いろんな「地元」を楽しむ、「おでかけjourney」のすすめ

更新日:2026年03月24日

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株式会社ラールアワーの皆さんとつくば観光大使の鉄谷さん

【左から】ラール・アワーの春日井さん、菊池さん、谷島さん、つくば観光大使の鉄谷さん

誰かに伝えたくなるような、つくばの魅力に「おでかけ感覚」で出会える旅。約2年をかけて、市内周遊観光モデルコース「TSUKUBAおでかけjourney!」の開発に携わった株式会社ラール・アワーのみなさんにお話を伺いました。
(聞き手:第 17・18代つくば観光大使 鉄谷美樹さん)

ローカルツアー専門の旅行会社「ラール・アワー」について

茨城・つくばの魅力とは何か?外側から再発見した4人が集結

ラールアワー代表取締役の菊池さん

菊池真由美さん(株式会社ラールアワー代表取締役・つくば市出身)

鉄谷大使:はじめにメンバーの皆さんについて教えてください。

菊池さん:私は大手旅行会社で、メディアで販売する海外旅行などを企画する仕事に15年ほど携わっていました。楽しんで仕事をしていましたが、ある時から、地元や地域の活性化に繋がるような旅行業をやってみたいと考えるようになり、2020年に出身地のつくばに都内からUターンして「株式会社ラール・アワー」を創業しました。

「TSUKUBAおでかけjourney!」を通じて、つくばの観光に携われることに非常に意義を感じながら、務めさせていただいています。

ラールアワーの谷島さん

谷島直哉さん(ローカルクリエーター/桜川市(旧真壁町)出身)

谷島さん:私はコロナ禍をきっかけに、筑西市の地域おこし協力隊に応募し、自転車の活用推進に取り組む傍ら、ラール・アワーにメンバーとして参加し、主にサイクルツーリズムを担当しています。地元は桜川市で、都内に就職後、休日は乗り物で小旅行に出かけることが長年の趣味です。特に自転車にはまり、好きでずっと乗っています。

ラールアワーの春日井さん

春日井順子さん(コンテンツプランナー/つくば市(旧茎崎町)出身)


春日井さん:私は、ラール・アワーのPRに関する制作物のデザインやイラスト等のプランニングを担当しています。都内で就職し、Webや印刷物の制作に携わってきました。現在は子育てをしながら都内に住んでいます。菊池さんとは高校の同級生で、「菊池さんがつくばで事業を始めた」と聞いて参加し、故郷であるつくば市の仕事を一緒にできて楽しんでいます。

曽我さん

曽我富子さん(ツアーコーディネーター・東京都出身)


菊池さん:あと、今日は来られなかったツアーコーディネーターの曽我さんを含めて、ラール・アワーの主要メンバーは4人となります。曽我さんは、旅行会社のときから一緒に働いていた方で、ツアーガイドや関係会社等との調整を主に担当されています。ご出身は都内なのですが守谷市に移住されてからは「茨城の活性化に繋がる旅行に携わりたい!」ということで今一緒にやっています。

インタビューをする鉄谷さん

第17・18代つくば観光大使の鉄谷美樹さん(つくば市出身)

鉄谷大使:谷島さんも、元々お知り合いだったのでしょうか?

菊池さん:谷島さんとは、ラール・アワーを立ち上げてから最初の頃に企画した、古民家を活用したサイクリングツアーに参加されたのがきっかけです。自転車を使って旅をすることは従来型の観光とは違う発見の仕方ができ、ラール・アワーとしてこれから強化したいと思っていたときで、他のツアーにもアドバイザー的に参加された後、サイクルツーリズムを推進していただくようになりました。

「おでかけjourney」というコンセプトが生まれた背景

観光資源を「地域」から

鉄谷さんの質問に答える谷島さん

鉄谷大使:「TSUKUBAおでかけjourney!」という企画がつくば市で立ち上がった背景について教えてください。

菊池さん:委託元である観光推進課では様々な観光の課題を抱えていました。例えば、筑波山観光はつくば市の観光客の約6割を占めているといわれていますが、訪れた方が飲食やお土産の購入の際、市内の他のエリアを巡るといった波及効果が限定的であることが長年の課題とされてきました。また、筑波山以外のエリアについては研究機関の見学などは知名度がありますが、古くからの街並みが残る「周辺市街地」などの魅力に関するPRや、地域を周遊するために必要な情報が不足していることも課題として挙げられていました。これらの課題を解決する企画として周遊コースの造成企画が立ち上がったと聞いています。

鉄谷さん:そこで「ローカル旅」が着目されたわけですね。

菊池さん:はい。ラール・アワーは創業時から、地元の方との繋がりがなければ体験できないような、ガイドブックやウェブサイトには載っていないツアーを専門的に企画してきました。それらの取組が課題解決に生きるのではということで行政に着目されたことが、この企画の発端になったのかなと思っています。

鉄谷さん:どのような形で企画が進んでいったのでしょうか。

菊池さん:プロポーザル提案により、「市内の各エリアを周遊するコース作り」を受託することになりました。既存の観光情報以外に、どういった地域資源があるのか、その地域にしか知られていないものや市外の方が面白いと思うものは何か、などを改めてリストアップする必要がありました。そのため、まずは地域に眠る資源を徹底的に調査することから始めました。

コンセプト作成のために手書きで資源をメモしたマップ

コンセプトを作るために手書きで資源をメモしたマップ


菊池さん:まずは、メンバーで手分けして、市内およそ230か所のスポットに足を運び、地道な調査を重ね、各スポットに関する情報を収集しました。これらの膨大な量の情報を書き込んだカルテがコース作りの土台となりました。

情報が詰め込まれたファイル

各スポットの情報が詰め込まれたファイルの一部


鉄谷さん:周遊コースのターゲット層はどのような設定なんでしょうか。

菊池さん:当初の仕様では、市民(特に、近年人口が急増しているTX沿線の新しい市民)と、筑波山来訪者の上位に挙がる埼玉県、千葉県、東京都等の住民をターゲットとしていました。その中でも私たちは、つくば市への移住者に多いファミリー層、特に30〜40代の女性にターゲットを設定しました。当初、コンセプトの仮称を『つくばおでかけベルト』と呼んでいました。これは市の周辺部のスポット候補がまるで工業地帯を表現する「ベルト地帯」のように集まって見えることからです。市の中心部から周遊していただくにはどうすれば良いかという視点で、数ヵ月かけて、コンセプトを固めていきました。

鉄谷さん:「TSUKUBAおでかけjourney!」のロゴの周囲を巻いている楕円の二重線は「ベルト」なんですね。普段は写真で紹介されている場所がイラストになっているのもオシャレです。

菊池さん:はい。このコンセプトを形にしたのが、春日井さんが作成したデザインです。

春日井さん:行政の観光関係のメインビジュアルは「写真」であることが多いと思います。そこを敢えて手描きのイラストをメインにしました。写真よりもイラストの方が、見る人の主観というか『自分ごと』として捉えやすいのではないかと。また、ロケットや筑波山といった、つくば市の代表的なランドマークではなく、なるべくつくば市っぽくないもの、長屋門など地域の風景、アウトドアなど体験的な要素で構成しています。

鉄谷さん:なるほど、これまでのつくば市の観光のイメージを刷新することも意図的に考えて、デザインされているんですね。

春日井さんが作成したデザイン

春日井さんが作成したデザイン

テーマで巡る6つのコース

菊池さん:「TSUKUBAおでかけjourney!」では、2026年1月現在、6つのモデルコースが公開されています。いずれのコースも4つのテーマ(「初めてのつくば」「自然と楽しむ」「文化を深める」「地域を知る」)で目的地や立ち寄りスポット、移動手段が設定されているのが特徴です。

鉄谷さん:コースはテーマに沿って設計されているんですね!

菊池さん:はい。例えば「自然と楽しむ」テーマでは、親子で自然体験を楽しむ「牛久沼エリアで過ごす初夏の思い出づくり」「手ぶらで筑波山麓サイクリング」が、「文化を深める」テーマでは、古民家や蔵を巡る「古民家・長屋門とこだわりのリトルショップ」など、多様な楽しみ方ができるコースが設定されています。

鉄谷さん:何か具体的に例を挙げていただけますか?

菊池さん:はい。各エリアで特色のあるコンテンツを一つ決め、そこにどういう方に来ていただきたいかなどの要素を組み合わせてコースを選定していきました。牛久沼エリアを例に挙げると、このあたりは農地が多く、有機栽培に取り組んでいる農家さんが体験イベントを行っていることを調査で知りました。それを切り口にして、キャンプ場でのバーベキュー体験などを組み合わせ、自然の中で親子で体験していただくコースを設定するといった感じです。

鉄谷さん:なるほど、単独の目的地だけでなく、複数のスポットを組み合わせることで体験できることも各コースで提案してくださっているのですね。

4つのテーマに基づいたコース設定

4つのテーマと、各テーマに基づいたコース設定

「ここに来たかった!」ガイド付きツアーで見えた確かな手応え

鉄谷さん:2025年度は、実際に各コースを回って様々な体験が楽しめる「有料モニターツアー」を、合計8回実施されました。サイクリングツアーでガイドを務めた谷島さんに印象に残ったことを伺いたいと思います。

谷島さん:つくば市観光推進課の委託を受けて、自転車を使ったサイクリングツアーを3回(2025年5月と10月の有料モニターツアー、11月の自転車走行体験ツアー含む)実施しました。

中でも印象に残っているのが、一番最初に開催した5月の「親子で楽しむ手ぶらで筑波山麓サイクリング」という企画です。コースに入っている「平沢官衙遺跡」は市内では有名なスポットですが、参加者から『初めて来ました』という声が多く聞かれました。

鉄谷さん:私もそのツアーに参加させていただきました。遺跡のことは子供の頃から知っていて観光大使になる前に何度か訪れていますが、一度も足を運んだことがない市民の方が結構いらっしゃることが意外でした。

谷島さん:そうですよね。参加した小学生の女の子が、平沢官衙遺跡に着いた途端「ここにどれだけ来たかったことか!」と言って、ワーッと芝生の丘を駆け上がっていったんです。その本当に楽しそうな姿を見て、このツアーをやって良かった!と心から思いました。

このツアーでは、小道具として「虫眼鏡」を用意し、遺跡で歴史を知るだけでなく足元の植物や生き物をじっくり観察していただきました。建物を見学するだけでなくプラスアルファとして「虫眼鏡」で遺跡の地面を観察する機会は中々ないと思いますが、こちらも参加者に喜んでいただけて嬉しかったですね。また、サイクリングツアーは、参加者同士がすぐに打ち解けるのが特徴です。今回のツアーでも、参加したファミリーの子どもたちが仲良く楽しむ様子がとても印象的でした。

小学生の女の子のエピソードを話す谷島さん

鉄谷さん:モニターツアーに参加された方の感想はどんな感じだったのでしょうか。(10月の取材時点では5回開催)

菊池さん:モニターツアーに参加した方へのアンケートに「こういうツアーを待っていた」「つくばの宝を探すことができた」といった声が寄せられ、私たちが提案する「おでかけ旅」のコンセプトに手応えを感じることができました。

一方で、「ガイドがいて安心して楽しめた」という声も多数いただき、やはりガイドさんの案内があると旅の体験がぐっと深まるのだなと実感する部分もありました。周遊コースは、基本的に通常は各自で回っていただく形ですが、ガイドさんがいない状態でもできるだけ深く、旅を体験していただけるようにするにはどうすれば良いかなど、コースの紹介方法などで、どのような配慮や工夫ができるか、引き続き考えていく必要があると思いました。

谷島さんの回答をメモする鉄谷さん

ラール・アワーの考えるこれからとは?

菊池さん:現在の周遊コースは6本ありますが、候補となる場所やテーマは、まだまだたくさんあります。つくば市観光推進課では、周遊コースをさらに増やしていくことを検討されていると伺っています。

鉄谷さん:ラール・アワーさんとしてはどのような展開を考えていらっしゃるのでしょうか。

菊池さん:普段ラール・アワーが催行しているローカル旅の舞台は、県南地域がメインとなっていますが、巡るエリアは行政区分に関わらず、つくば市周辺地域の広いエリアで繋がりを生む旅を提供しています。

旅は「非日常の体験」と言われますが、それは住んでいる街の中でも作り出せるものと私たちは考えています。誰と、どのように訪れるかで、見慣れた景色も全く違うものになるのではないのでしょうか。

鉄谷さん:その視点はまちづくり」にも大きく貢献しているのではと思います。

菊池さん:私たちは「自分が楽しいと思うことを共有したい」という思いで、メンバーの皆さんと一緒に旅の企画を考えたり、ツアーを実施してきました。いわゆる「まちづくり」を目的とはしていませんが、結果的に茨城のローカルな地域に貢献できたらとは考えています。これからも、つくばの魅力を発信していきます。

鉄谷さん:ラール・アワーの皆様、本日はありがとうございました。

この先の未来について話す菊池さん
株式会社ラールアワーのみなさん
TSUKUBAおでかけjourney!のリーフレットとコース開発のために作成した調査資料
TSUKUBAおでかけjourney!のポスター

TSUKUBAおでかけjourney! の「journey」という言葉には、単なる「旅」ではなく、つくば市民としての「生涯の道程」という意味が込められているそうです。

こうした体験を通じて街に愛着を持ってもらい、一度は東京などに出ても、いつかまたつくばに戻ってきてくれる、そんな未来に繋げていけたらとも菊池さんは語られていました。

皆さんも、次の休日はつくば市の身近な場所から、いつもとは違う「おでかけ」を楽しんでみてはいかがでしょうか。その際は、ぜひ「TSUKUBAおでかけjourney!」のホームページにある周遊コースを検討してみてくださいね!

取材・文:鉄谷美樹(第17・18代つくば観光大使)
編集・写真撮影:つくば市広報戦略課
企画協力:つくば観光コンベンション協会

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