独自のカフェ開設で交流を創出
vol.9 赤塚東山ふれあいネットワーク さん
談笑も情報交換もコーヒーとともに

赤塚東山ネットワークのみなさん=つくば市赤塚
その自治会館の入口には、「コーヒー」と書かれたのぼり旗がはためいています。
ここ赤塚東山自治会館は、毎週月・火曜日(午前10~12時)に地域の人が“カフェ”をオープンしているちょっと変わった場所です。
自治会館の一室に入ると、カフェを運営している「赤塚東山ふれあいネットワーク」のメンバーがお出迎えしてくれました。
コーヒーは、なんと1杯50円……!
お代の小銭は貯金箱の中へ。チャリンと子気味良い音がして、なんだか気分がほぐれます。
レギュラーコーヒーを注文すると、同ネットワークの世話役さんがカプセル式のコーヒーメーカーを使って淹れてくれました。
隣の部屋では、地域の方々がピンポンの練習中。汗を流しては、カフェでゆったりと過ごしていました。
そんなのんびりした時間が流れるこのカフェには地域の情報が集まってきます。
気楽な雰囲気でおしゃべりをする中で地域の情報や悩みごとも共有。介護サービスの利用につながった人もいるそう。コーヒーを楽しむだけでなく、相談もできる場所になっているようですね。
身体づくりのためにピンポンに取り組んでいるという90代の女性は「この場所があって幸せ」と満面の笑みを見せてくれました。80代の女性も「お話できるのが良い。月曜日が待ち遠しい」とにっこり。
カフェ立ち上げの中心人物で相談員をしている大森さんは「気軽に立ち寄ってほしい」と願いを込めます。
カフェの存在が地域の絆づくりに一役買っているようです。
支え合いの仕組みを地域につくる

赤塚東山ネットワークさんの呼びかけで地域の人が集まった=つくば市赤塚
「地域の絆づくり」って具体的にはどうしたら良いのでしょうか。
孤立しやすい人たちの「居場所づくり」や高齢者の見守りなど地域コミュニティの活性化は重要な課題。しかし、見守り体制や人が集う場所を一から作り上げるのは、簡単ではありません。
赤塚東山ふれあいネットワークの大森さんは約10年の活動を振り返り、「やっと軌道に乗って来た」と語ります。
活動の始まりは2014年。大森さんが自治会長を務めている際に「住みやすい自治会」を目指し、高齢者に関わる課題に目を向けたことでした。市や社会福祉協議会へ相談に行き、2015年にはサロンや手助けチームを立ち上げたそうです。
手助けチームは、送迎や庭木の剪定、電気交換など地域の困りごと解決のために駆け付けます。現在は、困りごと解決を無料で依頼するのは利用者の「気が済まない」ということで、利用料を寄付してもらっているそう。
他の地域からの依頼もあるそうで、これからの地域でさらに必要となる活動となりそうです。
また、地域住民の要望でテニスや麻雀といった運動・文化活動も展開しています。ピンポンやグラウンドゴルフ、テニス、将棋など幅広い活動が行われているとのこと。地域の人が教え手になっている場合もあり、住民の得意分野が活かされています。
「立ち話をする人が多くなって防犯もよくなった」と同ネットワークの世話役は地域の変化について話します。地域に顔見知りが増えることで、一人暮らしの高齢者の見守りにもつながっています。
住みやすい自治会にするには?――。
活動の幅を広げながら、同ネットワークは地域に“ちょうどよい”体制や組織づくり模索し続けています。
ふらっと立ち寄れる拠点を地域に

カフェの旗を掲げる赤塚東山ネットワークのメンバー=つくば市赤塚
「周りに住んでいる人と知り合いになれて、地域のためにやったことが自分のためにもなっている」
赤塚東山ふれあいネットワークに関わる住民は、地域との関わり合いの変化をそう語ります。
同ネットワークの位置づけは、自治会役員会の補助組織です。自治会の業務のうち、スポーツ活動やサロンといった「福祉・文化活動」の運営を担当。市や社会福祉協議会の助成金を活用しながら、15人程度の「世話役」で運営をしているそうです。
また、自治会との連携では「納涼祭」を実施しています。
実はこの納涼祭、夏祭りでの毒物混入事件「和歌山毒物カレー事件」(1998年)をきっかけに中止。同ネットワークのサポートもあって15年を経て復活し、今では地域の絆を深める一大イベントとなっているそうです。(ちなみに今年は8月17日の開催だそうです!)
同ネットワークの活動は地域に定着しており、昨年度は延べ3千人が参加。また、自治会加入率は驚異の98%です。
しかし、世話役たちは「もっともっとふらっと来てほしい」と先を見据えます。
誰でも気軽に入れる赤塚自治会館のカフェにいる世話役は、「まだカフェに入りづらいという人もいる。どう最初の一歩を踏み出してもらうかが課題。もっと知ってもらう工夫をしたい」と話します。
同ネットワークについて知ってもらおうと、活動を細かに紹介する「ネットワーク便り」を作成。便りは50号近くに上るそうです。
また、自治会館にはwifi設備を導入しているとのこと。自宅から出るのが大変な人はオンライン会議システム「zoom」を使うことで、おしゃべりなどに参加できるのではないかと考えます。そのためにも、地域でスマートフォンやインターネットの使い方を教え合うことも検討しているそうです。
デジタルもうまく活用することで、さらなる孤立解消につなげたい考えですね。
時代にあった「絆づくり」への挑戦は、これからも続きそうです。
この記事に関するお問い合わせ先
市民部 つくば市民センター
〒305-0031 つくば市吾妻一丁目10番地1
電話:029-855-1171 ファクス:029-852-5897
更新日:2025年01月24日