つくば市長公式ブログ2023年6月

更新日:2023年08月10日

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パリ・ルクセンブルク出張記④【ルクセンブルクの手厚いスタートアップ支援】

ルクセンブルク科学技術研究所での集合写真

ルクセンブルクはスタートアップ支援に集中して視察と意見交換をしました。4点紹介します。
①House of Startupsはルクセンブルクの国の商工会議所が運営しており、起業を考えている人への幅広い支援のアプローチを聞きました。まだ起業の内容が曖昧な段階で相談に来ても必ず何かしらの相談先などにつなげていくとのこと。研究者が必ずしも起業に目を向けるわけではない中で、いかにそのきっかけを多く作るかは試行錯誤しているとのことでした。
②欧州宇宙資源革新センター(ESRIC)は、2020年にできた世界初の宇宙資源開発に特化したイノベーションセンターです。宇宙に関連する様々な機関と連携しながら、世界各国から研究者を集め研究を進めると同時に、宇宙資源開発のスタートアップの育成プログラムを行っています。専門的なアドバイスと資金援助、そして宇宙コミュニティにつながる非常に充実したプログラムだったので、つくばを始めとする宇宙関連のスタートアップに案内したいと思います。
③テクノポートは、ルクセンブルクで最初に作られた、国立の技術インキュベーターです。期限を区切らず常に世界中からの応募を受け、審査をして通ったスタートアップを成功まで伴走型で支援しています。こちらの丁寧な支援プログラムもとても魅力的なので、つくばのスタートアップに案内したいと思います。
④ルクセンブルク科学技術研究所(LIST)は、今回ご一緒したつくば市顧問の筑波大学鈴木健嗣先生の表現では、つくばでいう産総研にあたる組織で、基礎研究から応用研究、技術のインキュベーションや移転に至るまで広く扱っています。デジタルツインのプロジェクトにもかなり注力していて、つくばでも多くの情報共有ができそうです。
数多くの学びがあったので、つくばでのスタートアップ支援に役立てたいと思います。長い蓄積がある国家を挙げての支援レベルと同じことはできませんが、取組を整理していきます。

パリ・ルクセンブルク出張記③【小さな大国ルクセンブルク】

ICT Springに登壇する市長

フランスに続いて、ルクセンブルク大公国を訪問しました。つくば市は昨年、ルクセンブルクの政府系機関のルクスイノベーションと協力の覚書を結んでいて、ICT Springというルクセンブルク最大のエキスポに招待されました。キーノートスピーチと、イノベーションに関するセッションに登壇し、つくばのスタートアップやスーパーシティの取組をしっかり紹介しました。
私自身かつてはルクセンブルクというと教科書で「ベネルクス3国」と紹介されるうちの小さな国、という認識しかありませんでしたが、ルクセンブルクは現在各分野で非常に大きな注目を集めています。元々ヨーロッパの金融拠点であり、実は一人あたりのGDPは世界一です。金融から他の分野にも活動は広がり、宇宙資源開発でも世界をリードしており、バイオや素材の分野でも活躍が見られます。
面積は2586平方キロとつくば市の10倍もなく、人口は63万人と国としては小さいですが、180カ国以上の人がいる多様な国です。町中は非常にきれいで、最新型のトラムが走り、バスも含めて公共交通はすべて無料です。
ヨーロッパの小国からなぜここまでイノベーションを生み出し、スタートアップを支援しながら豊かさを手に入れているか、その鍵は、小ささを活かした取組をしていることだと多くの人が挙げていました。
イノベーションは数より密度と言われますが、国も研究機関も支援機関もあらゆる機会を捉えてコミュニケーションの機会を作り、関係者それぞれがお互いの名前や特徴を把握しており、必要な支援につなげているとのことです。知の密集度が高いつくばにとって、非常に大きな示唆を得ました。

パリ・ルクセンブルク出張記②【デジタルツインとスタートアップ】

ゴーグルをつけてVR体験する市長

パリでは、現実の世界のデータを集めてそれを仮想空間で再現するデジタルツインのスタートアップMIRAを訪問しました。
デジタルツインを展開している企業は多くありますが、この会社はメタバースの概念の生みの親と言われるSF小説「スノウ・クラッシュ」の作者ニール・スティーブンスン氏と正式に提携をしたことからもわかるように、世界的にも注目を集めています。
ヘッドセットをつけて体験しましたが、これまで体験したどんなVRよりも精緻で驚きました。今は世界の名所を仮想空間に再現し、他の様々な企業がサービスを開発して使えるようにするプラットフォームとして機能することを目指しています。
つくば市もスーパーシティでデジタルツインについて進めているところですが、つくばセンター広場をはじめ、つくばでの事業展開にも興味を持ってくれたので、市が持っているものとの連携や筑波大学の先生との協業の形を考えていきます。
あわせてパリのスタートアップ拠点StationFも訪問しました。もともと駅だった場所を、フランス通信大手の創業者が私財2.5億ユーロ(今だと325億円)を投じて作った世界最大のスタートアップキャンパスです。つくばのスタートアップパークと比べようはありませんが、機能の持たせ方やデザインなどを学んで持ち帰りたいと思います。

パリ・ルクセンブルク出張記①【OECDチャンピオンメイヤー】

OECD本部で意見交換する市長

6月24日から7月1日かけて、パリとルクセンブルクに出張しました。私は今年OECDが約60人の世界の首長で構成している「包摂的な成長のためのチャンピオンメイヤー」というグループに招待されて活動することになり、OECDのパリの本部を訪問しました。
OECD(経済協力開発機構)というのは日本を含む38カ国からなる国際機関で、世界最大のシンクタンクとも言われ、各国の政策分析や社会経済政策に対する提言を行っています。
今回はOECDの都市部門のみなさんからチャンピオンメイヤーの概要の説明を受けた後、スマートシティ、SDGs、脱炭素化、生成AI等について集中的な意見交換をしました。
OECDはデータに基づく政策形成を極めて重要視し、世界各国や各都市で指標を比較しつつ政策の改善に貢献しています。このような形で世界の都市の課題と新しい取組を学びながら、現在のつくばの立ち位置を確認し改善点を知り市政に活かすことはとても重要だと感じます。
例えば、つくばでもスーパーシティで進めているデータ連携基盤という仕組みの重要性は再確認しつつ、それを市民の幸福度の指標にどうつなげるかというところで、OECDが持つ指標でも測定してみると現在の立ち位置と課題を見つけることができると思いますし、SDGsの指標も同じように活用できそうです。
また、生物多様性から一歩進んで「ネイチャー・ポジティブ」という概念は今回初めて知りました。カーボン・ネガティブと同じように今後急速に広まると思いますし、つくばが現在作っている最中の生物多様性戦略でも活かせると思います。
どこにも完全な解決策を持っている都市はなく、悩んでいる共通の課題が多くあります。世界各国の職員の中に日本のみなさんもたくさん活躍していて心強さを感じました。「世界のあしたが見えるまち」を掲げるつくばとして、成功している事例も残されている課題も各都市の市長と共有しながら、市民のための政策に反映していきたいと思います。

6月23日【睡眠の根源に迫る柳沢正史先生のブレイクスルー賞】

柳沢正史先生と並ぶ市長

筑波大学の国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史先生のブレイクスルー賞の受賞と文化功労者顕彰を祝う会にお招きいただきました。ブレイクスルー賞は自然科学における国際的な賞で、この賞を受賞するとノーベル賞が近いとされています。
柳沢先生は、筑波大学院生の時の睡眠に関わる因子を発見され、研究を続けられて今や世界を代表する睡眠医科学研究者です。「眠気とは何か」という現代脳神経科学最大のブラックボックスに挑み、そもそも動物はなぜ眠らなければならないか、また睡眠の調節メカニズムとは何か、という課題に取り組んでいらっしゃいます。
つくばの地から世界をけん引する研究が進み、世界中の人がより健康に幸せに暮らせるようになることはうれしく誇らしいことです。つくば市民の健康にもどのように活かせるかを考えていきます。

6月15日【こどもたちに本をご寄贈いただきました】

荒木さんから本を受け取る市長

気象研究所の雲研究者、荒木健太郎さんから著作『すごすぎる天気の図鑑』、『もっとすごすぎる天気の図鑑』、『雲の超図鑑』あわせて336冊ものご寄贈いただきました。頂いた本はつくば市内の全ての学校に配置します。こどもたちが気象について興味を持ち、さらに防災についての意識を高めることにも繋がればと思います。
私も荒木さんの本を読んでから空や雲の眺め方が変わり、こんな雲だからこの後の天気はこうなるのかな、などと考えることができるようになりました。この本から知識を得ることで世界の見え方が変わり、さらに深く知りたくなるような体験をたくさんのこどもたちが得ることを楽しみにしています。荒木さん、ありがとうございました!

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