「コスプレ撮影会×地域」で新たな人流を地域に

更新日:2025年08月05日

ページID: 25796

Case. 17 Film&Travel.agcy. (R8まちづくり学校)

地域活性化のアイデアや使命感を持つ人たちが、学校の部活動のような形で集まり、その活動費等を行政が支援する、つくば市の「R8まちづくり学校」。この制度も活用しながら、つくば市内の古民家や神社などを舞台に、コスプレ撮影イベントを企画する Film&Travel.agcy. の綾茶葉(あやちゃば)さんに話を伺いました。

3人の写真

左から Film&Travel.agcy.メンバーの柳田さん、藤島さん、綾茶葉(あやちゃば)さん

コスプレが好きな高校生から生まれた地域活性化のアイデア

Film&Travel.agcy. (フィルムアンドトラベルエージェンシー)は、つくば市の周辺市街地のロケーションの良さに着目し、「コスプレ撮影会」の企画等を行っているチームです。コスプレ撮影会を地域活性化に役立てるというアイデアは、メンバーの綾茶葉(個人名は非公表)さんが高2の時の授業がきっかけで生まれたそうです。「社会的課題を解決するアプリやサービスのアイデアを考える授業で、『つくば市の周辺市街地の活性化』が具体的な課題として掲げられたんです」と振り返ります。

あやちゃばさんの写真

綾茶葉(あやちゃば)さん。茨城県出身、千葉県在住。「綾茶葉」は活動名。高2の時に学校の授業でつくば市の周辺市街地の課題について知り、その後自主的に「R8・シンアイデアソン2023」に参加。市内の風情ある景色や人々に魅力を感じ、高3の時にコスプレ撮影会を古民家「下邑家住宅」で初めて開催。その後、藤島さん、柳田さん達と「Film&Travel.agcy.」を立ち上げる。


「つくば市は、子供の頃に研究機関の見学などに連れて行ってもらった経験はありましたが、周辺市街地のことは授業で初めて知りました。地域振興のために、自分が好きなコスプレの文化を取り入れた撮影会、撮影旅というアイデアをその時に発表しましたが、それだけでは面白くないというか物足りないと思い、実際に何か企画できないかな...という気持ちになりました」と授業をきっかけに、つくば市の周辺市街地の課題を知り、自分のアイデアを実行に移したいという気持ちが生まれたそうです。

綾茶葉さんは、つくば市の「R8・シンアイデアソン」の募集を知り、自主的に2023年度のプログラムに参加します。延べ3日間のワークショップがあり、ほかの参加者とチームを組んで具体的なプランを発表する中で、つくば市内で地域づくりに関わる様々な人達に出会います。

「R8シン・アイデアソン」で所属したチームでは、コスプレ撮影会の提案発表はしなかったそうですが、藤島さんや柳田さんなど、出会った方々に綾茶葉さんの構想を話したら「ぜひ実現しましょう、お手伝いしますよ」と共感してくれたそうです。

新アイデアソンのチラシの表面

綾茶葉さんが応募した「つくばR8シン・アイデアソン」のチラシ

チラシの裏面

アイデアソンが終わり、高2から高3になった綾茶葉さんは、2024年の春にコスプレ撮影会を自分で開催してみることにしました。つくば市栗原にある「下邑家住宅」という古民家でイベントなどを企画する下村さんと知り合い、相談したところ、撮影会場として貸していただけることになりました。

綾茶葉さんは、自らもコスプレをするだけでなく、一眼レフカメラで他のコスプレ仲間の撮影をすることも好きでイベントのお手伝いなどもしていました。撮影会のことは参加者としてある程度は熟知していましたが、主催するのはもちろん初めてのことでした。

撮影会では、コスプレイヤーやフォトグラファーの方々に注意事項を説明したり、参加者の体調、会場を借りている方々への配慮、トラブル時の対応など、参加者の立場とは異なり、様々な責任がのしかかってきます。

最初から全て一人で実行することはプロでも中々難しいことですが、下邑家住宅は、つくば市内で先駆けて個人のコスプレ撮影を受け入れ、伝統建築の活用を進めてきた場所です。初めて撮影会を開催する立場として、コスプレ文化に対する理解と実績がある会場は安心感がありました。またアイデアソンで意気投合した人たちが約束通り、綾茶葉さんのイベントをサポートしてくれたと綾茶葉さんは言います。

説明をする藤島さんと柳田さん

撮影会で参加したフォトグラファーに事前説明をする藤島さんと柳田さん(2025年6月、金村別雷神社)

「アイデアソンでご一緒した藤島さんや柳田さん達が、車を出してくださったり、スタッフとして手伝ってくださいました。会場も素晴らしく、参加者にもとても好評で、撮影会は無事、成功することができました」と初めて実行した時のことを語ります。そしてこの開催をきっかけに、綾茶葉さん、藤島さんや柳田さんをはじめ、有志のメンバーが加わり「Film&Travel.agcy.」という撮影会の活動を中心としたグループが生まれます。

撮影するレイヤーさんとカメラマン

絵になる構図をゆったりと探しながらフォトセッションに集中できるロケーションは、参加するコスプレイヤーやフォトグラファーに高い需要がある。参加者は全員、イベントがきっかけで初めてつくば市に訪れた方々。(2025年6月、金村別雷神社)

コスプレ文化と周辺市街地の「ニーズ」をマッチング

コスプレ文化は、日本はもとより漫画やアニメの文化が人気がある海外にも広がっています。一方で、日本のコスプレ愛好者の悩みは、気軽に撮影できる場所、撮影に集中できる場所が少ないことと言われます。

レイヤーさん達とあやちゃばさん

「コスプレ撮影をする時、周りに人の目がないことや、作品として映り込んでほしくないモノや一般の方が入らない場所は、とても貴重です。都市部で撮影しようと思っても、公共の場所はもちろん、商業地でも特別なイベントの機会でもない限りは、基本的に難しいですし、撮影場所を見つけるのが実は大変です。

その点、周辺市街地は空が広く、自然も豊かで風情のある景色は魅力です。土日でも出歩いている人があまりいないという課題がありますが、逆にロケ地としては大きな価値があります。モデルと撮影者が、のんびり落ち着いてロケハンをしながら撮影ができる、それだけでも、つくばに訪れる価値が十分にあると思います」とコスプレ文化を深く理解する綾茶葉さんは語ります。

神社拝殿の天井の先代の宮司さんによる絵
境内の写真
境内で案内する藤島さん

どこを切り取っても絵になる金村別雷神社。神社の宮司さんをはじめ、上郷市街地活性化協議会の皆さんもこのイベント開催に全面的に協力され、有志の皆さんの手で普段から境内は良く手入れされており、この日のために改めて草取りなども事前に行われたそうです。


藤島さんは「撮影会は、コスプレをする人だけではなく、撮影が趣味のフォトグラファーも参加しますので、1回のイベントで10〜20人程度のお客様が集まります。今の所はロケ地の手配のみ行っていますが、今後は地元のグルメやお土産など色々楽しんでいただけるようにしていきたいと思っています」と、実際に撮影会を実行した手応えから、次なる目標や展望も見えてきます。

周辺市街地のロケーションと撮影体験の素晴らしさを、もっと多くの人に

これまで、つくば市小田地区にある旧小田小学校で1回、上郷地区の金村別雷神社でプロモーションを兼ねた撮影会を含めて2回、合計3回のコスプレ撮影会を開催しています。「もっと沢山の人に、この金村別雷神社のように素晴らしいロケーションがあることを知っていただきたいですし、ぜひお越しいただきたいです」と綾茶葉さんは語ります。

境内でポーズを取るレイヤーさん

また、今後の展望は「コスプレは化粧など準備にどうしても時間がかかるので、朝が早いと大変です。つくばには前日入りできるとかなり楽になるので、素泊まりでリーズナブルに泊まれる宿泊先をコスプレをする人向けに準備できたら良いなと思っています。また、市内のロケーションももっと開拓したいですね。ロケ場所は寺社仏閣や古民家に限らず、森林もいいんです。茎崎地区にあるつくば市の「高崎自然の森」は利用者はいらっしゃいますが、人が少ないエリアでは人工物も少なくて素晴らしい撮影体験ができる場所ではないかと思っています」

コスプレと撮影旅の組み合わせは、人がいないことを価値に変換できる可能性を持った取り組みとも言えます。

「もっとたくさんの人をつくばに呼びたいですね」と最後に綾茶葉さんは語りました。

チームの皆さんが談笑する様子

Film&Travel.agcy. (フィルムアンドトラベルエージェンシー)

インスタグラム


「つくばR8まちづくり学校」とは

つくば市は、少子高齢化が進む市内の各地域のうち、8つの旧市街地を「周辺市街地(愛称:R8)」として、その活性化に力を入れています。自走していくことを目指して、地域の人々が中心となって活動し、市はそのサポートを行う形で、R8の各地域に活力を持った新たな動き、人の繋がりが生まれています。

まちづくりに関心のある人を、もっと広く市の内外から集めて、「部活動」のような感覚で、地域でやってみたいことを気軽に挑戦できる制度「つくばR8まちづくり学校」を2024年度から開始し、現在、様々な自主プロジェクトが進行しています。

この記事に関するお問い合わせ先

市長公室 広報戦略課
〒305-8555 つくば市研究学園一丁目1番地1
電話:029-883-1111(代表) ファクス:029-868-7628

お問い合わせは専用フォームをご利用ください。