届けるのは特別な夜の思い出と家族の笑顔
vol.18 NPO法人チャリティーサンタつくば支部
聖なる夜に特別な思い出を

2024年のクリスマスイブに集まったボランティアたち=つくば市竹園
「1年間良い子にしていたのを空から見ていたよ」。少し驚いた顔の子どもにサンタさんはプレゼントを渡し、「お友達ともっと仲良くなれるようにサンタさんは応援しているよ」と優しく語りかけます。
クリスマスイブの夜、子どもとその家族に笑顔を届けるため、「チャリティーサンタ」のボランティアが家のドアをたたきます(希望があれば庭から現れるそうです)。
チャリティーサンタの運営スタッフは特別な夜に向け、秋から大忙しで準備を進めています。
サンタ活動は、サンタさんの訪問を希望する家庭から「プレゼント」「チャリティー金」「お子さん情報」を預かり、クリスマスイブにプレゼント届ける仕組み。
チャリティー金は、クリスマスにプレゼンを用意する余裕がない家庭にクリスマスを届ける活動などに生かされます。
お子さん情報は、漢字練習や逆上がりの練習など1年間頑張ったことのほか、「もっとお野菜が食べられると良いね」といった親の願いやお子さんの性格が含まれているそう。この情報を基に、各家庭に合わせた準備をサンタさんたちは進めます。
プレゼントを届けるため、運営スタッフだけでなく、当日にサンタ活動をするボランティアも募集しています。この当日ボランティアは、イブに向けてサンタ講習を受け、サンタさんとしての振る舞いや声かけ、「全ての人を笑顔にする」という心構えなどを学びます。
サンタ活動ではこのほか、子どもがサンタさんを信じられなくなった時に読む「未来の手紙」も配っているそうです。
手紙には、なぜサンタさんが家にやって来ていたのか、チャリティー金がクリスマスを祝う余裕のないご家庭への支援になっていることなどが綴られています。
つくば支部では、一つ一つ手書きで作成しているそう。「受け取った子に温かみを感じてほしい」と未来の子どもたちへ思いを馳せます。
ご家族やサンタさんたちから愛情を受け取った子どもたちは、大人になったときに今度は「誰かのサンタ」になるかもしれません。
活動停止の危機を乗り越え、笑顔を届け続ける

クリスマスイブの活動に向けてミーティングをするメンバーたち=つくば市吾妻
サンタに扮したボランティアがクリスマスプレゼントを届けに行く「チャリティーサンタ」は2008年に東京で始まり、今や33都道府県44支部にその活動は広がっています。
つくば支部は2017年6月に設立。「県内初」であり「県内唯一」のチャリティーサンタ支部です。
今年で8年目を迎えますが、実は昨年、活動休止の危機に瀕していました。理由は運営スタッフの担い手不足でした。
そこで動いたのは、運営スタッフや支部代表をしていた経験がある会沢さん。「やるべきことがまだある」と仲間を集め、活動継続を決めました。
なんとか活動継続にこぎ着け、昨年訪問した家庭は13件。サンタクロース13人が25人の子どもたちにプレゼントを届けました。また、2施設のクリスマスパーティーにも参加したそうです。
活動休止の危機を乗り越え、今年の運営スタッフは11人にまで増えました。学業や仕事で忙しいメンバーがいる中、会沢さんは「大変な思いでやるのではなく、それぞれのスタッフも『喜び』を持って活動できるようにしたい」と話します。
活動に向けた打ち合わせや練習では、スタッフ同士がフラットな関係で楽しみながら取り組んでいる様子が見られました。
クリスマスの魔法を生み出していたのは、「誰かを笑顔にしたい」という喜びや思いやりの輪でした。
クリスマスにプレゼントを準備する余裕のないご家庭へも喜びを届けたい

つくば市内のこども食堂で活動するメンバーたち
「そこに立ち会えたことが良かった」とサンタ活動を振り返るのはチャリティーサンタつくば支部代表の会沢さんです。
訪問先のご家庭で目にするのは、プレゼントを手にして喜ぶ子どもの姿だけでなく、家族の絆や子どもたちの親への想い。
愛や純粋さ、豊かさなど、サンタさんになることで自分の中にもあるものを思い出すことができるそうです。
会沢さんがチャリティーサンタに関心を持ったきっかけは、同団体を紹介する新聞記事(2017年)で、クリスマスにプレゼントを用意できない家庭もあることを知ったことだったそう。
貧困家庭を支援したいという思いもあり、日々の生活でいっぱいいっぱいの家庭にもチャリティーサンタの情報を届けることに苦心します。
つくば支部の特徴として、クリスマスイブだけでなく1年間を通じて笑顔を届ける活動をしようと、運営スタッフは市内の子ども食堂も訪問しています。
子ども食堂では、パネルシアターやダンスなど子どもたちが楽しめるレクリエーションを展開しています子どもや親子を支援する団体とつながることで、チャリティーサンタの活動を知ってもらう機会づくりにもなるそう。
運営スタッフのなべちゃん(サンタネーム)は、「子どもたちが良い顔をしているのを見て、自分たちも子どもたちから多くのものをもらう」と笑顔。はらちゃんは「貧困の切り口にクリスマスがあるのに驚いた。ボランティアでは地域とのつながりを感じられた」と話します。
最近参加し始めたというがやちゃんは「スタッフのみんなは、どうしたら子どもたちが喜んでくれるかいつも考えている。自分もそうなれるよう頑張ります」と意気込みます。
(ちなみに会沢さんのサンタネームは“けいさん”または“けいちゃん”です)
今年のクリスマスもみんなが素敵な時間を過ごせるといいなと願わずにはいられません。

この記事に関するお問い合わせ先
市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897
更新日:2025年02月17日