視覚障害者の学びを陰からサポート、読みやすく正確な点字を追い求めて

更新日:2025年01月24日

ページID: 23182

vol.4 筑波技術大学点訳後援会 さん

点字を通じて見える世界

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点訳ソフトを使って作業を進める会員のみなさん=つくば市天久保

「点訳を通じていろんな世界を見ることができます」

筑波技術大学点訳後援会のボランティアさんは、こう声をそろえます。

 

縦3、横2のマスに打つ点の組み合わせで文字を表現する「点字」。

視覚障害者が文章を読めるよう、活字を点字にする作業を「点訳」と言います。

 

同会は、筑波技術大学に通う学生のテキストや読みたい本の点訳に取り組んでいるボランティア団体さんです。

 

点訳する本の中には国家公務員試験の問題集や医療に関する教科書、英語の文献などがあり、「自分では手に取らない本」を扱うそう。自然とボランティアさんたちは多分野の勉強もします。

 

ボランティアさんの中には、視覚障害に初めて関わる人も少なくありません。活動の一環で、初めて盲導犬に触れたという方もいました。「視覚障害の見え方もいろいろで、弱視の人もいれば全く見えない人もいると知りました」と学びを語ります。

 

「日々勉強」というボランティアさんたちは、学びを楽しんでいる様子です。

 

新しい世界を知るきっかけになることもボランティア活動の魅力ですね。

市民向け点訳講習会からボランティア団体へ

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定例会で作業の進捗などを共有する会員のみなさん=つくば市天久保

視覚障害者の学習に点字は欠かせません。

 

筑波技術大学は視覚障害者や聴覚障害者のための大学。

同大の先生によると、点字ではなく音声で勉強する学生さんが増えているものの、繰り返しの学習や図解で学ぶ際には点字が有効だそうです。

 

筑波技術大学点訳後援会の始まりは、1990年冬から同大で実施していた点訳講習会。この講習会の卒業生が主体的に活動するようになり、現在の団体に成長したそうです。

 

現在は男女27人が活躍中です。点訳に興味があれば誰でも入会でき、先輩ボランティアたちから指導を受けて、点訳ボランティアに加わります。

 

主な活動は、各メンバーが自宅で点訳作業を進め、月に1回の例会で進捗の共有や勉強会などを行います。1冊の点訳はチームで行っており、編集会議や討論を重ねます。

 

点訳する本は学生さんから依頼のあった本や、メンバーがスキルアップのために選んだ本。

 

「入会してから基本的な点訳の勉強はするけれど、実践は違う。いろんなパターンがある」とボランティアさん。「目で見て理解する文章をどうすれば正確に伝えられるのか、ボランティア同士でしっかり話し合います」と点字の本が完成するまでの大変さを語ります。

『読みやすさ』と『正確さ』を追い求めて

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手作業で点字を打つ方法を実演する会員=つくば市天久保

専用の紙の上に一文字一文字点字を打っていく......というのは一昔前の話で、現在はパソコンで自動点訳ソフトを使って点訳の編集を行っているそうです。

 

しかし、機械には限界があり、最終的には人の目で確認しなければなりません。

「きちんと点訳のルールに従って作成されているか」

「理解しやすい文章になっているか」

複数のボランティアさんが繰り返し目を通します。

 

1冊の点訳には半年程度かかるとか。小説を点訳する場合、文章の分量は2~3倍になるそうです。

 

何冊も掛け持ちで点訳をすることもあり、作業に追われることもあるそうです。

 

そんな大変さもありますが、ボランティアさんは「図書館に入るなどして色んな人に見てもらえるのが励み」と笑顔を見せます。

 

手作業やタイプライターで作成していた昔は、一字間違えると1ページやり直し。途方もない作業です。現在は作業が効率化しましたが、読み手に寄り添った点訳への熱量は変わりません。

 

ボランティアさんたちの真心は、目には見えなくても読者に伝わっていると思います。

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