分身ロボットOriHimeがサロン活動で実証実験
vol.56 ふらっとカフェ さん×OriHime実証実験
サロン活動に分身ロボットが登場、障害者の就労機会の創出を模索
分身ロボットを通じてサロンに参加するさえちゃん=ふらっとカフェ
「かわいい」「手を振ってる」
両手の平に上に乗っかるくらいの大きさのロボットを囲い、集まった人たちが頬を緩めます。
つくばエクスプレス研究学園駅周辺のけんがく地区で、気軽に立ち寄れるコミュニティをつくっている「ふらっとカフェ」さんに、分身ロボットの「OriHime」が期間限定で登場しています。
OriHimeは、白くて丸みのあるフォルムが特徴。重度の身体障害などで外出が難しい人たちが、ロボットの操縦者(パイロット)になることで、自宅にいながら外で働いたり、お出かけをしたりすることができます。
自宅から外出することが難しい人たちの孤立解消を目指した、いま注目されている技術です。
このOriHimeの出張は、つくば市の「つくばスーパーサイエンスシティ構想」の一環です。
障害者の働く機会の創出のためにロボット技術を活用しようと、OriHimeを開発した「オリィ研究所」(東京都)と連携。市内のどんな場所、どんなシーンで活用できるのか、これまでにも図書館、児童クラブ。保育園、カフェなどでも実証実験をしてきました。12月と1月にかけて、ディーラー店舗でも実証実験を行います。
今回の舞台は「サロン」。
地域住民の集いの場・交流の場で、どんな活動ができるか模索します。
ふらっとカフェさんは、けんがく地区にあるカフェ2箇所でそれぞれ月に1回、誰でも参加できるサロンを開催しています。今回の実証実験として、このカフェでの実施は11月から12月の間に計4回を予定しています。
記者は、学園の杜で開催されたふらっとカフェに行ってきました。
この日、OriHimeのパイロットを務めていたのは、さえちゃん。小さなロボットの体を通じて、カフェ参加者と積極的に会話をしていました。
はじめはお互いに少し緊張した雰囲気でしたが、自己紹介をし合ううちに徐々に距離感が縮まり、趣味の話題などで盛り上がっていました。
サロンでは、生身のさえちゃんが参加者たちと同じテーブルを囲って会話を楽しんでいるように見えました。
目覚ましい発展を遂げているロボット技術。孤立をはじめとする様々な社会課題解決の手立ての一つとなりつつあります。
誰もが働き続けられるための仕組みづくりを
カフェの一角で開催するふらっとカフェ
つくば市では、市役所にて発券機の発券サポート業務の実証を行いました。その中で、さえちゃんはこの業務にも従事し、業務内容を勉強した上で、発券機のメニュー選択のサポートも行っています。
さえちゃんは、15年前から常にめまいや吐き気に襲われるようになり、外出が困難に。自宅に「ひきこもり」生活となったそうです。
そんな中、7年前にOriHimeパイロットとなってから、ロボットの体を通じてカフェ店員や読み聞かせ活動、旅行を楽しむことができるようになりました。
「モノクロに見えた外の世界がカラフルに色づいた」と働くようになってからの生活の変化を語ります。
OriHimeでの活動を通じて、外で人に会うことへの不安も和らぎ、最近では少しずつ外出に挑戦したいと考えているそう。「リハビリでつくばのふらっとカフェに行きたい」と声を弾ませていました。
国は、障害者雇用促進法に基づき、障害のある人がその人の能力に応じて働ける機会を広げられるよう、自治体や企業に障害者雇用の推進を求めています。
一方で、現行の制度では、1週間の労働時間が10時間未満の就労は障害者雇用率の算定対象になりません。OriHimeのパイロットを務める重度障害者の中には、毎週10時間以上働くことが難しい人も多く、この点については制度や法改正が望まれています。
このため、OriHimeの実証実験では、分身ロボットを複数人で交代しながら働く「リレー形式」の就労も試みました。複数人の就労時間の合計で週10時間以上を確保できるようにし、本人の希望を尊重しながら、雇用率の算定にも反映できる仕組みづくりを模索しているそうです。
誰もが働き続けられるための仕組みや環境づくりは、一筋縄ではいきません。
ただ、地域の人たちが、身近でこのような挑戦が行われていることを知り、体験してみることは、「暮らし続けたいと思えるまち」への一歩になるはずです。
この記事に関するお問い合わせ先
市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897
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更新日:2025年12月22日