裏方は筑波大生、気軽に行ける演奏会を運営

更新日:2026年02月27日

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vol.64 つくばリサイタルシリーズ実行委員会 さん

学生がプロデュースする本格的な演奏会

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▲演奏会の様子(つくばリサイタルシリーズ実行委員会提供)

 

照明があたる舞台の上には、緊張感が漂い。開演が近づくほどに、観客の期待感が高まります。

 

観客にも演奏者にも、充実した時間を過ごしてもらいたい。そんな想いで舞台を支えているのが、裏方の人たちです。

 

昨年の12月12日夜、つくばカピオホールで開かれたクラシックコンサート「第16回リサイタルシリーズ」。裏方として、この演奏会の運営を切り盛りしたのは、筑波大学の有志団体「つくばリサイタルシリーズ実行委員会」の学生たちです。

 

受付やドアマン、アナウンス、撮影に至るまでスーツに身を固めた学生たちが担当していました。

 

この夜、舞台に立ったのは東京交響楽団の第一コンサートマスターとして活躍するヴァイオリニスト・小林壱成氏。伴奏するピアニスト・高倉圭吾氏は、小林氏とは東京藝術大学の同級生。息の合った重厚な演奏で観客を魅了するだけでなく、仲の良さがうかがえる二人の軽快なMCで観客を楽しませました。

 

演奏が始まってすぐに地震が発生するという珍しいハプニングもありましたが、学生たちは冷静な対応で演奏会を最後まで支え続けました。

 

「リサイタルシリーズ」は、クラシックに馴染みのない学生や地域住民にも、気軽にクラシック音楽を楽しんでもらおうと始まった演奏会。学生は無料、一般人は1,500円で本格的なクラシックを味わうことができるという企画です。

 

16回目となる今回のコンセプトは「心震わす名曲との出会い」。クラシックに馴染みがない人にも聴いてもらいたい名曲を選曲したそうです。

 

10年以上続く活動の始まりは、劇場や博覧会の調査研究を進めている江藤光紀先生のゼミ生や関わりのある学生たちで、「学生が行きやすい演奏会」を企画したことだそう。江藤先生の人脈を生かして、クラシック音楽界の第一線で活躍する音楽家を招いた演奏会を開催し続けてきました。

 

学生たちは、当日の運営だけでなく、コンサートの企画や出演者との打ち合わせ、ポスターやチラシの作成、広報活動、会場確保、資金調達などを担当し、演奏会全体をプロデュースします。

 

資金調達では、クラウドファンディングを実施するほか、大学同窓会組織や地元企業からの支援を受けており、学内外で関係性を育みながら、「コンサートづくり」を進めています。

 

「地味な」作業も多い裏方の仕事。

当日まで苦労もありますが、終演後に満足そうな様子お客さんを見送ったり、「よかった」という感想を読んだりしたときの、達成感は格別なんだそうです。

裏方だからこそ見られる風景や得られる喜び

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▲演奏会の準備を進める大学生たち(つくばリサイタルシリーズ実行委員会提供)

 

代表の土肥さんは、約10年ピアノを弾いてきたという音楽経験者。今までは舞台の上で演奏する側でしたが、「裏方の仕事もしてみたい」とリサイタルシリーズに参加しました。

 

実際に裏方を経験して気づいたのは、「舞台があることは、当たり前ではない」ということ。「出演者に目が行くけれど、見えないところで戦っている人たちがいる」と土肥さんは語ります。

 

苦労がある一方、裏方だから見られる景色もあるそう。

その一つが、裏方から見る音楽家の姿です。

 

リサイタルシリーズでは、本番当日に向けて、出演者にインタビューをする企画もあります。プロの演奏家から演奏への想いを直接聴く機会は「なかなかできない経験で面白い」と充実感をにじませます。

 

今回のインタビューでは、「難しい技法や背景を理解しようとするのではなく、まずはそこでつくられているものを聴いて」と“体験としての音楽”に重きを置く出演者の想いを聞きました。

 

そんな想いに触れ、「とっつきにくいと思われがちなクラシックだけど、聴くだけ、感じるだけでも良いんだと気づいた」と土肥さん。「皆さんにも一度聴きに来てほしい」と話します。

 

リサイタルシリーズさんは、コンサートよりも手軽な「TRSサロンシリーズ」も開催しています。規模を小さくすることで、音楽家との距離がより近く、より贅沢な時間を過ごせるそう。2022~2024年で3回開催しており、「今後もやっていきたい」とのこと。

 

これからも、クラシックの魅力と出会える演奏会の企画が続いていきそうです。まちなかやSNSなどで演奏会の情報を見かけた際は、ぜひ注目してみてくださいね。

引き継ぐだけでなく、成長させていく苦労も経験して

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▲代表の土肥さん

 

初めてのコンサート開催から13年が経ち、経験やノウハウを蓄積してきたつくばリサイタルシリーズさん。

現役の学生たちは、先輩が築き上げてきたものを踏まえて、活動をさらに発展させようと奮闘しています。

 

土肥さんが運営側となって気づいたのは「やるべきことは決まっていると思いきや、新しいことも考えてやらないといけない」ということ。

 

より充実した企画にするために、より多くのお客様に来てもらうために――。考えられること、やってみたいことを行動に移してきました。

 

土肥さんによると、今回の広報活動ではプレスリリースによる各メディアへの発信やラジオ出演に力を入れたそう。

媒体や情報を届けたい相手によって伝え方を変えることで、効果的に情報を広げようと工夫しました。

 

組織運営の難しさにも直面しました。

「人がたくさんいれば良いというわけではない。みんなが同じ目標に向かってモチベーションを保つためにはどうすれば良いか」と考える土肥さん。「仕事を待つのではなく、それぞれのメンバーが主体的に動けるように」と試行錯誤しているそうです。

 

一方、「学生だからこそ、手を差し伸べてくれる大人がいる」とも話します。知らないことを教えてもらったり、情報発信に手を貸してくれたりと、周囲の大人のあたたかな支援も感じているそう。

 

舞台に上がる演奏者だけでなく、陰で舞台を支える人たちの物語にも思いを馳せると、芸術の奥深さをより味わうことができました。

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