猫と人との共生を目指して、譲渡会やTNRを展開し保護活動を後方支援

更新日:2025年04月21日

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vol.10 一般社団法人ネコスぺ事務局 さん

かわいいだけじゃにゃい!幸せな「猫生」を送るために

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保護された猫たち=つくば市

 

「猫はかわいいだけでなく、かわいそうでもある」

今回は、保護猫の縁結びをする「つくねこ譲渡会」を取材しました。

 

主催するのは、「一般社団法人ネコスぺ事務局」さん。

個人で保護活動をするボランティアさんを支援する後方支援団体さんです。2019年に任意団体として活動を開始し、2023年から一般社団法人となりました。

 

「元々は犬派だった」という代表の大塚さん。

野良猫が多くいる埼玉県宮代町で暮らした際、猫の多頭飼育現場を目の当たりにし、TNR活動をはじめたそうです。(TNRとは、【Trap捕獲する・Neuter不妊手術を行う・Return元の場所に戻す】の頭文字をとった言葉で、野良猫の繁殖を防ぐための取組みです)

 

宮代町では行政と協働し、猫と住民が共生する環境を整えていました。つくば市へ移住した際に「動物福祉が遅れている、地域猫活動が普及していない」と気づき、活動を開始したそうです。

 

ネコスぺ事務局さんは、譲渡会の開催などが難しい個人ボランティアに代わり、譲渡会の運営や活動資金集めなどを展開しています。

 

譲渡会には、全県から保護活動をしている個人ボランティアさんが猫を連れて集まり、来場者に猫たちの性格や背景を説明していました。

 

活動はつくば市のほか、ひたちなか市や東海村などでも実施しています。ただ、猫が幸せに生きていくための“ご縁”探しも容易くはありません。

 

8月4日に市内で行われた譲渡会では、集まった25匹の猫のうち里親が見つかったのは2匹でした。

 

譲渡の条件は「完全室内飼育」「ペット飼育可のおうち」「生涯愛情と責任を持つこと」など。条件が合わない場合は、猫の幸せを考えてお断りすることもあるそうです。

 

そもそもかわいそうな猫を増やさないためにはどうすればよいのでしょうか。

猫を幸せにするまでの険しい道のり

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保護された猫たち=つくば市

 

「頑張れば頑張るほどお金が減っていく」

ネコスぺ事務局代表の大塚さんは、保護活動をするボランティアさんの厳しい現状をこう語ります。

 

保護した猫の治療費、餌代、交通費など、猫たちの命を繋ぐためには多くの費用がかかります。そして、これらの費用は保護活動ボランティアの方々が身銭を切ってまかなっています。

また、命を扱うため24時間対応が必要なことも大変だそう。

 

「それでも命には変わりない。見捨てることはできない」と葛藤しながらも手を差し伸べます。

 

猫の保護活動への理解はまだ十分に広がっていないと感じているそうです。「猫や犬のために妄信的になっていると思われてしまう。でも『ここまでしかできない』と言っていると命を助けられない」と胸中を明かします。

 

ネコスぺ事務局さんでは、個人ボランティアさんを支援する資金を集めるため、ハンドメイド作品の販売や猫版フードドライブ(不要になった猫用品の回収と配布)も展開しています。

 

普段は猫に関わっていない私たちでも、孤独さを抱えながら活動を続けるボランティアさんを応援する方法があります。

まずは親猫の不妊手術!不幸な猫がいない地域へ

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ネコスぺ事務局の方々=つくば市

 

「餌をあげることと不妊手術はワンセット」。

野良猫との付き合い方にはルールがあります。

 

なんと猫は1年に4回出産することも可能。このことを知らずに餌を与え続けると、あっという間に増えて*多頭飼育崩壊へつながってしまうそうです。

 

かわいそうな猫を増やさないために、まずは親猫へのケア(不妊手術)が必要です。

また、地域住民が気持ちよく過ごせるように、餌やりは定時に行い、トイレも設置するなどの環境に配慮したルールも必要です。

 

正しい知識を広めるため、ネコスぺ事務局さんは飼い主のいない猫のTNR相談会(アイラブまちづくり補助事業)やセミナー・勉強会も開催しています。

 

TNR相談会では「手術したいが猫が捕まらない」「ノラ猫を診てくれる病院がない」「近所に猫屋敷がある」などといった悩みが寄せられます。

代表の大塚さんは「相談することで、選択肢を増やしてほしい」と話します。

 

捕まらないから不妊手術ができないことも多いそうで、捕獲器の貸し出しも行います。このほか、自治体と連携した一斉TNR出張手術も実施。今後は、動物共生型コミュニティスペースを作り、多様な人に向けて啓発活動を行っていくそうです。

 

みんなで正しい知識を学び、猫好きも猫嫌いも心地よく暮らせる地域づくりが求められています。

今一度、地域にいる小さな仲間たちに目を向けてみましょう。

多頭飼育崩壊

経済的な困窮など生活が崩壊し、動物の適正な飼育ができなくなる状態のこと。

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