独自のネットワークで困窮する家庭へモノとココロの支援

更新日:2025年08月01日

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vol.44 つくば子ども支援ネット さん

困っている子育て世帯に届けるフードパントリー

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つくば子ども支援ネットのみなさん

 

「『つくば市内には生活に困っている人がいないんじゃないか』と思われていますが、そんなことないんです。人目につかず困っている人はたくさんいます」

フルタイムで働いていても生活が困窮する「ワーキングプア」や「経済的DV」など、公的支援だけでは解決できない問題を抱えている家庭があります。

つくば子ども支援ネットさんは、食品や文房具、日用品などの寄付を集めて、必要な人に届ける「パントリー」を年に4回開催しています。また、連携している複数の子ども食堂や無料学習塾に食材を届けています。

同団体のボランティアさんたちは配布に向けて月に2回、「フードドライブ*¹常設ボックス」から寄付品を集めています。その際は、各自の乗用車で回収に向かい、保管拠点に持ち帰っているそう。

寄付には、一般の人が常設ボックスに入れた物だけでなく、株式会社カスミから棚卸品(賞味期限が近く、棚に並ばない商品)の提供を受けています。また、同ネットでは、こども達のための体験農園も運営しており、そこで収穫した食材も活用しています。

回収した食品は、ボランティアさんが一つ一つ賞味期限を確認して品分けたり、重量を測って小分けにしたりして、配布に向けて準備をするそうです。

賞味期限が切れてしまっている物も少なくありません。

このような品物はフードパントリーで、「訳あり品」として並び、「それでも良いから欲しい」という人の手に渡っていくそうです。

同団体は「税金は納められているけど、生活で苦しい思いをしているといった人にも頼られる存在になれれば」と支援先の収入制限などは設けていないそう。

事務局の鬼木さんは「ごはんが食べられないと、心もとなくて情けない気持ちになってしまいます。そんな苦しい思いをすくい上げられたらうれしい。絶望しないで助け合って生きていきたい」と話します。

*¹)フードドライブ

家庭で余っている食品を集め、必要としている福祉団体や施設、フードバンクなどに届ける活動。未開封の常温保存が可能な食品(レトルト食品、缶詰類、調味料、乾麺、米、お菓子など)を回収します。

子育て世帯からのSOSを受け取る、築いたネットワークでリーチ

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フードパントリーの拠点に集められた寄付品

 

つくば子ども支援ネットさんの活動は、新型コロナウイルス感染症流行の最中に始まりました。最初は、子ども食堂同士で協力して寄付品を無駄なく活用するためのネットワークを構築していたそう。

しかし、感染拡大の影響で生活に打撃を受けた家庭への支援が急務となり、直接食料を配布するフードパントリーも実施し始めたそうです。

最初は20世帯だったフードパントリーの希望者は徐々に増え、規模は70世帯...100世帯...とどんどん拡張。昨年の夏以降は、100世帯の定員が募集開始2時間でいっぱいになりました。

予約ができなかった人の中には、「残り物で良いので、何とかなりませんか」という切実な声もあるそう。

同団体では、そんな切羽詰まった状況の世帯を「SOS世帯」として個別で対応をしています。

フードパントリーの参加予約は、公式LINE(ホットライン)が入り口となっています。

LINEで問い合わせがあると、個別で対応します。これは、困っている状況を他の人に知られたくないという気持ちに配慮するため。LINEで繋がった家庭には、次回以降のフードパントリーの情報などが配信される仕組みとなっています。これまでに約290世帯(約600人)と繋がったそうです。

新型コロナウイルスの影響は少なくなったものの、フードパントリーのニーズは増しているようです。

「地域の社会資源としても活用してもらっている」と鬼木さん。フードパントリーには、同団体と繋がっているスクールソーシャルワーカーさんの紹介で訪れる家庭もあります。学校を取り巻く支援者たちにも頼られる存在になりつつあります。

フードパントリーの活動を通じて構築された独自のネットワークのほか、ソーシャルワーカーや子ども食堂、農家など多様な支援者と繋がっているからこそ、「困っているけれど、支援にたどり着きにくい人たち」へも活動が届いています。

届けているのはモノではなくキモチ

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事務局の鬼木さん

 

「あったかい気持ちが集まるところ」「ただモノを渡しているのではない。安心できる結びつきや元気がもらえる場所にしていきたい」

つくば子ども支援ネットのメンバーは口々にそう語ります。

フードパントリーには、こどもも一緒に参加してもらうよう呼びかけているそう。というのも、様々な種類が並ぶ寄付品の中から「好きな物を選ぶ楽しさ」を感じてほしいから。

来場した人たちは、食品や文房具、衣類など、ボランティアさんとの会話を楽しみながら選びます。

フードパントリーに初めて参加した人は、最初は暗い顔をしている人も少なくありません。しかし、好きな物を選んだり、ボランティアさんとやり取りをしたりする中で、徐々に明るい顔に。2回目以降は「今日は何があるかなぁ」と喜んで来てくれるそう。

「楽しんでほしい」とボランティアさんたちは語ります。

元気をもらっているのは、サポートを受ける子育て世代だけではありません。「ボランティアもとても楽しくて、居場所になっているんです」と語ります。

フードパントリーに訪れたあるこどもは、何をもらったか聞かれて「愛と優しさをもらった」と答えたそうです。

子育て世帯を見守るあたたかい地域のサポートは、こどもたちの心にもしっかりと届いています。

【寄付・ボランティアを募集】フードパントリー開催に向けて

つくば子ども支援ネットさんは、年4回のフードパントリーに向けて【寄付】と【ボランティア】を大募集しています。

フードドライブ常設ボックスがあるのはこちら▼

●ファミリーマート

①つくば春日四丁目店

②つくば上ノ室店

③つくば若栗店

④つくば面野井店

⑤つくばみどりの店

⑥TX研究学園駅店

●JA水郷つくば

⑦さんふれつくば店(イーアスつくばのアウトモール内)

●ヨークベニマル

⑧竹園店

⑨さくらの杜店

(寄付が大量になる場合は、メールでお問い合わせください)

また、募集しているボランティアは、前日の設営準備と当日の運営の手伝いです。

メールからお問い合わせください。

 

ニーズが高まっているフードパントリーの活動を継続していくことや回数を増やしていくためには、地域の力添えが必要不可欠です。

皆様の温かい気持ちも一緒に届けてみませんか。

お問合せ先

つくば子ども支援ネット

 kodomoshien.net.tsukuba@gmail.com

この記事に関するお問い合わせ先

市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897

お問い合わせは専用フォーム をご利用ください。