将棋を通じ、多世代がつながり学び合う場

更新日:2026年02月27日

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vol.65 日本将棋連盟つくば支部 さん

気軽に将棋が指せる機会を、つくばに支部誕生

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▲矢内女流五段による指導対局会

 

パチ、パチ、、、パチ

駒を指す音が響く静かな室内を覗くと、一人の女流棋士が一度に4人を相手に将棋をさしている光景が目に入ってきました。

 

これは「多面指し」という1人が同時に複数人と対局する将棋の形式。この日は、つくば市民センターの小会議室で、矢内理絵子女流五段(日本将棋連盟女流棋士)による「指導対局会」が行われ、小学生から大人まで様々な年代の人たちがプロに挑んでいました。

 

矢内女流五段はこの日、70分制の4人指しを3回実施。一度に複数人を相手にしているにも関わらず、一人ひとりに丁寧に指導しており、プロの集中力や忍耐力に記者は驚きました。

 

指導対局会を主催しているのは、「日本将棋連盟つくば支部」。このつくば支部が誕生したのは2025年6月で、まだ新しい支部なんです。

 

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公益社団法人日本将棋連盟(本部:東京・千駄ヶ谷)は、1924年に東京の棋士たちがつくった「東京将棋連盟」が始まりで、2024年に創立100周年を迎えました。公益社団法人となったのは2011年で、伝統文化の一つである将棋の普及を通じた社会貢献活動をしています。

 

全国にある支部は、各地の将棋が好きな人たちがつくる団体です。茨城県内には約20の支部があり、茨城常南支部や茨城県西支部では、100人前後の人が集まるほどの規模。茨城は全国でも将棋熱が高い地域なんだそう。

 

ただ、これまで“つくば”には支部がなく、将棋を指そうと思うと、取手や東京など遠方に行ったり、オンラインで指したりするしかなかったそうです。そこで支部長を務めている仁衡(にひら)さんが、老若男女が気軽に将棋を楽しめる場をつくろうとつくば支部を立ち上げました。

 

つくば支部の設立時の会員数は、設立に必要な最低人数の10人でしたが、結成半年後の昨年末には幼児から60代までの34人にまで増えたそうです。「今どき、30人も所属している支部はそう多くはない」と仁衡さん。「つくばには潜在的に、将棋が好きな人がたくさんいるんだと思う」と会員の一人も話します。

 

「今まで指すときは、他の地域に行っていたので、支部ができたのは大きい」と会員たち。つくばで指導対局会が開かれることで、身近な環境でプロからの指導を受ける貴重な機会も生まれました。

 

主な活動は、月1回の例会と2~3カ月に1回の指導対局の開催。「将棋をはじめたい」という声を受け、例会に合わせて初心者・初級者向けの将棋教室も開催しています。

 

矢内女流五段による指導対局会では、大人たちに混ざり堂々と将棋を指している子どもたちの姿が印象的でした。年齢関係なく人と人が向き合うことができるのが将棋なのだと感じました。

多世代をつなぐ将棋、出会いや学びの機会にも

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▲支部長の仁衡さん

 

支部長の仁衡さんが将棋をはじめたのは、小学1年生くらいのとき。親から指し方を教わり、兄弟での対局や大会への出場もしていたそうです。しかし、中学生のころに中断し、それからはあまり駒に触れる機会はありませんでした。

 

そんな仁衡さんが再び将棋を指すきっかけとなったのは、新型コロナウイルスの流行でした。外出自粛ムードが漂う中、家でできる趣味として将棋を再開。将棋熱に火が付き、インターネット上で指したり、プロ棋士に指導してもらったりし、徐々に強くなっていったそうです。

 

そして、日本将棋連盟公認の将棋指導員の試験受験ができるアマチュア三段になったことで、指導員の資格を取得。老若男女で楽しく将棋をさせる場をつくりたいと支部の立ち上げにも踏み切りました。

 

支部を立ち上げたことで、いろいろな人との出会いにも恵まれました。

 

将棋は、棋力が同じであれば年齢に関係なく対局できるのが特徴。また、ハンデをつけることで格上の相手とも対局することができます。

「小さい子どもと50、60代の大人が、同じ趣味を楽しめることはそうそうない。将棋を指しているときは対等に話せるんです」と仁衡さんは将棋の魅力を話します。

 

会員の中学生も「ここだから自分と違う人やいろいろな人たちと会える」と将棋を通じた交流を楽しんでいる様子。気の置けない関係で、大人と将棋について話していました。

 

「昔は、近所にやたらと将棋が強いおじさんがいて、無料で将棋を教えてもらっていた」と将棋に打ち込んでいた子ども時代を思い返す仁衡さん。「そのおじさんがやっていたことは、小さな『社会貢献』だったんだと思う」と語ります。

 

仁衡さんは近所のおじさんと将棋を指す中で、「礼儀や道具は大切にしなきゃいけないということを教えてもらった」と話します。そして、今では仁衡さんが「将棋の強いおじさん」となり、子どもたちと接しています。

 

将棋は、礼に始まり、礼に終わる――。

多世代をつなぐ将棋は、人として大切な学びを子どもたちへ伝えるツールでもありました。

出会いや成長を生む将棋の普及を

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▲対局するつくば支部のメンバーたち

 

つくば支部は会員を募集しています。

将棋好きの人だけでなく、初心者も入会できます。初心者・初級者向けの教室には幼稚園生や小学生低学年の子も参加しています。

 

月1回の例会は、会員でなくても参加可能。支部の雰囲気を見てから、入会を決める人も少なくありません。

 

現在は少子化だけでなく、スマートフォンの普及で「遊びの多様化」が進んだ時代でもあります。

 

そんな中、子どもたちが昔ながらの遊びである将棋を好きになる機会も少なくなっています。ただ、仁衡さんは「人と人の交流や素敵な関係性も生まれるだけでなく、人が成長する機会にもなる」と将棋の良さを語ります。

 

将棋は、集中力や思考力が鍛えられるだけでなく、礼儀も学ぶ機会になります。小さな子どもは、最初はなかなか『負けました』が言えないこともあるそうですが、対局を通じて謙虚さを学んでいくそう。

 

「ルールを知らなくても、テレビなどで棋士を見て『やってみたい』と思ったらぜひ支部に来てください」と仁衡さん。「ルールや戦法を覚え、次は何をすれば強くなれるのか分からないという人にも来てもらえたら」と呼び掛けます。

 

例会や指導対局会の日程や場所は、ホームページで告知しています。例会と同時に開かれる初心者・初級者向けの将棋教室は、予約不要で参加することができます。教室は大人も大歓迎とのことです。

ご興味がある人は、ホームページを覗いてみてはいかがでしょうか。

 

デジタル技術の普及で、人と人が対面でつながりあう機会が希薄化する現代。他者とのつながりを生む、一生の趣味が見つかるかもしれません。

この記事に関するお問い合わせ先

市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897

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