市民を巻き込む保全活動を、専門家と連携し調査や発信

更新日:2026年01月30日

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vol.61 NPO法人つくばいきものSDGs さん

人類は皆どんぐりが大好き。環境イベントを通じて身近な自然に気づこう

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11月中旬。紅葉シーズン真っ盛りの洞峰公園でどんぐりを探す一団がありました。

 

洞峰公園を中心につくば市の自然環境を調査・保全しながら、市民につくばの自然の豊かさを発信する「NPO法人つくばいきものSDGs」さんのイベント参加者たちです。

 

この日、開催していたのは「どんぐりクエスト」。公園内にある6種類のどんぐりを収集し、そのどんぐりを使って工作をする人気のイベントです。

専門家による解説が好評で、案内人を務めるのは樹木分野の専門家の小幡和男氏(茨城県自然博物館名誉学芸員)と草原の専門家の鈴木康平氏(東京農業大学准教授)の二人。

 

「マテバシイは硬くて踏んでも割れないよ」「クヌギは花が咲いてから実をつけるまで2年」などと二人が植物の特徴を指し示すと、子どもも大人も真剣に指先を追っていました。

 

秋の恒例イベントとなった「どんぐりクエスト」は、今回で4回目の開催。参加者は年々増えており、この日は午前と午後でそれぞれ2グループ、合計120名以上が公園内を探索しました。

 

子どもたちは「どんぐりがいっぱい見つかって楽しかった」「もっと色々な種類を知りたい」と笑顔。一緒に参加した大人も「いつも使っている公園だけど、どんぐりを知ることで見る目が変わった。生活が豊かになった感じがする」と身近な自然の豊かさに驚きを隠せません。

 

足元のどんぐりを拾ってみる――。

そんな小さな行動が、生物多様性の尊さを知る一歩になりそうです。

科学的にも自然を捉え、公園のあり方を考えよう

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市民が身近な自然に目を向けるきっかけをつくる「NPO法人つくばいきものSDGs」さんのイベントは、綿密な科学的調査や有識者の知見が土台となっています。

そんな調査のきっかけは、一市民の気づきから始まりました。

 

同団体の代表・木下さんは、約25年前にはじめてつくば市を訪れ、その緑豊かな街並みに魅了されました。

 

当時は珍しかった駅前から街中へ続くペデストリアンデッキや公園の数々に「日本離れしている」と感心し、暮らしの拠点をつくばに移したそうです。

 

そんな木下さんは、数年前にふと市内の街並みを見て、「街に緑はあるけれど、昔に比べて劣化している」と気づいたそう。

 

そこで、日々散歩しながら何気なく緑豊かと感じている洞峰公園を調べてみると、貴重な植物や生物が根付いていることを知りました。この自然を守っていきたいという気持ちが沸き上がり、活動を始めました。

 

知識がないまま保全活動はできないと、最初に相談したのは、茨城県の植物や樹木に詳しいミュージアムパーク茨城県自然博物館の名誉学芸員の小幡和男先生だったそうです。小幡先生は快く協力に応じ、木下さんや多くの地元住民の方々と共に樹木調査を開始しました。

 

2022年には、市民ボランティア団体「洞峰いきものSDGsの会」を発足。より広い地域や多くの人に活動の輪を広げようと、2025年に「NPO法人つくばいきものSDGs」を設立しました。

 

洞峰公園の樹木調査では、1本1本の樹木の種類、高さ、太さ、元気さを調べてマッピング。公園には4千本の高木があると言われていて、今まで調査してきた樹木は、3千本近くに上るそうです。

 

その後、鳥類や昆虫、水草など多様な分野の専門家とも繋がりが生まれ、調査の幅も広がりました。市民向けイベントも、春・秋の植物探索や初夏のキノコ探索、春・秋・冬の野鳥観察会など多分野にわたります。

 

2024年から洞峰公園の運営管理は茨城県からつくば市に替わり、現在は、つくば市と話し合いながら日々の活動を進めているそうです。

 

「洞峰公園は、街中の公園なので手つかずの自然というわけではないが、絶滅危惧種の植物や鳥がいる大切な自然。みんなが今ある公園の魅力を知ることは大切。」と小幡先生は市民が身近な環境を知る重要性を語ります。

 

鈴木先生も「世代によって自然観は違うもの。木下さんたちの活動は、多世代がふれあい互いの自然観を共有する『装置』のようになっている」と活動意義を話します。

 

専門家としっかり連携しながら、多様な市民を集める仕組みが、着実な保全活動を支えています。

市民を巻き込んだ保全活動を展開。つくばの公園が自然共生サイトに認定

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つくばいきものSDGsさんのきめ細かな調査活動が認められ、洞峰公園を含む市内3カ所の公園が2025年9月、「自然共生サイト」に登録されました。

 

環境省は、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際的な目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」に取り組んでいます。

 

日本では、この30by30の実現を目指し、身近な自然豊かな場所を自然共生サイトに認定しています。

今回、洞峰公園と二の宮公園、まつぼっくり公園の生物多様性の価値が認められ、計約20.7haの区域が認定されました。

つくばいきものSDGsさんは今後、保全活動を行いながら、この区域の自然環境をモニタリングし、報告書を作成していくそうです。

 

保全のためには、適切な手入れも必要です。

つくばいきものSDGsさんは、つくば市の公園施設課や公園の管理事務所、造園業者とも連携しながら、公園のメンテナンスを行っています。

 

また、市民が気軽に保全活動に参加できる公園ボランティア「洞峰グリーンレンジャーズ」という活動も行っています。

 

落ち葉掃きや花壇づくり、希少植物の生育エリア整備といった活動に、メンバーは参加できる時に参加するスタイルで、無理なく関わることができます。

 

学生向けには、インターンシップ「つくばネイチャートラスト」も展開。イベント運営のサポートなどを通じ、生物多様性への理解を深めたり、生き物をもっと好きになったりしているそう。

つくばの自然の豊かさを知る若い世代も育ちつつあります。

 

つくばの自然に関心がある人は、まずはNPO法人つくばいきものSDGsさんのイベントに参加してみてはいかがでしょうか。

お問合せ先

NPO法人つくばいきものSDGs

メール:info@t-ikimono.org

この記事に関するお問い合わせ先

市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897

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