パブリックコメント資料 つくば市バリアフリーマスタープラン(案) 令和6年(2024年) 月 目 次 第1章 つくば市バリアフリーマスタープランの策定にあたって 1-1 策定の背景と目的..................................................1 1-2 バリアフリー法におけるこれまでの経緯..............................1 1-3 マスタープラン制度の概要..........................................2 1-4 対象区域..........................................................3 1-5 計画の位置づけ....................................................3 第2章 つくば市の現況と課題 2-1 つくば市の現況....................................................4 2-2 市民アンケート調査................................................11 2-3 関係団体ヒアリング調査............................................18 2-4 まち歩き点検......................................................24 2-5 バリアフリー化における課題整理....................................46 第3章 バリアフリー化に向けた基本的な考え方 3-1 基本理念..........................................................53 3-2 基本方針..........................................................53 3-3 施策の体系図......................................................55 3-4 関連施策..........................................................56 第4章 つくば市における移動等円滑化促進地区 4-1 移動等円滑化促進地区とは..........................................61 4-2 移動等円滑化促進地区における候補地区の選定........................63 4-3 生活関連施設および生活関連経路の設定..............................71 4-4 移動等円滑化促進地区の設定........................................74 4-5 届出制度とは......................................................87 4-6 届出制度の対象の指定..............................................89 第5章 心のバリアフリー 5-1 心のバリアフリーの必要性..........................................93 5-2 バリアフリー施設の適正な利用......................................95 5-3 心のバリアフリーに関する基礎調査結果.............................100 5-4 心のバリアフリーの推進に向けた取り組み...........................104 第6章 バリアフリーマスタープランの評価・見直し......................111 巻末資料..............................................................112 第1章 つくば市バリアフリーマスタープランの策定にあたって 1-1 策定の背景と目的 国においては、全ての国民が共生する社会の実現を目指し、バリアフリー化の推進をはじめ、誰もが包摂され活躍できる社会の実現に向けた取り組みを進めています。バリアフリー化にあたっては、障害の有無にかかわらず誰もが平等に社会参加できる社会を目指すノーマライゼーションの理念や、「どこでも、誰でも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に基づいた上で、その推進が図られています。また、バリアフリー化に向けた取り組みは、高齢者や障害者だけでなく、子供や妊産婦など、多様な人々の利便性や快適性を高め、誰もが暮らしやすい社会を実現するための重要な取り組みとなります。 つくば市全域における一体的なバリアフリー化を実現させるためには、市民・行政・学校・研究機関・事業者・関係団体などの様々な関係者がしっかりとつながることが重要です。市としてのバリアフリー化の基本的な方針を定めることで、各関係者におけるバリアフリー化に向けた認識が共有され、しっかりとつながることへの第一歩となります。 このような背景を踏まえ、つくば市におけるバリアフリー化に向けた取り組みを加速させ、誰もが安心して自分らしく生活できる持続可能なまちの実現を目的として、「つくば市バリアフリーマスタープラン(以下、マスタープランという。)」を策定します。 1-2 バリアフリー法におけるこれまでの経緯 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下、バリアフリー法という。)」は、平成18年(2006年)にハートビル法と交通バリアフリー法が統合され、新たに制定されました。その後、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定が契機となり、平成30年(2018年)に改正バリアフリー法が施行され、各自治体におけるバリアフリー化の方針を示すマスタープラン制度が創設されました。さらに、ソフト面の対策強化や心のバリアフリーの取り組みの推進を図るため、令和2年(2020年)の法改正で、公共交通事業者等に対するソフト基準(スロープ板の適切な操作、明るさの確保等)への適合義務が設けられています。また、国民に向けた広報啓発の取り組みとして、「車両の優先席、車いす用駐車施設、障害者用トイレ等の適正な利用の推進」が国や国民等の責務として規定されたほか、市町村等による「心のバリアフリー」の推進に関する内容が盛り込まれました。 ハートビル法(平成6年) 建築物のバリアフリー化を促進するための法律 交通バリアフリー法(平成12年) 旅客施設や車両等のバリアフリー化を促進するための法律 統合・拡充 バリアフリー法(平成18年) 建築物、公共交通、道路、路外駐車場 、都市公園等の面的なバリアフリー化を促進するための法律 改正バリアフリー法(平成30年・令和2年) さらなるバリアフリー化を推進するための法改正 ・バリアフリー化の方針を示すマスタープラン制度を創設。マスタープランの策定を努力義務化等、ソフト面の対策強化の必要性から改正 ・公共交通事業者等に対するソフト基準(スロープ板の適切な操作、明るさの確保等)への適合を義務化 ・広報啓発の取り組みとして「車両の優先席、車いす用駐車施設、障害者用トイレ等の適正な利用の推進」が国や国民等の責務として規定 ・マスタープランの記載事項として心のバリアフリーに関する事項を追加等 1-3 マスタープラン制度の概要 マスタープランとは、バリアフリー法に基づいた計画であり、旅客施設を中心とした地区や、高齢者や障害者等が利用する施設が集積している地区を移動等円滑化促進地区として設定するとともに、市域全域におけるバリアフリー化の方針を示すものです。 1-4 対象区域 全市的なバリアフリー化の促進に関する基本的な方針として、対象区域をつくば市全域とします。 1-5 計画の位置づけ マスタープランは、市の上位計画ならびに関連する各種計画との整合をとりながら、総合的なバリアフリー化の推進を図ります。 つくば市バリアフリーマスタープラン(移動等円滑化促進方針) 上位計画 つくば市未来構想・戦略プラン 関連計画 都市計画マスタープラン 立地適正化計画 中心市街地まちづくり戦略 地域公共交通計画 公共施設等総合管理計画 子ども・子育て支援プラン 障害者プラン 高齢者福祉計画 など 第2章 つくば市の現況と課題 2−1 つくば市の現況 各種統計等のデータをもとに、本市の現状について以下に整理します。 (1)人口の推移 つくば市の人口は増加傾向にあり、令和4年(2022年)10月1日現在において251,208人となっています。なお、世帯数は114,092世帯、一世帯あたりの人員数は2.20人となっています。 人口は今後も増加する見込みですが、令和17年(2035年)を境に減少することが予想されています。また、令和27年(2045年)には、約3人に1人が高齢者となる見込みです。 図1 つくば市の人口及び世帯数の推移 出典:統計つくば(各年10月1日現在) 図2 つくば市の年齢別人口と将来の見通し 出典:国立社会保障・人口問題研究所、国勢調査(各年10月1日現在) (2)人口推計メッシュ 人口推計500mメッシュでは、平成22年(2010年)と比較して令和12年(2030年)の人口は、つくばエクスプレス鉄道駅及び周辺市街地の拠点となるエリアにおいて、増加する見込みがあります。 図3 2010−2030年地域別人口増減割合 出典:つくば市未来構想(2020年3月、社人研推計) (3)障害者数 身体障害者手帳所持者数は、令和4年度(2022年度)では5,106人となっています。所持者数は年々増加傾向にありますが、本市の総人口に占める割合(総人口比)は年々減少しています。療育手帳所持者数及び精神障害者保健福祉手帳所持者数は、人数及び総人口比のいずれも増加しています。 表1 障害者手帳所持者数の推移 2017 2018 2019 2020 2021 2022 H29 H30 R1 R2 R3 R4 総人口 人数 229,404 232,894 236,842 240,383 245,511 251,208 身体障害者 手帳所持者数 人数 4,929 4,950 5,039 5,054 5,076 5,106 総人口比 2.15% 2.13% 2.13% 2.10% 2.07% 2.03% 療育手帳所持者数 人数 1,178 1,194 1,231 1,293 1,333 1,392 総人口比 0.51% 0.51% 0.52% 0.54% 0.54% 0.55% 精神障害者保健福祉 手帳所持者数 人数 1,049 1,122 1,195 1,365 1,476 1,658 総人口比 0.46% 0.48% 0.50% 0.57% 0.60% 0.66% 出典:つくば市障害者プラン (4)要支援・要介護認定者数 要支援・要介護認定者数(第2号被保険者含む)の総数は、令和4年(2022年)10月1日現在において7,876人となっており、令和3年(2021年)まで増加傾向でしたが令和4年(2022年)に減少しています。 図4 要支援・要介護認定者数の推移(各年10月1日時点) 出典:高齢者統計データ (5)外国人住民数 外国人住民数の総数は、令和4年(2022年)10月1日現在において11,721人となっています。令和3年(2021年)から令和4年(2022年)にかけて、大きく増加しています。 図5 外国人住民数の推移(各年10月1日時点) 出典:統計つくば (6)出生数 出生数は、令和4年(2022年)1月1日現在において2,189人となっています。令和元年(2019年)から令和2年(2020年)にかけて大きく落ち込みましたが、令和2年(2020年)以降は増加傾向となっています。 図6 出生数の推移(外国人を除く出生数、各年1月1日時点) 出典:住民基本台帳 (7)鉄道利用者数 市内にはつくばエクスプレス線の4駅(つくば駅、研究学園駅、万博記念公園駅、みどりの駅)が立地しています。令和4年度(2022年度)では、1日当たりの平均利用者数はつくば駅が最も多く15,400人となっています。 図7 つくばエクスプレス駅の乗降者数の推移 出典:首都圏新都市鉄道(株)1日平均乗車人員年度別データ(単位千人/日) (8)路線バス利用者数 つくば市内における路線バスは、関東鉄道株式会社、関鉄パープルバス株式会社、ジェイアールバス関東株式会社の3社が運行しています。 図8 路線バス路線図 出典:つくば市地域交通計画 表2 関鉄バスの平日及び休日の乗降客数と上位10位の停留所名 順位 停留所名 平日乗降客数 (日/人) 停留所名 日曜乗降客数 (日/人) 1 つくばセンター 8,235 つくばセンター 5,889 2 学園並木 632 イオンモールつくば 797 3 並木二丁目 543 学園並木 444 4 筑波大学中央 504 筑波山口 325 5 第一エリア前 441 平砂学生宿舎前 265 6 第三エリア前 405 つつじケ丘 261 7 イオンモールつくば 376 筑波山神社入口 221 8 筑波メディカルセンター 359 天久保三丁目 207 9 平砂学生宿舎前 270 天久保二丁目 201 10 筑波大学病院入口 247 一ノ矢学生宿舎前 190 出典:つくば市地域交通計画(データ:関東鉄道 バス利用者数調査2023年7月) (9)コミュニティバス利用者数 コミュニティバス「つくバス」は北部・小田・作岡・吉沼・上郷・西部・南部・谷田部・自由ケ丘・茎崎の計10路線を運行しています。令和元年度(2019年度)の利用者数と比較すると9割以上の回復が見られました。同様に、デマンド型交通である「つくタク」の利用者数も令和元年度(2019年度)の利用者数と比較すると9割程度の水準です。 図9 路線バス路線図 出典:つくば市地域交通計画 図10 つくバス・つくタクの年度別利用者数の推移 出典:統計つくば(データ:つくバス・つくタク年度別利用者数) 2−2 市民アンケート調査   マスタープランの策定にあたり、市民の日常的な外出行動やバリアフリーに対する意識を把握するためのアンケート調査を実施しました。 (1)市民アンケート調査概要 調査期間 令和4年(2022年)11月10日(木)〜12月9日(金) 調査対象 住民基本台帳に登録のある方のうち高校生以上を無作為抽出 ※高校生以上:平成18年(2006年)4月2日以降に生まれた者 ※本市における性別、年代、居住地区の人口構成に応じて按分 配布数 3,100部 回収数(率) 1,039部(33.5%) 調査項目 ・基本属性(性別、年齢、介助状況など) ・外出に関する質問(外出頻度、訪問する市内の施設、交通手段、徒歩移動時に使用する道具など) ・バリアフリーに関する質問(用語の認知度、施設のバリアフリー化への評価、バリアフリーに関して困った経験、バリアフリーのまちづくりに必要なことなど) (2)市民アンケート調査結果の概要 @年代 回答者の年代は、40代、50代、70代がそれぞれ約17%おり、続く60代が約16%、30代が約12%となっています。なお、10代、20代はそれぞれ全体の4〜7%程度にとどまっています。 回答数 割合(%) 1 16〜19歳 41 3.9 2 20〜29歳 70 6.7 3 30〜39歳 128 12.3 4 40〜49歳 178 17.1 5 50〜59歳 175 16.8 6 60〜69歳 161 15.5 7 70〜79歳 172 16.6 8 80歳以上 90 8.7 無回答 23 2.2 年代(n=1039) A居住地区 回答者の居住地(中学校区)は、谷田部の割合が9.4%と最も割合が高く、8%程度の茎崎、桜、秀峰筑波、谷田部東が続きます。 回答数 割合(%) 1 大穂 74 7.1 2 豊里 70 6.7 3 谷田部 98 9.4 4 高山 43 4.1 5 手代木 75 7.2 6 谷田部東 80 7.7 7 桜 82 7.9 8 竹園東 67 6.4 9 並木 56 5.4 10 吾妻 35 3.4 11 茎崎 84 8.1 12 高崎 21 2.0 13 春日学園 47 4.5 14 秀峰筑波 81 7.8 15 学園の森 48 4.6 16 みどりの学園 27 2.6 17 その他 17 1.6 無回答 31 3.0 居住地(n=1039) B外出頻度 約55%の回答者が、「ほとんど毎日」外出していると回答しています。また、週2回以上の人を合わせると約90%であり、ほとんどの人が日常的に外出していることがわかります。 回答数 割合(%) 1 ほとんど毎日 567 54.6 2 週4〜5日 153 14.7 3 週2〜3日 198 19.1 4 週1日程度 62 6.0 5 月に2〜3日以下 29 2.8 6 ほとんど外出しない 19 1.8 無回答 11 1.1 外出頻度(n=1039)   C月1回以上訪問する地域 最も多くの人が、「月1回以上訪問する」地区は研究学園駅周辺であり、これにつくば駅周辺が続きます。市役所や商業施設が集積する研究学園駅周辺、そして、つくばエクスプレス線と路線バスの結節点であり、図書館をはじめとする公共施設・金融機関・商業施設など様々施設が集積するつくば駅周辺は、市民が集う地域となっていることがわかります。 また、大曽根や谷田部、万博記念公園駅周辺、みどりの駅周辺を訪れる人がそれぞれ1割程度あります。これらの地区は、住宅街とスーパーマーケットなどの商業施設が混在する地区であり、多くの人が集まる中心市街地ではなく、生活・暮らしの拠点となっていると考えられます。 主な外出先(複数回答可、n=1039) D月1回以上訪問する施設 「月1回以上利用する施設」として、約90%の回答者が月に1回以上商業施設を利用しています。利用する人の割合が高い施設として、金融機関約36%、医療施設約29%となっています。 訪問する施設(複数回答可、n=1039) Eつくば市内での移動における交通手段 つくば市内での外出における主な交通手段は、自動車(自分で運転)であり約71%の人が利用しています。続いて自動車(同乗)、徒歩、自転車の割合が高くなっています。 つくば市内での移動における交通手段(複数回答可、n=1039) F“バリアフリー”の認知度  「バリアフリー」という言葉を聞いたことがある人は約97%であり、全体の約92%がその意味も理解していると回答しています。一方で、言葉も意味も知らない人は約2%となっています。 “バリアフリー”の認知度(n=1039) G“心のバリアフリー”の認知度  「バリアフリー」という言葉を聞いたことがある人が約97%だったのに対し、「心のバリアフリー」を聞いたことがある人は約61%であり、その意味を知っている人は約42%でした。「バリアフリー」と比べて、「心のバリアフリー」を知っている人の割合が少ないことがわかります。 “心のバリアフリー”の認知度(n=1039) Hバリアフリー状況 最もバリアフリー化が進んでいると感じる施設は市役所であり、次に駅の周辺・医療施設が続きます。一方で、観光拠点や運動施設などにおけるバリアフリーが進んでいると感じられていません。 バリアフリー状況(n=1039) Iバリアフリーのまちづくりのために必要だと思うこと バリアフリーのまちづくりのために必要なこととして、最も回答が多かったのは、「段差解消」、「歩道整備」といったハード面の整備でした。また、歩行者や運転者のマナー向上と回答する人も50%以上ありました。一方で、講演会やパンフレットでの啓発活動を必要と感じている人は1割程度にとどまっています。 バリアフリーのまちづくりのために必要なこと(複数回答可、n=1039) Jバリアフリーのまちづくりのために“最も”必要だと思うこと バリアフリーのまちづくりのために最も必要だと思うことは、「歩道整備」で約22%でした。次いで「段差解消」約20%、「教育」が約12%でした。 バリアフリーのまちづくりのために“最も”必要なこと(n=1039) 2−3 関係団体ヒアリング調査   高齢者、障害者、妊産婦等を対象に、各交通手段(鉄道・バス・タクシー)を利用する際の困りごとを始めとし、市内のバリアフリーに対する意見や心のバリアフリーに対する考えなど、できる限り率直な意見を聞き取りするため、関係団体へのヒアリングを実施しました。 (1)ヒアリング調査の実施概要 ヒアリング調査の実施対象は、以下のとおりです。 関係団体 調査日 障害者団体 肢体・身体障害 つくば自立生活センターほにゃら 令和4年(2022年)11月2日 肢体不自由児者父母の会 令和4年(2022年)11月4日 つくば市身体障害者福祉協議会 令和4年(2022年)11月4日 かけはしねっと 令和4年(2022年)11月9日 知的障害 つくば市手をつなぐ育成会 令和4年(2022年)11月4日 視覚障害 筑波技術大学(在学生) 令和4年(2022年)12月12日 筑波技術大学(教職員) 令和4年(2022年)12月13日 聴覚障害 筑波技術大学(在学生) 令和4年(2022年)12月5日 高齢者団体 つくば市シルバークラブ連合会 令和4年(2022年)11月15日 子育て支援団体 NPO法人ままとーん 令和4年(2022年)11月28日 (2)ヒアリング調査結果 関係団体へのヒアリングの結果について、次に整理します。 @ 駅・鉄道利用について ハード面では、特に誘導サインの不足や、障害種別に対応した誘導サインが不足していると考察され、利便施設の場所の特定や駅構内の移動経路の把握など、移動や行動のスマート化を促す誘導サインの整備が必要とされます。また、駅構内の設備や車両に関しては、障害種別に対応した改善が望まれます。 ソフト面では、障害種別によっては情報の伝達が困難な面があるため、音声案内の頻度を上げる配慮や、駅員とのコミュニケーション方法として電子デバイスを活用するなど、時間との兼ね合いから丁寧さよりも理解しやすいコミュニケーション方法が望まれています。 【駅・鉄道利用に関する意見の一部抜粋】 障害者団体(肢体・身体障害) ・ホームに降り立った時にエレベーターの位置がわかりづらいことが多く、特に混雑時には行ったり来たりが難しくなるので苦労する。 ・駅を出てからの公共施設等への案内が不足しており、車いすでも利用できるルート案内があると便利である。 障害者団体(知的障害) ・知的障害者は普段のルーティンが出来ないとパニックになりやすいので、視覚的に分かりやすい位置に必要とする設備があることが望ましい。(例えば、突然のスマートフォンのバッテリー切れがあった際に、公衆電話がすぐに見つけられる位置あることでパニックを回避できる。) ・鉄道を利用することが多いが、駅員には普段から親切に対応してもらっている。 障害者団体(視覚障害) ・点字ブロックによる誘導がない目的地に行く場合は、目印を見つけて壁伝いに遠回りに移動することが多いので、点字ブロックの設置を進めてほしい。 ・エスカレーターや階段の点字表示に気づきづらいので、音声案内があるとよい。 障害者団体(聴覚障害) ・聴覚障害者は音声案内で読み方を認識することができないため、駅名にはルビを記載してほしい。 ・つくばエクスプレスは、これまでも筑波技術大学の学生との意見交換等を実施し改善を進めているところだが、構内やプラットホームにおける誘導サインについても視認性を高めてほしい。 子育て支援団体 ・幅が広い改札口が少なく、ベビーカーや小さい子ども連れのためには両端など複数あればよい。 ・優先スペースだとベビーカーに子どもを乗せたままにできるが親は座れないため、優先スペースに折り畳みの椅子があるとよい。 Aバス利用について ハード面では、車両自体の改善要望が多く挙がっており、特に乗降時や精算時に関して、障害者や子育て家庭にとってのバリアフリー化対策が望まれます。また、バスの運行情報や車両の仕様等に関して、リアルタイムの情報伝達方法の改善が求められるとともに、バス停設備のバリアフリー化の対策が望まれます。 ソフト面では、運転手とのコミュニケーションにおいて、運転手の障害者に対する理解不足から意思疎通が図られないことや、介助が必要な方への対応についての課題があります。 【バス利用に関する意見の一部抜粋】 障害者団体(肢体・身体障害) ・どのバスがノンステップバスであるか分かるようにするとともに、ノンステップバスであっても乗車が難しい方のために、できる限りスライド式ステップ台を整備してほしい。 ・スロープによる乗車が円滑に行われるよう、水平な位置にバス停を設置するとともに、バス停の位置が低い箇所についてはマウントアップしてほしい。また、バスターミナルでは停止線を引くなどで、同じ位置にスロープが設置できるよう工夫してほしい。 障害者団体(知的障害) ・病院は健康状態が良くない市民が多く利用する施設であるため、特に病院付近のバス停にはベンチが必要である。 障害者団体(視覚障害) ・バスの乗車ドアが開くのと同時に「お待たせしました。こちらのバスは○○行きです。」といった音声案内が流れるが、視覚障害者はこの音声案内を最後まで聞かなければ行き先が判断できず、乗車ドアが開いてしばらくは乗車できない。そのため、音声案内が流れている途中であるにもかかわらず、運転手から乗車の意思がないと勘違いされてドアを閉められてしまうことがある。 ・車両によって椅子の配置が異なっていることや、ICリーダーの位置も左右で統一されていないことがあるので、できる限り統一してもらいたい。 障害者団体(聴覚障害) ・つくばセンター以外のバス停には遅延情報が表示されないため、どのくらい遅れるかといった視覚的情報が得られない。 ・運転手が声で音声案内しても聴覚障害者は聞き取ることができないので、できるだけ字幕情報で表示してほしい。 子育て支援団体 ・バス停の周辺に段差があったりするなど、バスへの乗車が大変なことがある。また、歩道内ではなく路肩等にバス停がある場所では危険を感じる。 ・子どもを乗せたままのベビーカーをバスに載せることはスペース的には可能だが、親一人の場合だと難しいので、そういったときに運転手に手伝ってもらえると助かる。 Bタクシー利用について ハード面では、車いすや介護に対応したタクシーの普及が少ない状況から、車いすや介護に対応した事業者の参入や、バリアフリー対応車の普及などが求められます。 ソフト面では、運転手とのコミュニケーションにおいて、運転手の障害者に対する理解不足(視覚障害者においては、降車後の移動を考慮した降車位置が重要など)から意思疎通が図られないことや、障害者や子育て家庭への補助の質の違いが課題となっています。 【タクシー利用に関する意見の一部抜粋】 障害者団体(肢体・身体障害) ・車いすのまま乗車できるタクシーがあるが、予約が困難であるためもっと普及してほしい。 ・例えば車いすを畳んで積み込むことへのサポートなど、運転手によるサポートに差があると感じる。 ・医療機器(人工呼吸器、酸素ボンベ、吸引器)等を電動車いすやバギーに載せて移動する方の場合、一般的なタクシーには乗車できずに介護タクシーを利用することとなるが、介護タクシーの事業者が少なく困る。 障害者団体(知的障害) ・運転手が障害についてどの程度の理解があるか分からないので、利用には消極的である。 障害者団体(視覚障害) ・鉄道駅やバス停と異なり、降車位置が定まっていないので使いづらい。同じ施設に到着した場合でも、違う玄関に到着してしまったりすることがある。 ・視覚障害者は、「ドアの前に停車してください。」などと降車位置を細かく指定しなければ降車後の現在地を把握することが困難となってしまうが、運転手によっては、希望した降車位置に連れて行ってもらえないなど、配慮が足りない場合がある 子育て支援団体 ・ベビーカーはたたんでトランクや座席に載せることになるため苦労する。 Cバリアフリー対応について ハード面では、公共空間や公共施設での必要なバリアフリー設備の整備が求められるとともに、バリアフリーに配慮した構造物の規格の統一化などが求められます。 ソフト面では、施設の整備にあたって、利用者目線での設計段階からの意見の取り入れなど、インクルーシブデザインを取り入れた施設整備が課題となっています。 【バリアフリー対応に関する意見の一部抜粋】 障害者団体(肢体・身体障害) ・市の施設においてもエレベーターやユニバーサルベッドなどの基本的な設備のない施設が多いので、順次バリアフリー化の対応を進めるとともに、設計段階から障害者団体等の意見を取り入れたほうがよい。 ・同一施設において、バリアフリー化で対応している障害種別が混在していることがある。(例えば、入口は車いす対応のみで別の部分は視覚障害対応など。)点ではなく面として捉え、様々な障害種別に対応できる一貫した取り組みが必要である。 障害者団体(知的障害) ・階段を登ることができる身体障害者がエレベーターの利用を控えることがあるため、全ての階段に手すりを設置してほしい。 ・車道と歩道の境界部分において、急な傾斜が付いていることがあるので、車いす等での利用を考慮して緩やかにすべき。 障害者団体(視覚障害) ・視覚障害者には、点字ブロックの凹凸に限らず色で判断する人もおり、点字ブロックが汚れていると黄色がはっきりと視認できないので、定期的に洗浄してほしい。 ・歩道上にある車止め用のポールが統一されておらず、特にU字型のポールでは白杖が引っ掛かることがあり危険である。 ・横断時間が長くなってしまう大通りでは、横断歩道上にエスコートゾーンがあると助かる。 ・運動施設において、点字ブロックが設置されているにもかかわらず、介助者なしでの利用が許されていないことがあるので対応してもらいたい。 障害者団体(聴覚障害) ・聴覚障害者は視覚で多くを判断するため、歩道が暗いと危険性が高まってしまうので街灯の整備を進めてほしい。同様の理由で、交差点付近ではできるだけ遮蔽物を取り除き、自動車が見やすくなるようにしてほしい。 子育て支援団体 ・赤ちゃんの駅(授乳やおむつ替えができるスペースを備えた施設)として、地域交流センターや児童館、民間施設等が登録されているが、もっと増えるとよい。 高齢者団体 ・地域交流センターや窓口センターなどの公共施設のバリアフリー化を優先させるべきではないか。 ・まずは市の現状把握をした上でモデル地域を設け、同地域における課題等が解決した後に市域全域に広げていくべきである。 D心のバリアフリーについて 心のバリアフリーでは、お互いの理解を促すため、意見を交換する場づくりや、積極的な情報の発信などが必要です。 また、バリアフリーへの意識を高めることで、助け合いの行動が生まれ、ハード面の不足を補えるなど、成熟したバリアフリーな社会づくりを推進することが必要です。 【心のバリアフリーに関する意見の一部抜粋】 障害者団体(肢体・身体障害) ・エレベーターにおいて、譲ってもらえることや車いすが入るようスペースを作ってくれることが嬉しかった。反対に、先に乗っていた人に譲ってもらえなくて困ったこともあった。 ・介助者ではなく、障害のある自分に意思確認をしてくれたことが嬉しかった。 ・障害のある人に対して声をかけてよいかわからない人が多いように感じる。身近に障害者がいないことが一因だと思うので、障害者との距離を近くして心のバリアフリーを育てることが重要である。 障害者団体(視覚障害) ・声をかけてもらうのは嬉しいが、半ば強引に手首や白杖を掴まれ怖い思いをすることもある。最初にどうすればいいか聞いてくれると助かる。 ・テレビドラマ等で視覚障害者が取り上げられることや、近年では、東京2020大会をきっかけとして、周囲の人から声をかけてもらえることが増えた。 障害者団体(聴覚障害) ・緊急時に音声案内があった際に、私が聞こえていないことに気づいた周囲の人が伝えてくれた。 高齢者団体 ・点字ブロックの上に自転車が駐輪されているなど常識的なことが守られていないと感じるので、もっとバリアフリーの意識付けをすべきである。 子育て支援団体 ・電車やバスは、子どもが泣いた場合の周囲への迷惑を考えてしまい使用を控えてしまうが、そのような場合でも周りの乗客からやさしい声をかけてもらえると安心できる。 ・周囲の人と助け合える社会なら、ハード面におけるバリアフリーの必要性は低くなると思うので、そういった周囲とのつながりがより増えるとよい。 2−4 まち歩き点検   移動等円滑化促進地区の候補地区において、高齢者や障害者等の多様な視点からバリアフリー状況の実態の把握及びバリアフリーに関する課題の抽出を目的にまち歩き点検を実施しました。 同時に、まち歩き点検は、障害の有無に関わらず参加者全員が一体となり、バリアフリーについて考え理解を深める機会にもなります。同じ目線で実際にバリアを体験し、日常生活を営む上でのまちの具体の問題・課題を点検・共有することが、心のバリアフリーを育むことにもつながり、また、多様な関係者が参加することで、それぞれの立場から見た課題を発見し、社会的障壁を取り除くためにそれぞれがどのような取り組みができるのかといったハード・ソフトの解決策を共に考える契機となります。 (1)まち歩き点検の対象地区   移動等円滑化促進地区の要件及び指標に加えて、まち歩き点検対象地区以外の地区のモデルとなる可能性を考慮して、以下の対象地区を選定しました。   対象地区 選定の根拠 @つくば駅周辺地区 つくば市の玄関口であるとともに、生活関連施設数及び鉄道・バスの乗降者数が最多であり、市民アンケートにおける利用者数も多い結果でした。さらに、ヒアリング調査においてほぼ全ての団体から指摘された点を勘案して、まち歩き点検の対象としました。 A研究学園駅周辺地区 鉄道駅・つくバスともにつくば駅に次ぐ乗降者数であり、市民アンケートにおける利用者数はつくば駅よりも多い地区でした。加えて、つくば市役所が立地しているため、研究学園駅の周辺は多様な市民等が数多く訪れています。さらに、万博記念公園駅・みどりの駅の周辺のモデルになり得ることを勘案し、まち歩き点検の対象としました。 B大曽根・筑穂地区 つくバスの乗降者数が上記2地区に次ぐ3番目であるとともに、大穂窓口センターを始めとした多様な市民等が訪れる生活関連施設が立地し、その数はつくば市役所の立地する研究学園駅周辺よりも多くなっています。さらに、大曽根は旧町村時代の市街地である“周辺市街地”、筑穂は松代・並木にもみられる“郊外型住宅街”という2つの特徴を合わせ持っており、本市における双方のモデルとなり得る地域であることから、まち歩き点検の対象としました。 C天久保地区 関鉄バスの乗降者数上位10位以内に3つのバス停があり、その総数はつくば駅に次ぐ多さです。さらに、つくば駅からペデストリアンデッキが続いているほか、多様な人々が利用する筑波大学病院及び筑波メディカルセンター病院、視覚障害者・聴覚障害者が在席する筑波技術大学や障害科学類・医学群を有する筑波大学が立地しています。つくば駅との連続性及び本市における医療福祉の中心であることを勘案して、まち歩き点検の対象としました。 (2)まち歩き点検ルートの設定   移動等円滑化促進地区における生活関連経路を想定し、各地区の特性や利用者の生活目線での移動経路を考慮して、以下のルート設定を行いました。 地区・ルート ルートマップ つくば駅周辺地区 A-1:公共交通編 つくば駅周辺地区 A-2:自家用車編 つくば駅周辺地区 A-3:公園・道路編 研究学園駅周辺地区 B-1:公共交通編 研究学園駅周辺地区 B-2:商業施設編 大曽根・筑穂地区 C-1:郊外型住宅街編 大曽根・筑穂地区 C-2:周辺市街地編 天久保地区 D-1:住宅街編 天久保地区 D-2:医療機関編 (3)まち歩き点検の実施概要 ルート上のバリアフリー、バリアの実態について、点検票の項目(場所、設備、状況、対象、評価)をもとに、施設の状況などについて現地調査を行いました。 また、まち歩き点検の実施後に、バリアフリーの課題などについて、振り返りと意見の共有を行いました。 実施日 天候 地区 ルート 令和5年(2023年) 1月27日(金)  ※プレ点検  曇り つくば駅周辺地区 A-1:公共交通編 令和5年(2023年) 2月24日(金)  曇り つくば駅周辺地区 A-1:公共交通編 A-2:自家用車編 A-3:公園・道路編 令和5年(2023年) 2月13日(月)  雨 研究学園駅周辺地区 B-1:公共交通編 B-2:商業施設編 令和5年(2023年) 2月21日(火)  曇り 大曽根・筑穂地区 C-1:郊外型住宅街編 C-2:周辺市街地編 令和5年(2023年) 2月20日(月) 曇り 天久保地区 D-1:住宅街編 D-2:医療機関編 A-1:つくば駅周辺地区−公共交通編− つくば駅の公共交通を取り巻く環境は、段差が少ないなどバリアフリーである好事例が確認できた一方、構造的に複雑であり、高齢者や障害者をはじめとしたあらゆる人にとって、情報提供の不十分さが課題であるといえます。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して 段差に関する指摘は少なく、バリアフリーなエリアであることが確認できました。一方で、エレベーターの設置箇所等のバリアフリー情報にアクセスできないため、それらを有効活用できないとの指摘もありました。 ■市の施設に関して 車いすユーザーでは、スロープの設置が統一されていないため遠回りが必要など不便な点が確認されたほか、視覚障害者では、案内板の表示が建物と同系色のため視認できないなどの指摘がありました。 ■案内情報に関して つくば駅、つくばセンター、ペデストリアンデッキが、地下1階、地上1階、地上2階と3層が立体的に連結しており、さらにペデストリアンデッキとも接続するつくばセンタービルや商業施設が立地しています。このような構造的複雑さを背景に、案内看板がわかりにくいという指摘が多くみられました。 A-2 つくば駅周辺地区―自家用車編― つくば駅周辺の自家用車利用者を取り巻く環境は、バリアフリーを考慮した駐車場と各施設間誘導における不連続性が課題でした。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して 点字ブロックが途切れている、エレベーターが設置されておらず施設まで円滑に移動できないなど不連続性に関する指摘がありました。 ■駐車場内の警告灯に関して(聴覚障害者) 聴覚障害の場合、駐車場などで車両の通過を知らせる警告音が聞こえず、車両の接近に気が付くことができないといった指摘がありました。 A-3:つくば駅周辺地区−公園・道路編− つくば駅周辺の公園や道路を取り巻く実態は、障害者等が利用することを想定した維持管理が不十分なことによる不連続性が課題といえます。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して つくば駅の周辺の公園や道路など、比較的外周をめぐるルートであったため、これまでの2ルートのような複雑さに関する指摘はありませんでした。一方で、交差点に関する指摘や維持管理に関する指摘がありました。 B-1:研究学園駅の周辺-公共交通編− 研究学園駅周辺は、比較的新しい地区であり、歩道は段差が少なく歩きやすく、車いすも走行しやすい状況でした。一方で、移動経路の不連続性及び交通安全上の危険とドライバーのマナーが課題です。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して 駅から市役所までの移動を想定するとき、実際の車や人の流れと信号機、横断歩道、点字ブロックの位置などが一致しておらず、交通安全に対する不安の声があがりました。 ■心のバリアフリー(ソフト面)に関して 研究学園駅周辺の歩車共存道路や駅南側の通りでは、スピードを出して走行する車が多く、まち歩き点検中に危険を感じる場面がありました。 B-2:研究学園駅の周辺−商業施設編− 身体的特徴の差による交通安全と道路環境に関する認識の不一致、不十分な信号機整備が課題です。また、雨天時のバリアについても課題としてあげられました。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して 段差の少ない歩きやすい道でしたが、歩車共存道路を移動中、全盲の参加者とそれ以外の参加者で交通安全に関する認識の違いがありました。 ■天候に関して 雨天時は、車いすユーザー、視覚障害者にとって水たまりがバリアになることが指摘されました。 C-1:大曽根・筑穂−郊外型住宅街編− 大穂交流センター、筑穂交番をはじめ、公共施設の維持管理、歩道における急勾配が課題といえます。なお、舗装は、一部植栽の根上がりがあるものの破損は少ない状況でした。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して 交差点付近の車道と歩道のすりつけ部において、マウントアップの歩道を車道に合わせるための傾斜が急勾配となり、移動、信号の待機時にバリアとなる点が指摘されました。 ■市の施設に関して 交流センター敷地内のバリアフリーの不十分さが多くあげられました。 ■その他施設に関して 筑穂交番のバリアフリーの不十分さが多くあげられました。 C-2:大曽根・筑穂−周辺市街地編− 周辺市街地では、道路における安全確保、施設の維持管理が課題です。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して 大曽根市街地へ続く主要道路は歩道がなく交通量も多いため、すれ違いが困難でした。側溝の溝が広い場所もあり、参加者が危険を感じる場面が多くありました。 ■市の施設に関して 交流センターにエレベーターの設置がないため、車いす参加者の移動が困難でした。 ■その他施設に関して スロープにプランターがあるなど、十分な配慮がなされていない施設があることが確認されました。 D-1:天久保−住宅街編− 学生街であり、自家用車以外の自転車、バス、徒歩などの交通手段を用いる人も多い地区ですが、バス停付近の段差や横断歩道の不連続性などが課題となります。一方で、筑波技術大学周辺は、バリアフリー化の好事例といえ、加えて、地域特性を踏まえたバリアフリー化の波及効果への期待についての言及もありました。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して   歩道・横断歩道・バス停間の連携がとれておらず、円滑な移動経路を確保できない、舗装の破損による段差等や暗く安全に移動できないとの指摘がありました。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して(好事例) 筑波技術大学北東の交差点には視覚障害者にとっても利用しやすい工夫がされた好事例の交差点であることが確認できました。 ■学生街に起因する期待に関して 筑波技術大学や筑波大学など、全国から多くの学生が集まるエリアのため、バリアフリーを重点的に実施し、誇れる街にすることで、つくば市のバリアフリー化を好事例、モデルとして全国に広めることができるのではないかという意見がありました。 D-2:天久保−医療機関編− 医療機関があり、障害者・高齢者等に向けたバリアフリー化の意識は感じられるが、実態が伴っていないこと、障害者・高齢者等をはじめその空間のあらゆる利用者、利用場面に適していない点が課題です。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して 病院周辺は、点字ブロックが敷設されているが、不連続であり、利用者の想定が十分でない箇所も多くありました。 ■徒歩等による移動及び公共交通に関して(好事例)   利用者と管理者の連携が取れた好事例として、利用者の声を反映した車止めが設置された事例が確認されました。 (4)まち歩き点検の結果 まち歩き点検は、4日間(プレ点検を除く)にわたり、4地区9ルートにおいて延べ67名の参加の下で実施され、市内のバリアフリーの状況について、好事例を含む多様な指摘がなされました。まち歩き点検には、車いすユーザー、視覚障害者(全盲、弱視)、聴覚障害者及び介助者が参加し、障害ごとに異なるバリアがあることが共有できました。例えば、車いすユーザーからは段差やスロープなどの主に経路について、視覚障害者からはエスコートゾーンや音響式信号機などの主に交差点について、聴覚障害者からは街灯の設置などによる視覚情報の確保について指摘がありました。 また、まち歩き点検を実施した4地区ごとに、バリアフリー化の状況が大きく異なっていたことも特筆すべき点です。例えば、つくば駅周辺地区は歩道が広く迂回しやすいため、段差に関する指摘は相対的に少なかったものの、案内表示における設置場所やデザインなど、目的地までの誘導に関する指摘が多く挙げられていました。同様に、研究学園駅周辺地区は点字ブロックの不連続性について、大曽根・筑穂地区は歩道の使いにくさや公共施設のバリアフリー化の不十分さについて、天久保地区は舗装のひび割れや点字ブロックの配置位置の不適切さといった歩道の不十分さについての指摘が多くありました。    市内のバリアフリーの状況について、車いすユーザー、視覚障害者、聴覚障害者及び介助者といった多様な参加者による点検を踏まえ、障害ごとに異なるバリアの存在や、点検を実施した4地区それぞれのバリアフリー化の状況が明かになりました。地区ごとの意見の有無を次の表に示します。 まち歩き点検で抽出された意見の有無 地区 凡例:○ まち歩き点検にいて意見有り つくば駅 研究学園駅 大曽根・筑穂 天久保 【1】徒歩等による移動及び公共交通に関して 歩道 ○ ○ ○ ○ 歩道(勾配、高さ) ○   ○ ○ 歩道(幅員、休憩スペースの有無) ○ ○ ○ ○ 舗装(段差、種類) ○ ○ ○ ○ 歩道上の障害物(有無)   ○ ○   信号機の待機場所(勾配、広さ) ○   ○ ○ 交差点(視界の広さ)   ○   ○ 自転車専用レーン(有無) ○     ○ 歩道と車道の境界の車止め(設置位置、種類) ○ ○   ○ 植栽(根上り、管理状況) ○   ○ ○ ペデストリアンデッキの構造(交差部の多さ) ○       横断歩道 ○ ○ ○ ○   横断歩道(有無)     ○   横断歩道(段差)     ○   信号機(有無、種類) ○ ○ ○ ○ 音響式信号機(有無、音の種類)     ○ ○ 押しボタン(識別性、サイン) ○   ○ ○ エスコートゾーン(有無、破損) ○ ○ ○ ○ 歩道と車道の境界の縁端構造(駒留ブロックの段差)     ○ ○ 点字ブロック ○ ○ ○ ○ 点字ブロック(有無、配置、連続性) ○ ○ ○ ○   点字ブロック(汚損) ○     ○ 点字ブロックと舗装の識別(コントラスト、凹凸) ○ ○     側溝 ○   ○ ○ グレーチングの網目(粗さ) ○   ○ ○ 側溝の蓋(破損)     ○   バス ○ ○ ○ ○まち歩き点検で抽出された意見の有無 地区 凡例:○ まち歩き点検にいて意見有り つくば駅 研究学園駅 大曽根・筑穂 天久保 【2】心のバリアフリー(ソフト面)に関して 交通マナー ○ ○ ○ ○ 歩道(自転車の速度) ○   ○ ○ 歩車共存道路(車の速度)   ○     路上駐車(有無)     ○   <総括> 【2】心のバリアフリー(ソフト面)に関しては、歩車共存道路における車の走行速度の配慮の不十分さなどが指摘されました。また、まち歩き点検を通じ、各参加者におけるバリアの実態把握やバリアフリーに関する知見の蓄積につながりました。まち歩き点検では、ハード整備に関して多くの具体的な指摘がなされた一方、ハード整備には限度があり、これを補完するソフトの対応として「心のバリアフリー」が大切であるとの認識が各参加者間で共有されました。 まち歩き点検で抽出された意見の有無 地区 凡例:○ まち歩き点検にいて意見有り つくば駅 研究学園駅 大曽根・筑穂 天久保 【3】市の施設に関して  歩行空間   ○ ○   歩道(勾配、高さ)     ○   歩道(幅員、休憩スペースの有無)     ○   歩道(視界の広さ)   ○     舗装(段差、種類)     ○   歩道と車道の境界の車止め(設置位置、種類)     ○   ペデストリアンデッキの構造(交差部の多さ)   ○ ○   スロープ(有無、設置位置、勾配) ○ ○ ○   床面(種類) ○ 案内表示・サイン ○       案内表示(点字の有無) ○       施設看板(視認性、誘目性) ○       点字ブロック ○ ○ ○   点字ブロック(有無、配置、連続性)   ○ ○   点字ブロック(汚損) ○       側溝 ○ ○     グレーチングの網目(粗さ) ○ ○     設備等 ○ ○ ○ ○   障害者駐車場(有無、広さ、路面サインの汚損)   ○ ○   ラバーハンプ(汚損)   ○     施設内の照明(照度) ○       公園設備(車いす対応水飲み場の有無等)   ○     トイレ(機能、設備、誘導、照度等) ○ ○   ○ エレベーター(有無、広さ) ○   ○   出入り口(幅、扉の種類) ○       <総括> 【3】市の施設に関しては、天久保地区を除く3地区(つくば駅周辺地区、研究学園駅周辺地区、大曽根・筑穂地区)において、いずれも市の施設を起点とするルートでまち歩き点検を実施しました。まず、つくば駅周辺地区におけるルートの起点となった吾妻交流センターでは、建物外壁と同系色で作られた看板の視認性の悪さやスロープの位置の不適切さが指摘されました。また、研究学園駅周辺地区におけるルートの起点となったつくば市役所では、エスコートゾーンの確保や段差を小さくした特殊な駒止めといった好事例が確認されました。さらに、大曽根・筑穂地区におけるルートの起点となった大穂交流センターでは、駐車場内の移動経路や看板の設置場所の不適切さ、エレベーターの未整備といった多様な指摘がありました。 まち歩き点検で抽出された意見の有無 地区 凡例:○ まち歩き点検にいて意見有り つくば駅 研究学園駅 大曽根・筑穂 天久保 【4】その他 歩行空間 ○ ○ ○   スロープ(障害物の有無)     ○     スロープ(有無、設置位置、勾配) ○   ○ 床面(種類) ○ 案内表示・サイン ○ ○   ○   案内表示(音声案内との連携) ○ ○       案内表示(点字の有無) ○ ○       案内表示(汚損) ○         案内表示(有無、設置位置) ○     ○   案内表示(デザイン、内容) ○ ○   ○ 点字ブロック ○   ○     点字ブロック(有無、配置、連続性) ○   ○     点字ブロック(汚損) ○       設備等 ○ ○ ○ ○   エレベーター(有無) ○         障害者駐車場(有無、広さ、路面サインの汚損) ○   ○ ○   立体駐車場(警告灯の視認性、誘目性) ○         トイレ(機能、設備、誘導等) ○ ○       改札(動線)、券売機(車いす対応可否) ○ ○       出入り口(幅、扉の種類)       ○ その他     ○     空き家(有無※防犯として)     ○   <総括> 【その他】各ルートにおける個別の課題に関しては、つくば駅周辺地区では、案内表示の視認性の悪さ(フォントやデザイン)、立体駐車場における警告灯の日中の視認性の悪さが指摘されました。また、研究学園駅地区では、点検日が雨天だったことから、視覚障害者は雨天時に水たまりを避けることができないなど、天候によるバリアが指摘されました。大曽根・筑穂地区では、生活関連施設のスロープにおいて、必要な部分が水平ではなかったり、プランターが置いてあったりするなど、構造と運用の両側面からのバリアが指摘されました。天久保地区では、全国から学生が集まってくるという特性から、バリアフリー化の好事例として周知されることに対する期待の声があがっています。 2−5 バリアフリー化における課題整理 バリアフリーとは、多様な人が社会に参加する上での障壁(バリア)をなくすことです。 バリアフリーな社会とは、高齢者や障害者だけでなく、すべての人にとって快適で安全な社会であり、その実現のためには、施設の整備の促進だけでなく、一人ひとりが多様な人の心理的な側面を理解し、相互にコミュニケーションを図るなど、ハードとソフト両面の対策が必要になります。 バリアフリーの推進にあたっては、行政、交通事業者、施設管理者、市民団体など、多様な関係者が連携して取り組む必要があります。 (1)多様な属性ごとの特性 令和4年(2022年)6月策定の国土交通省道路局「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」において、バリアフリー化を進めるにあたっては、高齢者、障害者等の移動制約者を念頭におきつつ、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に配慮が必要として、その対象者と主な特性について整理しています。 【道路の移動等円滑化に関するガイドラインにおける対象者】 ・高齢者 ・肢体不自由者(車いす使用者) ・肢体不自由者(車いす使用者以外) ・内部障害者 ・視覚障害者 ・聴覚・言語障害者 ・知的障害者 ・精神障害者 ・発達障害者 ・高次脳機能障害者 ・妊産婦 ・乳幼児連れ ・外国人 ・その他 出典:道路の移動等円滑化に関するガイドライン 【道路の移動等円滑化に関するガイドラインにおける対象者の主な特性(具体的なニーズ)の整理】 高齢者 ・階段、段差の移動が困難 ・長い距離の連続歩行や長い時間の立位が困難 ・視覚・聴覚能力の低下により情報認知やコミュニケーションが困難 など 肢体不自由者 (車いす使用者) 車いすの使用により ・階段、段差の昇降が不可能 ・移動及び車内で一定以上のスペースを必要とする ・座位が低いため高いところの表示が見にくい ・上肢障害がある場合、手腕による巧緻な操作・作業が困難 ・脳性まひなどにより言語障害を伴う場合がある など 肢体不自由者 (車いす使用者以外) 杖、義足・義手、人工関節などを使用している場合 ・階段、段差や坂道の移動が困難 ・長い距離の連続歩行や長い時間の立位が困難 ・上肢障害がある場合、手腕による巧緻な操作・作業が困難 ・片まひがある場合、トイレの戸が右開きか左開きかで使いにくいことがある など 内部 障害者 ・外見からは気づきにくい ・急な体調の変化により移動が困難 ・疲労しやすく長時間の歩行や立っていることが困難 ・オストメイト(人工肛門、人工膀胱造設者)によりトイレに専用設備が必要 ・障害によって、酸素ボンベ等の携行が必要 など 視覚 障害者 全盲以外に、弱視(ロービジョン)者や色覚異常により見え方が多様であることから ・視覚による情報認知が不可能あるいは困難 ・空間把握、目的場所までの経路確認が困難 ・案内表示の文字情報の把握や色の判別が困難 ・白杖を使用しない場合など外見からは気づきにくいことがある など 聴覚・ 言語 障害者 全聾の場合、難聴の場合があり聞こえ方の差が大きいため ・音声による情報認知やコミュニケーションが不可能あるいは困難 ・音声・音響等による注意喚起がわからないあるいは困難 ・発話が難しく言語に障害がある場合があり伝えることが難しい ・外見からは気づきにくい など 知的 障害者 初めての場所や状況の変化に対応することが難しいため ・道に迷ったり、次の行動を取ることが難しい場合がある ・感情のコントロールが困難でコミュニケーションが難しい場合がある ・情報量が多いと理解しきれず混乱する場合がある ・周囲の言動に敏感になり混乱する場合がある ・読み書きが困難である場合がある ・視覚過敏や聴覚過敏である場合がある など 精神 障害者 状況の変化に対応することが難しいため ・新しいことに対して緊張や不安を感じる ・混雑や密閉された状況に極度の緊張や不安を感じる ・周囲の言動に敏感になり混乱する場合がある ・ストレスに弱く、疲れやすく、頭痛、幻聴、幻覚が現れることがある ・服薬のため頻繁に水を飲んだりすることからトイレに頻繁に行くことがある ・外見からは気づきにくい ・視覚過敏や聴覚過敏である場合がある など 発達 障害者 ・注意欠陥多動性障害(AD/HD)等によりじっとしていられない、走り回るなどの衝動性、多動性行動が出る場合がある ・広汎性発達障害等により特定の事柄に強い興味や関心、こだわりを持つ場合がある ・反復的な行動を取る場合がある ・学習障害(LD)等により読み書きが困難である場合がある ・他人との対人関係の構築が困難 ・視覚過敏や聴覚過敏である場合がある など 高次脳機能障害者 ・半側空間無視や注意障害がある場合、歩道等を移動する際に転落や人やものにぶつかる危険がある ・注意障害などにより、必要な情報を見つけるのが難しいことがある ・失語や失認などにより、案内や表示を見ても内容が理解できないことがある ・記憶障害や地誌的障害などにより、道順や経路、目印が覚えられないことがある など 妊産婦 妊娠していることにより ・歩行が不安定(特に下り階段では足下が見えにくい) ・長時間の立位が困難 ・不意に気分が悪くなったり疲れやすいことがある ・初期などにおいては外見からは気づきにくい ・産後も体調不良が生じる場合がある など 乳幼児連れ ベビーカーの使用や乳幼児を抱きかかえ、幼児の手をひいていることにより ・階段、段差などの昇降が困難(特にベビーカー、荷物、幼児を抱えながらの階段利用は困難である) ・長時間の立位が困難(子どもを抱きかかえている場合など) ・子どもが不意な行動をとり危険が生じる場合がある ・オムツ交換や授乳できる場所が必要 など 外国人 日本語が理解できない場合は ・日本語による情報取得、コミュニケーションが不可能あるいは困難 など その他 一時的なけがの場合(松葉杖やギブスを使用している場合など含む) ・難病、一時的な病気の場合 ・重い荷物、大きな荷物を持っている場合 ・初めての場所を訪れる場合(不案内) など 出典:道路の移動等円滑化に関するガイドライン (2)つくば市におけるバリアフリー化に対する課題 これまでの基礎調査(市民アンケート調査、関係団体ヒアリング調査、まち歩き点検)の結果から、バリアフリー化に対する課題を以下に整理します。 課題1  徒歩等による移動及び公共交通に関する課題 移動等円滑化を図るためには、市民の足元となる歩道等の移動経路の整備が不可欠ですので、高齢者や障害者等の多様な市民が円滑に移動できるよう、連続性を確保した上で、絶えず整備や改良を重ねていく必要があります。また、事業者と連携すること等によって公共交通の利便性を高めることは、これらの取り組みと合わせて重要です。 市民アンケート調査 ■バリアフリーのまちづくりのために必要なこととして、段差の解消や歩道の整備といったハードの整備をあげた市民は、それぞれ70%を上回った。 関係団体ヒアリング調査 ■車いす使用者にとっては歩道における傾斜に影響を受けやすく、視覚障害者にとっては点字ブロックの汚損によって円滑な移動が損なわれる恐れがあるとともに、歩道の改修等によって点字ブロックによる直線的な導線が保たれない場合がある。 ■路線バスの運行経路については、「子育て支援施設を経由していない」、バス車両については車内のIC読取機が片側にしかなく、さらに車両によって左右異なるため、「視覚障害・知的障害などがある場合、IC読取機の位置がわからず利用しづらい。」、「半身不随・麻痺の場合は、左右で利用しづらい向きがある」といった具体的な指摘が多くあった。 まち歩き点検 ■「ペデストリアンデッキ上の点字ブロックが、商業施設の入口とつながっていない。(A-2)」、「スロープの勾配が急の場合、車いすで下るのは難しく、かつ恐怖を感じる。(D-2)」など、歩道等の移動経路に関して多くの具体的な指摘がなされた。 課題2 心のバリアフリー(ソフト面)に関する課題 ハード整備を補う存在としての「心のバリアフリー」を育む環境づくりのため、学校等における取り組みを推進するとともに、高齢者や障害者等の多様な市民による交流を後押しすることによって、お互いが理解し合える環境をつくる必要があります。 市民アンケート調査 ■「バリアフリー」という言葉の認知度に比べ、「心のバリアフリー」という言葉の認知度は低かった。年代別の認知度では、39歳以下の若い世代において、低い傾向がみられた。また、バリアフリーなまちづくりにおいて、「学校におけるバリアフリー教育」が最も重要だと捉えている市民の割合は3番目に多かった。浸透の途上にある「心のバリアフリー」の概念を若年層へ浸透させることで、将来的に、歩行者やドライバーのマナー向上も期待できる。 関係団体ヒアリング調査 ■「心のバリアフリー」の涵養には、障害者や高齢者といった多様な方々と関わり合うことが大切であり、これによって心理的障壁を取り除き能動的な声掛けが可能となる。 まち歩き点検 ■ハード整備に関して多くの具体的な指摘がなされた一方、ハード整備には限度があり、これを補完するソフトの対応として「心のバリアフリー」が大切であるとの認識が共有された。 課題3 市の施設に関する課題 観光施設や運動施設を含めた市の施設においては、高齢者や障害者等の多様な市民の利用が想定されることから、施設の新旧を問わず率先してバリアフリー化を推進すべきです。バリアフリー化の際は、屋外からの導線や施設職員等による合理的配慮(一人ひとりの困難さに合わせたサポート)も考慮する必要があります。 市民アンケート調査 ■観光施設については約83%、運動施設については約68%の市民が、バリアフリーを感じられないとしている。 関係団体ヒアリング調査 ■新たな施策を進めるよりも、地域交流センターや窓口センター等の公共施設のバリアフリー化を優先させるべき。 ■公共施設等への案内が不足しており、車いすでも利用できるルート案内があると便利である。また、市の施設においても順次バリアフリー化の対応を進めるとともに、特に施設を新設する場合は、設計段階から障害者団体等の意見を取り入れたほうがよい。 まち歩き点検 ■「交流センター内にエレベーターがない。(C-2)」など市の施設に関して多くの具体的な指摘がなされた。また、敷地内の横断歩道にエスコートゾーンがあるなど、市役所で実施されている好事例を他の既存施設においても横展開されることが望まれている。 第3章 バリアフリー化に向けた基本的な考え方 3-1 基本理念 つくば市におけるバリアフリー化を進めるためには、市民・行政・学校・研究機関・事業者・関係団体などの様々な関係者がしっかりとつながることで、初めて一体的なバリアフリー化が実現できます。SDGs※の基本理念である「誰一人取り残さない」という想いを持って、誰もが安心し自分らしく生活できる、持続可能なまちづくりに向けた取り組みを進めていきます。 (※Sustainable Development GOALS:持続可能な開発目標) 3-2 基本方針 つくば市のバリアフリー化に対する課題を解決するため、バリアフリー化に向けた基本理念を踏まえ、市全域に関する方針として以下の基本方針を定めます。これらの基本方針に基づき、交通事業者等と連携しながら、一体的なバリアフリー化の実現に向けて取り組んでいきます。   基本方針1 「誰もが移動しやすいまち」の実現に向けた整備・改良に取り組みます 誰もが移動しやすいまちを目指し、様々な関係者が連携しながら歩道の段差や傾斜の解消及び効果的な点字ブロックやわかりやすい案内看板の設置などを進めるとともに、切れ目のない保守管理を実施していきます。 また、整備・改良をする場合は、施設間における移動の連続性を考え、必要に応じて新たな技術や先進的な事例を取り入れることも検討します。 さらに、これらの取り組みを推進するには、誰もが利用しやすい公共交通とのつながりが大切ですので、これからも交通事業者と連携しながら利便性の向上に取り組んでいきます。 基本方針2 「心のバリアフリー」を育む環境づくりに取り組みます 施設や設備などのハードの整備だけでは本当のバリアフリー化は達成できません。高齢者や障害者などの様々な市民がお互いをしっかりと理解することは、助け合いの心を育てる第一歩であり、困っているときに周囲からの声かけや手助けがあれば、どのような人にとっても移動しやすい環境になります。 学校での教育を始めとした様々な機会を通じて「心のバリアフリー」を育む取り組みを進めるとともに、これらの様々な市民による交流を後押ししていきます。 基本方針3 公共施設におけるバリアフリー化に取り組みます 市内のバリアフリー化を進めるためには、まず、つくば市が所有する公共施設のバリアフリー化に積極的に取り組まなくてはいけません。新たな施設を建設するときはもちろん、すでにある施設においてもバリアフリー化を進めていきます。 バリアフリー化に当たっては、施設内における合理的配慮(一人ひとりの困難さに合わせたサポート)の手法も考えながら、様々な関係者と連携し、すべての人が使いやすい施設を目指します。 3-3 施策の体系図 【バリアフリー化に向けた基本的な考え方】 基本理念 つながりを力に「誰一人取り残さない」まちづくり 基本方針1 「誰もが移動しやすいまち」の実現に向けた整備・改良 誰もが移動しやすいまちを目指し、様々な関係者が連携しながら歩道の段差や傾斜の解消及び効果的な点字ブロックやわかりやすい案内看板の設置などを進めるとともに、切れ目のない保守管理を実施していきます。 また、整備・改良をする場合は、施設間における移動の連続性を考え、必要に応じて新たな技術や先進的な事例を取り入れることも検討します。 さらに、これらの取り組みを推進するには、誰もが利用しやすい公共交通とのつながりが大切ですので、これからも交通事業者と連携しながら利便性の向上に取り組んでいきます。 基本方針2 「心のバリアフリー」を育む環境づくり 施設や設備などのハードの整備だけでは本当のバリアフリー化は達成できません。高齢者や障害者などの様々な市民がお互いをしっかりと理解することは、助け合いの心を育てる第一歩であり、困っているときに周囲からの声かけや手助けがあれば、どのような人にとっても移動しやすい環境になります。学校での教育を始めとした様々な機会を通じて「心のバリアフリー」を育む取り組みを進めるとともに、これらの様々な市民による交流を後押ししていきます。 基本方針3 公共施設におけるバリアフリー化 市内のバリアフリー化を進めるためには、まず、つくば市が所有する公共施設のバリアフリー化に積極的に取り組まなくてはいけません。新たな施設を建設するときはもちろん、すでにある施設においてもバリアフリー化を進めていきます。バリアフリー化に当たっては、施設内における合理的配慮(一人ひとりの困難さに合わせたサポート)の手法も考えながら、様々な関係者と連携し、すべての人が使いやすい施設を目指します。 【関連施策】 1 バリアフリーマップ等を活用した移動等円滑化の推進 2 つくばの玄関口のおもてなし機能向上 3 駅前広場におけるバリアフリー化の推進 4 つくバスにおける乗り降りのしやすさの向上 5 歩道の改修時における改善策の検討 6 公園施設におけるバリアフリー化の推進 7 歩道における継続的な維持・補修の実施 8 新技術を用いた移動の連続性の確保 9 合理的配慮支援事業による民間事業所のバリアフリー化の推進 10 つくバスの利便性向上 11 つくタクの利便性向上 12 交通事業者との連携 13 ユニバーサルデザインの理念の浸透 14 妊産婦への理解の促進 15 障害者差別の解消に向けた関係者間の協議の促進 16 「心のバリアフリー」を育む学校教育の推進 17 本人・家族・地域が一体となった認知症バリアフリーの推進 18 スポーツやレクリエーション活用を通じた交流機会の創出 19 ジオガイド等を対象とした講座による啓発の促進 20 交通安全教室による啓発の推進 21 日本人と外国人が共生できる環境づくりの推進 22 性的少数者への理解を促進するためにセミナーの開催 23 公共施設におけるバリアフリー化の推進 24 職員研修による理解向上・意識啓発の推進 25 障害者差別解消法の理念の啓発・周知 26 窓口等における新技術の活用 27 サインガイドラインによる統一的な案内サインの活用 3-4 関連施策 バリアフリー化の機運をより一層高め、マスタープランをより実行性のあるものにするために、3つの基本方針に紐づく具体的な取り組みについてを関連施策として設定します。 関連施策の推進にあたっては、各施策が相互に連携しながら、進捗確認や効果検証を実施していきます。また、社会情勢の変化や技術の革新を踏まえながら、新たな取り組みについても継続した見直しを図っていきます。 基本方針1 「誰もが移動しやすいまち」の実現に向けた整備・改良に取り組みます 番号 関連施策 概要 1 バリアフリーマップ等を活用した移動等円滑化の推進 公共施設や商業施設におけるバリアフリー設備情報等をまとめた「つくば市バリアフリーマップ」を更新するとともに、市内に発着点がある公共交通を網羅した公共交通マップや、公共交通事業のガイドを作成・配布し、すべての方が安心して移動できる環境づくりを継続して進めていく。 2 つくばの玄関口のおもてなし機能向上 つくばの玄関口であるつくば駅周辺におけるイベント情報の発信や誰でも分かりやすい案内表示等を検討し、おもてなし機能の向上を図る。 3 駅前広場におけるバリアフリー化の推進 駅前広場においては、市民の利便性等を考慮した上で、バリアフリー化に対する見直し等を行い、改修の際は、可能な限り周辺施設等との連続性を確保し、駐車場における利便性の向上を含め、つくば市の玄関口としてふさわしい駅前広場となるよう検討する。 4 つくバスにおける乗り降りのしやすさの向上 バス乗降の際は、運転手によるソフト面のサポートとあわせて、乗降場所のハード面における乗り降りのしやすさも重要となることから、誰もが利用しやすい乗降場所となるよう継続的に検討していく。 5 歩道の改修時における改善策の検討 市道において、バリアフリー化の必要性を考慮し、改修に向けた判断を行う。また、改修の際は、国のガイドライン等を参考とした上で、可能な限り歩道の段差や傾斜の改善と適切な点字ブロックの配置を検討する。 6 公園施設におけるバリアフリー化の推進 公園施設においては、市民の利便性等を考慮した上で、バリアフリー化に対する見直し等を行い、改修の際は、可能な限り公園内における移動の円滑性を確保するとともに、公園外との移動の連続性を確保できるよう検討する。 7 歩道における継続的な維持・補修の実施 既存の歩行空間の状況を点検し、誰もが歩きやすい歩道を目指して、継続的な維持・補修の実施に努める。 8 新技術を用いた移動の連続性の確保 新技術の実装に向け、複数関係者の連携の下で実証実験を行い、移動や乗継における連続性・安全性・有用性といった検証を踏まえ、本導入への調整を進める。 9 合理的配慮支援事業による民間事業所のバリアフリー化の推進 市内小売店舗等の事業者が障害者の来店に対応できるよう、段差改修工事や物品購入費用の一部、コミュニケーションツール購入費用を補助し、民間事業者における合理的配慮の取り組みを支援する。 10 つくバスの利便性向上 バス停圏域を500mから300mにすることで、地域からの要望等の移動需要に合わせ、居住地により近い場所にバス停留所を設置することで利便性の向上を図る。 11 つくタクの利便性向上 つくタクにおける「電話がつながらない」、「予約が取れない」といった利便性における課題や、乗合率及び収支率が低いことによる持続可能性における課題を改善するため、AIオンデマンドシステムの導入に向けた検討を進める。 12 交通事業者との連携 各種協議会、会議体等を通じ、TX、バス事業者及びタクシー事業者並びに近隣の自治体と連携を図り、公共交通の乗継場所やダイヤ改正時の乗継時間の調整、催事や運行管理等に係る情報の共有を図る。 基本方針2 「心のバリアフリー」を育む環境づくりに取り組みます 番号 関連施策 概要 13 ユニバーサルデザインの理念の浸透 ユニバーサルデザインの理念を広く周知することで、バリアフリーマスタープランとの相乗効果をもたらし、多様な関係者におけるバリアフリー化の取り組みの後押しにつなげる。 14 妊産婦への理解の促進 マタニティマークキーホルダーを配布し広く活用してもらうとともに、マタニティマークを見かけた際の心づかい等を周知することにより、妊産婦にやさしい環境づくりを推進する。 15 障害者差別の解消に向けた関係者間の協議の促進 地域の障害福祉関係者が集う場において、各関係者が障害者差別の解消や合理的配慮に係る状況を十分に把握することで、周知方法や啓発活動に向けた意見交換や協議を促進させる。 16 「心のバリアフリー」を育む学校教育の推進 教育活動の全体を通じた道徳教育や人権尊重の精神を涵養する人権教育、さらには、つくばスタイル科における福祉教育を推進するとともに、教職員においても研修等を進めていく。 17 本人・家族・地域が一体となった認知症バリアフリーの推進 認知症の本人同士が自らの体験や要望などを語り合う場や、本人をはじめ家族や地域の人、専門職がそれぞれの情報を共有する場を作り出すとともに、本人や家族を応援する「認知症サポーター」を着実に養成していくことで、認知症の方が地域の中で安心して暮らすことのできる認知症バリアフリーを推進していく。 18 スポーツやレクリエーション活用を通じた交流機会の創出 「スポーツフェスティバル&つくパラ」や「おひさまサンサン生き生きまつり」をはじめとした様々な市民の交流機会を創出し、障害者スポーツを通じた理解の増進や、レクリエーション活動を通じた市民相互の理解といった心のバリアフリーを育む取り組みを推進する。 19 ジオガイド等を対象とした講座による啓発の促進 筑波山地域ジオパークにおける認定ジオガイド等を対象とし、ユニバーサルデザインを始めとした講座を開催することで、各ジオガイドにおける「心のバリアフリー」の啓発を促進する。 20 交通安全教室による啓発の推進 子どもからお年寄りまでの多様な市民に交通安全教室を実施し、歩行時や自転車運転時、自動車運転時における交通ルール等を啓発することで、通行者同士が思いやりを持ち、気持ちよく移動ができる環境を創出する。 21 日本人と外国人が共生できる環境づくりの推進 日本人と外国人がともに安全で安心して暮らせる環境を目指し、児童・生徒を対象に異文化への理解を深めるための講座を開催するとともに、外国人相談窓口の運営や外国語広報紙・多言語ホームページにおける情報発信等、地域における外国人住民の生活を円滑化するための支援を実施する。 22 性的少数者への理解を促進するためにセミナーの開催 性的多様性に関する意識醸成を図るため、セミナーを継続的に実施する。 基本方針3 公共施設におけるバリアフリー化に取り組みます 番号 関連施策 施策概要 23 公共施設におけるバリアフリー化の推進 つくば市公共施設バリアフリー化整備方針を策定し、施設整備の設計段階で障害者・高齢者等の意見を取り入れる仕組みを構築することを明記し、より望ましい施設のバリアフリー化を促進する。 24 職員研修による理解向上・意識啓発の推進 各障害を疑似体験する研修を実施することで、障害者に対する合理的配慮を学ぶとともに、認知症サポーター養成講座やLGBTQ+の人権課題についても、配慮事項や留意点などの具体的なポイントを学ぶことで、市民の視点に立ったサービスの提供を目指す。 25 障害者差別解消法の理念の啓発・周知 障害者差別解消法に掲げる「不当な差別的取扱いの禁止」や「合理的配慮の提供」等について、職員への研修・啓発を実施することによって、職員が障害の特性を理解した上で、障害者に適切に対応できる公共施設を目指すとともに、市民や事業者等に対しても障害者差別解消法についての周知を進める。 26 窓口等における新技術の活用 認識した音声をリアルタイムで字幕表示する透明ディスプレイ(シースルーキャプションズ)を窓口等で活用することで、声を聞き取りづらい方とのコミュニケーションの円滑化を図る。 27 サインガイドラインによる統一的な案内サインの活用 市の施設等においては、ユニバーサルデザインを踏まえた統一的な案内サインとなるよう、サインガイドラインを必要に応じて適切に活用していく。 第4章 つくば市における移動等円滑化促進地区 4-1 移動等円滑化促進地区とは   マスタープランの策定においては、バリアフリー法に基づき、移動等円滑化促進地区、生活関連施設及び生活関連経路を明示することが必要とされます。移動等円滑化促進地区とは、生活関連施設が集積し、その間の移動が通常徒歩で行われる地区をいいます。また、生活関連施設とは、高齢者、障害者等が日常生活または社会生活において利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設、その他生活に必要な施設をいい、その生活関連施設をつなぐ相互間の経路を生活関連経路といいます。  【移動等円滑化促進地区のイメージ】 (1)移動等円滑化促進地区の考え方 つくば市における移動等円滑化促進地区は、市内のバリアフリー化を図る上でのモデル地区と捉え、多様な特性を持つ地区を設定することで、実施された好事例を将来的に類似する他地区へ波及させることを目指すものです。 (2)移動等円滑化促進地区の要件 移動等円滑化促進地区の要件については、バリアフリー法第2条第23号において次のように定められています。 【バリアフリー法における要件(第2条第23号)】 移動等円滑化促進地区の要件 要件1 生活関連施設(高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設その他の施設をいう。)の所在を含み、かつ、生活関連施設 相互間の移動が通常徒歩で行われる地区 要件2 生活関連施設及び生活関連経路(生活関連施設相互間の経路をいう。)を構成する一般交通施設について移動等円滑化を促進することが特に必要であると認められる地区であること 要件3 当該地区において移動等円滑化を促進することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区 (3)移動等円滑化促進地区の選定方針 バリアフリー法における移動等円滑化促進地区の要件を踏まえ、つくば市では下記のとおり考え方と指標を設定します。 要件1 考え方 ・多くの人が利用する地区では、その多様性から必然的にバリアフリー化の必要性が高くなると考えられる 評価 視点 ア)生活関連施設の集積 評価 指標 1)生活関連施設の集積数 2)ヒアリング調査における意見 イ)障害者をはじめとした多くの人が主に利用する地区 3)アンケート調査における利用者数 要件2 考え方 ・駅や駅周辺のバス停などの公共交通機関の利用が多いほど、移動に困難を抱える人が利用する機会が多く、バリアフリー化の必要性が高いと考えられる 評価 視点 ウ)利用者数が多い鉄道駅周辺 評価 指標 4)鉄道駅の乗降者数(つくばエクスプレス) 5)バス停の乗降者数(つくバス) エ)利用者数が多いバス停周辺 6)バス停の乗降者数(関鉄バス) 要件3 考え方 ・各種計画等と整合を図り、面的・一体的なバリアフリー化が重要となると考えられる 評価 視点 オ)立地適正化計画 評価 指標 7)都市機能誘導区域 8)居住誘導区域 4-2 移動等円滑化促進地区における候補地区の選定  移動等円滑化促進地区の選定方針に基づき、候補地区を次のとおり選定します。 (1)候補地区の選定   鉄道駅の周辺や公共交通の要所地区、生活関連施設が集積する地区、中学校区を単位する既成市街地や生活居住区、観光拠点などを踏まえ、次のとおり候補地区を選定しました。  【つくばエクスプレス駅周辺】    つくば駅周辺、研究学園駅周辺、万博記念公園駅周辺、みどりの駅周辺  【周辺市街地(合併前の既成市街地)】   北条、小田、大曽根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原  【観光拠点】    筑波山 【バス利用者の多い地区】  筑穂、天久保、並木 【その他生活関連施設が集積する地区】  学園の森・東光台、松代、二の宮、稲荷前  【候補地区一覧】 1. つくば駅周辺 2. 研究学園駅周辺 3. 万博記念公園駅周辺 4. みどりの駅周辺 5. 北条 6. 小田 7. 大曽・筑穂 8. 吉沼 9. 上郷10. 栄 11. 谷田部 12. 高見原 13. 筑波山 14. 天久保 15. 並木 16. 学園の森・東光台 17. 松代 18. 二の宮19. 稲荷前 ※「大曽根及び筑穂」「学園の森及び東光台」はそれぞれ隣接しており、 共通の生活圏を有するため、1つの地区として扱うものとした 【候補地区位置図】 (2)候補地区の分析 各候補地区の半径1km圏内の生活関連施設の集積について整理します。 (3)候補地区の評価 移動等円滑化促進地区候補における評価を以下のように整理します。 4-3 生活関連施設および生活関連経路の設定   生活関連施設および生活関連経路の設定にあたっては、「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン(国土交通省)」を参考に、以下の方針や基準をもとに設定します。 (1)生活関連施設および生活関連経路の選定方針  【生活関連施設の選定方針】 @妊産婦や子育て家庭の利用が多い施設を選定 保育所、認定こども園、地域子育て支援拠点等の妊産婦や子育て家庭の利用が多い施設を生活関連施設とします。 A高齢者、障害者等の利用が多い施設を選定 老人ホーム、障害者支援施設等高齢者、障害者が多く居住する施設、福祉サービス施設・老人福祉センター・(障害者)地域活動支援センター等の高齢者、障害者等の利用が多い施設を生活関連施設とします。 B常に多数の人が利用する施設を選定 旅客施設、官公庁、郵便局、病院、文化施設、大規模商業施設、公園等は、高齢者や障害者だけでなく、妊産婦等の多様な来訪者が多いため、生活関連施設とします。 【生活関連経路の選定方針】 @より多くの人が利用する経路を選定 生活関連施設に訪れる人等の利用頻度が高い経路を選定します。 A生活関連施設相互のネットワークを確保 生活関連施設相互の連絡に配慮し、移動等円滑化促進地区内のネットワークを構成するよう考慮し、ひとつの生活関連施設に複数方向からのアクセス動線が確保されるよう選定します。 (2)生活関連施設の設定基準 不特定多数の人が利用する施設や、妊産婦や子育て家庭、高齢者、障害者等の利用が多い施設を基本とし、生活関連施設の設定基準を次に示します。 【生活関連施設の設定基準】 区分 種類 子育て支援施設 保育所、認定こども園、地域子育て支援拠点等 教育・文化施設等 図書館 市民ホール 学校(幼稚園・小・中・高等学校・大学) 博物館・美術館・資料館等 保健・医療・福祉施設 保健センター等 病院(20床以上の施設) 高齢者福祉施設、障害者福祉施設 公園・運動施設 公園(総合公園・運動公園・地区公園・近隣公園) 体育館・武道館・その他屋内施設 旅客施設 鉄道駅、バスターミナル(自動車ターミナル法に基づくバスターミナル) 官公庁施設 市役所・市役所出先機関 警察署・交番 市民活動センター、地域交流センター 国や県の出先機関 金融機関 郵便局・銀行等(有人窓口のある施設) 商業施設 大規模小売店舗(店舗面積1,000u以上の施設)等 宿泊施設 ホテル等(10室以上) その他の施設 結婚式場・葬祭場等冠婚葬祭に関わる施設 観光施設、観光案内所 路外駐車場(バリアフリー法に基づく特定路外駐車場:500u以上かつ料金を 徴収している路外駐車場のうち、道路附属物・公園施設・建築物・ 建築物に附属しているものを除く) (3)生活関連経路の設定基準   生活関連施設同士を結ぶ経路を基本とし、生活関連経路の設定基準を次に示します。 【生活関連経路の設定基準】 選定方針 設定基準 より多くの人が利用する経路を選定 ・保育所・認定こども園・地域子育て支援拠点や保健・医療・福祉施設など妊産婦や子育て家庭、高齢者、障害者等の利用頻度が高い施設を結ぶ経路を優先 ・旅客施設や官公庁施設など不特定多数の人が利用する施設を結ぶ経路を優先 生活関連施設相互のネットワークを確保 ? 鉄道駅やバス停から生活関連施設へ連絡する経路を優先 4-4 移動等円滑化促進地区の設定   基礎調査として実施した「まち歩き点検」の対象地区の選定においては、選定された地区が最終的な移動等円滑化促進地区となる可能性を考慮し、バリアフリー法が規定する要件に即した客観的な指標を用いた上で、多様な特性を持つ地区を選定することによって他の地区へ波及させる可能性を高めた選定内容としています。 また、「まち歩き点検」の実施段階では、住民提案がなされていること等を背景に対象地区を追加し、全4地区において実施しました。その結果として、地区ごとに個別の課題があり、全ての地区において一定のバリアフリー化の必要性が明らかになったことを踏まえ、移動等円滑化促進地区として、「つくば駅周辺地区」、「研究学園駅周辺地区」、「大曽根・筑穂地区」の3地区を移動等円滑化促進地区に設定します。なお、「まち歩き点検」を実施した「天久保地区」については、「つくば駅周辺地区」と一体的な区域として捉えることとします。 (1)つくば駅周辺地区の特性   つくば駅周辺地区は、つくば市の玄関口であるとともに、生活関連施設数及び鉄道・バスの乗降者数が最多であり、市民アンケートにおける利用者数も多くなっています。さらに、ヒアリング調査においてほぼ全ての団体から指摘があったことからも、まちの中心であり重要な交通結節点である本地区のバリアフリー化を推進することは、将来的な市全域のバリアフリー化を図る上で必要不可欠となります。 また、天久保地区には、一般路線バス(関東鉄道バス)における乗降者数が上位のバス停が複数存在し、乗降者数の総数ではつくば駅に次いで多くなっています。さらに、つくば駅からペデストリアンデッキが連続していることや、多様な人々が利用する医療機関が立地しています。加えて、視覚障害者・聴覚障害者が在籍する筑波技術大学が立地しており、そこへ通う学生が多数居住しているといった特性があることから、つくば駅周辺地区、天久保地区(一部、春日地区を含む)を一体と捉えて移動等円滑化促進地区とします。 【区域設定の考え方】 ・立地適正化計画における都市機能誘導区域及び居住誘導区域、筑波大学附属病院、筑波技術大学、つくば駅等の生活関連施設の周辺の主要な路線が包括され、徒歩でのアクセス性が担保できること。 ・同一路線上において徒歩でのアクセスが断続的にならないよう連続性を担保すること。 【移動等円滑化促進地区 区域図】 【生活関連施設の一覧】 つくば駅周辺地区 生活関連施設 子育て支援施設 1 つくば駅前保育園 2 YMCAつくばオリーブ保育園 3 ルンルン保育園春日 4 クローバー保育園 5 スクルドエンジェル保育園つくば駅前園 6 吾妻保育所 7 竹園西児童館 8 吾妻西児童館 教育・文化施設等 9 つくば国際会議場 10 つくば市立中央図書館 11 吾妻幼稚園 12 竹園西幼稚園 13 吾妻小学校 14 竹園西小学校 15 吾妻中学校 16 つくば看護専門学校 17 筑波大学筑波キャンパス南地区 18 筑波大学筑波キャンパス西地区 19 筑波大学筑波キャンパス春日地区 20 筑波学院大学 21 筑波技術大学天久保キャンパス 22 筑波技術大学春日キャンパス 23 つくばエキスポセンター 24 茨城つくば美術館 25 つくば文化会館アルス(アルスホール) 26 さくら民家園 27 つくば市立ノバホール 28 つくばカピオ 29 文部科学省研究交流センター 保健・医療・福祉施設 30 筑波大学附属病院 31 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター 32 筑波メディカルセンター病院 33 ニューソフィアコート天久保(高齢者福祉施設) 34 デイサービスセンターさとのこハウス学園中央(高齢者福祉施設) 35 レコードブックつくば竹園(高齢者福祉施設) 36 カフェベルガ(障害者福祉施設) 37 相談支援あおいぞう(障害者福祉施設) 38 イッツ・ミー 春日(障害者福祉施設) 39 イッツ・ミー 天久保(障害者福祉施設) 40 福祉型専攻科「シャンティつくば」(障害者福祉施設) 41 わくわく(障害者福祉施設) 42 CWらぼ つくば(障害者福祉施設) 43 就労センターつくば(障害者福祉施設) 44 千年一日珈琲焙煎所 焙煎所(障害者福祉施設) 45 千年一日珈琲焙煎所 CAFE(障害者福祉施設) 46 千年一日珈琲焙煎所 えんすい舎(障害者福祉施設) 47 きらめきつくば 吾妻教室(障害者福祉施設) 48 スタディルーム つくばナーサリーライム(障害者福祉施設) 49 ピースホームタウン(障害者福祉施設) 50 YMCAひかりの子(障害者福祉施設) 51 コペルプラス つくば駅前教室(障害者福祉施設) 52 LITALICOジュニアつくば教室(障害者福祉施設) 53 もものき(障害者福祉施設) 54 ピースホームタウン スタディ(障害者福祉施設) 55 グローバルキッズパークつくば店(障害者福祉施設) 公園・運動施設 56 松見公園 57 天久保公園 58 中央公園 59 吾妻公園 60 竹園西公園 61 竹園公園 62 大清水公園 旅客施設 63 つくば駅 官公庁施設 64 水戸地方法務局つくば出張所 65 つくば駅前交番 66 消費生活センター 67 市民活動センター 68 吾妻交流センター 金融機関 69 みずほ銀行 つくば支店 70 足利銀行 つくば支店 71 常陽銀行 研究学園都市支店 72 筑波銀行 つくば営業部、学園並木支店、松代支店、つくば北支店 73 水戸信用金庫 つくば支店 74 中央労働金庫 つくば支店 75 筑波学園郵便局 76 筑波大学内郵便局 商業施設 77 DAYZ TOWN TSUKUBA 78 カスミ学園店 79 トナリエつくばスクエア CREO 80 トナリエつくばスクエア Q't 81 ヨークタウンつくば竹園 82 BiViつくば 宿泊施設 83 ダイワロイネットホテルつくば 84 ホテルJALシティつくば 85 ホテル日航つくば その他の施設 86 アンジェブリッサ 87 メモリアルホール天久保 88 つくば市物産館 89 つくば総合インフォメーションセンター 90 南1駐車場 91 南2駐車場 92 南3駐車場 93 南4駐車場 94 北1駐車場 95 北2駐車場 96 北3駐車場 (2)研究学園駅周辺地区の特性 研究学園駅周辺地区は、鉄道駅の乗降者数はつくば駅に次ぐ2番目であり、つくバスの乗降者数においても3番目となっています。また、市民アンケートにおける利用者数は、大型ショッピングセンターの立地などもあり、つくば駅よりも多くなっています。加えて、つくば市役所が立地していることから、研究学園駅周辺地区には多様な市民等が数多く訪れます。 さらに、鉄道駅を中心として市街地が形成されている点において、都市構造が類似する万博記念公園駅周辺、みどりの駅周辺へ波及させるモデル地区になり得ることを勘案し、移動等円滑化促進地区とします。 【区域設定の考え方】 ・立地適正化計画における居住誘導区域、研究学園駅、つくば市役所、大型商業施設、公園等の生活関連施設の周辺の主要な路線が包括され、徒歩でのアクセス性が担保できること。 ・同一路線上において徒歩でのアクセスが断続的にならないよう連続性を担保すること。 【移動等円滑化促進地区 区域図】 【生活関連施設の一覧】 研究学園駅周辺地区 生活関連施設 子育て支援施設 1 学園保育園研究学園駅前分園 2 ラ・フェリーチェ保育園 保健・医療・福祉施設 3 つくば市 障害児相談支援事業所(障害者福祉施設) 4 就労移行支援事業所 ブルーム研究学園(障害者福祉施設) 公園・運動施設 5 研究学園駅前公園 6 学園の杜公園 旅客施設 7 研究学園駅 官公庁施設 8 つくば市役所 9 つくば市役所コミュニティ棟 10 つくば市消防本部・中央消防署 11 研究学園交番 金融機関 12 三井住友銀行 つくば支店 13 常陽銀行 つくば市役所リテールステーション 14 筑波銀行 つくば副都心支店 15 千葉銀行 つくば支店 16 つくば研究学園郵便局 商業施設  17 とりせん研究学園店 18 iias(イーアス)つくば 宿泊施設 19 ホテルベストランド 20 ホテルマークワンつくば研究学園 21 東横INN研究学園駅前 その他の施設 22 麗風 つくば シーズンズテラス (3)大曽根・筑穂地区の特性 大曽根・筑穂地区は、つくバスの乗降者数がつくば駅に次ぐ2番目であるとともに、大穂窓口センターを始めとした多様な市民等が訪れる生活関連施設が立地し、その数はつくば市役所の立地する研究学園駅周辺よりも多くなっています。 さらに、大曽根は合併前の旧町村時代からの歴史ある市街地であるとともに、筑穂は土地区画整理事業によって整備された既成市街地という2つの特徴を合わせ持っていることから、鉄道駅を有しない市街地へ波及させるモデル地区となり得ることを勘案し、移動等円滑化促進地区とします。 【区域設定の考え方】 ・立地適正化計画における居住誘導区域、大穂交流センター、商業施設、金融機関、医療機関、小学校等の生活関連施設の周辺の主要な路線が包括され、徒歩でのアクセス性が担保できること。 ・同一路線上において徒歩でのアクセスが断続的にならないよう連続性を担保すること。 【移動等円滑化促進地区 区域図】 【生活関連施設の一覧】 大曽根・筑穂地区 生活関連施設 子育て支援施設 1 大曽根児童館 2 大穂保育所 教育・文化施設等 3 大曽根小学校 保健・医療・福祉施設 4 いちはら病院 5 つくばメディケアレジデンス(高齢者福祉施設) 6 シニアガーデン(高齢者福祉施設) 7 シニアガーデン別館(高齢者福祉施設) 8 つくばリハビリテーションセンター(高齢者福祉施設) 9 つくばフィジカルフィットネススタジオ(高齢者福祉施設) 10 ファミーユ(高齢者福祉施設) 11 おひさまひろば(障害者福祉施設) 12 にじのひろば(障害者福祉施設) 13 大穂保健センター 14 いきいきプラザ(健康増進施設) 公園・運動施設 15 大穂体育館 官公庁施設 16 大穂窓口センター 17 筑穂交番 18 大穂交流センター 金融機関 19 常陽銀行 大穂支店 20 茨城県信用組合 大穂支店 21 大穂郵便局 商業施設  22 カスミ 大穂店 23 DCM つくば大穂店 24 TAIRAYA つくば大穂店 その他の施設 25 セレモつくばホール 4-5 届出制度とは バリアフリー法では、公共交通事業者または道路管理者は、旅客施設の建設または道路の新設等で、移動等円滑化の促進に支障を及ぼすおそれがある場合は、市町村に事前に届出するよう規定されています。 この制度によって、施設設置管理者が異なる施設間であっても、移動の連続性を確保することができ、移動等円滑化が促進されます。 本マスタープランにおいて定められた移動等円滑化促進地区において、以下の対象となる場合に、30日前までに市に届出する必要があります。加えて、市は届出に係る行為がバリアフリー化を図るうえで、支障があると認めるときは、行為の変更等の必要な措置を要請できます。 <バリアフリー法施行令(一部抜粋)> 第二十七条  法第二十四条の六第一項の政令で定める行為は、次に掲げるもの(法第二十八条第一項の公共交通特定事業又は法第三十一条第一項の道路特定事業の施行として行うものを除く。)とする。 一 生活関連施設である旅客施設(以下この条において「生活関連旅客施設」という。)の建設又は改良であって、当該生活関連旅客施設における車両等の乗降口と次のイ若しくはロに掲げる施設で当該生活関連旅客施設に隣接するものとの間の経路又は高齢者、障害者等の円滑な利用に適するものとして国土交通省令で定める経路を構成する出入口の新設又は構造若しくは配置の変更を伴うもの イ 他の生活関連旅客施設 ロ 生活関連経路を構成する一般交通用施設(移動等円滑化の促進の必要性その他の事情を勘案して国土交通省令で定めるものに限る。) 二 生活関連経路を構成する道路法による道路のうち、次のイ又はロに掲げる施設で当該道路に接するものの高齢者、障害者等による円滑な利用を確保するため必要があると認めて市町村が国土交通省令で定めるところにより指定する部分の新設、改築又は修繕 イ 生活関連旅客施設 ロ 生活関連経路を構成する一般交通用施設(移動等円滑化の促進の必要性その他の事情を勘案して国土交通省令で定めるものに限る。) 【対象となる行為】 旅客施設や道路の改良等であって、他の施設と接する部分の構造を変更等する行為。 【届出の対象範囲】 移動等円滑化促進地区における下記の範囲。 <旅客施設> 生活関連施設である旅客施設(以下「生活関連旅客施設」という)のうち、下記の範囲 ・他の生活関連旅客施設との間の出入口 ・生活関連経路を構成する道路法による道路又は市町村が指定する一般交通用施設との間の出入口 ・バリアフリールートの出入口 <道 路> 生活関連経路である道路のうち、下記の範囲 ・生活関連旅客施設の出入口又は市町村が指定する生活関連経路を構成する一般交通用施設 出典:移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン (国土交通省) 4-6 届出制度の対象の指定  移動等円滑化促進地区のうち、バリアフリー法に基づく生活関連旅客施設のある、つくば駅周辺地区および研究学園駅周辺地区の届出制度の対象とする範囲は以下のとおりです。  なお、届出制度の対象とならない範囲であっても、各事業者等と十分に連携することによって施設間の移動の連続性を確保していきます。 (1)つくば駅周辺地区 つくば駅地上部、A1〜A5の出入り口部およびエレベーター出入り口部。  <現況写真> A1 A2 A3 A4 A5 EV(交差点側) EV(駅前広場側) つくば駅地下部、自由通路(県道)とT]構内の境界部。  <現況写真> 自由通路と改札口境界部 (2)研究学園駅周辺地区  研究学園駅、自由通路(市道)とT]構内の境界部。  <現況写真> 自由通路と改札口境界部 【届出のフロー】 第5章 心のバリアフリー 5-1 心のバリアフリーの必要性 心のバリアフリーを推進していくためには、高齢者や障害者等に対する偏見や無理解といった、心の中にある見えない壁(バリア)をなくして、建物や交通機関などのバリアフリーだけではなく、一人ひとりが多様な人を思いやり、行動を起こすことが必要です。 (1)心のバリアフリーとは 「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです。   そのためには、一人一人が具体的な行動を起こし継続することが必要です。各人がこの「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは、「ユニバーサルデザイン2020 行動計画」では、次の3点とされています。 @ 障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。 A 障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。 B 自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。 出典:ユニバーサルデザイン2020 行動計画 (2)障害の社会モデルとは   「障害の社会モデル」とは、「障害」は個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務である、とする考え方です(「ユニバーサルデザイン2020行動計画」より)。   「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、「障害の社会モデル」をすべての人が理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていくことで、社会全体の人々の心の在り方を変えていくことが重要であり、また、この「障害の社会モデル」の考え方を反映させ、誰もが安全で快適に移動できるユニバーサルデザインの街づくりを推進していく必要があるとされています。 (3)社会的障壁とは   社会的障壁には、一般に「物理的なバリア」、「制度的なバリア」、「文化情報面のバリア」、「意識上のバリア」の4つのバリアがあるといわれ、バリアフリーとは、これらのバリアがないこと、あるいは取り除くことを差します。 社会的障壁の内容について次に示します。 分類 概要 具体例 物理的なバリア 公共交通機関、道路、建物などにおいて、利用者に移動面で困難をもたらす段差や狭い道、急勾配の通路など、物理的なバリアとなるものを差します。 ・乗降口に段差のあるバス ・駅の狭い改札口、ホームまでの階段 ・車いすの方が利用できないトイレ ・子どもや車いすの方には届かない公衆電話や自動販売機 など 制度的なバリア 社会における制度や個別のルールなどによって、障害があることにより制限され、機会の均等を奪われているバリアを差します。 ・身体的・精神的な障がいがあることを理由に、学校入試や就職、資格試験などの受験や採用、資格付与の制限 ・補助犬を連れていることによる施設の利用制限 ・幼児連れによる施設の利用制限 など 文化 情報面のバリア 音声のみのアナウンスや点字・手話通訳のない講演会など、情報の伝え方が不十分のため、必要な情報が平等に得られない情報面のバリアを差します。 ・障害があることにより文化活動の機会が得られないこと ・新聞が読めない、信号がわからない、テレビの内容がわからないなど情報がうまく得られないこと ・駅・車内におけるアナウンス情報がわからないこと ・イベントなどで手話通訳や託児がないこと など 意識上のバリア バリアフリーに対する認識不足、高齢者や障害のある方などへの差別・無関心・偏見など、障害に対する誤った認識から生まれるバリアのことを差します。 ・障害がある人に対する無理解、奇異な目で見たりかわいそうな存在だと決めつけたりすること ・精神障害のある人は何をするか分からないから怖いといった偏見 ・通学路や車いす用駐車スペースでの迷惑駐車 ・点字ブロックの上への看板の設置や自転車の駐輪行為 など 出典:「心のバリアフリー」(内閣府大臣官房政府広報室)を基に編集 5-2 バリアフリー施設の適正な利用 施設のバリアフリー化の整備が進んでも、市民一人ひとりが心のバリアフリーを理解して接することができなければ、真の意味でのバリアフリーが実現することにはなりません。 バリアフリー施設の適正な利用にあたって、高齢者や障害者等の自立した日常生活や社会生活を確保することの重要性について関心を持ち、理解を深めるこが大切です。 (1)バリアフリーに関するサインやシンボルマーク 心のバリアフリーを理解し、自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを図っていくためには、バリアフリーに関するサインやシンボルマークを正しく知ることが大切です。 名称 概要 障害者のための国際シンボルマーク 障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通のシンボルマークです。マークの使用については国際リハビリテーション協会の「使用指針」により定められています。 盲人のための国際シンボルマーク 世界盲人連合で1984年に制定された盲人のための世界共通のマークです。視覚障害者の安全やバリアフリーに考慮された建物、設備、機器などに付けられています。 信号が青になったことを音声で知らせる音響装置付信号機など、視覚障害者が利用する機器等に表示されています。 ベビーカーマーク ベビーカーを利用しやすい環境づくりに向けて作成されたマークです。公共交通機関や公共施設などのエレベーター、鉄道やバスの車両スペースなどに表示され、安全な使用方法を守ったうえでベビーカーを折りたたまずに利用できるなど、ベビーカーを安心して利用できる場所・設備を表しています。 身体障害者標識(身体障害者マーク) 肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマークで、マークの表示については、努力義務となっています。 危険防止のためやむを得ない場合を除き、このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、道路交通法の規定により罰せられます。 聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク) 聴覚障害があることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマークで、マークの表示については、義務となっています。 危険防止のためやむを得ない場合を除き、このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、道路交通法の規定により罰せられます。 ほじょ犬マーク 身体障害者補助犬法の啓発のためのマークです。 身体障害者補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導犬のことを言います。「身体障害者補助犬法」において、公共の施設や交通機関はもちろん、デパートやスーパー、ホテル、レストランなどの民間施設は、身体障害のある人が身体障害者補助犬を同伴するのを受け入れる義務があります。 耳マーク 聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマークです。また、窓口等に掲示されている場合は、聴覚障害者へ配慮した対応ができることを表しています。 ヒアリングループマーク ヒアリングループマークは、補聴器や人工内耳に内蔵されているTコイルを使って利用できる施設・機器であることを表示するマークです。 このマークを施設・機器に掲示することにより、補聴器・人工内耳装用者に補聴援助システムがあることを知らしめ、利用を促すものです。 ハート・プラスマーク 身体の内部に疾患のある人のためのマークです。身体内部(心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱・直腸、小腸、肝臓、免疫機能)に障害がある方は外見からは分かりにくいため、様々な誤解を受けることがあります。そのような人の存在を視覚的に示し、理解と協力を広げるために作られたマークです。 オストメイト用設備/オストメイト オストメイトとは、がんなどで人工肛門・人工膀胱を造設している排泄機能に障害のある障害者のことをいいます。 このマークは、オストメイトの為の設備(オストメイト対応のトイレ)があること及びオストメイトであることを表しています。 ヘルプマーク 義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、知的障害や精神・発達障害の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることができるマークです。 手話マーク きこえない・きこえにくい人が手話言語でのコミュニケーションの配慮を求めるときに提示したり、役所、公共及び民間施設・交通機関の窓口、店舗など、手話言語による対応ができるところが提示できます。また、イベント時のネームプレートや災害時に支援者が身に着けるビブスなどに提示することもできます。 筆談マーク きこえない・きこえにくい人、音声言語障害者、知的障害者や外国人などが筆談でのコミュニケーションの配慮を求めるときに提示したり、役所、公共及び民間施設・交通機関の窓口、 店舗など、筆談による対応ができるところが提示できます。また、イベント時のネームプレートや災害時に支援者が身に着けるビブスなどに提示することもできます。 出典:障害者に関係するマークの一例(内閣府) (2)高齢者障害者等用施設等の適正な利用の推進 高齢者障害者等用施設等とは、高齢者、障害者等が円滑に利用するための適正な配慮が必要な施設・設備(バリアフリートイレ、車いす使用者用駐車施設等、鉄道、バス等の優先席、エレベーター、車両等の車いすスペース)をいいます。 令和3年(2021年)4月から、高齢者障害者等用施設等の適正な利用を推進することが、国・地方公共団体・国民・施設設置管理者の責務となりました。高齢者障害者等用施設等の適正な利用の推進に向けて、広報啓発活動を実施し、真に必要な方が利用しやすい環境の整備を推進します。 国による広報啓発の取り組み 【バリアフリ―トイレ】 トイレの様々な設備や機能について、真に必要な方が必要な時に利用できるよう、ポスター・チラシを作成し、トイレの適正な利用に関する広報啓発の取り組みを行っています。 【障害者等用駐車スペース】 障害者等用駐車スペースについて、真に必要な方が必要な時に利用できるよう、ポスター・チラシを作成し、障害者等用駐車スペースの適正な利用に関する広報啓発の取り組みを行っています。 【エレベーター】 エレベーターの利用について真に必要な方が優先的に使用できるよう、ポスターを作成し、エレベーターの利用に関する広報啓発を行っています。 【鉄道、バス等の優先席】 鉄道・バスの座席の利用について真に必要な方が優先的に使用が出来るよう、ポスターを作成し、座席の利用に関する広報啓発を行っています。 出典:高齢者障害者等用施設等の適正な利用の推進(国土交通省) 他県による障害者等用駐車スペースの取り組み事例 出典:三重県 茨城県による障害者等用駐車スペースの取り組み事例 出典:茨城県 5-3 心のバリアフリーに関する基礎調査結果 心のバリアフリーに必要なことは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです。心のバリアフリーを実現するためには、多様な人々が社会で生活している上での認識と理解、助け合いを推進し、社会的障壁をなくしていくことが必要です。 市民アンケート、ヒアリング調査、まち歩き点検からは、心のバリアフリーに関して次のような結果となりました。 (1)市民アンケート 市民アンケートでは、バリアフリーに対する意識の把握のほか、心のバリアフリーに関するアンケートを実施しています。 市民アンケートの結果では、心のバリアフリーという言葉の認知度は、バリアフリーという言葉に比べ、認知度が低いことがわかりました。また、若年層では他の世代に比べて認知度は低く、年代が上がるにつれ認知度が高くなる傾向となりました。 また、バリアフリーのまちづくりのために最も必要だと思うことについては、段差解消や歩道整備のハード面を除くと、教育に関することが最も必要なことであるという結果でした。  @バリアフリーと心のバリアフリーの認知度 「バリアフリー」という言葉を聞いたことがある人が97.5%だったのに対し、「心のバリアフリー」を聞いたことがある人は61.4%であり、その意味を知っている人は42.0%である。「バリアフリー」と比べて、心のバリアフリーを知っている人の割合が少ないことがわかる。  A年代別 心のバリアフリーの認知度  「心のバリアフリー」の認知度については、若年層で比較的低い傾向があったものの、全年代において低調であった。  Bバリアフリーのまちづくりのために最も必要だと思うこと バリアフリーのまちづくりのために最も必要だと思うことは、段差解消や歩道整備のハード面を除くと、教育に関することがバリアフリーのまちづくりのために最も必要なことである結果であった。 (2)ヒアリング調査 ヒアリング調査では、障害者団体、高齢者団体、子育て支援団体などを対象として、心のバリアフリーに対する意見を聞き取りました。  ヒアリング調査での主な意見 【肢体・身体障害】 ・エレベーターにおいて、譲ってもらえることや車いすが入るようスペースを作ってくれることが嬉しかった。反対に、先に乗っていた人に譲ってもらえなくて困ったこともあった。 ・介助者ではなく、障害のある自分に意思確認をしてくれたことが嬉しかった。 ・障害のある人に対して声をかけてよいかわからない人が多いように感じる。身近に障害者がいないことが一因だと思うので、障害者との距離を近くして心のバリアフリーを育てることが重要である。 【視覚障害】 ・声をかけてもらうのは嬉しいが、半ば強引に手首や白杖を掴まれ怖い思いをすることもある。最初にどうすればいいか聞いてくれると助かる。 ・テレビドラマ等で視覚障害者が取り上げられることや、近年では、東京 2020大会をきっかけとして、周囲の人から声をかけてもらえることが増えた。 【聴覚障害】 ・緊急時に音声案内があった際に、私が聞こえていないことに気づいた周囲の人が伝えてくれた。 【高齢者】 ・点字ブロックの上に自転車が駐輪されているなど常識的なことが守られていないと感じるので、もっとバリアフリーの意識付けをすべきである。 【子育て家庭】 ・電車やバスは、子どもが泣いた場合の周囲への迷惑を考えてしまい使用を控えてしまうが、そのような場合でも周りの乗客からやさしい声をかけてもらえると安心できる。 ・子どもの泣き声に対して不寛容だと感じる場面が多く、その原因として、子どもと接する機会や子育て世帯の生活を知る機会が少ないからではないかと考えている。 ・周囲の人と助け合える社会なら、ハード面におけるバリアフリーの必要性は低くなると思うので、そういった周囲とのつながりがより増えるとよい。 (3)まち歩き点検 まち歩き点検では、多様な関係者(障害者、交通事業者、施設管理者等)が一体となって、現地で実際に障害者の立場に立って体験することで、自分以外の人の立場やニーズに気づき、ハード面だけでなくソフト面の心理的な障壁となっている側面についても理解や共感を深めることができました。 まち歩き点検での主な意見 【視覚障害者】 ・つくばセンター広場では、ペデストリアンデッキの交差部が多いが、早いスピードで自転車が通過し危険を感じる。 【聴覚障害者】 ・歩行者と自転車の通行レーンが分かれていない歩道では、後方からの自転車に気付きにくく危険を感じた。 【車いす利用者】 ・横断歩道で車がスピードを出して通過していた。車いすだけならより目立たないし、視覚・聴覚の障害者の方は車に気付かない可能性もあるため、危険を感じた。 ・生活関連施設のスロープにプランターが置かれていたため、幅員が狭く通りにくかった。大きな車いすでは通れないと思う。 5-4 心のバリアフリーの推進に向けた取り組み 心のバリアフリーを推進するためには、多様な関係者の相互理解の浸透を進めていくことなど、市民や施設の管理者、行政などがそれぞれの役割を果たしながら、バリアフリー施策の取り組みを一体的に推進していくことが大切です。 (1)心のバリアフリーの推進にあたっての関係者の基本的な役割 多様な関係者の協力のもと、それぞれの役割を理解しながら心のバリアフリーの推進に取り組むことが大切です。 @行政の役割 行政は、市民一人ひとりのバリアフリーへの関心と理解が深まるよう、多様な関係者と協力しながら、広報活動、啓発活動、教育活動等の心のバリアフリーを育む取り組みを計画的に推進する役割を担います。 ※具体的な取り組みについては、基本方針2(「心のバリアフリー」を育む環境づくりに取り組みます)の関連施策で整理しています。 A事業者の役割 交通事業者や施設管理者等は、社員・職員におけるバリアフリーの意識を高める教育を推進するとともに、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れながら、高齢者や障害者等の多様なニーズに応える商品やサービスの提供に努める役割を担います。 B市民の役割 市民は、障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解するなど、一人ひとりがバリアフリーへの関心を深めていくとともに、多様な相手とコミュニケーションを取りながら、お互いが理解し尊重できる環境づくりを推進する役割を担います。 (2)心のバリアフリーの取り組みの事例 多様な関係者がお互いの取り組みを知ることも、心のバリアフリーを育むきっかけとなります。ここでは、各関係者による具体的な取り組みについて紹介します。  マナー啓発ポスター つくばエクスプレスでは、全てのお客様がつくばエクスプレスを快適にご利用いただけるよう、駅構内と列車内でマナーポスターを掲出し、乗車マナーへのご理解とご協力を呼びかけています。 【「めいわくだもの」シリーズ】 可愛いくだものが描かれたマナーポスター(「めいわくだもの」シリーズ)によるマナー啓発を行っています。 「くだもの」と掛け合わせただじゃれを楽しみながら、列車内や駅構内でのマナー啓発への理解を深めていただける内容となっています。 毎月変わるポスターデザインがお客様から大変好評で、「めいわくだもの」シリーズのポスターだけを列車内に掲出した「TXフルーツトレイン」の運行や、お客様からマナーポスターのテーマ・ヘッドマークのデザインを募集して入賞作品を掲載する「TXマナー啓発ポスターコンテスト」を行っています。 【「困虫(こんちゅう)図鑑」シリーズ】 令和2年度(2020年度)から新たに「昆虫」が描かれたマナーポスター(「困虫図鑑」・「よい子ん虫図鑑」)によるマナー啓発を行っています。 お客様から大変好評をいただきました「めいわくだもの」「やさしいやさい」シリーズと同様に、「困った行為」「良い行為」を架空の昆虫としてイラスト化し、楽しみながら列車内や駅構内でのマナー啓発への理解を深めていただける内容となっております。 市職員ユニバーサルデザイン研修会   つくば市では、ユニバーサルデザインによるまちづくりを推進していく上で、職員のユニバーサルデザインに対する意識づくりが重要であることから、基本的な考え方などの理解を深め、行政運営に反映させるため、平成19年度(2007年度)からユニバーサルデザイン研修会を開催しています。 【視覚障害疑似体験の様子】      【聴覚障害疑似体験の様子】 【高齢者疑似体験の様子】     【ユニバーサルデザイン体験の様子】 社員の「サービス介助士」の資格取得の推進 つくばエクスプレスでは、ご高齢のお客様やお身体の不自由なお客様が安心してご利用いただけるように、駅係員や乗務員が駅構内での移動や列車への乗降時などにおいて、適切にサポートするための知識や技能を習得した「サービス介助士」の資格取得を推進しています。 ※サービス介助士:(公財)日本ケアフィット共育機構が認定する資格。取得者数は、令和4年(2022年)3月末現在、337名 民間の学習塾の取り組み(市民コラム「忘れられない思い出」より) ある時Aちゃんはお母さんと一緒に教室に現れました。元気に笑顔で「こんにちは」と言ってくれました。Aちゃんはダウン症です。明るく、アイドルが大好きな女の子でした。中学校を卒業した後、進路について可能性を広げるために、学習を見て欲しいというのがお母様の希望でした。私達は障がいある子の専門家ではないということで、どうするか当時のスタッフ達と協議しました。ちょうど福祉を専攻している学生講師もいて、全員が「見てあげたい。」という気持ちになり、引き受けることとなりました。 皆でテキストについても考え、福祉専攻の講師に担当してもらいながら、音読、計算を中心に行っていきました。時々大きな声で話したり笑ったりして、他の生徒から「うるせーよ」と言われましたが、そういった時も決して怒ったり嫌な顔をしたりしないで、人差し指を立てて「シーだね。」と肩をあげていました。Aちゃんは、たどたどしい音読でした。計算もたし算、ひき算、かけ算までは何とか自力でできましたが、わり算となると難しいようでした。どうしたら良いかいろいろ考えました。しかしよく考えてみると私達が生活していく上で、たし算、ひき算ができれば買い物はできるし、かけ算ができれば大きな数を数えることもできる、わり算はそれほど生活に密着していない気がします。それならまずは大人になって必要なことから学ぶことにしようということになりました。そのために買い物に出たり、散歩したり生活しながらできる学習を織り交ぜながら進めていきました。そのうち、音読は大分スムーズになり、買い物の時のおつりの計算もできるようになっていったのです。11月の時期には、作文も自分の思いを入れながら原稿用紙1枚近く書けるようになり、面接の練習では質問に応じての答えをとても上手に答えられるようになりました。そのがんばりの成果がでて、Aちゃんは早いうちに推薦で高校入学を決めました。Aちゃんはもちろん、お母様も講師も皆で喜びました。 そして私がもうひとつ感動したこと。それは他にいた一時はうるさいと言っていた生徒たちの反応でした。「Aちゃんはがんばって高校決まった。」と私が話したところ、その生徒の中には県内のトップ校を目指す生徒もいましたが、その生徒達が、「あいつがんばったじゃない。おれたちも負けずにがんばろうぜ。」と声を掛け合ってまた勉強を始めたのです。こういった様子を見ながら、私は障がいが有る無しに関わらず、人は頑張っている姿に影響を受け、その影響は自分自身の力を強くしていくのに働くと実感しました。Aちゃんをはじめ生徒から学ばせてもらったことでこの経験は忘れられない思い出です。高校進学後、Aちゃんは顔を見せに来てくれました。高校生の制服を来て髪もきれいに結んだ姿に「こんなに立派に高校生になるんだ」、と驚きました。 教室では毎年いろいろなことが起こります。でも開講した当時から、そして今も変わらないこと、それはこの教室に来ている生徒はどこの塾にも負けない「心が素晴らしい子」たちだということです。成績の善し悪しで人を判断しない、困っている生徒がいると自分を差し置いてでも助けてあげる。たとえテストでちょっとミスしてしまっても、ちょっと雑にノートを書いてしまってもそれはきっと直していけること。心の優しさは生涯人を惹きつけるに違いないのです。「皆その良さに自信を持って!」私はそう思わずにはいられなくなるのです。 つくば駅及びつくばセンターバスターミナルにおける視覚障害者の移動サポート実証実験について 〜鉄道・バスが相互連携した全国初めての取り組み〜 首都圏新都市鉄道株式会社、つくば市、国立大学法人筑波技術大学、リンクス株式会社は、令和5年(2023年)5月、TXつくば駅とつくばセンターバスターミナル間における視覚障害者向けのナビゲーションシステム「shikAI(シカイ)」を使用した移動サポート実証実験を行いました。「shikAI(シカイ)」は、点字ブロック上に表示されたQRコードを、専用アプリで起動したスマートフォンのカメラで読み取ることで、現在地から目的地までの正確な移動ルートを音声で誘導ご案内をするシステムです。 今回の「shikAI(シカイ)」を用いた実証実験は、鉄道の駅構内と自治体が管理するバスターミナルの道順をご案内するもので、公共交通機関が相互に連携する実験としては、全国初の取り組みみとなります。 【実験の概要】 つくば駅ホームからつくばセンターバスターミナルまでの乗り換え時に、「shikAI (シカイ)」による移動サポートを受けて、筑波技術大学学生が安全に目的地まで移動可能か検証をする。被験者の行動観察やアンケート調査を通じて、安全性や利便性など、「shikAI」が果たす移動支援の効果検証及び課題の抽出を行う。 【専用アプリ】 「shikAI(シカイ)」QR ナビゲーションシステムは、様々な場所の点字ブロック上に表示されているQR コードを、スマートフォンの専用アプリを起動させ、カメラ機能を用いて読み取ることで、現在地から目的地までの正確な移動ルートをアプリが導き出し、その後、スピーカーから音声による目的地までのナビゲートを行うシステムである。 筑波技術大学と連携事業の一環で、一般の小学生(4〜6年生)を対象とした「学ぼう!TX講座〜ユニバーサルデザイン〜」の開催 筑波技術大学の学生が講師となり、視覚・聴覚障害について講義するほか、TXの車両を利用し、ユニバーサルデザインゲームを実施しました。 【聴覚障害について】        【視覚障害について】 【 TX-3000系ユニバーサルデザインゲーム】 「障害平等研修(DETいばらき)」の取り組み DET(障害平等研修)とは? 障害平等研修とは、障害者自身がファシリテーターとなって進める「対話型の障害学習」です。 自治体や学校、企業などの組織を対象に、発見型学習という対話に基づく方法を用い、障害者を排除しないインクルーシブな組織づくりを参加者と一緒に考えていく研修です。 障害平等研修は1990年代後半から英国で障害者差別禁止法の推進のための研修として発展しました。 世界的な流れを見ると、平成18年(2006年)に障害者権利条約が採択され、“「障害」は個人ではなく社会の側にあり、「障害者の権利と尊厳を保障する」”という考え方が世界に広まりつつあります。  茨城県でも「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例」(障害者権利条例)が平成27年(2015年)4月に、国では「障害者差別解消法」が平成28年(2016年)4月に施行されています。  これらをきっかけに、自治体や企業において障害者差別を解消していくための取り組みみが期待されています。DETは具体的に職員の意識を変えることで、その取り組みを円滑に推進していくための研修です。 第6章 バリアフリーマスタープランの評価・見直し マスタープランの進捗評価については、段階的・継続的にバリアフリー化を推進する観点から、様々な関係者と連携しながらPDCAサイクルのスパイラルアップを図っていくことが重要です。 マスタープランを見直す際は、社会情勢の変化や上位関連計画との整合を図るとともに、基本理念や基本方針に沿った各施策の進捗確認及び効果検証を実施し、改善策や新たに必要となる取り組みについて検討します。 また、具体的な取り組みである関連施策については、原則、毎年度の進捗状況を確認しながら、着実なステップアップを目指します。 【巻末資料】 資料1 策定経過 年月日 実施内容 令和4年(2022年)9月15日 第1回 庁内検討会議 令和4年(2022年)10月7日 第1回 つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会 ・バリアフリーマスタープランについて ・市民アンケートについて ・関係団体へのヒアリングについて 令和4年(2022年)11月2日 関係団体ヒアリング調査(〜12月13日) 令和4年(2022年)11月10日 市民アンケート調査(〜12月9日) 令和4年(2022年)12月7日 第2回 庁内検討会議 令和5年(2023年)1月13日 第2回 つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会 ・市民アンケートの結果について ・関係団体へのヒアリング調査の結果について ・まち歩き点検について 令和5年(2023年)1月27日 まち歩き点検(〜2月24日) 令和5年(2023年)6月16日 第3回 庁内検討会議 令和5年(2023年)7月13日 第3回 つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会 ・まち歩き点検の結果について ・バリアフリーに関する課題について ・基本理念・基本方針について ・移動等円滑化促進地区について 令和5年(2023年)9月25日 第4回 庁内検討会議 令和5年(2023年)10月12日 第4回 つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会 ・関連施策について ・移動等円滑化促進地区について ・心のバリアフリーについて ・届出制度について 令和5年(2023年)11月27日 第5回 つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会 ・評価等の方針について ・バリアフリーマスタープラン(素案)について ・パブリックコメント制度の活用について 令和 年( 年)月  日 パブリックコメント 令和 年( 年)月  日 第5回 庁内検討会議 令和 年( 年)月  日 第6回 つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会 資料2 開催要項 つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会開催要項 (開催) 第1条 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号。以下「法」という。)第24条の2に規定する移動等円滑化促進方針(以下「バリアフリーマスタープラン」という。)の策定に関する協議を行うため、同法第24条の4に規定する協議会として、つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会(以下「協議会」という。)を開催する。 (協議事項) 第2条 協議会は、次の各号に掲げる事項について協議する。 (1) バリアフリーマスタープランの策定に関すること。 (2) その他バリアフリーマスタープランの策定に必要な事項に関すること。 (委員) 第3条 協議会の委員は、次に掲げる者をもって構成する。 (1) つくば市 (2) 学識経験者 (3) 施設設置管理者 (4) 公共交通事業者 (5) 関係行政機関 (6) 障害者等の関係団体 (7) 市民委員 (8) 前各号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者 (開催期間) 第4条 協議会は、バリアフリーマスタープランの策定まで開催する。 (会長及び副会長) 第5条 協議会に会長及び副会長を置く。 2 会長及び副会長は、委員の互選によって定める。 3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。 (会議) 第6条 協議会の会議(以下「会議」という。)は、会長がその議長となる。 2 第3条第1号から第6号に規定する委員が会議に出席できないときは、当該委員の指名する者が代理として出席できるものとする。 (庶務) 第7条 協議会の庶務は、政策イノベーション部企画経営課において処理する。 (その他) 第8条 この要項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 附 則 この要項は、令和4年8月1日から施行する。 資料3 組織構成 【つくば市バリアフリーマスタープラン策定協議会委員】 団体・組織名 職名 氏名 備考 1 筑波大学 システム情報系 教授 岡本(おかもと) 直(なお)久(ひさ) 会長 2 国土技術政策総合研究所 都市施設研究室 室長 新階(しんがい) 寛(ひろ)恭(やす) 副会長 3 筑波技術大学 産業技術学部 准教授 梅本(うめもと) 舞子(まいこ) 副会長 4 首都圏新都市鉄道株式会社 経営企画部推進役 兼沿線事業課 課長 海老澤(えびさわ) 貴史(たかし)  令和4年度 大貫(おおぬき) 康隆(やすたか) 令和5年度 5 関東鉄道株式会社 自動車部 部長 宮野(みやの) 裕司(ゆうじ) 令和4年度 白鳥(しらとり) 賢(さとし) 令和5年度 6 筑波学園タクシー協同組合 事務局長 鈴木(すずき) 誠(まこと) 7 一般財団法人つくば都市交通センター 理事 大原(おおはら) 治(おさむ) 8 国土交通省関東運輸局茨城運輸支局 首席運輸企画専門官 國下(くにした) 裕司(ゆうじ) 9 茨城県つくば警察署 交通課 課長 平根(ひらね) 英一(えいいち) 令和4年度 前田(まえだ) 正太郎(しょうたろう) 令和5年度 10 茨城県土木部都市局都市計画課 課長 荷(はす)見(み) 信之(のぶゆき) 11 茨城県土木部土浦土木事務所 所長 大石(おおいし) 直人(なおと) 令和4年度 大森(おおもり) 満(みつる) 令和5年度 12 つくば市福祉団体等連絡協議会 会長 後藤(ごとう) 真紀(まき) つくば市手をつなぐ育 成会 13 つくば市福祉団体等連絡協議会 構成団体代表 生井(なまい) 祐(ゆう)介(すけ) つくば自立生活センターほにゃら 14 つくば市福祉団体等連絡協議会 構成団体代表 塚本(つかもと) 武志(たけし) つくば精神保健福祉会やすらぎの会 15 つくば市障害者自立支援協議会 座長 斉藤(さいとう) 秀之(ひでゆき) 16 市民委員 藤井(ふじい) 道子(みちこ) 17 市民委員 岡田(おかだ) 克司(かつじ) 18 市民委員 木村(きむら) 京子(きょうこ) 19 市民委員 沼尻(ぬまじり) 彩(あや) 20 つくば市 政策イノベーション部 部長 藤光(ふじみつ) 智(ち)香(か) 21 つくば市 福祉部 部長 安曽(あんそ) 貞夫(さだお) 令和4年度 根本(ねもと) 祥代(さちよ) 令和5年度 22 つくば市 都市計画部 部長 大里(おおさと) 和也(かずや) 23 つくば市 建設部 部長 富田(とみた) 剛(つよし) 【つくば市バリアフリーマスタープラン庁内検討会議構成部署】 部局 課室 備考 財務部 公共施設マネジメント推進室 市民部 文化芸術課 地域支援課 福祉部 障害福祉課 障害者地域支援室 高齢福祉課 こども部 こども政策課 都市計画部 都市計画課 学園地区市街地振興課 建築指導課 総合交通政策課 建設部 道路計画課 道路管理課 公園・施設課 公共施設管理課 教育局 学び推進課 政策イノベーション部 企画経営課 事務局 用語集 あ行 IC(アイシー)リーダー ICチップを内蔵したカードを読み取る装置のこと。電子マネーや交通系ICカードを読み取ることで、記録された電子情報を利用できる。 移動等円滑化 高齢者、障害者等の移動又は施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動上又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上すること。 移動等円滑化促進地区 生活関連施設が集積し、その間の移動が通常徒歩で行われる地区。高齢者、障害者等の移動や施設利用の状況、土地利用や諸機能の集積の状況、これらの将来の方向性の観点から総合的に判断し、一体的なバリアフリー化の促進が特に必要な地区。 インクルーシブデザイン 能力、言語、文化、性別、年齢、その他の人間の違いに関して多様性を考慮したデザインのことであり、検討段階から、高齢者や障害者、子育て家庭など多様な関係者の考えを具体的な形にするためのイギリス発祥のデザイン手法。 エスコートゾーン 横断歩道の中央部に敷設された点字ブロックに似た点状の突起によるラインで、これを辿って歩行することにより、視覚障害者が横断歩道から外れることなく道路を渡れるように配慮された設備。 か行 居住誘導区域 都市再生を図るため、居住を誘導すべき区域として立地適正化計画で定められる区域。 グレーチング 側溝などの上にかぶせてある蓋のこと。水だけを透過させ、その上の人や物の落下を防ぐ一方で、ベビーカーや車いす等の細いタイヤが通過する際や、ハイヒールによる歩行時において、溝にはまることによる転倒を引き起こすこともある。 交通バリアフリー法 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律。移動円滑化基準への適合が義務づけられ、市町村が、駅とその周辺の道路、信号機などを一体的にバリアフリー化するための仕組み(基本構想制度)が設けられた。 合理的配慮 障害者から何らかの配慮や対応を求められた際に、過度な負担にならない範囲で、社会的障壁(物理的なバリア、制度的なバリア、文化情報面のバリア、意識上のバリアの4つのバリアがあるとされる)を取り除くために必要な対応を行うこと。 心のバリアフリー 高齢者や障害者などの多様な人々が安心して日常生活や社会生活を送ることができるよう、差別や偏見、無理解等による意識上のバリアをなくすことや、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと。 さ行 サイン 標識や案内などの表示物のことであり、人が行動するために必要な情報を伝え、分かりやすく案内するための情報を具体的な形で表したもの。 市街化区域 都市計画法に基づき指定される都市計画区域における区域区分のひとつ。既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域。 スパイラルアップ PDCA(Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Act(改善))サイクルによる改善を繰り返しながら、らせんを描くように向上させていくもの。 スロープ 車いすやベビーカー、幼児や高齢者などが、通路などの床の高低差を通りやすいように、緩やかな勾配で整備した傾斜路。 生活関連経路 移動等円滑化促進地区内において、生活関連施設をつなぐ相互間の経路。多くの人が利用し、複数方向からのアクセス動線が確保されることが望ましいとされている。 生活関連施設 高齢者や障害者等が日常生活または社会生活において利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設、その他生活に必要な施設。 ソフト面 物事において、直接目には見えない、人の働きが関わっている要素を意味する。例として、その物事に関わる人材やその教育、業務に対する意欲、共有されている情報など。 た行 DID(ディーアイディー)地区 人口集中地区。原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の国勢調査地区が隣接し、合わせて人口5,000人以上を有する地区。 デマンド型交通 利用者の予約に応じて、運行経路や運行スケジュールをあわせて運行する地域公共交通のこと。 点字ブロック 視覚障害者が足裏の触感覚や白杖で認識できるよう、突起を表面につけたブロック(プレート)のことで、視覚障害者を安全に誘導するために地面や床面に敷設されている。正式名称は「視覚障害者誘導用ブロック」という。 都市機能誘導区域 都市再生を図るため、医療施設、福祉施設、商業施設などの都市機能増進施設の立地を誘導すべき区域として立地適正化計画で定められる区域。 な行 ノーマライゼーション 社会福祉をめぐる社会理念の一つで、障害者も健常者と同様の生活が出来る様に支援するべきという考え方。また、そこから発展して、障害者と健常者とは、お互いが特別に区別されることなく、社会生活を共にするのが正常なことであり、本来の望ましい姿であるとする考え方や、それに向けた運動や施策なども含まれる。 ノンステップバス 出入口の段差を無くして乗降性を高めた低床バスの呼称。国土交通省が認定する標準仕様に基づいて設計されているバスをいう。 は行 ハード面 施設や設備、機器、道具といった形ある要素を意味する。例として、段差の解消、スロープの設置、点字ブロックの設置、案内板の設置など。 ハートビル法 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律。デパートやスーパーマーケット、ホテルなど、不特定多数の者が利用する建築物を特定建築物とし、その建築主は建物の出入口や階段、トイレなどに、高齢者や身体障害者等などが円滑に利用できるような措置を講じるように努めなければならないとした。 バリアフリー 高齢者や障害者等が、社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障害や、精神的な障壁を取り除くための施策、もしくは具体的に障害を取り除いた事物および状態。 ハンプ 道路の一部を隆起させ、通過する車両に上下の振動を及ぼすことで運転者に減速を促す構造物の総称。機能や形状によって、スピードバンプやスピードクッションなどとも称される。 PDCA(ピーディーシーエー)サイクル 業務管理における継続的な改善方法。Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Act(改善)の4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法。 ペデストリアンデッキ 一般的に、建物と接続して作られた高架型の歩道であり、歩道としての機能と併せて広場としての機能も持つ。 ま行 マウントアップ 縁石の高さと歩道の高さが同じとなる歩道構造。歩行者の安全性を高めるとともに、雨水が歩道や住宅地に侵入することを防ぐ。(近年では、高齢者や障害者等の移動のしやすさを考慮し、歩道の高さが比較的低いセミフラット形式(歩道高さ5cm程度)にして段差を緩和し、十分な平坦性を確保した構造を採用している。) や行 ユニバーサルデザイン 年齢、性別、国籍、個人の能力に関わらず、始めからできるだけ多くの人が利用可能なように、利用者本位、人間本位の考え方に立って、快適な環境をデザインすること。ユニバーサルデザインのあるべき形として、@公平性(誰にでも公平に利用できること)、A自由度(使う上で自由度が高いこと)、B簡単(使い方が簡単ですぐわかること)、C明確(わかりやすい情報で理解しやすいこと)、D安全性(うっかりミスで、間違った使用をしても、出来る限り危険につながらないこと)、E持続性(無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること)、F空間性(誰にでも使える大きさ、広さがあること)の7原則が示されている。 優先スペース(駐車場) 車の乗り降りや歩行が困難な方の利用を想定した駐車場。自治体によっては「思いやり駐車場」などの利用証を発券し、高齢者や妊婦なども遠慮せずに利用できるようにしている。 ら行 立地適正化計画 持続可能な都市構造への再構築を目指し、人口減少社会に対応したコンパクトシティを実現するためのマスタープランであり、市町村が必要に応じて策定する計画。 持続可能なまちづくりに向け、居住機能や医療、福祉、商業、公共交通等のさまざまな都市機能を誘導するもの。 つくば市バリアフリーマスタープラン 令和6年(2024年) 月 発行 つくば市政策イノベーション部企画経営課 〒305-8555 茨城県つくば市研究学園一丁目1番地1 電話 029-883-1111(代表) FAX 029-828-4708