小さな挑戦を応援するレンタルスペース、癒しの空間でつながり生まれる
vol.45 スペース田楽 さん
『やりたい』を小さくから始める場所

「みんな何か生きがいややりがいを感じられる活躍の場を探しているのかも」と穏やかに語るのは、レンタルスペース兼整体院を運営している石井さんです。
並木小学校裏にあった蕎麦屋だった物件を改装してオープンした「スペース田楽」では、手仕事会「ハンドメイドカフェ」や「セルフ整体体操」「フラワーアレンジメント教室」など石井さんや利用者さんが企画するイベントを開催しています。
(イベントがない日は、石井さんが整体院を開いています。)
当初は、転勤族だった石井さんが地域に自分の居場所をつくりたいと考えてつくりはじめた場所でしたが、今では「みんなの居場所」「小さな挑戦を応援する場」になりつつあります。
取材した日は、「コミュニティカフェ」を開催していました。
コミュニティカフェは、飲食だけでなく、交流や居場所づくりを目的とした活動です。
スペース田楽は、石井さんを含めた主婦4人で立ち上げ、3つのコンセプト「健康に配慮した(Healthy)」「地産地消(Local Food)」「居場所(Communication)」を掲げています。
コミュニティカフェでは、友人と連れ立って訪れた人や地域の人が、テーブルを囲い、和気あいあいと食事をしていました。
お客さんたちは「一人で来ても居心地が良い」「ほかのお客さんとも仲良くなったり、輪が広がるの」「古民家風で落ち着いておしゃべりできる」と口々に話します。
この日は、前回初めて知り合ったという人たちが、同じテーブルで仲良く食事をしていました。

メニューは、活動メンバーの得意分野をいかして決めるそう。
自分の得意分野をいかしたアイデアを出し合い、楽しく決めているそう。この日のメインは本格スパイスを調合して作ったスパイスカレー。ほかにも、捨ててしまいがちなブロッコリーの芯を使ったパリパリのお漬物や、半分凍っていてシャリシャリの触感の梅ゼリーなどメンバーのアイデアが詰まった献立となっていました。
「来てくれた人たちが『おいしい』と言ってくれるのが嬉しい」「ここで過ごす時間がリフレッシュになって、ほかの場所でも頑張れる」とメンバーは笑顔を見せます。
「力を合わせれば、一人ではできないこともできる」と石井さん。「すごい資格を持っている人ではなくて、初めて何かする人が多いです。『自分も何かやりたい』という人の背中を押せたら嬉しい」と語ります。
癒しの空間づくりを目指して改装、皆がほっとできる場所に

スペース田楽を運営する石井さんが、場づくりという挑戦に踏み出したのは、自身が転勤族だったことや家庭以外の居場所がほしいと考えたことがきっかけだったそうです。
夫の転勤でつくばに引っ越してきた石井さんは、もっと地域に根付いたり、いろんな人と話したりする機会を求めていました。
そんなときに出会った物件が、並木小学校裏にあった元蕎麦店でした。
「自分のペースで運営できて、癒されるような空間をつくろう」と考えながら改装。物件に残されていた木製のテーブルや椅子、食器類はそのままいかしつつ、暖かみのある壁色や山小屋風の照明、ステンドグラス風に手を加えた障子などをアレンジしました。
屋外ではハーブも育てており、元蕎麦店の落ち着いた和の雰囲気と色彩豊かな西洋風が絶妙に融合しています。
猫のトラさん(♂)とサクラさん(♀)も一緒に暮らしており、時折レンタルスペースに姿を見せます。
スペース田楽を始めたことで「知り合いが増えた」と目を細める石井さん。「ちょっと来て、ほっとできる場にしていきたい」と前を向きます。
ちなみに当初は、小学校で絵本の読み聞かせ活動をしていたこともあり、大人向けの「絵本カフェ」に挑戦することも考えていたそう。店内には、絵本も並んでいます。
スペース田楽をご利用したい方は、メールか公式LINEでお問合せください。空きがあれば、前日でも貸せる場合があるそうです。
レンタルキッチンとしての利用もできます。
ワークショップを開催したい場合は、広報する時間を確保するために約1か月前の予約が必要です。
イベントがない日は、リラクゼーション整体院の予約を受け付けています。
スペース田楽がつくる癒しの空間を楽しんだり、自分の小さな挑戦を始めるために利用したりしてみませんか?
おしゃべりできる空間づくりで悩みや孤独も共有

スペース田楽では、一人で抱えている悩みを誰かに話したり、誰かとほっとする時間を共有したりできる企画も開催しています。
ハンドメイドカフェは、気軽に誰かとおしゃべりができる場をつくるために企画。「何か作業をしていた方が会話が盛り上がるから」(石井さん)とただのおしゃべり会ではなく手仕事会にしたそうです。
このほかにも、子育てに関する悩みを共有する「発達凸凹アカデミー」や、パートナーとのコミュニケーションや共感が成り立たず孤独や悩みを抱えている人たちによる「カサンドラ自助会」も開催しています。このような会では、アドバイスを押し付けるのではなく、お互いの話を聴き合い、徐々に前を向いていけるように支え合う場になっているそうです。
「何かあったときに駆け込めるような、孤立している人たちにも来てもらえるような、そんな形を考えていきたい」と屋外のスペースを利用した企画も模索します。
また、「もっとご近所さんにも認知してもらって、地域の人たちも入りやすい雰囲気にしていきたい」と先を見据えます。
そんな思いで始めたのが「コミュニティカフェ」でした。食を入口とすることで、誰でも関わりやすくしました。
最近は、地域の会合で使ってもらえることもあったそう。「普段よりちょっとおしゃれな場所で会合をしたいとのことで、そんな使い方をしてくれるのが嬉しい」と目を細めます。
スペース田楽での体験から「自分も居場所づくりをしてみたい」と一歩を踏み出す人もいるそうです。
レンタルスペースが、つながりの輪や新しい挑戦の基点となっているようですね。

石井さんは、参加に踏み切れない人向けに、ブログで活動について発信しています。
ご興味がある方は、ぜひ覗いてみてくださいね
お問い合わせ先
iraputeyo@gmail.com
この記事に関するお問い合わせ先
市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897
更新日:2025年08月25日