第4次つくば市地球温暖化対策実行計画区域施策編概要版(案) 令和8年(2026年)4月 地球温暖化対策実行計画区域施策編の概要 つくば市は、令和4年(2020年)2月に、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「つくば市ゼロカーボンシティ宣言」を行いました。令和5年(2023年)には、市民が気候変動対策を話し合い、意見を提言する「気候市民会議つくば2023」を開催し、令和6年(2024年)10月に、「ゼロカーボンで住みよいつくば市へのロードマップ〜気候市民会議つくばの提言実現を目指して〜」を策定しました。これを踏まえて、温室効果ガス排出削減と猛暑や洪水等の気候変動への適応について、私たちがどのように取り組むべきかを示した「第4次つくば市地球温暖化対策実行計画区域施策編」を策定しました。本資料は、本計画を読みやすくまとめた概要版です。 地球温暖化の仕組みと現状 大気中に存在する二酸化炭素やメタン等の温室効果ガスは、熱を逃がしにくい性質をもつため、地球は人間や動植物にとって快適に過ごしやすい気温に保たれています。 一方で、温室効果ガスが必要以上に増えすぎると、地球の平均気温は上昇してしまいます。 昨今、地球温暖化に起因すると思われる大規模な気候の変化に直面しています。 地球温暖化の現状及び将来予測 気候変動に関する政府間パネルによると、21世紀末までに世界の年平均気温は最大で5.7℃、日本は4.5℃程度上昇する可能性があるとされています。 猛暑や豪雨などの頻度や規模のさらなる拡大により、日常生活への影響が深刻化することが懸念されています。 国内外の動向と計画の位置付け つくば市は、国内外の動向を踏まえ、令和8年(2026年)に本計画を策定しました。 本計画では、気候変動適応法を踏まえ、気候変動適応策についても進めることとしています。 つくば市の温室効果ガス排出量 今後、追加的な対策を実施しないまま推移した場合、令和12年度(2030年度)の温室効果ガス排出量は、1,976千t-CO2eqとなることが想定されます。 計画期間と計画の目標 計画期間は、令和8年度(2026年度)から令和12年度(2030年度)までの5年間とします。 計画の目標は、国の「地球温暖化対策計画」における2030年度削減目標と同等としました。 さらに、2050年ゼロカーボン達成までの中期目標として、国の2035年度・2040年度削減目標を上回る目標を掲げ、取り組むこととします。 削減目標:2030年度に2013年度比で46%削減 中期目標:2035年度に2013年度比で61%削減(国目標:60%)、2040年度に2013年度比で74%削減(国目標:73%) つくば市の将来像 計画では、令和12年度(2030年度)の本市の将来像を、次のとおり掲げます。 「気候変動に適応し、安心で快適に暮らせる先進的な脱炭素都市」 将来像を支える柱として、4つのまちの姿を掲げます。 T.各主体の連携により、先進的な脱炭素都市を実現しているまち U.建物やモビリティが脱炭素化されているスマートシティ V.高い環境意識が醸成され、脱炭素型ライフスタイルが確立しているまち W.気候変動に適応しているまち 計画の方針 本計画は、つくば市環境基本計画の「基本目標1 先進的な脱炭素都市を形成して気候変動に対処する」の達成に向けて、以下の6つの方針を掲げ、市民・事業者とともにゼロカーボンの実現を目指します。 方針1 まち・建物の脱炭素化 方針2 脱炭素モビリティの普及促進 方針3 脱炭素型ライフスタイルへの転換 方針4 再生可能エネルギーの導入促進と活用 方針5 気候変動への適応 方針6 各主体の連携による環境と経済の好循環 方針1 まち・建物の脱炭素化 市域の温室効果ガス排出量を抑制するために、家庭や事業所、公共施設における省エネ化や電化等を推進することで、市域の排出量の大部分を占める建物由来の排出量の削減に取り組みます。 1−1 建物の省エネ化・電化の促進 市民による省エネの促進を進め、省エネ効果のモニタリングとその効果の周知を行い、市民・事業者の省エネ行動のさらなる促進を図ります。 市民や事業者の省エネ設備の導入や電化に向けた設備更新、既存住宅・建物の断熱改修等の支援や周知を行い、建物の省エネ・電化、改修の促進を図ります。 1−2 脱炭素先行地域づくり事業の推進 脱炭素先行地域の省エネ改修や再エネ設備の導入等の取組を進め、令和12年度(2030年度)までに対象エリアを脱炭素化します。 市域の脱炭素化を進めるため、脱炭素先行地域の取組の横展開を図ります。 1−3 公共施設の脱炭素化 公共施設のエネルギーの有効活用やZEB化により脱炭素化を図ります。 ■市民及び事業者のみなさまにお願いしたいこと 脱炭素化の必要性を理解し、家庭や事業所等の省エネ化や電化等に取り組みましょう。 □方針に紐づく指標 ●新築における国の省エネ基準以上の住宅・建物の数 ●脱炭素先行地域づくり事業の推進によるCO2削減量 ●新築公共施設のZEB化割合(事務事業編重点対策) 方針2 脱炭素モビリティの普及促進 市内における化石燃料由来自動車からの排出量の削減を目指し、脱炭素自動車の導入や入替を進めるとともに、環境負荷の少ない自転車や公共交通の利用拡大に取り組みます。 2−1 自動車の脱炭素化の促進 公用車の脱炭素自動車への入替や市民・事業者の脱炭素自動車への入替を促進します。 運輸部門の脱炭素化に向け、脱炭素自動車普及のための周知やエコドライブの啓発、EV充電設備設置を促進します。 2−2 自転車利用の推進 自転車利用を進めるため、駐輪場や自転車専用レーン、サイクリングステーション等のインフラ整備を促進します。 2−3 公共交通の整備と利用促進 市民や事業者の公共交通の利用を促進するため、低炭素な公共交通の充実に向けた調査や検討に取り組みます。 インセンティブの付与等により、市民や事業者の公共交通の利用を促進します。 2−4 徒歩・自転車や公共交通等によりアクセスしやすいまちづくり 市民や事業者が徒歩や自転車、公共交通等を利用するアクセスしやすいまちづくりのためのインフラを整備します。 ■市民及び事業者のみなさまにお願いしたいこと 脱炭素自動車の導入や入替に取り組むとともに、環境負荷の少ない自転車や公共交通の利用に取り組みましょう。 □方針に紐づく指標 ●市域の次世代自動車導入率(EV、FCV、PHV、HV) ●シェアサイクル利用回数 ●つくバス、つくタク、つくばね号の年間利用者数 ●「気候市民会議提言ロードマップ」における歩行者空間の整備に関する施策の進捗状況 方針3 脱炭素型ライフスタイルへの転換 脱炭素社会の実現に向けて、地球温暖化対策への理解を醸成し、脱炭素型ライフスタイルへの転換に向けて取り組みます。 3−1 市民の行動変容に向けた環境学習・普及啓発の推進 市民が参加するセミナーやイベントの開催、学校での「つくばスタイル科」や「環境IEC運動」等の人材を育む教育プログラムの推進など、市民の行動変容を進めます。 市民が家庭のエネルギー消費量や二酸化炭素排出量を把握するための仕組みを構築し、市民の行動変容を促進します。 3−2 3Rの推進 市民の意識向上や行動変容に向けた施策や、環境関連イベント等を通じた普及啓発等を推進します。 ごみの減量につながるとともに、学校用品のリユース活動など地域内での資源の循環などにつながる仕組みを構築します。 3−3 地産地消の推進と食品ロスの抑制 地産地消を推進するための仕組み(地産地消レストラン、直売所等)や関連する情報発信等を実施します。 地元食材の学校給食での利用、食育等を実施し、地産地消を推進します。 ■市民及び事業者のみなさまにお願いしたいこと 脱炭素型ライフスタイルへの転換に向けて行動しましょう。 □方針に紐づく指標 ●環境学習や環境関連イベントへの参加者 ●環境情報に関する市HP閲覧数 ●つくば市クリーンセンターでの合成繊維及びプラスチックごみ焼却量 ●地産地消店レストランの認定件数 方針4 再生可能エネルギーの導入促進と活用 温室効果ガスの削減のため、市域での再生可能エネルギーの導入促進・拡大と地域での利用を目指します。 4−1 再エネの導入促進 市民や事業者の再エネ導入を支援するため、蓄電池等の導入に対する補助を行います。 市内の再エネ導入を促進するための施策等を検討します。 市内の再エネ導入を適正に誘導するための施策等を検討します。 4−2 エネルギーの地産地消の推進 廃食油を回収し、BDFの精製と利活用を推進します。 サステナスクエアの廃棄物発電及び余熱利用を推進します。 4−3 効率的なエネルギーマネジメントの推進 AI制御技術を用いたエネルギーマネジメントシステムの導入促進を目的に、情報提供や補助制度を実施します。 ■市民及び事業者のみなさまにお願いしたいこと 建物への再生可能エネルギーの導入と利用や、エネルギーマネジメントシステムの導入に取り組みましょう。 □方針に紐づく指標 ●太陽光発電の導入量(10kW未満・10kW以上) ●太陽光発電設置件数(10kW未満) ●つくばサステナスクエアにおける廃棄物発電電力の市内地消率 ●気候市民会議提言ロードマップにおけるエネルギーマネジメントシステム導入誘導施策の進捗状況 方針5 気候変動への適応 地球温暖化への適応の必要性の理解が進み、気候変動に適応しているまちの実現を目指します。 5−1 気候変動による災害への対策の強化 市民や事業者に対して、気候変動に適応することの重要性の意識啓発・理解促進を図ります。 5−2 熱中症・感染症等への適切な対応 熱中症警戒アラートの周知などの普及啓発、クーリングシェルター・ウォームシェルターの指定や周知を行います。 5−3 農業分野における適応策の推進 気候変動の影響に適応する品種や方策に関する普及啓発を実施します。 5−4 緑の保全と緑化の推進 森林の適切な維持管理を推進します。 まちなかの緑を保全するため、都市公園等の管理・整備や工場や商業施設等の緑地率の向上、市民参加の緑化活動を実施します。 ■市民及び事業者のみなさまにお願いしたいこと 気候変動への適応の必要性を理解し、「つくば市防災ガイド・ハザードマップ」の理解や活用による災害への備えのみならず、クールシェルターやウォームシェルターの活用など適応策に取り組みましょう。 □方針に紐づく指標 ●気候変動への備えに取り組んでいる市民のうち、「つくば市防災ガイド・ハザードマップ」を活用した災害への事前の備えに取り組んでいる割合 ●クーリングシェルター・ウォームシェルターの指定数 ●農業分野に関する適応策の普及啓発活動の実施数 ●森林保全協定の締結面積 方針6 各主体の連携による環境と経済の好循環 温室効果ガス排出削減と経済成長の同時実現に資する地球温暖化対策を推進し、環境負荷の低減と経済の活性化が両立する社会の実現を目指します。 6−1 大学・研究機関や事業者、他自治体との連携強化 市内の大学・研究機関や事業者との連携を強化し、新たなビジネスや取組を創出します。 地産地消の推進や脱炭素技術の普及展開など、脱炭素を起点に新たな価値を生み出す取組やビジネスを積極的に支援し、脱炭素と地域経済の活性化を一体的に推進します。 6−2 「気候市民会議提言ロードマップ」の推進 「気候市民会議提言ロードマップ」の施策・取組を推進します。 6−3 事業者・研究機関等の脱炭素経営の促進・支援 事業者・研究機関等と連携し、温室効果ガス排出量の見える化と市のHPでの公表を進めます。 事業者・研究機関等の取組を支援するため、筑波研究学園都市交流協議会等と連携し、技術者等の養成支援、情報発信の支援などを実施します。 ■市民及び事業者のみなさまにお願いしたいこと 大学・研究機関や事業者と連携して、環境と経済の好循環に取り組みましょう。 □方針に紐づく指標 ●エネルギー消費当たりのCO2排出量(CO2排出量/エネルギー消費量)、経済活動のエネルギー効率(エネルギー消費量/GDP)、GDP当たりのCO2排出量(CO2排出量/GDP) ●「気候市民会議提言ロードマップ」の進捗状況 ●「気候市民会議提言ロードマップ」における見える化に取り組む企業や研究機関に関する施策の進捗状況 第4次つくば市地球温暖化対策実行計画区域施策編概要版 令和8年(2026年)4月 編集・発行 つくば市生活環境部環境政策課 〒305-8555 茨城県つくば市研究学園一丁目1番地1 TEL:029-883-1111