相談先に悩む人たちをサポート、世代や障害を越えた輪づくりを
vol.30 一般社団法人レインボーランド さん
世代や障害を繋げる“まあるい”関係性を目指して、なんでも相談支援

一般社団法人レインボーランド代表の嶋﨑さん=つくば市妻木
手話サークルやみんなの食堂、男の茶話会など多様な活動の“場”となっている「レインボーランド」さん。どんな想いで活動しているのか気になり、お話を聞きに行きました。
代表の嶋﨑さんは、もともと役場職員として聴覚障害などの障害福祉に関わってきたそうです。
役場ってたくさんの部署がありますよね。
嶋﨑さんは働く中で、相談する部署が分からずに「たらい回し」にされる住民たちを見てきました。
これは「行政は何もしてくれない」......というわけではなく、「適切な相談部署や相談すべき相手が分かりにくい」というのが問題だと分析します。
嶋﨑さんは「役場の枠を超えて、人と人を繋いでいけるようになりたい」と考えるようになり、2021年に相談支援をする法人の設立に踏み出したそうです。
立ち上げたのは、福祉制度や障害福祉サービスの情報提供などをする「相談事業所エンジェル」さん。営利目的の法人ですが、ボランティア的な活動もやっていたそう。営利と非営利事業の事業を明確に分けるため、2023年に非営利事業を展開する「一般社団法人レインボーランド」さんを新たに立ち上げました。
レインボーランドさんでは「社会福祉士よろず無料相談」を公式LINEで受けています。漠然とした悩みから具体的な困りごとまで、ボランティアの社会福祉士さんに相談できます。
漠然とした悩みでも、相談するうちに「本当に困っていること」が分かるようになるのではないでしょうか。
嶋﨑さんは多様な人たちがお互いの立場や思いを少しでも理解する手伝いをし、「みんなが丸くなって、ちょっとずつ助け合えるようになれば」と願いを込めます。
手話サークルで障害や福祉への視野を広げよう

障害福祉に携わってきた嶋﨑さんは2019年からボランティア団体「手話サークル虹の雫」を実施してきました。「つくば市手話奉仕員養成講座」の卒業生が集まって始まったそう。
手話を学ぶきっかけづくりをしたり、聴覚障害がある人と健聴者の交流の場をつくったりすることで、聴覚障害がある人たちが安心安全に暮らしていけるよう支援することが目的。未経験者や初心者の人を対象とした「手話体験講座」を開催し、手話や聴覚障害への理解を広めます。
また、筑波技術大学の学生さんから「学校の中だけでなく、地域に出て活動したい」という声を聞いたことから、筑波技術大学の大学生とコラボしたイベントも企画。楽しくおしゃべりをしたり、パラリンピックの競技を体験したりと交流を深めています。
嶋﨑さんは「お互いを知る中で、例えば『街中で障害がある人が困っているのを見かけた時にどのように声を掛けたら良いのか』といったことを学ぶことができる」と話します。

また、手話通訳士の育成における課題にも目を向けます。
社会福祉協議会が実施する手話奉仕員養成講座では、入門講座を終えた受講生の中で、手話通訳士になるために発展した内容を学ぶ基礎講座に進む人が少ないことが課題となっているそうです。
その原因について、入門講座が終わった後、基礎講座が始まるまで約半年のインターバルがあることと嶋﨑さんは分析。そこで、入門講座を終えた人たちのモチベーションを保つための「入門振り返り講座」を開催。「自信をなくして辞めていくことがないようにしたい」と先を見据えます。
「年を重ねれば、誰しも何かしらの障害になる」と嶋﨑さん。手話サークルに参加することは、多様な他者と「分かりあう」一歩になりそうです。
畑の後継者問題から生まれた「みんなの食堂」

「実家に使っていない畑があって悩んでいる」
ある日、レインボーランドさんは近所の方からそんな話を聞いたそう。この相談者の実家は農家でしたが、お父さんが高齢になったため畑仕事は辞めたそう。しかし、畑はきちんとトラクターで耕した状態にしており、使い道に困っていました。
そこで嶋﨑さんは農業サークル「レインボーファームサークル」を提案。畑をやってみたい人を募り、お父さんには農業の指導者役になってもらいました。
お父さんがきちんと畑を整備していたこともあり、初年度から収穫は予想以上の量に。「食べきれない」ということで、メンバーで「みんなの食堂」を開設して地域に振る舞うことにしました。農作業に関わるこどもたちは、できる範囲で積極にも挑戦しているそうです。
地域課題を交流の場に変えていくレインボーランドさん。嶋﨑さんは関わるこどもたちを見て、「こどもを見ていると、聴こえる子も聴こえない子もなんの壁もなく遊んでいる。違いの境目をなくして“ごちゃごちゃ”な場所にしていきたい」と語ります。
レインボーランドさんが展開する様々なサークル活動へ参加し、境目のない「ボーダーレス」の交流を楽しんでみてはいかがでしょうか。

こども食堂・みんなの食堂メモ[4]:レインボーファームサークル
【日 程】毎月1回
【場 所】味処「夢一夜」(つくば市吉瀬1381-1)
*イベントによって変更あり
【対 象】どなたでも
【定 員】20食程度
【参加費】こども(18歳まで)無料、学生無料、それ以外100円
【主 催】レインボーファームサークル
【問合せ】rainbowfarm0707@gmail.com (代表・坂本さん)
この記事に関するお問い合わせ先
市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897
更新日:2025年03月24日