先」とは一言も書かずに、仕組み(発注の仕様)を工夫することで、結果として地元のプレイヤーが勝てる環境を作る。 これが、地域にお金を留め、雇用を守る「コミュニティ・ウェルス・ビルディング(地域富の循環)」の実務とのこと。
特に、自治体や大学、病院などの大きな組織(アンカー機関)が地元に発注するかエリア外に発注するかは、地域の経済に決定的な影響を与えます。
「ルールだからできない」と諦めるのではなく、「ルールの範囲内でどうデザインするか」に知恵を絞る。 つくば市でも地元の企業への発注を増やすための試行錯誤を続けていますが、自治体調達の腕の見せ所はここにあると感じます。
2月5日【出張報告:マンチェスター④ 協同組合が生まれた理由。過酷な現実から命を守るために】

マンチェスター郊外にある「ロッチデール・パイオニア博物館」へ。 ここは、世界中の協同組合(Co-op)のルーツとされる場所です。単なる「お店の始まり」ではない、壮絶な歴史的背景があります。
▼ ウールの倉庫から、世界初のコープへ
博物館となっているこの建物は、もともと羊毛(ウール)の選別倉庫でした。 産業革命の波が押し寄せ、産業はウールからコットン(綿)へ、動力は馬から蒸気機関へと激変。
人口は一世代で8千人から15万人へと爆発的に増えましたが、社会インフラは全く追いついていませんでした。
▼ 「抗議」ではなく「協同」を選んだ理由
当時の労働者の暮らしは悲惨そのもの。低賃金、劣悪な住環境、そして食糧難。 しかし、彼らには選挙権もなければ、ストライキをする権利もありませんでした。
一つ前の世代では、抗議活動をした人々が軍に弾圧された「ピータールーの虐殺」という悲劇も起きています。
「法を犯さずに、自分たちの暮らしを守るにはどうすればいいか?」
その答えが、自分たちでお金を出し合い、自分たちで店を持ち、まともな食品を適正な価格で分け合うことでした。 当時の一般的なお店では量をごまかすために小麦に石灰を混ぜたりすることが横行していたそうです。
そんな背景があり、ここトード・レーン(Toad Lane)に最初の店が開かれた時、それは単なる買い物ではなく、生き延びるための連帯でした。
つくば市で進める協同労働の取り組みも、形は違えど「互いに支え合う」という精神。その原点に立ちながら、改めてつくばでの協同組合のあり方を考えています。
2月5日【出張報告:マンチェスター⑤住民が救った「村のライフライン」。コミュニティ協同組合の現場へ 】

マンチェスターから電車で15分。 さらにそこからかなり丘を登った先にあるヘプトンストール(Heptonstall)という地区の郵便局を訪ねました。
▼ 「無くなるなら、自分たちでやる」
ここは一見、普通の郵便局と雑貨店に見えますが、実は住民たちが守り抜いた「コミュニティ協同組合」です。
約4年前、前のオーナーが引退し、郵便局が閉鎖の危機に瀕しました。 丘のふもとからは早歩きでも30分以上かかる場所にあり、「郵便局が無くなれば、年金を受け取るお年寄りが困る。買い物をする場所もなくなる。村の機能が死んでしまう」という状況でした。
そこで立ち上がったのが住民たちです。 「郵便局を守ろう!」という声のもと、300人以上の住民が株主(シェアホルダー)となり、資金を出し合って店を買い取りました。
▼ ボランティアが支える温かい場所
運営はプロのマネージャー(郵便局長)を雇用しつつ、多くのボランティアスタッフが支えています。 7人ほどの理事メンバー(無償)が2ヶ月に一度集まり、経営状況や方針を確認し、住民ニーズを満たしているかを議論します。
訪れた時も、お客さんがひっきりなしに来店していました。 ボランティアの女性が笑顔で、「ここが無くなったら、村のお年寄りはどうすればいいの?だから私たちが守るのよ」と力強く語ってくれたのが印象的でした。
お店では郵便機能だけでなく、必要な食品をはじめ、地元で作られたハチミツやパン、地域のアーティストの絵はがきなども販売され、まさに地域のハブになっています。
地域のサービスを自分たちの手で守り、運営する。 つくば市が進める「ともに創る」の究極の形を、小さな村で見せてもらいました。
2月5日【出張報告:マンチェスター⑥「村のパブ」を383人の株主で守る。コミュニティ協同組合の力 】

マンチェスター郊外、ヘプトンストールの丘の上にある郵便局から坂を下り、次に訪れたのは一軒のパブ「Fox and Goose」です。
イギリス各地にある「パブ」とはそもそも「パブリックハウス=公共の場」であり、単にお酒を飲む場所ではありません。それは「村の応接間」であり、誰かと出会い、語らい、疲れを癒やす、なくてはならないインフラです。
しかし近年、高齢化や経営難で多くのパブが姿を消しています。
この灯りを消してはいけないと動いたのは、やはり地域の人々でした。郵便局と同じように、「コミュニティ・コープ(協同組合)」の形を取り、地域での経営を始めました。
中心メンバーのマークさんとデビッドさんに、この場所がどう運営されているのかじっくり教えてもらいました。
▼ ただの住宅にしないために
前のオーナーが長年経営した後、引退しようとした際に買い手がつかなかったそうです。そこで建物だけが住宅用として売られそうになったため、コミュニティが立ち上がって買い取りました。
▼ 「株主」は300人以上の住民たち
この小さなお店を支える「株主(シェアホルダー)」は現在383人。パブを残したいという想いを地域で広め、総額17万ポンド(約3,000万円以上)を集めたそうです。
出資額は一口25ポンド(約5,000円)程度からと手頃で、あくまで「金儲け」ではなく「自分たちのインフラを守る」ための投資です。
▼ 「金持ち」が偉いわけではない(一人一票の原則)
出資をすると、年に1回の総会で議決権を持ちます。株式会社はたくさん株を持っている人が強い権限を持ちますが、協同組合では「一人一票」。どんなに多く出資しても、意見の重さはみんな同じ。徹底した民主主義で運営されています。
▼ プロの経営とボランティアの理事会
「みんなで経営」といっても、300人で会議をするわけにはいきません。仕組みとしては、株主の中から選ばれた7〜8人の「理事(Director)」が理事会を組織し、経営の監視や方針決定を行います。
そして現場には、給料をもらって働くプロのマネージャーやスタッフがいて日々の業務を回す。さらにそれを、多くのボランティアがサポートするという「三層構造」で成り立っています。
音楽ライブや詩の朗読会、ボードゲームの大会などが日々行われ、文字通り公共の場としてフル稼働しているそうです。
▼ 「地元限定」から「開かれた株主」へ
株主のあり方も変化しているとのこと。当初は「地域のことは地域で」という想いから、株主になれるのを「地元住民(Locals)」に限定していたそうです。しかし今はその制限を外し、「この場所を応援したい人なら誰でも」株主になれるようにオープンにしました。
「大切なのは住所ではなく、想いを共有できるかどうか」という言葉には説得力がありますし、この柔軟な変化が、外からの風を取り込み、経営をより持続可能なものにしています。
▼ 出資を申し込んでみた
パブは本当にすばらしい雰囲気で溢れていました。地域の資産を自分たちで守っている気概と誇りに満ちながらも、お高く止まることもなく、とてもオープン。
私も出資できるということで、25ポンドの申し込みをしました。384人目となるには審査があるそうですが「きっと大丈夫だろう」とマークさんが笑って言ってくれました。総会には参加できませんが、ニュースレターを送ってくれるそうなので、それも学びの材料にしたいです。
▼ マンチェスター視察を終えて
今回のマンチェスターは、協同組合の全体像から入り、コミュニティコープの具体的な運営について大きな学びを得ました。
日本の国会で労働者協同組合法が全会一致で可決され、施行されてからおよそ3年。まだまだ日本での広がりは少ないですが、協同組合は地域の課題を解決する大きなモデルだと考えています。
つくば市では以前のモンドラゴン等の視察を踏まえてすでに労働者協同組合の設立支援制度を作り力を入れているところですが、つくばが目指している地域のたまり場作りとしては、コミュニティ協同組合の可能性も強く感じました。
視察のアレンジは、日本労働者協同組合連合会理事の中野理さんに大変お世話になりました。国際的な人脈のある中野さんのご尽力で、1日の滞在ながらとても実のある内容になりました。本当にありがとうございました。
2月6日【出張報告:バーミンガム① 英国初「City of Nature」。市長も緑地を守る 】

マンチェスターを後にし、次に向かったのは英国第2の都市・バーミンガムです。 電車で1時間半ほど。かつては「産業革命のエンジン」「千の貿易を持つ街」と呼ばれた、鉄と煙の工業都市でした。
しかし、現在のバーミンガムは全く異なる顔を持っています。 実はこの街、英国で一番最初に「City of Nature(自然の都市)」に選ばれた環境先進都市なのです。
▼ 行政も市民も、アップデートし続ける
なぜ、かつての工業都市がここまでの変貌を遂げられたのか。 イギリスにはもともと「ナショナルトラスト運動」のように自然を大切にする文化が根づいていますが、単に過去の遺産を守っているだけではありません。
行政も市民も、その手法を現代に合わせてアップデートしながら、強力な仕組みを作っています。
そこにあるのは、市民の命と健康を守るための明確な哲学と計画でした。
▼ 市長自らが「緑の守り人」
冒頭、ロード・メイヤー(市長)であるイクバルさんが迎えてくれました。 (※議会から選ばれ、儀礼や外交を担当する役割です)
熱く語ってくれたのは、自身の「緑への思い」です。 「バーミンガムにとって、緑はなくてはならないものだ」 そう語る彼自身、プライベートで「緑地を管理する市民団体」に2つも所属し、一市民として活動しているそうです。
では、具体的にどんな「仕組み」で街を変えているのか。 「開発するなら自然を増やせ」という驚きの施策については、次の投稿で詳しく報告します。
2月6日【出張報告:バーミンガム② 「開発するなら自然を10%増やせ」。命を守る緑のルール】

そもそも「City of Nature」とは単に「公園が多い街」という意味ではありません。
「自然を都市の飾りではなく、道路や水道と同じ『不可欠なインフラ』として位置づけ、都市計画の中心に据えている街」のことです。担当のニックさんから具体的な取組を聞きました。
▼ 英国最初の選定理由
バーミンガムが英国第1号として選ばれたのには、明確な理由がありました。
*包括的な25年計画: City of Nature Planでは「緑地へのアクセス」を正義と定め、25年の長期にわたり推進していく体制を取っていること。
*圧倒的な緑のストック: 市内には591もの公園やオープンスペースが存在すること。
*水脈のネットワーク: 「ベネチアより多い」と言われる運河網が、都市全体を繋ぐ生態系の血管になっていること。
*官民の強力な連携: 行政だけでなく、ワイルドライフ・トラスト(Wildlife Trust)などのNGOと連携し、市民ぐるみで管理していること。
▼ 負の遺産を「生態系の血管」へ
特に象徴的なのが「運河」です。かつては石炭や製品を運ぶための産業用物流網でしたが、産業構造の変化とともにその役割を終えました。
しかし今は、この水路網が都市を繋ぐ「ブルー&グリーン・コリドー(水と緑の回廊)」として再生されています。水辺が整備され、都心部であるにもかかわらず、カワセミ(Kingfisher)やカワウソ(Otter)が生息し、繁殖まで確認されているそうです。
▼ 開発するなら「自然を10%増やせ」(Biodiversity Net Gain)
今回一番じっくり話を聞きたかったのは、英国の法律(Environment Act 2021)で義務付けられた「Biodiversity Net Gain(生物多様性ネットゲイン)」というルールです。
これは、開発業者が建物を建てる際、「開発前よりも生物多様性の価値を『最低10%上乗せ』して返さなければならない」というもの。
*既存の自然を減らしたり木を切るなら、それ以上に質の高い自然を再生しなければならない。
*その場所でどうしても無理なら、別の場所で「オフセット(埋め合わせ)」をしなければならない。
*他の場所もどうしてもだめなら、最終手段として金銭で埋め合わせる。
つまり、「開発=自然破壊」ではなく、「開発が進むほど、計算上は自然の総量(質)が増えていく」という逆転の発想です。まだ運用が始まったばかりで試行錯誤のようですが、よくぞここまで踏み込んでいるなと思います。
▼ 「10年の寿命格差」を埋めるための緑(Green Equity)
バーミンガムがここまで緑化にこだわる理由は、単なる自然愛護だけではありません。そこには深刻な「健康格差(Health Inequality)」の問題があります。
データによると、市内の裕福なエリア(Sutton Coldfieldなど)と、緑の少ない貧しいエリア(Inner city)では、平均寿命になんと10年もの開きがあるそうです。
「コンクリートジャングルに住む人々は、メンタルヘルスを病みやすく、身体的にも不健康になりやすい」。
だからこそ、市は「Fairer, Greener, Healthier(より公平で、より緑豊かで、より健康に)」をスローガンに掲げています。
「最も緑が必要な場所(貧困エリア)に、優先的に緑を増やす(Just Transition)」ことを目指し、緑へのアクセスを「特権」ではなく、市民の健康を守るための「基本的人権」として捉え直す。
それが結果として医療費の削減にもつながるという、極めて合理的な都市戦略の話でした。
▼ つくばへの示唆
つくば市も、ペデストリアンデッキや多数の公園があり、緑豊かな街です。 しかし、「その緑は生態系としてつながっているか?」「誰にでも公平に行き渡っているか?」と問われれば、まだ改善の余地があります。
生物多様性つくば戦略を去年策定し、具体的な取組はこれから。この戦略の中でも都市緑地についての取組を書いていますが、「都市の発展と自然の回復はトレードオフではない」というバーミンガムの事例は、これからの都市計画に大きなヒントを与えてくれました。
2月6日【出張報告:バーミンガム③ プロとボランティアが自然と生物を守るために支え合う。つくばが目指す「グリーンシフト」の形】

バーミンガム視察の続きです。 地域の自然保護を担うNGO、「バーミンガム&ブラックカントリー・ワイルドライフ・トラスト」のみなさんにお話を伺いました。
本当は先方の事務所を訪問する予定でしたが、当日は事務所がひどい雨漏りに…。 すると市役所の方が「さっきまで市長と使っていた部屋をそのまま使っていいよ」と助け舟を出してくれました。 行政とNGOの普段からの信頼関係が垣間見えます。
▼ 28人のプロと、数百人のボランティア
ワイルドライフ・トラストの強さは、「プロとボランティアの絶妙な役割分担」にあります。
・組織規模: 年間予算は約6億円(300万ポンド)。正規スタッフは28名
・市民の力: そこに、数百名規模の登録ボランティアが加わります。
日本では自然保護=ボランティア頼みになりがちですが、この組織は違います。 高度な専門知識や、チェーンソーを使うような危険を伴う作業、開発業者との折衝などは「プロ(職員)」が担い、日常的な手入れやモニタリングは「市民(ボランティア)」とともに行う。
プロが専門技術とともに、管理計画を立てるからこそ、ボランティアの熱意も空回りせず、持続可能な活動として機能しているのです。
▼ 「好き」を「仕事」にするキャリアパス
私が特に注目したのは、彼らが「グリーン・ジョブ(環境関連の雇用)」の創出に力を入れている点です。
「自然が好きだけど、仕事にするには専門知識が必要なんでしょ?」 そんな若者たちのために、彼らは学歴不問の有給トレーニングプログラム(Natural Prospectsなど)を用意しています。
多様なバックグラウンドを持つ若者を雇用し、現場で必要な実務スキルを叩き込み、プロの「レンジャー」や「保全士」として世に送り出す。 ボランティアからスタートし、プロとして雇用されるケースも少なくないそうです。
▼ つくばの「グリーンシフト」に必要なもの
つくば市が掲げる「グリーンシフト」にとっても、これは大きな示唆です。
市内には環境研究のすばらしいトップランナー(博士号を持つ専門家)がたくさんいますが、その知見を現場で実践し、ボランティアと協働して緑地を守る「現場のプロ(レンジャー)」の層は、まだ十分とは言えません。
「研究する人」とあわせて、「手を動かして守るプロ」が職業として成立し、それが市民ボランティアと一緒に活動をする。
そして、例えば市内の緑地管理を、「草刈り業務」から「生物多様性を高める専門業務」へとレベルアップさせ、そこに若者の雇用と適正な対価を生み出す。
バーミンガムの「プロ×市民」のハイブリッドな仕組みは、つくばの自然を守り、新たな雇用を生む鍵になる学びの多いものでした。
2月6日【出張報告:バーミンガム④ 欧州最大級の図書館。「すべては市民のために」】

私は出張をすると、できるだけその地の図書館を視察させてもらうことにしています。今回は、2013年にオープンした「バーミンガム図書館(Library of Birmingham)」を視察しました。
オープン時に世界で話題になった外観は、バーミンガムの伝統産業である宝飾品や金属加工をモチーフにした、金と銀のリングで覆われた独創的なデザイン。
総工費は約1億8800万ポンド(当時は約300億円)と巨額。しかし、この図書館の真価は、豪華な建物そのものではなく、その根底にある「哲学」にありました。
▼ 「誰もが最高の文化を手にする権利がある」
この図書館の精神的支柱となっているのは、バーミンガムで活躍した19世紀の牧師であり活動家ジョージ・ドーソンの言葉だそうです。
「すべてのものは、みんなのもの(Everything belongs to everybody)」。
そこから、「この街の誰もが、最高の文化を享受する価値がある(Everybody in the city deserves the very best of culture)」という市民中心の揺るぎない思想が、設計から運営まで貫かれています。
建設にあたっても様々な形で市民の声を徹底的に聞き、「みんなで向上するために協力する」という理想が形になりました。
▼ 地域の「毛細血管」との連携
素晴らしいのは、この巨大な中央図書館だけではありません。
バーミンガム市内には、30箇所以上もの「コミュニティ・ライブラリー(地域図書館)」があり、それらがネットワークとして連携しています。
中央図書館が「心臓」なら、地域図書館は街中に血液を巡らせる「毛細血管」。 中央の専門的なリソースと、地域の身近な拠点が連動することで、市民はどこに住んでいても質の高いサービスを受けられる仕組みになっています。
▼ 「ゆりかご」から「仕事」まで
館内を歩いて印象的だったのは、多世代への徹底したサポートです。
地下には広々とした「こども図書館」があり、こどもたちが本や音楽に親しめる温かい空間が広がっています。
一方で、若者や求職者のための「雇用・起業相談エリア」も充実。ビジネス・知的財産センター(BIPC)が設置され、履歴書の書き方から起業のノウハウまで、図書館が市民の「自立」を直接支援しています。
本を読むだけでなく、人生を切り拓く場所。それが現代の図書館の役割なのだと実感します。
▼ 劇場も、シェイクスピアも
さらに、この図書館は「バーミンガム・レパートリー・シアター(The Rep)」という劇場と物理的に直結しています。
「知(図書館)」と「芸術(演劇)」が一体となり、物語を読み、そして観るという体験がシームレスに繋がっています。
そして最上階には、「シェイクスピア記念室(Shakespeare Memorial Room)」。
実はバーミンガムは、シェイクスピアの生家があるストラトフォード=アポン=エイヴォンから最も近い大都市。 そのため、世界でも有数のシェイクスピアコレクションを誇る「世界初のシェイクスピア公共図書館」としての顔も持っています。
ただの箱物ではなく、市民の成長と生活、そして文化の拠点として機能する図書館。 規模も建設費も桁違いで、そのまま真似ができるものではありませんが、議論を開始したつくばの新たな図書館においても、これからの街づくりにおいても、とても大切な思想と設計の学びになりました。
これで今回の出張報告は終わりです。長い文章にお付き合いくださりありがとうございました。
市民のみなさんはもちろん、市外の方からも個別にメッセージをいただいたり、これまでの出張の活動報告を参考にしてくれている方もいるので、記録のためにもしっかりめに書くようにしています。今回得た学びをつくばで直接・間接に活かしていきます。
2月10日【地域の名人に弟子入り? 念願のカフェ訪問!】

昨年のボランティアフェスタでも、その前からもお誘いいただいていた「赤塚東山ふれあいネットワークカフェ」。 念願の訪問!
たまり場としてのこのカフェ。コーヒーとおしゃべりを楽しむ憩いの場なんですが、それだけじゃありません。
テニス、グラウンドゴルフ、将棋、健康麻雀、健康体操……と、曜日ごとに多種多様な活動が行われていて、まさに地域の活気の源です。
この日は「卓球」の日。 私も混ぜてもらってきました。バックハンドが上手くいかなかったのですが、地域の卓球の「先生」にコツを教わったところ…なんと、その場ですぐに返せるように。 やっぱり名人の指導は違いますね。嬉しくて夢中で打ち込んじゃったよ笑
大森さんをはじめ、運営スタッフの皆さんが「住みやすい地域にしたい」と楽しみながら活動されている姿が本当に素敵でした。 こういう「歩いていける距離のたまり場」を増やすのが私の市政の目指すところ。モデルに学びながら引き続き取り組んでいきます。
2月13日【「所信表明」ってなに? つくばのまちづくり、こう進めます。】

3月議会で「所信表明」を行いました。
・そもそも「所信表明」って?
一言でいうと、市長から市民の皆さんへの「今年の約束」です。
「今年、つくば市はこういう目標に向かって、こんなお金の使い方をして、こんな街にします!」という1年間の決意表明&実行プランのこと。
これを見れば、今年つくばがどう動くかが分かります。
・令和8年度(2026年)の約束:3つのポイント
今年のテーマは「未来への持続可能な投資」です。
人口が増え続けている今だからこそ、浮かれずに、次の世代へ責任を持てる街づくりを進めます。
1. こどもたちの環境への投資
暑い夏も快適に学べるよう、小中学校の体育館へのエアコン設置を急ぎます。また、発達に不安のあるお子さんを支える「児童発達支援センター」の整備も進めます。
2. 「便利」と「緑」の両立
自動運転バスの実装や、新しい図書館の計画づくり、そして豊かな自然を守る「ネイチャーポジティブ」な取り組み。便利だけど、緑があふれる。そんな心地よい街を目指します。
3. 市民の力で、街を動かす
行政にお任せではなく、市民のみなさんが主役になれる仕組みをじっくり進めます。「自分たちの街は、自分たちで良くする」を全力で応援します。
つくばに暮らす一人ひとりが、「住んでよかった」と思える毎日のために。 覚悟を持って臨む、私の「約束」の全文は、下記から読めます。ぜひ一度、目を通してみてください。
2月14日【森の奥にある光のアート。春を探しに行きませんか?】

豊里ゆかりの森美術館で新たに開催中の「静寂から春光」展。冬の凛とした空気の中、森を抜けると現れるこの美術館。 一歩入ると、そこは別世界です。
今回も、コレクター野堀さんの珠玉の作品群に加え、「つくばゆかりの作家さん」とのコラボが実現。筑波大学の太田圭先生、藤田志朗先生の贅沢な共演です。
「静寂から春光へ」との タイトル通り、冬の静けさが少しずつ春の温かさへとほどけていくような、素晴らしい作品が並んでいます。
こんな素敵な美術館が入場無料でいいんでしょうかね。森の散策ついでに、ふらっとアートに触れる贅沢な時間が叶いますよ。
今年度最後の展示で、3月12日まで。 心が洗われるひとときを、ぜひお楽しみください。
2月14日【父は研究者でNPO理事長、娘はマクアケ創業者。「もん泊」が動いた日】

第2回長屋門サミットに参加しました。
実はつくばって、全国的に見ても立派な長屋門の宝庫なんです。
(※長屋門とは、門の両脇が部屋や蔵になっている、昔の豪農のシンボル的な大きな門のこと)
この貴重な文化遺産に泊まってもらおうという「もん泊(ぱく)」構想をNPO法人つくば建築研究会のみなさんが進めてます。
1年前のこの場で、私はNPOの坊垣理事長にこんな振りをしていました。
「事業化するなら、娘さんの坊垣佳奈さん(マクアケ共同創業者)に相談しましょうよ」
そうしたら今年、本当に佳奈さんが登壇してくれました。
つくばで育ち、マクアケで数々の事業を世に送り出してきた彼女の視点は、やっぱり鋭かった。
「ただ古民家を残す」のではなく、「どう稼ぐか」。
「宿泊」を売るのではなく、「どんな体験」とセットにするか。
できたらいいな、で止まっていた構想が佳奈さんの視点によって一気に事業の設計図に変わっていきます。
議論が面白すぎて、台本無視して勝手にモデレーターやってました笑
モデルとなる「もん泊」第1号の場所が、ほぼ決まりました。 つくばの原風景が、新しい価値に化けます。ご期待ください。
2月15日【「市役所がこんなに動いてたなんて」と言われてまた反省した日】

茎崎地区のみなさんの研修会へ伺いました。
今回は普段お話ししている区長さんたちだけでなく、地域の方々が本当にたくさん参加してくださいました。
私の登壇は15時半から。しかも3人目のスピーカーです。
お疲れでしょうし、一番眠くなる時間帯ですよね。なので冒頭で「どうぞご遠慮なく、目を閉じて休んでくださいね」とお伝えしたんですが、いざ話し始めると、皆さん本当に熱心に、まっすぐ前を向いて私の話を聞いてくれました。
▼
終了後、たくさんの方からお声がけをいただきました。
「市がこんなに色々なことに取り組んでくれているなんて、全然知らなかったよ」
ありがたいお言葉であると同時に、実はこの言葉、市内のどこで話しても必ずと言っていいほど言われます。
私たちがいくら本気で数多くの取組を進めていても、その情報が市民の皆さんに届いていなければ、やっていないのと同じです。
もっともっと、日々の取り組みをわかりやすく、しっかりと発信していかなければと痛感しました。
▼
今回お話しした、茎崎地区で進めている具体的な取り組みの一部です。
・茎崎老人福祉センターの入浴施設リニューアル
・茎崎交流センター別館(保健センター等)のオープン
・旧岩崎保育所跡地での「給食レストラン」プロジェクト(現在、大規模事業評価委員会で検証していただいてます)
こうした地域の「たまり場」や、多世代が交流できる「居場所」づくりを、これからも地域の皆さんと一緒に進めていきます。
最後まで熱心に耳を傾けてくださった茎崎のみなさん、本当にありがとうございました!
2月21日【店舗の中に公園? 茨城トヨタがインクルーシブ公園をつくった理由】

茨城トヨタ自動車株式会社様のつくば学園の森店竣工式に出席しました。
ここは車を売るだけの場所ではありません。
県内の自動車販売店としてなんとインクルーシブ公園を設置してくれ、しかも店舗来場者以外の方も自由に使える駐車場をわざわざ用意してくれています。
さらに、太陽光パネルや蓄電池、防災設備も充実して、いざという時には地域で使ってほしいとのこと。子育て・環境・安心を満たす、もはや新しいカタチの公益施設です。
式典で幡谷社長は、つくばという多様なまちだからこそ、インクルーシブな店舗として発信していく強い覚悟を語ってくださいました。「誰一人取り残さない」社会を目指すつくば市にとって、これほど心強いことはありません。
つくばマラソンへの協賛や先導車のご提供など、日頃からまちに寄り添い続けてくださっている茨城トヨタのみなさまに、改めて心から感謝を申し上げます。
商業施設が、まちの景色をつくる。そんな場所がつくばに増えていることが嬉しいです。
2月22日【一着の服が、人と社会の関係を変える瞬間】

日曜日の朝から、目頭が熱くなるドキュメンタリー映像。 発起人の五十嵐純子さんにお誘いいただいた「Fashion Forms.2025」の上映会です 。
障害のある5名の当事者と、5組のクリエイターがタッグを組み、その人が心から「着たい」と思える究極の1着を作り上げるプロジェクト 。
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映像の中で、完成した服に初めて袖を通した瞬間の、当事者の皆さんの輝く表情。 言葉にならないくらい魅力的で印象的でした。
ファッションはただ身体を覆う布ではありません。 装うことで自信が生まれ、ファッションを通して「自分と社会との関係性」をポジティブに変えていく強烈な力を持っています。
そしてさらに素晴らしいのは、服を作るデザイナーの皆さんもまた、当事者と本気で向き合う中で「自分たちの仕事の本当の価値とは何か」を深く見つめ直していくこと。
そこには単なる「支援」の枠を超えて、お互いが影響を与え合い、変化していくプロセスがありました。
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この取り組みに深く共感し協賛されている、幸和義肢研究所の横張社長とも、この活動をどうやって持続可能にしていくかというお話を伺いました。
決して派手なようなイベントではありません。 でも、一人ひとりの「着たい」という純粋な思いに本気で向き合うことで、確かな熱が生まれ、周囲へ伝播していくことがわかります。
「ああ、こうやって社会は少しずつ、でも確実に変わっていくんだな」と実感できる、 静かだけれど、とても価値のある事業です。
来月、五十嵐さんたちと市役所でも面会お会いする予定なので、この熱量の続きを直接語り合えるのが、今から楽しみで仕方ありません。
2月23日【行政だけじゃもはや無理。まちを創る最強のパートナーたちが大集合!】

コリドイオで開催された市民活動シンポジウム「ともにつくる つくばのこれから」に参加してきました。会場が満員になる熱気あふれる時間。
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第1部では、私含め7組の登壇者から活動発表がありました。
・けんがく活動団体連絡会
・つくば市区会連合会
・吾妻学園コミュニティ・スクール協議会+生涯学習推進課
・生活支援コーディネーター
・周辺市街地振興課
・筑波大学未来社会デザイン棟 学生チーム
市内には多彩な活動団体がありますが、ここまで分野や世代を超えて一堂に集まりディスカッションする機会は記憶する限りこれまでなかったので、とても実のある時間になりました。
こんな素晴らしい企画を実現してくれた、社会福祉協議会とボランティア連絡協議会推進チームの皆さんに心から感謝します。
▼
つくば市は人口増加率が全国第1位(特別区を除く市)になりましたが、これは市民の皆さんが主体的にチャレンジし、自分たちでまちを面白くしてくれているからです。
後半の対話セッションでも強くお伝えしましたが、行政だけで解決できる課題はもうほとんどありません。 市民の皆さんはまちをともに創る「対等なパートナー」です。
終了後もみなさん会場から帰らずに意見交換が盛り上がっている様子をみて、新しい協働の種がたくさん芽吹くことを確信しました。
つくばの市民活動は本当に豊か。行政ももっと一緒に走っていきたいと思います。
2月26日【SUUMO「住みたい街ランキング2026 首都圏版」で、つくばが過去最高の24位を記録し、特集もされました】
24位というとそんなでもないような気がしますが、上位には横浜、大宮、吉祥寺、恵比寿、東京といった名前が並びます。
これは、首都圏9,000人を対象にした調査で、TOP30の中で前年より得点を伸ばして過去最高位を更新したのは「船橋」「舞浜」「つくば」の3駅だけでした。就任以来、多少の上下はありながら着実に伸びてきています。
今回SUUMOのレポートではつくばが特集ページに掲載され、「科学技術&教育の先端都市、"知のフロンティア"」「人口増加率は全国3位」「住居費が上昇する首都圏でも、ファミリーに手が届く街」として紹介されています。
それらに加えて、今回はつくばの「自治体政策」も高く評価していただきました。
ランキングの上位には、財政規模が極めて大きい都内の自治体が並んでいます。そうした自治体と肩を並べる中で、つくば独自のまちづくりや各種施策の取り組みが評価につながっているとしたら、これはうれしいことであり、がんばってくれている職員たちのおかげです。
これまでもこの種のランキングは数字に一喜一憂せず、評価点と課題の整理に使っています。課題はたくさんありますが、これからも一歩ずつみなさんとともにより良いまちをつくっていきます。
この記事に関するお問い合わせ先
市長公室秘書課
〒305-8555 つくば市研究学園一丁目1番地1
電話:029-883-1111(代表) ファクス:029-868-7623
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更新日:2026年03月05日