自然の中のアフタースクール、「自分らしさ」を見つけて成長
vol.59 一般社団法人こそだての家 さん
雑木林の中のアフタースクール、遊びを生み出し失敗も学ぶ

火起こし、穴掘り、かまどで食事づくり、木工の工作、畑で野菜を収穫ーー。
アフタースクールの「こそだての村」に到着すると、自然の中で自分の好きな遊びに熱中する子どもたちの姿が目に入ってきました。
「危ないからやめて」「○○しなさい」なんて言う大人はいません。大人たちは遊びに熱中する子どもたちに混ざり、そっと見守ります。
こそだての村は、つくば駅から車で30分ほど離れた雑木林の中にあります。
雑木林を少しずつ整備して広げた広場に、焚き火をみんなで囲える場所や竹でできたすべり台、ロープを木々の間に張り巡らせて作った「くもの巣」、など手作りの遊び場が広がっています。
雑木林のすぐそばには、この雑木林を貸してくれている乗馬クラブや畑もあります。子どもたちの元気な声が響き、気持ちの良い空気が流れていました。
こそだての村を運営する「こそだての家」代表を務めるのは、小林力(りっきー)さん。「はじめは『りっきー!』って呼ばれる回数が1日に50回くらいあったのですが、減ってきました」と子どもたちの変化を語ります。
子どもたちは、遊ぶ中で起こるトラブルも自分たちで解決するようになってきたそう。「分からなかったら教えるよ」と子どもたち同士で学び合う姿勢も見られました。
ノコギリを器用に操って自分専用のおもちゃをつくる子、ひたすら穴掘りをする子、焚き火に「杉っ葉」をくべる子ーー遊びは人それぞれ。それぞれが自分の「やりたい」気持ちに耳を傾け、新しい小さな挑戦をしています。
一通り遊んで、アフタースクールの時間が終わりに近づくと、振り返りの時間になります。子どもたちは、りっきーさんが決めたテーマをじっくり考えます。
この日のテーマは「自分のために、人のために」。りっきーさんは「自分が楽しければ、ほかの人を傷つけてもいいの?」と子どもたちに問いかけます。
このほかにも、できたこと・失敗したことも共有します。子どもたちは積極的に手を上げて、この日感じたことを話したり、ほかの子からアドバイスをもらったりしていました。
「遊び」の中で子どもたちは、楽しさだけでなく、失敗や悔しさ、他者との衝突も経験します。
そんな状況に直面しても、素直に自分の気持ちと向き合い成長しようとする姿に、「たくましさ」を垣間見ました。
志ある大人たちとの出会いや自然体験が『らしさ』の気づきに

「こそだての家」代表のりっきーさんはもともと、サッカーの指導者として約20年、国内外の子どもからプロサッカー選手まで様々な人たちの成長に携わってきました。
才能をもって夢に突き進む人たちに出会う中で、「自分らしさ」を発揮する生き方を見つけられた人もいれば、なかなか見つけられない人もいることに気づいたそうです。
「自分らしさ」を出せる人と出せない人では、何が違うのかーー。
そんな問いに対し、りっきーさんは「体験」と「人との出会い」の重要性に着目。子ども時代から、いろいろな「ヒト」や「コト」に触れることで、「らしさ」を発揮しながら生きる力を育んでいけるのではないかと考えました。
その後りっきーさんは、子どもが「らしさ」を見つけ成長する場づくりに目を向け、ビジネスや自然体験の指導について学び始めました。
つくばに拠点を移したのは2021年です。
最初は一人も知り合いがいない状態。りっきーさんは、1年で約200人ものヒトに会いに行ったそうです。
こうして生まれた繋がりから、地域で一緒に「こそだて」をする仲間たちと出会い、2022年4月に「こそだての家」がスタートしました。
集うのは、農家や大工、料理人など、様々なジャンルで「らしさで社会を照らしている人」(りっきーさん)たちです。
子どもたちは、そんな大人たちとの出会いを通じ、自分の好きなことや個性、感性を知り、「らしさ」に気づく体験を重ねているのです。
「自然は無限大だから」とりっきーさんは自然の中で得られる体験にこだわります。クモの巣ひとつをとっても、子どもたちにとっては遊びのきっかけ。自然の中で遊びを創作していきます。
現在の活動拠点のこそだての村は、「暮らしに近い環境教育をやりたい」とりっきーさんが考えていたとき、雑木林を貸してくれる人と出会い実現しました。
こそだての村は、現在進行形で拡大中です。自由にアート活動ができる「アートの部屋」や創作活動ができる「工務店」、村で一番の高級建築というトイレなど、子どもたちと大人の発想で遊び場が姿を変えていきます。
こそだての村で過ごす子どもたちは、自然の中で遊びを創作しています。逆に、初めてこの場所に来た子は、既製の遊具やおもちゃがないので、ちょっとためらってしまうそう。しかし、大人たちのサポートを受けながら、それぞれのペースで成長していきます。
『こそだての家』での成長を家庭に持ち帰って

「大人の視野が広がると、子どもの視野も広がる」(りっきーさん)
こそだての家では、「みんなで『こそだて』する」のが文化。親子で参加した時でも、子どもは自分の親とずっと一緒にいるのではなく、いろんな大人に関わりながら過ごします。多世代で過ごす時間や豊かな自然が「学校とは違った五感を育てる」とりっきーさんは話します。
ここには、様々な大人がやってきます。
こそだての家の活動に関わってくれた大人は、初年度で約100人に上ったそう。4年の活動で関わった人は「延べ400人近くいるのでは」とりっきーさんは話します。
こそだての家では、子育てでどんなことを考えているか共有する時間「こそだてを楽しむ会」もオンラインで夜間に開催しています。子育てや孤立感に悩む大人も、いろいろな人と出会うことで視野が広がるはずです。
活動が始まったときから関わるお母さんは「最初はイライラしていることが多かったけれど、自然の中で発散できたのか、最近は素直になってきた」と子どもの成長を感じているそう。「自然の良い気を浴びて、大人もリラックスして過ごせる」と笑顔を見せます。
こそだての家は、子どもたちの成長を通じて、大人たちも「らしさ」と向き合える居心地の良い場になっているようです。
一般社団法人こそだての家
対 象:年長~中学生
活動日:平日の放課後
*長期休みは月~金の9:00~17:00
*体験は、平日15:40~または毎月第3土曜日(時々日曜日や祝日)10:00~
料 金:お問合せください(週1~5回の利用ごとに料金設定)
定 員:22~24名程度
メール:kosodatenoie@gmail.com
電 話:090-6114-3878(お電話は14:00以前にお願いします)
この記事に関するお問い合わせ先
市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897
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更新日:2026年01月30日