第4次つくば市地球温暖化対策実行計画 区域施策編(案) 令和8年(2026年)4月 〔対象期間〕 令和8年度(2026年度)から令和12年度(2030年度)まで 目次 第1章 計画策定の背景 1-1.地球温暖化の現状及び将来予測 1-2.国内外の主な動向 1-3.つくば市の主な動向 第2章 計画の基本的事項 2-1.計画の位置づけ 2-2.計画期間 2-3.対象とする温室効果ガス 2-4.つくば市の目指す姿 第3章 温室効果ガス排出量の推計 3-1.温室効果ガス排出量の現状 3-2.温室効果ガス排出量の将来推計(BAUシナリオ) 第4章 温室効果ガス排出量の削減目標 4-1.令和12年度(2030年度)削減目標 4-2.令和17年度(2035年度)及び令和22年度(2040年度)削減目標 4-3.2050年度削減目標 第5章 施策の推進 5-1.計画の施策体系 第6章 計画の推進体制 6-1.計画の進行管理 6-2.計画の推進体制 資料編 (1)排出量の推計方法 (2)計画策定の経緯 (3)用語解説 第1章 計画策定の背景 1-1.地球温暖化の現状及び将来予測 地球温暖化は、温室効果ガスの排出増加により地球全体の平均気温が長期的に上昇する現象であり、国際的な科学的知見によれば、その進行により異常気象の頻度や強度が高まりつつあります。気象庁の分析によると、日本における年平均気温は、1898年から2023年までの125年間でおよそ1.40℃上昇しており、これは世界平均の上昇値である約1.1℃を上回る傾向にあります。このような気温上昇に伴い、日最高気温が35℃以上の日を指す猛暑日の増加や日最低気温が0℃未満の日を指す冬日の減少といった極端現象が顕在化しています。 図 日本の年平均気温の偏差の推移 将来における地球温暖化の予測について、IPCC第6次評価報告書や環境省、気象庁の統合報告によると、今後も温室効果ガスの排出が継続した場合、世界の平均気温は工業化前と比較して、21世紀末までに最大でおよそ5.7℃程度、日本の年平均気温は最大でおよそ4.5℃程度上昇する可能性があるとされています。これにより、猛暑や豪雨、干ばつの頻度や規模がさらに拡大し、農業や水資源、生態系、健康、社会インフラ等への影響が深刻化することが懸念されます。 図 2100年までの世界平均気温の変化予測 このため、今後も最新の科学的知見を踏まえつつ、国や地方公共団体、事業者、国民が一体となって、温室効果ガスの排出削減と気候変動への適応の両面から総合的な地球温暖化対策を推進することが求められます。 1-2.国内外の主な動向 近年、世界的に地球温暖化対策の重要性が、一層高まっています。国際的には、平成27年(2015年)に採択された「パリ協定」において、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが合意され、全ての国が温室効果ガスの削減に取り組む体制が整いました。 さらに、令和3年(2021年)にはIPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書が公表され、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。」と明言されました。 日本国内では、政府が、令和2年(2020年)10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、令和3年(2021年)には「2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく。」という目標を表明しました。また、令和3年(2021年)に改正された「地球温暖化対策の推進に関する法律」では、地方自治体の役割が明記され、「地域脱炭素ロードマップ」の策定や「脱炭素先行地域」等の創設により、地域が主役となって強靱な活力ある地域社会への移行を目指すことが重要とされています。 令和7年(2025年)2月には地球温暖化対策計画が閣議決定され、2035年度目標として2013年度比で60%削減、2040年度目標として2013年度比で73%削減を目指すことを掲げました。国の地球温暖化対策計画では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて直線的な経路を弛まず着実に歩んでいくことを示し、政策の継続性や予見性を高め、脱炭素に向けた取組や投資、イノベーションを加速させ、排出削減と経済成長の同時実現に資する地球温暖化対策を推進していくこととしています。 再生可能エネルギーの導入拡大、建築物の省エネルギー性能の向上、電動車の普及等を含むモビリティ分野の脱炭素化は、いずれも国の地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画等において重要な柱と位置付けられており、特に令和5年(2023年)には脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律が成立し、令和7年(2025年)2月には「GX2040ビジョン 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂」が閣議決定されるなど、経済社会システム全体の変革を通じて2050年カーボンニュートラルを実現する「GX(グリーントランスフォーメーション)」に関する政府方針が本格的に示され、官民連携による投資拡大、成長志向型カーボンプライシングの導入、エネルギー需給構造の転換等を通じ、経済成長と脱炭素の同時達成が強く打ち出されています。 こうした国内外の動向を踏まえ、地域特性や実情を踏まえた効果的かつ実効性のある計画の策定や推進が、地方公共団体においても一層求められています。 1-3.つくば市の主な動向 ①地球温暖化対策に関する主な動向 本市は、平成10年(1998年)10月に「つくば市環境基本条例」を公布し、環境保全に関する基盤を整備しました。平成19年(2007年)10月には「つくば3Eフォーラム」を結成し、産学官民が連携して環境やエネルギーの取組を進めています。平成21年(2009年)7月には「つくば環境スタイル行動計画」を策定しました。 平成25年(2013年)3月には「環境モデル都市」に選定され、4月に「つくば市環境モデル都市行動計画」を策定し、温室効果ガス排出削減等の施策を進めてきました。平成30年(2018年)6月には持続可能なまちづくりを推進する「SDGs未来都市」に選定されました。 令和2年(2020年)4月には、「つくば市未来構想・戦略プラン」、「第3次環境基本計画」、および「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を策定しました。 令和4年(2022年)2月には2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「つくば市ゼロカーボンシティ宣言」を行いました。令和5年(2023年)4月には「第3次つくば市役所地球温暖化対策実行計画事務事業編(改定版)」を策定し、市の事務事業における温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。同年11月には、環境省「脱炭素先行地域」に選定され、つくば駅周辺地域で脱炭素社会の実現に向けた取組を進めています。 令和6年(2024年)10月には、「ゼロカーボンで住みよいつくば市へのロードマップ~気候市民会議つくばの提言実現を目指して~」(以下「気候市民会議提言ロードマップ」という。)を公表し、市民の意見を反映した気候変動対策の実行に向けた方針を示しました。 表 つくば市の地球温暖化対策に関する動向 ②脱炭素先行地域における取組 本市は、令和5年度(2023年度)に国の「脱炭素先行地域」に選定され、つくば駅周辺地域において、脱炭素化に向けた先進的な取組を推進しています。本市の計画では、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの活用、エネルギーの面的利用による効率的な供給体制の構築など、地域全体での脱炭素化を目指すことを掲げています。 民生部門では、魚油を燃料とするバイオマス発電、剪定枝・芝などのバイオマス燃料を用いた発電、共同溝を活用した自営線マイクログリッド構築等の取組を推進しています。 民生部門以外では、廃食用油を燃料としたボイラーの活用や、発電時に発生する排熱を利用可能な熱供給システムの構築等が進められています。 これらの取組により、クリーンなエネルギーの安定供給、非常時の対応力強化、ゼロカーボンのステータス性を活用した駅周辺のブランド化を図り、つくば駅前へのオフィス系施設の誘導につなげることで、地域課題である「科学技術のビジネス化」、「若者の地域定着」、「中心市街地の活性化」の同時解決を目指します。 図 つくば市における脱炭素先行地域事業の概要 コラム1 つくば市の脱炭素のシンボル「ONE TO ZERO」 本市では、脱炭素先行地域への選定をきっかけに、市域の脱炭素化に向けたブランディングの取組の一環として、つくば市ならではのゼロカーボンアクションを象徴したキャッチコピー及びロゴデザインを作成しました。 キャッチコピー:「ONE TO ZERO」~いろんな「イチ」で、ゼロカーボン。~ コンセプト:数字の「1」は市民一人ひとりのアクションを象徴し、それがやがて循環する「0」となり、ゼロカーボンの未来を生み出す、そんな「ONE TO ZERO」の理念を込めたキャッチコピーとしました。市民の一つ一つのアクションが、ゼロカーボンの未来をつくるピースとなることを象徴的に表現しています。 ③気候市民会議提言ロードマップ 本市ではゼロカーボンシティの実現に向けて、さまざまな取り組みを進める中で、令和5年度(2023年度)に市民が気候変動対策について話し合い、「ゼロカーボンで住みよいつくば市」を実現するためのアイデアを市の施策へ反映する場として「気候市民会議つくば2023」を開催しました。 「気候市民会議つくば2023」では、「ゼロカーボンで住みよいつくば市」を実現するための市や市民、事業者に関する取組が話し合われ、最終的に採択された74の提言を取りまとめた「気候市民会議つくば2023提言書」が市に提出されました。 本市は、この提言内容を令和12年度(2030年度)までに実現することを目的として、いつまでに・どのような目標を持って・どのように取り組むのかを取りまとめた「気候市民会議提言ロードマップ」を策定し、令和6年(2024年)10月11日に公表しました。 本計画では気候市民会議提言ロードマップと連携し、進捗管理の効率化を図るとともに、市民からいただいた提言の実現を目指し、より市民の実情を踏まえた施策を推進します。 表 気候市民会議提言ロードマップにおけるテーマ別のつくば市像 ④つくば市の再生可能エネルギー導入状況について 本市の電力によるエネルギー使用量は1,828,897MWh、再生可能エネルギー導入量は397,898MWhとなっており、再生可能エネルギー導入量に対する電力使用量を示す再エネ自給率は21.8%に相当します。 図 つくば市のエネルギー消費量と再エネ導入量・ポテンシャル量 一方、再生可能エネルギー導入ポテンシャルは、4,638,608MWhです。再生可能エネルギー導入ポテンシャルのうち、31.3%は建物への太陽光発電の導入ポテンシャル、67.9%は土地への太陽光発電の導入ポテンシャル、0.7%は風力発電の導入ポテンシャルとなっており、導入ポテンシャルの大部分が太陽光発電です。 図 つくば市の再エネ導入ポテンシャルの構成 コラム2 再生可能エネルギーの導入を促進する方策 太陽光発電の導入を促進する方策の1つとして、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、市町村が再エネ促進区域や、再エネ事業に求める環境保全・地域貢献の取組を自らの計画に位置づけることができます。 一方、促進区域の設定は、都道府県によって定められた基準に則り検討する必要があります。 本市は、環境に適正に配慮し地域に貢献する地域共生型の再生可能エネルギーの導入促進に向けて、再エネ促進区域の設定について、引き続き検討を進めていくこととします。 第2章 計画の基本的事項 2-1.計画の位置づけ 本計画は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(以下「温対法」といいます。)第21条第3項に基づく、温室効果ガスの排出の量の削減等を行うための施策に関する事項を定める計画(「地方公共団体実行計画(区域施策編)」)及び気候変動適応法第12条に基づく、「地域気候変動適応計画」に位置付けています。 本計画では、「つくば市環境基本計画」との整合を図るとともに、本市の他の個別計画との連携を図りながら、地球温暖化対策を推進します。 図 「第4次つくば市地球温暖化対策実行計画」の位置づけ 2-2.計画期間 本計画の計画期間は、令和8年度(2026年度)から令和12年度(2030年度)までとします。 図 「第4次つくば市地球温暖化対策実行計画」の計画期間 2-3.対象とする温室効果ガス 本計画で対象とする温室効果ガスは、温対法で定められている7種類の温室効果ガスのうち、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)とします。 なお、本市ではパーフルオロカーボン(PFCs)、六ふっ化硫黄(SF6)、三ふっ化窒素(NF3)の把握は困難かつ排出量もわずかであると考えられるため対象外とします。 表 対象とする温室効果ガスの種類と部門・分野 2-4.つくば市の目指す姿 本市では2050年においてゼロカーボンシティを実現すること宣言しており、2050年ゼロカーボンの実現に向けては、気候変動対策にとどまらず、地域の持続可能な発展に寄与する脱炭素に向けた施策を推進し、市民や事業者が安心で快適に過ごせる都市を形成することが重要となります。 本計画では本市の目指す姿として、「気候変動に適応し、安心で快適に暮らせる先進的な脱炭素都市」を掲げます。 また、本計画の推進によって実現を目指す本市の令和12年度(2030年度)の姿として以下の4つのまちの姿を掲げます。 ・各主体の連携により、先進的な脱炭素都市を実現しているまち ・建物やモビリティの脱炭素化されているスマートシティ ・高い環境意識が醸成され、脱炭素型ライフスタイルが確立しているまち ・気候変動に適応しているまち 第3章 温室効果ガス排出量の推計 3-1.温室効果ガス排出量の現状 本市における温室効果ガス排出量は、基準年度である平成25年度(2013年度)に2,053千t-CO2eqでしたが、令和3年度(2021年度)には1,868千t-CO2eqとなり、全体として9.0%の排出量の削減がみられました。 令和3年度(2021年度)の排出量が大きい部門別に見ると、業務部門は584千t-CO2eq(基準年度比26.0%削減)、運輸部門は533千t-CO2eq(基準年度比0.6%削減)、産業部門は406千t-CO2eq(基準年度比5.4%増加)、家庭部門は277千t-CO2eq(基準年度比1.6%削減)、その他の分野は65千t-CO2eq(基準年度比16.6%増加)、エネルギー転換部門は3千t-CO2eq(基準年度比42.7%削減)となっており、特に業務部門での削減が市全域の排出量の削減に大きく寄与していることがわかります。一方、運輸部門や家庭部門では、人口当たりの排出量の削減が続いているものの、平成25年度(2013年度)以降に人口の流入が続いていることなどから大きな変動は見られません。産業部門においては平成25年度(2013年度)以降、増加傾向にあり、より一層の対策を講じることが重要となります。 本市の温室効果ガス排出量は、特に業務部門を中心に削減が進んでいますが、業務部門以外の部門における削減に停滞がみられることから、各部門における効果的な対策の推進が求められます。 図 つくば市の温室効果ガス排出量の推移 3-2.温室効果ガス排出量の将来推計(BAUシナリオ) 本市における令和12年度(2030年度)の温室効果ガスの将来排出量について、追加的な対策を実施せず現行のトレンドが維持されたBAU(Business As Usual)シナリオをたどった場合の推計を行いました。その結果、本市の温室効果ガス排出量は令和12年度(2030年度)において、1,976千t-CO2eqとなる見込みです。 図 つくば市の温室効果ガス排出量の将来推計(BAUシナリオ) 表 BAUシナリオの推計方法の主な考え方 第4章 温室効果ガス排出量の削減目標 4-1.令和12年度(2030年度)削減目標 令和2年(2020年)4月に策定された前計画では、前計画の策定時点において国で掲げられていた令和12年度(2030年度)削減目標と同等の目標である、平成25年度(2013年度)比26%削減が掲げられました。 国は、令和3年(2021年)4月に削減目標の見直しを行い、2030年度において2013年度比46%削減を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました。 本計画では、令和12年度(2030年度)目標として、現行の国の削減目標と同等の平成25年度(2013年度)比46%削減を設定します。 4-2.令和17年度(2035年度)及び令和22年度(2040年度)削減目標 本計画では、令和32年(2050年)の「ゼロカーボンシティ」達成を見据え、中期目標として、令和17年度(2035年度)及び令和22年度(2040年度)における削減目標を掲げます。 国では、基準年である平成25年度(2013年度)からの将来見通し(フォアキャスト)と2050年カーボンニュートラル実現からの逆算(バックキャスト)の両面に基づき、令和17年度(2035年度)及び令和22年度(2040年度)における排出削減目標を、それぞれ平成25年度(2013年度)比で60%削減及び73%削減としています。 本市では、徹底的な省エネ対策や先進的な脱炭素技術の活用、再生可能エネルギーの導入を推進することで、令和17年度(2035年度)及び令和22年度(2040年度)における排出削減目標を、それぞれ平成25年度(2013年度)比で61%削減及び74%削減と設定し、国を上回る削減を目指します。 コラム3 部門別の削減見込み量 本市における施策の推進によって見込まれる部門別の削減量を推計した結果、基準年である平成25年度(2013年度)比の削減率は、令和12年度(2030年度)46%、令和17年度(2035年度)58%、令和22年度(2040年度)71%となりました。 なお、上記で見込んでいる施策に上乗せして再生可能エネルギーの導入等を積極的に推進することで、追加的な削減効果を生み出し、本市で掲げる削減目標である令和12年度(2030年度)46%削減、令和17年度(2035年度)61%削減、令和22年度(2040年度)74%削減を目指していきます。 表 部門別の削減見込み量 4-3.2050年度削減目標 本計画の長期目標は、本市が令和4年(2022年)2月に、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「つくば市ゼロカーボンシティ宣言」を行ったことを踏まえ、「2050年ゼロカーボンの達成」を設定します。 図 つくば市の温室効果ガス排出量削減のイメージ コラム4 特定排出事業者の取り扱い 本市は、市域の排出量のうち、約4割を国に報告義務がある特定排出事業者が占めています。今後、多量の温室効果ガスを排出する特定排出事業者の立地が想定されるため、市民や市内事業者等の取組による二酸化炭素排出量の削減が相殺されてしまう懸念があります。 新規に立地する特定排出事業者等には、本計画の目標に沿った温暖化対策の実施に取り組むことを求めることで、本市の温暖化対策が着実に進むことを目指します。 第5章 施策の推進 5-1.計画の施策体系 本計画では、6つの方針を掲げ、各方針において本計画の目標を達成するための施策を位置づけ、推進します。 ゼロカーボンの実現に向けては、市の取組だけでは限界があり、市民や事業者の理解と協力が不可欠となります。家庭や職場など日常生活における一人ひとりの行動が、温室効果ガスの削減に大きな影響を与えることを踏まえ、本計画では、市全体で目標を共有し、地域ぐるみでゼロカーボンの実現を目指します。 計画の施策体系は以下のとおりです。 表 計画の施策体系 方針1 まち・建物の脱炭素化 方針2 脱炭素モビリティの普及促進 方針3 脱炭素型ライフスタイルへの転換 方針4 再生可能エネルギーの導入促進と活用 方針5 気候変動への適応 方針6 各主体の連携による環境と経済の好循環 方針1 まち・建物の脱炭素化 市域の温室効果ガス排出量を抑制するために、家庭や事業所、公共施設における省エネ化や電化等を推進することで、市域の排出量の大部分を占める建物由来の排出量の削減を目指します。 市は、公共施設の脱炭素化を進めるとともに、脱炭素先行地域づくり事業における取組を市域全体の脱炭素化に向けたモデル事業として位置付け、その成果を広く展開し、脱炭素のまちづくりを推進します。 市民及び事業者は、脱炭素化の必要性を理解し、家庭や事業所等の省エネ化や電化等に取り組みます。 施策1-1 建物の省エネ化・電化の促進 市民・事業者の省エネ行動の促進 市民による省エネの促進を進め、省エネ効果のモニタリングとその効果の周知を行い、市民・事業者の省エネ行動のさらなる促進を図ります。 市民・事業者の省エネ化・電化の促進 市民や事業者の省エネ設備の導入や電化に向けた設備更新、既存住宅・建物の断熱改修等の支援や周知を行い、建物の省エネ・電化、改修の促進を図ります。 施策1-2 脱炭素先行地域づくり事業の推進 脱炭素先行地域づくり事業の推進 脱炭素先行地域の省エネ改修や再エネ設備の導入等の取組を進め、令和12年度(2030年度)までに対象エリアを脱炭素化します。 脱炭素先行地域事業の市内横展開 市域の脱炭素化を進めるため、脱炭素先行地域の取組の横展開を図ります。 施策1-3 公共施設の脱炭素化 公共施設における脱炭素化に向けた率先行動 公共施設のエネルギーの有効活用やZEB化により脱炭素化を図ります。 表 方針1に紐づく指標 コラム5 ZEH・ZEBとは ZEH(ゼッチ)とはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略、ZEB(ゼブ)とはネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略で、エネルギー収支をゼロ以下にする住宅・建物の総称です。 住宅や建物の中では人が活動しており、エネルギー消費量を完全にゼロにすることはできませんが、省エネによって使うエネルギーを削減し、創エネ、つまり再エネの導入によって使う分のエネルギーを創ることで、エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることが可能となります。 方針2 脱炭素モビリティの普及促進 市内における化石燃料由来自動車からの排出量の削減を目指し、脱炭素自動車の導入や入替を進めるとともに、自転車や公共交通の利用拡大を目指します。 市は、公用車における脱炭素自動車の導入や入替を実施するとともに、道路環境や歩行者空間の整備など、アクセスしやすいまちづくりを推進します。 市民及び事業者は、脱炭素自動車の導入や入替に取り組むとともに、環境負荷の少ない自転車や公共交通の利用に取り組みます。 施策2-1 自動車の脱炭素化の促進 脱炭素自動車の導入促進 公用車の脱炭素自動車への入替や市民・事業者の脱炭素自動車への入替を促進します。 運輸部門の脱炭素化に向けた行動変容、インフラ整備の促進 運輸部門の脱炭素化に向け、脱炭素自動車普及のための周知やエコドライブの啓発、EV充電設備設置を促進します。 施策2-2 自転車利用の推進 自転車利用の推進 自転車利用を進めるため、駐輪場や自転車専用レーン、サイクリングステーション等のインフラ整備を促進します。 施策2-3 公共交通の整備と利用促進 公共交通の利用を促す周知、インフラ整備の促進 市民や事業者の公共交通の利用を促進するため、低炭素な公共交通の充実に向けた調査や検討に取り組みます。 市民や事業者の公共交通の利用促進 インセンティブの付与等により、市民や事業者の公共交通の利用を促進します。 施策2-4 徒歩・自転車や公共交通等によりアクセスしやすいまちづくり 市民や事業者がアクセスしやすいまちづくりの推進 市民や事業者が徒歩や自転車、公共交通等を利用するアクセスしやすいまちづくりのためのインフラを整備します。 表 方針2に紐づく指標 方針3 脱炭素型ライフスタイルへの転換 脱炭素社会の実現に向けて、地球温暖化対策への理解を醸成し、脱炭素型ライフスタイルへの転換を目指します。 市は、市民や事業者向けに、環境学習や普及啓発を推進することで地球温暖化対策への理解醸成に取り組みます。 市民及び事業者は、脱炭素型ライフスタイルへの転換に向けて行動します。 施策3-1 市民の行動変容に向けた環境学習・普及啓発の推進 市民の行動変容に向けた環境学習・普及啓発のインフラ整備 市民が参加するセミナーやイベントの開催、学校での「つくばスタイル科」や「環境IEC運動」等の人材を育む教育プログラムの推進など、市民の行動変容を進めます。 市民の二酸化炭素排出量等把握の仕組み構築 市民が家庭のエネルギー消費量や二酸化炭素排出量を把握するための仕組みを構築し、市民の行動変容を促進します。 施策3-2 3Rの推進 循環型社会の形成の推進や普及啓発によるごみ減量の推進 市民の意識向上や行動変容に向けた施策や、環境関連イベント等を通じた普及啓発等を推進します。 循環型社会形成に向けた仕組みの検討・構築の推進 ごみの減量につながるとともに、学校用品のリユース活動など地域内での資源の循環などにつながる仕組みを構築します。 施策3-3 地産地消の推進と食品ロスの抑制 地産地消を推進するための仕組み構築や普及啓発 地産地消を推進するための仕組み(地産地消レストラン、直売所等)や関連する情報発信等を実施します。 市民や事業者による地産地消の推進と食品廃棄物の削減の推進 地元食材の学校給食での利用、食育等を実施し、地産地消を推進します。 表 方針3に紐づく指標 方針4 再生可能エネルギーの導入促進と活用 温室効果ガスの削減のため、市域での再生可能エネルギーの導入促進・拡大と地域での利用を目指します。 市は、新築建物への太陽光発電などの導入促進とあわせ、既存建物への再生可能エネルギーの導入支援を推進します。また、地域ごとの特性に応じて再生可能エネルギーの導入を進めるため、適正なエリアへの再生可能エネルギーの設置誘導を推進します。さらに、エネルギーの効率的な活用を図り、市域のエネルギー消費を最適化するための仕組を整備します。 市民及び事業者は、建物への再生可能エネルギーの導入と利用や、エネルギーマネジメントシステムの導入に取り組みます。 施策4-1 再エネの導入促進 市民や事業者の再エネ導入の促進 市民や事業者の再エネ導入を支援するため、蓄電池等の導入に対する補助を行います。 再エネの導入を促進する仕組みの検討 市内の再エネ導入を促進するための施策等を検討します。 再エネの導入を適正に誘導する仕組みの検討 市内の再エネ導入を適正に誘導するための施策等を検討します。 施策4-2 エネルギーの地産地消の推進 地域資源のエネルギー利用の促進 廃食油を回収し、BDFの精製と利活用を推進します。 サステナスクエアの廃棄物発電及び余熱利用の推進 サステナスクエアの廃棄物発電及び余熱利用を推進します。 施策4-3 効率的なエネルギーマネジメントの推進 効率的なエネルギーマネジメントシステムの導入の促進 AI制御技術を用いたエネルギーマネジメントシステムの導入を促進するため、情報提供や補助制度を実施します。 表 方針4に紐づく指標 コラム6 太陽光発電の導入促進の仕組み 一定の戸数を供給する事業者に対し、太陽光発電の設置率目標を掲げた住宅トップランナー制度が制定されました。本市においても、新築の住宅への太陽光発電の導入が進むことが期待されます。 また、既存住宅等への太陽光発電の導入促進については、事業者が初期費用を一時負担して太陽光発電設備を設置し、住宅所有者は電気料金等を支払うことで、初期費用0円で太陽光発電を設置する仕組み(PPA)等を活用することも想定されます。 方針5 気候変動への適応 地球温暖化への適応の必要性の理解が進み、気候変動に適応しているまちの実現を目指します。 市は、気候変動による災害や健康被害、農作物への被害等を軽減する取組を推進します。また、気候変動適応策の一環として緑の保全や緑化の推進に取り組むことで、気候変動への適応のみならず、温室効果ガスの吸収源対策もあわせて推進します。 市民及び事業者は、気候変動への適応の必要性を理解し、「つくば市防災ガイド・ハザードマップ」の理解や活用による災害への備えのみならず、クールシェルターやウォームシェルターの活用など適応策に取り組みます。 施策5-1 気候変動による災害への対策の強化 災害への対策の強化 市民や事業者に対して、気候変動に適応することの重要性の意識啓発・理解促進を図ります。 施策5-2 熱中症・感染症等への適切な対応 熱中症・感染症等への適切な対応 熱中症警戒アラートの周知などの普及啓発、クーリングシェルター・ウォームシェルターの指定や周知を行います。 施策5-3 農業分野における適応策の推進 農業分野における適応策の推進 気候変動の影響に適応する品種や方策に関する普及啓発を実施します。 施策5-4 緑の保全と緑化の推進 森林の維持・保全 森林の適切な維持管理を推進します。 まちなかの緑の保全 まちなかの緑を保全するため、都市公園等の管理・整備や工場や商業施設等の緑地率の向上、市民参加の緑化活動を実施します。 表 方針5に紐づく指標 方針6 各主体の連携による環境と経済の好循環 温室効果ガス排出削減と経済成長の同時実現に資する地球温暖化対策を推進し、環境負荷の低減と経済の活性化が両立する社会の実現を目指します。 市は、大学・研究機関や事業者との連携による脱炭素技術等の取組を進めるとともに、国や県、他自治体との広域連携による脱炭素の取組を推進します。 市民及び事業者は、大学・研究機関や事業者と連携して、環境と経済の好循環に取り組みます。 施策6-1 大学・研究機関や事業者、他自治体との連携強化 脱炭素を軸とした新たな取組の創出 市内の大学・研究機関や事業者との連携を強化し、新たなビジネスや取組を創出します。地産地消の推進や脱炭素技術の普及展開など、脱炭素を起点に新たな価値を生み出す取組やビジネスを積極的に支援し、脱炭素と地域経済の活性化を一体的に推進します。 施策6-2 「気候市民会議提言ロードマップ」の推進 「気候市民会議提言ロードマップ」の推進 「気候市民会議提言ロードマップ」の施策・取組を推進します。 施策6-3 事業者・研究機関等の脱炭素経営の促進・支援 事業者・研究機関等の取組の発信 事業者・研究機関等と連携し、温室効果ガス排出量の見える化と市のHPでの公表を進めます。 事業者・研究機関等の取組の支援 事業者・研究機関等の取組を支援するため、筑波研究学園都市交流協議会等と連携し、技術者等の養成支援、情報発信の支援などを実施します。 表 方針6に紐づく指標 コラム7 方針別の削減量 本市において、削減目標を達成するための6つの方針別削減量の推計結果を示します。 表 方針別の削減量 コラム8 市民・事業者で取り組める具体策と削減効果 市民や事業者が家庭や事業所で取り組める取組には以下の例があります。脱炭素に向けた取組はCO2排出量の削減のみならず、光熱費の削減などの効果もあります。 [市民向けの具体策例] 太陽光パネルの導入 高効率冷蔵庫への入替 LEDランプへの入替 高効率エアコンへの入替 家庭で取り組める対策として太陽光パネルの導入は削減効果が大きいですが、集合住宅に住んでいる方や自宅の状態により設置ができない方など様々な事情で自宅に太陽光パネルを設置できない場合には家庭で契約している電力メニューを再生可能エネルギー電力由来メニューに切り替えるなどの取組も有効です。 [事業者向けの具体策例] LED照明への入替 高効率空調への入替 太陽光パネルの導入 このほかにも事業者のBCP(Business Continuity Plan;事業継続計画)の一環の対策として、蓄電池の導入なども事業者の脱炭素化には有効です。太陽光パネルの設置と組み合わせることで、平常時は太陽光パネルによって発電された余剰電力の蓄電を行いながら、非常時には非常用電源として活用することが可能となります。 第6章 計画の推進体制 6-1.計画の進行管理 本計画における進行管理には、PDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルを活用し、目標・指標・施策内容の設定(Plan)と施策の実施(Do)、定期的な進捗評価(Check)、評価結果に基づく見直しと改善(Action)を継続的に行うことで、計画の実効性を高めます。 6-2.計画の推進体制 本計画を実効性のあるものとしていくため、計画の進行管理を行います。計画の進行管理は、つくば市環境審議会やつくば市役所(環境政策課および関係部局)を中心とし、国・県・周辺自治体や市民・事業者と連携・協働しながら進めます。 図 計画の推進体制 資料編 (1)排出量の推計方法 表 産業部門・業務部門の推計に使用した統計資料 表 家庭部門の推計に使用した統計資料 図 家庭部門の推計フロー 表 運輸部門の推計に使用した統計資料 図 運輸部門の推計フロー 表 エネルギー転換部門の推計に使用した統計資料 図 エネルギー転換部門の推計フロー 図 廃棄物分野の推計フロー 表 プラスチック類の焼却による排出量の推計に使用した統計情報 図 プラスチック類の焼却による排出量の推計フロー 表 一般廃棄物の焼却による排出量の推計に使用した統計情報 図 一般廃棄物の焼却による排出量の推計フロー 表 排水処理による排出量の推計に使用した統計情報 図 排水処理による排出量の推計フロー 表 燃料の燃焼分野の推計に使用した統計情報 図 燃料の燃焼分野の推計フロー 表 水田の推計に使用した統計情報 図 水田からの排出量の推計フロー 表 代替フロン等4ガス分野の推計に使用した統計情報 図 代替フロン等4ガス分野の推計フロー (2)計画策定の経緯 表 計画策定のスケジュールと概要 表 つくば市地球温暖化対策実行計画区域施策編改定専門部会名簿 (3)用語解説 表 用語解説 ウォームシェルター 寒波や停電などで暖房が使えないときに、暖かい環境を確保できる避難・滞在施設のことです。高齢者や要配慮者の健康を守る目的で設けられています。 エコドライブ 急発進や急加速をしない、アイドリングストップの励行など環境に配慮した運転方法を指します。CO2や排気ガスを抑制する環境改善効果があり、燃料代の節約効果もあります。さらに、穏やかな運転につながり、事故防止の効果も期待できます。 エネルギー起源CO2 石炭や石油などの化石燃料を燃焼して作られたエネルギーを、産業や家庭が利用・消費することによって生じるCO2のことです。 エネルギー基本計画 我が国のエネルギー政策の基本的な方向性を定めた政府計画です。例えば、2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、2040年度を見据えて「再生可能エネルギー主力電源化」「省エネルギー」「非化石エネルギー転換」などが盛り込まれています。 エネルギーマネジメントシステム 工場やビルなどの施設におけるエネルギー使用状況を把握した上で、最適なエネルギー利用を実現するためのシステムのことです。EMSともいいます。EMSによってエネルギー使用状況の「見える化」や、管理・分析・制御といった、全般的なエネルギーマネジメントが可能になります。 温室効果ガス 温室効果をもたらす大気中に拡散された気体のことです。京都議定書では、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素などが削減対象の温室効果ガスと定められました。 カーボンニュートラル 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林、森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質ゼロにすることです。 カーボンプライシング 企業などの排出するCO2(カーボン、炭素)に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法です。カーボンクレジットや、炭素税等がそれに当たります。 環境IEC運動 つくば市教育委員会が進める環境教育活動で、I=インプルーブメント(改善)・E=エンバイロメント(環境保護)・C=コミュニティー(地域社会)の頭文字を取ったものです。学校・家庭・地域が協力し、電気や水の使用削減、リサイクル、環境意識の向上などに取り組むことで、次世代を担う子どもたちの環境意識を育てる運動です。 クーリングシェルター 猛暑時に、冷房の効いた公共施設などを一時的な避難・休憩場所として開放する仕組みです。熱中症の予防を目的としています。 再生可能エネルギー 太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できるエネルギーのことです。エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源です。 シェアモビリティ 自動車や自転車などの移動手段を個人で所有せず、複数人で共同利用する仕組みのことです。カーシェア、シェアサイクル、ライドシェアなどが含まれ、交通の効率化やCO2排出削減に役立ちます。 自営線マイクログリッド 特定の地域や施設内で電力を自給自足できるように構築された小規模な独立型電力ネットワークのことです。再生可能エネルギーや蓄電池を組み合わせ、災害時でも停電せず電力を確保できる分散型エネルギーシステムとして注目されています。 次世代自動車 窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)等の大気汚染物質の排出が少ない、またはまったく排出しない、燃料性能が優れているなどの環境にやさしい自動車のことです。電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)などがあります。 食品ロス 食べられる状態であるにもかかわらず廃棄される食品を指します。小売店での売れ残り・期限切れ、製造過程で発生する規格外品、飲食店や家庭での食べ残し・食材の余り等が主な原因となります。 ゼロカーボン 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、温室効果ガスの排出量が全体として実質的にゼロになっている状態のことです。カーボンニュートラルと呼ばれることもあります。 脱炭素 地球温暖化の原因となる代表的な温室効果ガスである二酸化炭素の排出量をゼロにしようという取り組みのことです。 地域気候変動適応計画 地域気候変動適応計画とは、気候変動による影響(猛暑・豪雨・農作物被害など)に対して、地域ごとに被害を軽減するための具体的な対策をまとめた計画です。自治体が策定主体となり、健康、農業、水資源、災害などの分野で適応策を進めます。 地域脱炭素ロードマップ 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、地域から脱炭素化を進めるための国の道筋を示したものです。2030年度までに「脱炭素先行地域」を少なくとも100か所つくることを目標としており、再生可能エネルギーの導入や省エネ建築、ゼロカーボン交通など、14の重点対策がまとめられています。地域の特色を生かしながら、経済の活性化と温室効果ガス削減を両立させる「地方発の脱炭素社会づくり」を進めていく内容となっています。 地球温暖化対策計画 地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、国が地球温暖化対策の推進に関する法律に基づいて策定した、地球温暖化に関する総合的な計画です。温室効果ガスの排出抑制及び吸収の目標、事業者、国民等が講ずべき措置に関する基本的事項、目標達成のために国・地方公共団体が講ずべき施策等について記載されています。 地球温暖化対策の推進に関する法律 地球温暖化防止を目的に1998年10月に制定された法律で、温室効果ガスを多量に排出する者に自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国へ報告することを義務付けた。温対法と略されます。 地産地消店 地元食材や地酒を提供している飲食店や販売店、直売所のこと。つくばの食の魅力を発信するウェブサイト「Farm to Table つくば ーつくばの食の魅力ー」で、つくばならではの物産品やグルメなど、つくばの食を総合的に発信しています。 筑波研究学園都市交流協議会 筑波研究学園都市の国際性を活かし、筑波研究学園都市の将来像をふまえ、会員相互が研究交流、共通問題等について相互に緊密に連携し、必要な意見交換を行うとともに、真に住み良い成熟した都市づくりを図ることを目的として、研究交流及び産学官連携に関すること、都市づくり及び環境に関すること等について協議する組織です。 つくばスタイル科 つくば市内の全小・中学校で行われている独自教科で、「総合的な学習の時間」を発展させた教育課程です。「つくば次世代型スキル」の育成を目的に、発信型プロジェクト学習と外国語活動で構成され、環境・科学・国際理解など7分野の学びを通して社会力やコミュニケーション力を育てます。 つくば3Eフォーラム つくばエコシティ構想に基づき、つくば市を省エネルギー・低炭素の科学都市として構築する研究に取り組むことを目的に、大学、研究機関、自治体が連携して2007年に結成されました。 電力排出係数 1kWhの電気を供給するためにどのくらいのCO2を排出しているかを示す指標のことです。CO2排出量が少ないほど排出係数も低くなり、CO2を排出しない再生可能エネルギーによる発電のCO2排出係数はゼロです。火力発電の燃料の違いや地域ごとの電力需要によって、CO2排出係数は変わります。 特定排出事業者 地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者を指します。これらの事業者は、「温室効果ガス算定・報告・公表制度(SHK制度)」の対象となり、毎年度の排出量を国に報告し、公表する義務があります。 バイオマス燃料 バイオマス(生物資源)を原料とする燃料を指します。バイオ燃料を燃焼させた場合にも、化石燃料と同様にCO2が必ず発生しますが、植物はそのCO2を吸収して成長し、バイオマスを再生産するため、全体として見れば大気中のCO2が増加しないことになります。 排出係数 単位活動量(世帯数、従業者数など)当たりの温室効果ガス排出量を表すものです。 バックキャスト 現在から未来を考えるのではなく、「未来のあるべき姿」から「未来を起点」に解決策を見つける思考法のこと。一般的には「未来から現在に逆算」していく方法とも言われています。 パリ協定 2015年12月に、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において採択された協定。世界共通の長期目標(2度目標、努力目標1.5度以内)が掲げられていること、京都議定書の後継にあたる2020年以降の気候変動問題に関する枠組みであること、すべての締結国を対象に目標の策定・提出が義務づけられていることが特徴として挙げられます。 非エネルギー起源CO2 原材料として使用する工業プロセスや廃棄物の焼却から生じるCO2のことです。 モビリティ 動きやすさ、移動性、機動性。交通分野では、人が社会的活動のために交通(空間的移動)をする能力を指します。一般にモビリティは個人の身体的能力や交通手段を利用する社会的・経済的能力、交通環境によって左右されます。 AI 人工知能を意味します。一般的には、「人が実現するさまざまな知覚や知性を人工的に再現するもの」という意味合いで理解されています。Artificial Intelligenceの略。 BAU 「現状維持した場合」、「特段の対策のない自然体ケース」という意味で使用されます。Business As Usualの略。 BDF 植物油や廃食用油などからつくられるディーゼル代替燃料です。燃焼時にCO2や黒煙の排出が少なく、資源の循環利用にもつながります。軽油の代わりに車両や発電機などで利用でき、地域の廃食油を再資源化する地産地消型の再生可能燃料として注目されています。 BELS(建築物省エネルギー性能表示制度) 2013年に「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン」が国土交通省において制定され、当該ガイドラインに基づき第三者機関が非住宅建築物の省エネルギー性能の評価及び表示を適確に実施することを目的とした制度のことです。建築物の省エネ性能を星の数で表示します。 EV 電気自動車のことで、Electric Vehicleの略。電気をエネルギー源とし、モーター(電動機)を動力源として車を駆動させます。 FCV 燃料電池自動車のことで、Fuel Cell Vehicleの略。水素、メタノール、エタノールなどの化学反応によって発電した電気エネルギーでモーターを回して走る仕組みです。 GX 温室効果ガスを発生させないグリーンエネルギーに転換することで、産業構造や社会経済を変革し、成長につなげることを指します。Green Transformationの略。 GX2040ビジョン 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 「GX(グリーントランスフォーメーション)に向け、脱炭素・成長・構造転換を同時に進めるための中長期戦略」です。官民一体で約10年で150兆円規模の投資を呼び込むなど、経済構造そのものを成長型・脱炭素型に変えていくことを目指しています。 HV ハイブリッド自動車のことで、Hybrid Vehicleの略。ガソリンエンジンと電動モーターの両方を搭載し、状況に応じて使い分ける車のことです。 IPCC Intergovernmental Panel on Climate Change(国連気候変動に関する政府間パネル)の略。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織です。 PHV プラグインハイブリッド自動車のことで、Plug-in Hybrid Vehicleの略。外部からの充電が可能であり、エンジンとモーターの2つの動力を搭載して走行します。 SDGs 「持続可能な開発目標」という意味で、「エス・ディー・ジーズ」と読みます。2015年9月の国連サミットで採択された、国連加盟193ヵ国が2016年~2030年の15年間で達成すべき目標のことを指します。Sustainable Development Goalsの略。 SDGs未来都市 国が選定する“SDGs(持続可能な開発目標)”を重視した都市モデル。自治体が地域課題の解決とSDGs推進を連動させて実践するための先進的な都市指定制度です。 ZEB Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、「ゼブ」と呼びます。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。 ZEH Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称で、「ゼッチ」と呼びます。 住まいの断熱性能や省エネ性能を向上し、さらに太陽光発電などで生活に必要なエネルギーをつくり出すことにより、 年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)をおおむねゼロ以下にする住宅のこと。マンション版としてZEH-Mなども存在します。 3R リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の3つのR(アール)の総称。リデュースとは、物を大切に使い、ごみを減らすことを指し、例として必要のないものは買わないなどが挙げられます。リユースとは、使える物は、繰り返し使うことを指し、例として詰め替え用商品を使うなどが挙げられます。リサイクルとは、ごみを資源として再び利用することを指し、例としてゴミを正しく分別するなどが挙げられます。