黄金色の光に託す小児がん啓発への想い、がんcaféも展開

更新日:2025年01月26日

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vol.14 ゴールドリボンキャンペーン・HiStar'Snow★Tsukuba さん

空に願いを届けるランタンアート

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光が灯されたランタンアート=つくば市吾妻

 

9月は世界小児がん啓発月間--ということをご存知でしょうか。

つくば市でも小児がんの理解と支援の輪を広げようと、「ゴールドリボン啓発イベントつくば2024」が9月8日(日曜日)、つくばセンター広場で開かれました。家族や健康への想いを綴ったランタンアートに明かりがともり、空に祈りを届けました。

 

主催は、つくば市を拠点に小児がんの子どもとその家族をサポートする会の「HiStar'Snow★Tsukuba(ヒスターズナウ・ツクバ)」さん。

 

会場では、小児がんと向き合う子どもたちや医療ケアの研究を支援するためにレモネードを販売する「レモネードスタンド」のほか、小児がんで亡くなった少女の実話を基にした映画「神さま待って!お花が咲くから」の上映も行われました。

 

小児がんは子どもの病死原因の1位で、毎年約200人の子どもたちが空へ旅立っています。

 

ランタンは牛乳パックを使った手作り製。イベントに訪れた人たちは、小児がんやそのほかのがんと向き合う人たちのことを想いながら、ランタンに鮮やかな絵やメッセージを刻んでいました。

 

日が暮れると手作りランタンに淡い光が灯され、にっこり顔が付いたゴールドリボンが浮き上がりました。

 

点灯式には子どもたちによる市民楽団「つくばキッズオーケストラ」さんと「つくばジュニアウィンドオーケストラ」さんも駆けつけ、音楽に祈りを乗せて天へ送っていました。

 

ランタンアートの準備では、かわいい顔を描こうとスタッフの皆さんで何度も修正しながら丁寧にランタンを並べていました。

 

空にいる子どもたちも、地上に輝く笑顔のゴールドリボンを見て、にっこりしているのではないかと思います。

闘病を乗り越えた経験を未来へつなぐ

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体験を伝える菜央さん(右)=つくば市吾妻

 

「病気は誰でもなる可能性がある。少しでも知ることで、経験している人に会った時により心の距離を近くできるし、より助け合える可能性が高くなる」

小児がんで闘病経験をした菜央さんは、ゴールドリボンキャンペーンで行われた映画上映のアフタートークに登壇し、そう訴えました。

 

菜央さんは、入院生活で経験した院内学級や季節のイベントなど「病気と向き合う子どもたちが、その子らしくいられるようにする」取り組みについて紹介しました。

 

小児がんは医療の進歩により、7~8割は治癒が望めるようになったそうです。しかし、学校に戻った子どもたちが直面する問題への理解はまだまだ広がっていない状況です。

 

闘病生活を乗り越えた子どもたちは、疲れやすい体質から「サボっている」と受け取られてしまったり、特別な配慮によって友人との溝を感じてしまったりなど「目に見えない」困りごとを抱えています。

 

菜央さんも「人には言わないけど困っていたこと辛いこともあった」と振り返ります。

 

その困りごとは人によって異なります。「HiStar'Snow★Tsukuba(ヒスターズナウ・ツクバ)」さんの代表・照井さんは「治療を終えた子が安心して戻れる環境を整えることが大切」と理解を呼びかけます。

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レモネードの販売ボランティアをする生徒=つくば市吾妻

 

記者は取材中、子どもたちが同団体のボランティアとして活動する姿を見て、市民への理解が深まっているように感じました。

 

同団体のイベントには、小中学生、高校生、大学生がボランティアとして関わっています。これまでに関わってきた子どもたちは総勢200人を超えるそう。子どもたちはレモネードスタンドに立つことで、時に当事者やご遺族と交流することも。

 

子どもたちにとって「生の声」に触れることは刺激的で、世界が広がる瞬間になっているそうです。このような経験が広がっていくことで、思いやりの輪が広がっていきそうですね。

 

ちなみに、白血病で何度も入院生活をしてきた菜央さんは、現在は認定心理士の資格取得を目指し大学院で学んでいます。

小児がんと向き合った日々やその時の周囲の支えは、明るい未来づくりへつながっているように思います。

日常に憩いの空間を「がんcafeレモンテラス」

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がん患者の集いの場「レモンテラス」=つくば市二宮

 

つくばで小児がんの子どもとその家族をサポートする会「HiStar'Snow★Tsukuba(ヒスターズナウ・ツクバ)」さんは、2021年から活動を開始しました。レモネードスタンドによる小児がん啓発活動のほか、家族でかけがえのない瞬間を残す「家族写真撮影会」や家族で参加する交流イベント、病院でのバルーン装飾などを展開。今年からは入院に付き添うご家族に栄養満点のお弁当を配る活動を開始し、活動の幅を広げています。

 

このような活動を通じ、がん経験者やその家族など多様な立場の人たちと出会い、言葉を交わす機会に恵まれるそうです。そんな出会いの中で「イベントの合間だけでなく、ゆっくりと話せる場所があるといい」と今年6月から始まったのが、がん患者の集いの場である「がんcafeレモンテラス」だそうです。

 

レモンテラスは、「ひふみ杏つくるひとcafe」(つくば市二の宮2-5-20)で、毎週月曜日と金曜日11~15時にオープンしています。

 

小児がんの当事者やご家族たちだけでなく多様な立場の方が集い、相談や情報交換などをしています。今後は、チャリティグッズ作りやアートなど一緒に手を動かしたり、楽しい時間を過ごしたりするイベントも行っていきたいそうです。

 

「親が笑顔で元気だと子どもも笑顔になる」と代表の照井さん。

小児がんの子どものご家族は子どものことを優先しがちだそうですが、ご家族のケアも重要です。レモンテラスでは、みんなが「ほっこり落ち着ける空間」づくりを目指しています。

 

ちなみに、ひふみ杏には「常設レモネードスタンド」もあり、小児がんと向き合う人たちのための寄付を募っています。

将来的にはレモンテラスを常設のカフェにすることが目標だそうです。

 

「がん」は自分や大切な人にとって全く無縁のことではありません。

日常の中で考える時間を作ってみませんか。

ボランティア募集

「HiStar'Snow★Tsukuba」さんでは、年齢を問わずボランティアを募集しています。ご関心のある方は、レモンテラスにお越しくださいませ!

この記事に関するお問い合わせ先

市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897

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