つくば市長公式ブログ2022年11月

更新日:2023年03月01日

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つくば市長公式ブログ2022年11月

11月30日 LFA李代表が「こども政策推進アドバイザリー」に就任

就任の記念写真

特定NPO法人Learning for All(以下、LFA)代表理事 李 炯植(り ひょんしぎ)さんに、つくば市が新設した「こども政策推進アドバイザリー会議」のアドバイザリーに就任していただきました。

つくば市は困難状況にあるこどもたちを支援するために、福祉部門と教育部門が連携しながら対策を進めており、今年はこども未来課も設置し支援を行っていますが、支援計画の基礎調査はLFAに行っていただきました。さらに、つくば市内の支援ニーズの高いこどもの居場所である「青い羽根のいえ」の運営や市内学校での学習支援等、素晴らしいスタッフの皆さんが丁寧かつ専門的な活動をしてくれています。

代表の李さんは、各地でこども支援の活動をしながら、全国の支援団体とのネットワークを持つ上、政府の委員も務める等、日本のこども支援分野をリードするひとりです。このような素晴らしい人材が、つくばのチームの一員になってくれたことは本当に心強いです。李さんがトップとなるアドバイザリー会議には私や教育長が出席し、部門を超えて困難を抱えるこどもたちや家族の支援にあたる体制を、市全体でより力強く推進していきます。

11月20日 イタリア:ボローニャ市

話を伺う市長

今回のヨーロッパ渡航の後半は労働者協同組合にテーマを絞っていますが、最終目的地は、既に訪問したスペインのバスク地方と並び、ヨーロッパで最も労働者協同組合の取組が盛んなエミリアロマーナ州ボローニャです。コンフォコープとレガコープという労働者協同組合の2つの主力の連合から話を聞きました。

スペインで見たような製造業系の労働者協同組合と違い、イタリアではサービス型の労働者協同組合が多くあります。ハイヤーサービスから発展し複数の自動車関連企業を傘下におさめる組合、清掃業から発展して3,000人のメンバーを抱えるようになった組合等から、成り立ち、組合の運営方式、課題等を聞きました。

エミリアロマーナ州の評議員からは、最近制定した地域単位の労働者協同組合の支援の条例について話を聞きました。これは、私が1番労働者協同組合に可能性を感じている部分であり、今回最も知りたいところでした。社会的連帯経済の枠組みで、地域の住民が組合員となって地域を自ら経営していくことが実際に行われている事例は、非常に示唆に富むものでした。

【地域単位のコミュティ型協同組合の具体的な例】

山間部に1軒だけあったバーが廃業することを住民が寂しく思い、少人数で出資し協同組合を作り、バーの運営を始める

→山間部で、学校まで行けない子どもたちがいるため、ミニバスを買い、学校までの送迎サービスを始める

→高齢者が薬を買いに行けないため、バーの隣に薬と食品の配送サービスの場所を作る

→自然公園にビジターセンターを作る

→高齢者が農場の売却を希望していたため、買い取り、羊と牛からチーズを作って直売所を作る

立ち上げには、州政府も初期資金として1万ユーロを補助したそうですが、現在は売上をしっかり上げ自立しているそうです。

また、中小企業を中心に、業績が悪化し倒産した企業を、その企業の従業員が協同組合を新しく作る形で事業継承するワーカーズバイアウトの手法も、いずれ日本に導入されていくものだろうと思います。

今年10月に労働者協同組合法が施行され、日本でもこれからというタイミングで、世界的先進地からの多くのインプットによって、今後へ向けた多くの示唆を得ることができました。訪問先すべての自治体や組織の皆さんが、今後の情報交換や連携をしようと言ってくださり、いつでも質問やオンライン会議ができるネットワーク構築もできたため、しっかり消化し整理していきたいと思います。

11月18日 スペイン:サンセバスチャン市

話を聞く市長

モンドラゴンから車で1時間程のところにあるサンセバスチャン市。ガストロノミー都市として知られていますが、モンドラゴン大学の料理学部(キュリナリーセンター)があります。協同組合の活動も多く、来年はEUの都市で毎年選ばれる各分野の首都のうち、社会的経済の首都(European Capital of Social Economy)にも選ばれて様々な企画や政策が展開されるようです。

「科学都市から訪問してもらえてうれしい」とサンセバスチャン市長が言っていましたが、市として科学技術へも力を入れ、ネイチャーが2018年に選んだ200の科学都市のランキングでも上位に入るほか、訪問した科学技術パークでは企業の集積から12億ユーロ(約1,700億円)の売上があるとのことでした。人口規模も18万と近く、科学技術から積極的に売上と雇用を生み出している手法は学びが多くありました。

11月17日 スペイン:モンドラゴン市

モンドラゴン市長と話をする市長

労働者協同組合法という法律が、2年前に日本の国会において全会一致で成立し、今年の10月から施行となりました。協同組合というと、日本では農協や生協が知られていますが、労働者協同組合は組合員が出資し、組合員が1人1票を持ち、意見を反映しながら事業を運営していく組織形態です。20年程前にNPO法によってNPO法人が設立できるようになったと同様に、新しい法律により、3人以上の出資者がいれば、労働者協同組合を設立できるようになりました。

その労働者協同組合の世界的先進地として知られているのが、スペインのバスク地方にあるモンドラゴン市です。モンドラゴン協同組合は、地域の共同組合が集まったグループ対で、グループ内の個別協同組合の人材育成、赤字が出た場合の相互支援、年金の積立等、多くの調整機能を持つ事務局として機能しています。

今回、モンドラゴン市長や組合の事務局の皆さんからじっくりを話を聞くことができました。「1人1票でみんなが経営に参画する」ということが絵空事ではなく本当にできるのかと思いますが、実際に月に1度、少なくとも部門ごとに組合員が集まり、経営状況や方針、課題について話し合っているとのことでした。

さらに、モンドラゴン協同組合では、組合員内の給与格差が最大でも6倍以内と定められています。バスク地方には協同組合が多いこともあり、その地域の所得分布を示すジニ係数という指数において、フィンランド以上に格差が少なくヨーロッパで最小とのことでした。

以前から新しい経済の形として、協同組合に関心を持っていましたが、みな確信を持って「自分たち一人ひとりが組合のオーナー」と言い、働くことへの誇りが強く感じられました。長い時間を掛けて作り上げられてきた仕組みかつ、特に産業寄りのモンドラゴンの取組をそのまま日本でという訳にはいきませんが、一方で、「我々は普通の人であり、このモデルはどこでも運用可能なはずだ」とも強調していました。今後のつくばでの取組へ活かしていきます。

11月13日 ドイツ:ボーフム市

姉妹都市のプレートの前で記念写真

2019年に科学技術の社会実装や持続可能なまちづくりについての連携合意を結んだドイツ・ボーフム市に来ました。筑波大学発スタートアップのサイバーダイン社が欧州拠点を置いたことから、ルール大学ボーフム校(ボーフム大学)と筑波大学の関係が深まり、都市同士の連携につながっています。アイスキルヒ市長は、既に2回つくばに来ていただき、今年9月のボーフム市制700周年式典をはじめ何度もご招待をいただいていたのですが、なかなか調整がつかずようやく訪問できました。

ドイツ政府からスマートシティのモデル都市に選定されたことや、オペルの工場跡地について、市が100%出資しているまちづくり会社が整備した上で条件を付けて企業等に売却することで、市が望む再開発を誘導する等、つくばとの類似性があれば学ぶことも多くありました。大学発のスタートアップのうち、女性が創設した会社が33%という数字には驚きました。今後もお互いに学びを深めていきたいと思います。

11月10日 フィンランド:タンペレ市

ハイレベルフォーラムの様子

フィンランドに来ています。タンペレ市で開催されているハイレベルフォーラムという会議で、スーパーシティの取組を紹介することが主ですが、それに加え、ヘルシンキのカラサタマ地区でスマートシティの取組、ヘルシンキ市役所で市民参加型予算やワークライフバランスについてのヒアリング、日本でも知られている子育て支援施設、各都市で導入が進み、公共交通機関からキックボードまで適切な移動手段を提案し決済もできるWhimというアプリを使っての移動、ヘルシンキやタンペレの図書館の視察、そして、タンペレ市長との意見交換等を行いました。

以前より社会的投資政策の先進地として、問題が重大化する前に先行的に支援策や投資をする予防的措置が注目されているフィンランドは、確かにその効果が出ていると感じます。高額な税金でもまかないきれないほどの支出に対し、一部サービスを縮小していく動きもあるとのことですが、大きな方向性は維持され、また、支持もされている印象を受けました。世界各国歴史的背景が違う中で、単純に制度の優劣をつけることは意味がないことを踏まえても、先行投資する予防的思想と、先端的技術を積極的に使うために規制緩和し市民の課題解決へつなげる姿勢から、学ぶことが多くありました。

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