自然科学の楽しさを発信、ゆるく繋がる仲間たちとともに
vol.34 地球レーベル さん
枠組みは地球から、発信はつくばから

地球レーベルさんは、季節の情報誌「地球らいぶ」を発行して市内の小中学校に無料配布をしたり、自然観察会を開催したりして自然科学の楽しさやつくばの自然の面白さと伝えている団体さんです。
代表の小松さんは当初、個人で「海の生き物」の魅力を伝える活動をしていたそう。しかし次第に、一人で活動する限界を感じ始めました。
「活動を続けるには資金も必要だなと、補助金を探し始めたら、アイラブつくば補助金があることを知りました」と小松さん。同補助金は団体しか申し込めないため、仲間集めを開始。すると、同じ自然科学分野で意気投合するメンバーと出会い、団体を立ち上げることができたそうです。
「いざ仲間ができてみると、山とか地学に詳しいメンバーが筑波山に連れて行っくれて『こんな面白いところだったんだ』と発見することがたくさんありました」(小松さん)
小松さんは海の専門家ですが、他のメンバーが解説してくれる石の話などを聞くことで、知識が広がっていったそう。「最初は自分の興味ある分野から入っても、そこから色々なものを見ることで豊かになっていくんじゃないのかなと思って、『地球』という大きな枠組みで活動してみようということになりました」と明かしました。
観察会などのイベント企画については「メイン講師となるメンバーの気分」だそう。
小松さんの観察会は海の潮の満ち引きの関係で、半年前くらいから日程を決めるそうですが、他のメンバーの観察会は「きまぐれ」に開催します。
「2週間前に決まることもあります。1年の開催回数も決まってなくて、たくさんやる年も少ない年もあります」
記者が「やりたいときにやりたいことをやることが、続けていくことの秘訣ですね」と感想をもらすと「そうです。それぞれみんなお仕事もあったりするので、本当に無理なく。やりたいときにやれる人がやって、みんなできれば手伝うという感じでやっていますね」
このため、「観察会のスケジュールを出してくれって言われるときもあるんですけど『ごめん、ちょっと無理だわ。その都度告知するから』って言います」と笑顔で話しました。
イベント参加者も情報収集のアンテナを張っている!

身近な自然科学の観察会を行っている地球レーベルさん。基本的に観察会はメンバーの“きまぐれ”で不定期開催。
イベントにどうやって参加者が集まってくるのかを尋ねると、代表の小松さんは「最初の方はチラシとかも作っていたんですけど、やっぱりお金もかかるし。最近はSNSしか使っていません」と明かしました。フェイスブック、インスタグラム、ホームページのみで呼びかけをしているそうです。
それでも30人ほどの参加者が集まるそう。
「イベントによりますが、海は人気で抽選になるくらい人が集まりますが、ちょっととっつきにくい石系とか、地衣類とかのマニアック系は、集まりが悪い時があります」と小松さん。「そういう時はメンバーがいろいろな人に声をかけてある程度集まるようにはやっています」と話しました。
実際にはリピーターも多くいるそうです。
イベント自体がエンターテイメント的な面白さを兼ね備えている場合は、「口コミ」が一番の広報手段と実感しているそうです。
実は、小松さん自身も「参加者さんの方がどこで情報を見つけてくるのだろう」と不思議に思うくらいで、県内に限らず関東圏ぐらいまでは参加の範疇になっているそうです。
参加者さんが主体的に見つけるってことは、その参加者さんの方も興味のあることにアンテナを張っていると感じました。
イベントに参加したいというニーズはそれぞれにあって、参加者さんの立場になってイベントを企画していくことが大切だと改めて感じました。
仲間づくりをしていたらたまり場もできちゃった!

身近な自然科学の観察会から始まり、最近では自然情報誌「地球らいぶ」を月1回発行している地球レーベルさん。
普段のミーティングについて代表の小松さんに尋ねると「定例会は1年に1回あるかないかくらい。それでもやっぱり全員集まれることは無理ですよね」と語ります。活動を続ける中で、偶然出会った人たちがメンバーとなるそう。
事務所はつくば市の自家焙煎珈琲店「もっくんコーヒー」。オーナーのご夫婦もメンバーだそう。
地球レーベルさんで自然科学の雑誌を出してみたいと話し合うときに、「もっくんコーヒー」がたまり場になっていったそうです。
代表の小松さんによると「メンバーもだいたいもっくんコーヒーで拾ってくるんです。もっくんコーヒーに色々な人がいっぱい集まってきて、
しゃべっているうちに、『一緒に書く?』みたいなノリで」とのこと。
もっくんコーヒーにやってくるメンバーたちも、来店しては情報を置いていくそう。そして、別のメンバーが立ち寄ったときに共有されていくとか。
また、Facebookと連動しているメッセージアプリのグループ機能を活用し、活動に関するやり取りをしています。早急に伝えたいことや、相談したいことはそこに投げ、その場その場で対応することもあるそうです。
取材を通して感じたのは、自然感。事業にしても運営にしても、無理をしていないこと。
自分の団体を知ってもらいたいから、関係する人とおしゃべりをする。この事業をやりたいから関係する人とおしゃべりする。
それぞれがそれぞれの場所でいろんな人とつながっているから、おしゃべりから話になって、話が進んでいく。そして現実になっていく。
笑いを交えながら楽しそうにお話をする小松さんのたたずまいが印象的でした。
更新日:2025年03月28日