思い出詰まった小学校を活用、文化や地域福祉、交流の拠点に

更新日:2025年03月24日

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vol.32 小田協議会 さん

地域の交流の場として生き続ける、小田小交流プラザの今

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「よーし、息を合わせるぞ」「わーしょい、わーしょい」「ほら来たー」

 

小学校の校庭に、歓声や笑い声が響きます。

 

廃校となった小田小学校を活用している「小田小交流プラザ」で3月15日、地区対抗つな引き大会が開催されました。小田小周辺の7区会の住民約60人5チームが参加し、熱戦を繰り広げました。

 

大会当日は、朝からこどもや若者、シニアたちが集まり、挨拶し合ったり、雑談に花を咲かせたりして穏やかに交流している様子。しかし、競技が始まると、こどもも大人も真剣な表情に。各区会の威信をかけて(?)正々堂々とした闘いを繰り広げました。

 

結果は、全チームが2勝2敗という大接戦になりました。

 

大会が終わると、競技中にシニアの人たちが作ってくれた豚汁が振る舞われました。

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小田地区周辺では2018年、小中学校7校が統廃合して「秀峰筑波義務教育学校」が開校しました。これに伴い、小田小は廃校となったのです。

 

一度はこどもたちの声が途絶えたものの、地域の思い出が詰まった学校を使い続け未来に残そうと、地域の人たちが立ち上がりました。

 

現在、小田小は会員制のカルチャーセンター「小田小交流プラザ」に生まれ変わりました。

 

この施設の運営を担っているのが、小田協議会さんです。

「自分たちの地域の未来は、自分たちで切り拓く」と小田協議会の白石さんは前を向きます。

 

小田小の運動会はかつて、地域のお祭りでした。

地域全体で人が集まって「わーわーと盛り上がっていた」そうです。

 

つな引き大会は、そんな地域住民の思い出から発案され、2024年3月に第一回を開催しました。

 

地域の楽しみは、自分たちでつくって受け継いでいく。

伝統ある地域の底力を垣間見ました。

コミュニティや文化の拠点としてあり続ける、会員制で貸し出し

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小田小学校は、なんと明治7年の創立。校舎は建て替えられたものの、同じ場所で小田地区のこどもたちを見守ってきました。

親子3代、4代にもわたって同じ校舎に通ったという住民もいるそう。

 

こじんまりとした校舎には、温かみがあります。

校庭には、今では珍しい二宮金次郎像が......!

 

昇降口を入ると、卒業記念に生徒たちが手掛けた作品やトロフィーなどが並んでおり、学校生活の気配が今でも感じられます。

 

小田小交流プラザとして貸し出している部屋は、校庭に面した1階の2室です。

 

ひとつは家庭科室で、調理台が残されています。黒板も健在で、思いっきり落書きができます。もうひとつは、暗幕が張れる教室で、プロジェクターを使うことができます。室内にはこどもたちが使っていた勉強机や校歌が書かれた張り紙も残されています。

 

随所に思い出の品が見られるほか、利用者に便利な冷蔵庫や洗濯機、レンジ、IHクッキングヒーターなどの備品もあります。

 

また、自由に使える校庭も魅力です。

校庭では火起こししても良く、火が使える屋外施設は珍しいそう。

 

こだわりは「こどもたちが安心して遊べる環境づくり」。

校庭の草刈りは、除草剤を使わずに手刈りでおこなっているそう。こどもだけでなくペットも安心して遊べます。

 

また、夜間利用が可能。キャンプもできますよ。

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小田小交流プラザは、つな引き大会のような小田協議会の自主事業に加え、会員が主催するイベントやワークショップの会場として活用されています。

 

貸し出しは会員制です。団体会費(1万円/年)を支払うことで、複数回貸し切りで利用することもできます。

 

年に1回のイベントのみ使うという用途でも、校庭と施設を貸切にできるため「安い」という声もあるそうです。

会員には、地元の団体だけでなく企業も加わっています。

 

小田地区は宝篋山の登山口でもあるため、山登りグループが活動の拠点として利用する場合もあるそうです。

 

小田協議会の白石さんは「使ってくれる団体を増やしたい」と話します。

 

活動場所に悩んでいる方は、一度訪れてみてはいかはでしょうか?

コミュニティを守るために変えていくもの、変えないもの

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夕方になると、小田小交流プラザの近くでこどもの楽しげな声が聞こえてきます。

 

こどもたちは学校から帰ると、小田小交流プラザの校庭で遊んだり、近くの児童館へ行ったりするそうです。

 

小田協議会の自主事業では、親子で楽しめる工作体験会や「もくもく夏休み勉強会」と題してこどもたちが集まる場を設けています。勉強会では、地域の元教員や大学生もサポートに訪れ、にぎやなかな夏休みを過ごしたそうです。

ここは、地域の多世代が触れ合う場にもなっています。

 

小田小交流プラザや児童館は、子育て世帯の間でちょっとした“穴場”となっているようで、小田地区外からも訪れるこどもたちがいるそうです。

 

地域に響くこどもの声は、地域の大人たちが陰で支え守ってきたものなのです。

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小田協議会は、地域の歴史や伝統を集約し、発信する拠点にもなりつつあります。

 

小田地域の外から通っている広報担当の須能さんは、“よそ者の目”で地域の文化を見て、そのユニークさを発信します。「広報活動をすると、他の団体さんの役にも立つ。枠を超えて、ほかの市民活動をやりたい人に届けたい」と話します。

 

地域の人も、コミュニティが希薄化する時代でも伝統を残そうと、須能さんの取材に協力しているそう。

「地域を残すには、地域の凝り固まった考えを壊して次世代のことを考えていかないといけない。でも地域の伝統や小田らしさを失わないことも大切」と小田協議会の白石さんは地域に合った今後を模索します。

 

小田協議会のホームページでは、これまでに「荒神様」「小田祇園祭」など興味深い文化を取り上げているので、ぜひをご覧くださいね!

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