生活の基盤整え自立へ、長い目でみて不幸にならない支援を

更新日:2025年12月22日

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vol.58 一般社団法人LANS(ランズ)さん

多様な理由で住まいが見つからない人たちをサポート、関係機関とも連携

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LANS代表理事を務める浅井さん

 

暴力から逃げるために、新しい住まいが必要で...。

家賃が払えなくて引っ越したいけど、次に借りられる物件がなくて...。

 

最低限度の生活を営むためにも、「住まい」の確保は欠かせません。そんな、生活の基盤となる「住まい」に対するセーフティーネットがあることをご存知でしょうか。

 

全国には、一般住宅が借りにくい人たち(住宅確保要配慮者)を支援するための「居住支援法」に基づいて認定される「居住支援法人」があります。

 

つくばに事務所を構える「一般社団法人LANS」さんは、茨城県内で初めて居住支援法人に認定された団体。県内全域から寄せられる相談に対応し、個々の状況に応じた支援を届けています。

 

住宅確保要配慮者とは、DV(ドメスティックバイオレンス)*から逃げる母子・父子や障害者、低所得者など一般住宅を借りにくい人たちのことです。

 

預貯金がない、収入が不安定、隣人とのトラブルが起きる可能性がある、身寄りがないなど、住まいを見つけられない理由は様々。LANSさんはそのような背景がある人たち向けに、賃貸アパートやシェアハウスを運営しています。

 

LANSさんは2018年に設立。LANS代表理事を務める浅井さんが福祉アパートを運営するオーナーと出会ったことがきっかけでした。ひきこもりやニートの若者支援をしていた浅井さんは、当時関わっていたひきこもりの子が自宅を出て暮らすきっかけになればと、県内初の居住支援法人立ち上げに着手したそうです。

 

アパートのオーナーから1棟借り上げるサブリースも行っており、2025年末で約50戸の住宅を管理しています。

 

LANSさんに相談をする人たちは、身寄りのないお年寄りや刑期を終えたばかりの人など多様なケースがあることから、LANSさん単体でサポートできない場合もあります。

 

一般的な賃貸住宅だけでなく、グループホームや福祉ホーム、低価格賃貸住宅(ビレッジハウス)など相談者に合わせてLANSさんで運営している以外の住まいも提案。多様な関係機関とも協力することで、入居やその後の生活を支える仕組みを作っているそうです。

 

浅井さんは「(相談者の)選択肢を増やす」と語ります。

 

また、自立した生活を続けるためには、住まいを見つけるだけでなく、就労支援や家計改善支援、精神的なケアも必要となります。

 

浅井さんは、長年にわたる福祉相談の経験や関係機関と築いたネットワークをいかし、個々のケースに合わせた支援につなげようと奔走しています。

ドメスティックバイオレンス

配偶者や恋人など親密な関係にある人、またはそのような関係にあった人から振るわれる暴力

茨城の社会資源を育てる、多様な関係機関をつなぎ切れ目のない支援を

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居住支援法人は、LANSさんの一つの顔に過ぎません。

 

LANSさんは、茨城県から居住支援事業(シェルター事業、地域居住支援事業)も受託。住まいがなく生活に困窮している人に対し、緊急で必要となる衣食住の提供や地域で安定した生活を送り続けるためのサポートも行っています。

 

代表の浅井さんは、20年以上前に浅井心理相談室を立ち上げ、長年、心の不調を抱えている人たちの福祉相談を受けてきました。

 

また、不登校・ひきこもり・ニートに関わる問題に取り組む団体が協力し立ち上げた「特定非営利活動法人 若年者社会参加支援普及協会アストリンク」にも参加、若者の就労相談や訪問サポートなどに携わってきたそうです。

 

こうした経験をいかした浅井さんの「ケースワーク的な関わり」は、行政機関にも頼りにされています。

 

生活に困難を抱えている人たちは、子育てや介護、外国籍など複数の課題を抱えている場合があり、行政の支援を受けるには、複数の部署に行かなければなりません。

 

そんな「タテ割り」の制度運営で生じる「隙間」に、浅井さんは入り込み、つなぎ役として切れ目のない支援を提供できるよう手助けをすることができるのです。

 

「多様な人が連携をすることで、支援を前に進めることができる」と浅井さん。不動産業、福祉施設、子育て支援団体などいろいろな関係団体が連携することで、届けられる支援の選択肢が広がっていくそうです。

 

浅井さんは「ケースによって社会資源が育っていく」とも話します。多様な困りごとを抱えている人が、それぞれの問題を伝えることで、少しずつ行政や制度が変わっていくはずです。

 

LANSさんが住宅支援法人の第1号に認定されて以来、県内では認定を受ける団体が続々と増え、現在は13の居住支援法人が立ち上がりました。

困難を抱えている人の頼れる先が、少しずつ県内全域に広がりつつあります。

 

「茨城全体の社会資源の能力も育てていきたい」と浅井さんは先を見据えます。

寄付の募集

LANSさんは、住宅確保要配慮者のために寄付を募集しています。初めての一人暮らしで「あったら嬉しい物」を特に募集しているそうです。

*電話で寄付のご連絡をいただければ、受け取りに行きます。

 

▼寄付品について(◎〇=求めているもの、✖=受け取れないもの)

◎冷蔵庫

◎洗濯機

〇食器

〇ふとん

✖服

✖大き過ぎる物

✖汚れが目立つ物

「幸せのものさし」はみんな違う、長期的な目線に立った解決を考える

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「その人が不幸になる手伝いはしない」

浅井さんは、相談を受ける際の心構えをそう語ります。

 

「支援」といっても、「与え続けることしかしなければ、その人の能力を奪うことにもなってしまう。その人が自分で生きていく能力がなくなるようなことはしない」と浅井さんは話します。

例えば、食の支援として食事の機会を与えるだけでは、その人から「購入する」という選択肢や能力を奪いかねません。

 

「不幸にならない」とは、短期的ではなく、長期的な視点に立って解決策を模索すること。

 

住むところがないと解決の糸口がつかめないとはいっても、逆にその人の重荷になってしまうことも。「背伸びした就職や住まいだとマイナス(効果)になることも」と浅井さんは先を見据えます。

 

また、“幸せのものさし”は人によって異なります。

「私たちはネットカフェや路上よりも『住まい』を持つことが幸せだと思うけど、その人にとっては違うかもしれない」と浅井さん。「『失敗した』という経験をその人から奪う権利は私たちにない」とも語ります。

 

その人の選択や大切にしていることをすくい上げながらも、長期的な目線に立って寄り添い続けます。

 

一方で、短期的に解決しなければいけないケースもあります。

DVや虐待を受けているといった命に関わるケースでは、緊急で対応。一時的な宿泊場所や食事を提供し、自立に向けた支援を行う「シェルター事業」を提供します。

 

LANSさんは、「性暴力被害者サポートネットワーク茨城」さんとも連携。夜間・休日・年末年始の性暴力被害者のための相談を受け付け、必要に応じて医療ケアや法律相談などの支援につなげています。

 

多様な背景で困っている人たちと向き合っているLANSさん。

誰かが考えた「幸せ」を押し付けるのではなく、目の前にいる人の本質をとらえ、寄り添っています。

お問合せ先

一般社団法人LANS

電話:080-1018-7670(浅井さん)

つながらない場合は、留守電にメッセージを残してください

メール:asai-kazu@sinri-soudan.com

この記事に関するお問い合わせ先

市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897

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