つくば市一般廃棄物処理基本計画(案) [令和6年度(2024年度)改定版] 令和7年(2025年) 月 〔対象期間〕 令和2年度(2020年度)から令和11年度(2029年度)まで 目次 第1編 共通 第1章 計画の策定にあたって 第1節 計画策定の主旨 第2節 計画の位置付け 第3節 計画の期間 第4節 計画の対象廃棄物 第5節 地域の概況 第2編 ごみ処理基本計画 第1章 ごみ処理の現状 第1節 ごみ処理の現状 第2節 ごみ排出量の実績 第3節 計画の評価 第2章 ごみ処理の課題 第3章 ごみ処理基本計画 第1節 基本理念、基本方針 第2節 関連法令、計画 第3節 数値目標 第4節 施策の方向性 第5節 施策の推進計画 第3編 食品ロス削減推進計画 第1章 計画策定の趣旨 第1節 計画策定の目的 第2節 食品ロスとは 第2章 食品ロスの現状 第1節 燃やせるごみ組成分析調査に基づく食品ロスの割合 第2節 食品ロス発生量 第3節 食品ロス削減の実施状況(アンケート調査結果) 第3章 食品ロスの課題 第4章 食品ロス削減推進計画 第1節 基本方針 第2節 関連法令、計画 第3節 数値目標 第4節 施策の方向性 第5節 施策の推進計画 第4編 生活排水処理基本計画 第1章 生活排水処理の現状 第1節 生活排水の現状 第2節 計画の評価 第2章 生活排水処理の課題 第3章 生活排水処理基本計画 第1節 計画策定にあたっての検討事項等 第2節 生活排水処理に係る基本方針 第3節 関係法令、計画 第4節 数値目標 第5節 各主体の役割 第6節 施策の方向性 用語集 第1編 共通 第1章 計画の策定にあたって 第1節 計画策定の主旨 つくば市(以下「本市」とします。)では、平成6年度(1994年度)に策定した「つくば市一般廃棄物(ごみ)処理基本計画」以降、循環型社会を構築するため、減量化・資源化事業に取り組んでいます。令和2年(2020年)4月には、ごみ処理と生活排水処理からなる「つくば市一般廃棄物処理基本計画」(以下「本計画」とします。)を策定し、長期的な視点に立って、ごみ及び生活排水の発生から最終処分に至るまでの適正な処理を進め、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に資するための基本的な方向性を定めています。 今回、計画の策定から5年が経過し、中間目標年度を迎えることから、市民の生活意識や産業活動の変化及び自然災害等、本市の地域特性に的確に対応した廃棄物行政を進めていくために、計画の見直しを行いました。 また、近年国内外で課題となっている食品ロスの削減に関し、国は令和元年(2019年)10月に食品ロスの削減の推進に関する法律(以下「食品ロス削減推進法」とします。)を施行し、市町村は食品ロス削減推進計画を策定することが求められています。よって本市でも、「食品ロス削減推進計画」を作成し、本計画の中に内包することで他計画と一体的に取り組むこととします。 なお、本計画の改定に当たっては、「つくば市廃棄物の減量及び適正処理に関する条例」の規定により、市長の諮問に応じ、「つくば市一般廃棄物減量等推進審議会」を設置し、協議・検討を行いました。 図1-1 計画の経緯 第2節 計画の位置付け 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」とします。)第6条第1項の規定により、市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画(以下「一般廃棄物処理計画」とします。)を定めなければならないとされています。 一般廃棄物処理計画は、図1-2に示すとおり、ごみ処理基本計画と食品ロス削減推進計画、生活排水処理基本計画からなる本計画と、年度ごとに定める一般廃棄物処理実施計画から構成されます。 本計画は、関連法令や国・県の関連計画等を踏まえるとともに、つくば市未来構想やつくば市環境基本計画等の本市の関連計画等との整合性を図るものとします。 図1-2 本計画と他計画との位置づけ 第3節 計画の期間 本計画は、令和2年度(2020年度)から令和11年度(2029年度)までの10年間の計画とします。 中間目標年度に当たる令和6年度(2024年度)に、Plan(計画の策定)、Do(実行)、Check(評価)、Act(見直し)のいわゆるPDCAサイクルに基づき、計画の点検、評価、見直しを行いました。 図1-3 計画期間 第4節 計画の対象廃棄物 廃棄物の区分は図1-4に示すとおりです。廃棄物は大きく一般廃棄物と産業廃棄物の2つに区分されます。産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法律で定められた20種類を指します。一般廃棄物は、産業廃棄物以外の廃棄物であり、家庭から発生する生活系ごみ及びオフィスや飲食店等から発生する事業系ごみに加え、生活排水も含んでいます。 本計画において対象とする廃棄物は「一般廃棄物」です。 図1-4 廃棄物の区分 第5節 地域の概況 1.位置と地勢 本市は、茨城県の南西部に位置し、東京まで約50km、つくばエクスプレスで45分、さらには成田空港に接続される圏央道があるなど、都心や海外へのアクセスが容易です。日本を代表する研究学園都市であり、国と企業の研究機関が多く立地し、豊富な国際的人材を有していることもあり、住民の外国人率は全国平均を上回り、令和5年度(2023年度)時点で、約12,000人の外国人が暮らしています。一方で、北に関東の名峰筑波山を擁し、東には我が国第2位の面積を有する霞ヶ浦を控え、あわせて水郷筑波国定公園に指定されているなど、豊かな自然も有しています。 このように充実した都市機能と豊かな自然を兼ね備えている本市は、人口の増加を続けており、令和5年度(2023年度)時点で25万人まで増加しました。 図1-5 本市の位置 2.都市の成り立ち 本市は、国家プロジェクトである筑波研究学園都市の建設により、昭和40年代から50年代にかけて現在の市中心部に「研究学園地区」が整備されました。また、その周辺には、合併による本市誕生以前の旧町村時代に地域の中心として発展してきた市街地などが形成されています。さらに、平成11年(1999年)以降には、つくばエクスプレスの整備と沿線開発が進められており、土地区画整理事業が終盤を迎えようとしています。 図1-6 本市の状況 3.人口 人口・世帯数の推移は、図1-7、表1-1に示すとおりです。 人口、世帯数ともに増加傾向が続いており、計画策定時の令和2年度(2020年度)は240,383人だった人口が、令和5年度(2023年度)では254,534人と大きく増加しています。また、外国人登録者数も増加しており、外国人率が計画策定時の4%から令和5年度(2023年度)では、5%に近い値となっています。令和11年度(2029年度)の将来人口予測は272,027人で、今後も増加傾向が続くと予想されています。 世帯人数については、全国的な傾向と同様に減少傾向にあり、核家族化が進行している状況が伺えます。 図1-7 人口・世帯数の推移 表1-1 人口・世帯数の推移 令和5年(2023年)10月1日時点における年齢5歳階級別人口構成は、図1-8、表1-2に示すとおりです。人口構成は、茨城県全体と比べ、生産年齢人口が多いことが特徴です。 図1-8 年齢5歳階級別人口構成 表1-2 年齢5歳階級別人口構成 4.産業 (1)産業大分類別事業所数の推移 産業大分類別事業所数の推移は表1-3に示すとおりです。 令和3年度(2021年度)の事業所数は、平成28年度(2016年度)に比べて微減しています。分類別では、「卸売業、小売業」、「建設業」、「宿泊業、飲食サービス業」の事業所数が減少し、「医療、福祉」、「学術研究、専門・技術サービス業」の事業所数が増加しています。 表1-3 産業大分類別事業所数の推移 (2)産業大分類別従業者数の推移 産業大分類別従業者数の推移は表1-4に示すとおりです。 令和3年度(2021年度)の従業者数は、平成28年度(2016年度)に比べて増加しています。分類別では、「学術研究、専門・技術サービス業」、「医療、福祉」、「情報通信業」の従業者数が増加し、「卸売業、小売業」、「宿泊業、飲食サービス業」の従業者数が減少しています。 表1-4 産業大分類別従業者数の推移 5.土地利用 土地利用の推移は表1-5に示すとおりです。 令和4年度(2022年度)における土地利用の構成比は、自然的土地利用(農地、山林など)の約6割に対し、都市的土地利用(宅地など)が約4割となっています。また、平成28年度(2016年度)と比較すると、住宅用地だけでなく、商業用地及び工業、物流用地が増加しており、これはつくばエクスプレス沿線開発の影響とみられます。 表1-5 土地利用の推移 第2編 ごみ処理基本計画 第1章 ごみ処理の現状 第1節 ごみ処理の現状 1.ごみ処理フロー 本市のごみ処理フローは、図2-1に示すとおりです。 生活系ごみと事業系ごみの大部分は、つくばサステナスクエアに搬入され、焼却、破砕、選別、圧縮などの中間処理を行っています。 中間処理により回収した有価物、生活系の直接資源化ごみ(廃食用油、牛乳パック、小型家電、集団回収により回収したごみ)及び事業者から排出される直接資源化ごみについては、民間業者による資源化を行っています。 中間処理後に発生する焼却残渣(焼却灰)は、民間業者の最終処分場に埋立処分するとともに、民間業者に委託して溶融処理及び焼成処理による資源化を行っています。不燃残渣については、民間業者の最終処分場に埋立処分しています。 図2-1 ごみ処理フロー(令和5年度(2023年度)時点) 2.収集運搬体系 ごみの収集運搬体系のうち、生活系ごみの収集運搬体系は表2-1、事業系ごみの収集運搬体系は表2-2に示すとおりです。 表2-1 生活系ごみの収集運搬体系 表2-2 事業系ごみの収集運搬体系 3.処理体系 本市におけるごみの処理体系は、表2-3に示すとおりです。 表2-3 ごみの処理体系 4.中間処理体系 中間処理は、つくばサステナスクエアで行っています。施設概要は、表2-4、表2-5、表2-6に示すとおりです。 つくば市クリーンセンター(焼却施設)は、定期的な維持管理点検が行われていますが、竣工後27年が経過し、一部の設備・装置等は著しく経年劣化が生じています。施設の延命化に向け、平成27年度(2015年度)から5カ年で基幹的設備改良工事を実施しましたが、毎年度補修工事が必要な状況となっています。耐用年数も大きく上回っている機器類があり、安定的な稼働に懸念があります。計画的な更新等も視野に今後検討を行う必要があります。 つくば市リサイクルセンター及び資源化施設は、適正に点検・整備がなされており、十分な処理機能が維持されています。竣工後間もないこともあり、特に問題になるような大きな劣化や損傷も見受けられません。今後、経年劣化等が進行することが予想されるため、日常点検等を継続的に行い、適正な運営管理に努めていきます。 表2-4 つくば市クリーンセンターの概要 表2-5 つくば市リサイクルセンターの概要 表2-6 資源化施設の概要 5.最終処分体系 中間処理後に発生する焼却残渣及び不燃残渣は、民間業者が運営する最終処分場で埋立処分しています。令和6年度(2024年度)時点の民間処分場の施設概要は、表2-7に示すとおりです。 また、焼却残渣の一部について、民間業者において溶融処理等による資源化を行い、最終処分量の削減を図っています。令和6年度(2024年度)時点の再資源化処理施設の概要は、表2-8に示すとおりです。 表2-7 民間最終処分場の施設概要 表2-8 民間再資源化処理施設の概要 第2節 ごみ排出量等の実績 1.ごみ排出量 (1)ごみ総排出量 ごみ総排出量の実績は、表2-9及び図2-2に示すとおりです。 年々人口が増加している中、計画収集量は令和元年度(2019年度)をピークに減少傾向、直接搬入量は増減を繰り返しており、集団回収量は年々減少傾向にあります。令和5年度(2023年度)におけるごみ総排出量は94,769tとなっています。 ごみ総排出量は、事業者直接資源化量(事業者が独自に資源化した資源ごみの量)を含む場合は横ばいの傾向となっていますが、事業者直接資源化量を含まない場合は、令和元年度(2019年度)をピークに減少傾向にあります。 表2-9 ごみ総排出量の実績 図2-2 ごみ総排出量の実績 (2)1人1日当たりのごみ排出量の比較 1人1日当たりのごみ排出量の茨城県平均、全国平均との比較は、表2-10及び図2-3に示すとおりです。 本市の令和5年度(2023年度)における1人1日当たりのごみ排出量は1,017g、事業者直接資源化量を含まない場合は861gで、年々減少傾向にあります。令和4年度(2022年度)における1人1日当たりのごみ排出量(事業者直接資源化量を含む場合)は、茨城県平均、全国平均を上回っています。 表2-10 1人1日当たりのごみ排出量の比較 図2-3 1人1日当たりのごみ排出量の比較 (3)生活系ごみ及び事業系ごみの排出量 生活系ごみ及び事業系ごみの排出量の実績は、表2-11及び図2-4に示すとおりです。 生活系ごみ排出量は、令和元年度(2019年度)以降、年々減少傾向にあります。 一方、事業系ごみ排出量は、おおむね横ばいで推移しています。本市では、平成24年度(2012年度)以降、事業者が排出した資源ごみの流れを把握するために、多量排出事業者(1日当たり平均100キログラム以上の事業系一般廃棄物を排出する事業者)より提出された「つくば市事業系一般廃棄物減量化等計画書」を通じて事業者直接資源化量の把握を積極的に進めています。事業系ごみ排出量が横ばいで推移している要因は、事業者直接資源化量の把握を積極的に進めたことにより、把握できる資源物の量が増加したことが考えられます。 令和5年度(2023年度)におけるごみ総排出量に占める事業系ごみ排出量の割合は39.7%、事業者直接資源化量を含まない場合は28.7%となっており、近年はおおむね横ばい傾向にあります。 表2-11 生活系ごみ及び事業系ごみの排出量の実績 図2-4 生活系ごみ及び事業系ごみの排出量の実績 【参考】1人1日当たりの生活系ごみ排出量と1日当たりの事業系ごみ排出量 表2-12 1人1日当たりの生活系ごみ排出量 表2-13 1日当たりの事業系ごみ排出量 2.ごみ組成分析 令和6年度(2024年度)に、生活系燃やせるごみ及び事業系燃やせるごみの組成分析調査を実施しました。令和元年度(2019年度)に実施したごみ組成分析調査結果との比較を以下に示します。当該調査の詳細は、資料編の「2.ごみ組成分析調査結果」に示します。 (1)生活系燃やせるごみ 生活系燃やせるごみの組成分析結果を表2-14及び図2-5に示します。 令和6年度(2024年度)は、令和元年度(2019年度)と比較して、「木・竹・わら類」(剪定枝)の割合が増加し、「厨芥類」の割合が減少しました。プラスチック類や紙類等の「資源化可能なもの」や金属類等の「入れてはいけないもの」の割合も減少しましたが、生活系燃やせるごみには依然として分別すべきものが多く含まれており、その割合は合わせて約25%となっています。 表2-14 生活系燃やせるごみの組成分析結果 図2-5 生活系燃やせるごみの組成分析結果 (2)事業系燃やせるごみ 事業系燃やせるごみの組成分析結果を表2-15及び図2-6に示します。 令和6年度(2024年度)は、令和元年度(2019年度)と同様に、「紙類」(資源化可・資源化不可)及び「厨芥類」の割合が多く、これらで全体の約4分の3を占めています。また、「プラスチック類」(資源化可・資源化不可)の割合は減少した一方、「木・竹・わら類」(剪定枝)の割合は増加しました。「資源化可能なもの」や「入れてはいけないもの」の割合も減少しましたが、事業系燃やせるごみには依然として分別すべきものが多く含まれており、その割合は合わせて約37%となっています。 表2-15 事業系燃やせるごみの組成分析結果 図2-6 事業系燃やせるごみの組成分析結果 3.中間処理 (1)資源化量 資源化量の実績は、表2-16及び図2-7に示すとおりです。 令和5年度(2023年度)における総資源化量は25,220tとなっています。 集団回収量は年々減少傾向にありますが、直接資源化量の増加に伴い、総資源化量は増加傾向にあります。 表2-16 資源化量の実績 図2-7 資源化量の実績 (2)つくば市クリーンセンター(焼却施設)での廃棄物発電 燃やせるごみ及びつくば市リサイクルセンターから発生した可燃性残渣は、つくば市クリーンセンター(焼却施設)にて焼却処理をしています。 つくば市クリーンセンター(焼却施設)は公害防止には万全を期しており、設備の自動化、省力化を図った施設です。また、エネルギーの効率的利用の観点から、焼却熱を利用した発電設備(3,149kW)を備えており、発電された電力は施設内で利用されるほか、余剰電力は電力事業者に売電しています。また、令和4年(2022年)10月より、発電した電力を市役所本庁舎などの市所有の41施設に供給する自己託送と呼ばれる事業を開始しています。 焼却施設における発電及び売電電力量の実績は、表2-17に示すとおりです。 表2-17 焼却施設における発電及び売電電力量の実績 (3)つくば市クリーンセンター(焼却施設)のごみ質分析結果 ごみ焼却施設では、ごみピットにおける燃やせるごみを対象にごみ質の調査を行っています。 ごみ焼却施設におけるごみ質分析結果は、表2-18に示すとおりです。令和5年度(2023年度)の低位発熱量は1,990.8kcal/kgとなっています。 表2-18 焼却施設ごみピットのごみ質分析(乾ベース)(各年平均値) 4.リサイクル率 リサイクル率及び茨城県平均・全国平均との比較結果は、表2-19及び図2-8に示すとおりです。 令和5年度(2023年度)のリサイクル率は26.6%で、平成26年度(2014年度)と比べて約10%上昇しています。これは、主に事業者直接資源化量の把握と焼却残渣の資源化を積極的に進めた結果と考えられます。 茨城県平均及び全国平均と比較すると、平成26年度(2014年度)には茨城県平均と比べて6%、全国平均と比べて5%程度下回っていましたが、令和4年度(2022年度)には、茨城県平均と比べて4%、全国平均と比べて6%程度上回っています。 表2-19 リサイクル率 図2-8 リサイクル率 5.最終処分量 最終処分量の実績は、表2-20及び図2-9に示すとおりです。 令和5年度(2023年度)における最終処分量は、6,915tとなっており、令和3年度(2021年度)以降減少しています。 令和5年度(2023年度)における1人1日当たりの最終処分量は74gで、年々減少傾向にあり、平成26年度(2014年度)の約半分の量となっています。 これは、燃やせるごみの減量化及び焼却残渣の資源化を積極的に進めた結果と考えられます。 表2-20 最終処分量の実績 図2-9 最終処分量の実績 6.ごみ処理経費 ごみ処理経費の実績は、表2-21に示すとおりです。 平成31年(2019年)3月にリサイクルセンター、令和3年(2021年)3月に資源化施設を整備したため、平成28年度(2016年度)から令和2年度(2020年度)までの建設・改良費が多くなっていましたが、以降は減少しています。また、令和5年度(2023年度)は、焼却施設の修繕を行ったため、処理費のうち、中間処理費が増加しています。 建設・改良費を除く費用では、委託費の増加に伴い、ごみ処理経費は増加しています。これは、令和4年(2022年)10月からのプラスチック製容器包装の収集頻度の増加及び最終処分量の更なる削減に向けた焼却残渣の資源化量の増加によるものです。 表2-21 ごみ処理経費 7.ごみ処理状況の比較 (1)ごみ処理状況の比較 令和4年度(2022年度)における本市のごみ処理状況を、一般廃棄物処理実態調査結果を基に、茨城県平均、全国平均と比較した結果を表2-22及び図2-10に示します。 1人1日当たりのごみ排出量:茨城県平均、全国平均より排出量が多い。 1人1日当たりの生活系ごみ排出量:茨城県平均より少なく、全国平均より多い。 1人1日当たりの事業系ごみ排出量:茨城県平均、全国平均より非常に多い。 リサイクル率:茨城県平均、全国平均より高い。 1人1日当たりの最終処分量:茨城県平均、全国平均より多い。 1人当たりの処理経費:茨城県平均、全国平均より少ない。 表2-22 本市と茨城県平均及び全国平均との比較(令和4年度) 図2-10 本市と茨城県平均及び全国平均との比較(令和4年度) (2)資源化量の比較 令和4年度(2022年度)における本市の資源化量を、一般廃棄物処理実態調査結果を基に、茨城県平均、全国平均と比較した結果を表2-23に示します。 総資源化量:茨城県平均、全国平均より多い。 紙類:茨城県平均、全国平均より多い。 プラスチック類:茨城県平均より多く、全国平均より少ない。 表2-23 本市と茨城県平均及び全国平均との比較(1人1日あたりの総資源化量及び品目別資源化量、令和4年度) 8.アンケート調査結果 令和6年度(2024年度)に、市民、事業者及び収集運搬業者(委託業者・許可業者)を対象に、アンケート調査を実施しました。結果は、資料編の「3.ごみに関するアンケート調査結果」に示します。なお、令和元年度(2019年度)にも市民を対象にアンケート調査を実施しており、同じ内容の設問については比較結果を示しています。 9.施策の実施状況 本計画の計画期間のうち、令和2年度(2020年度)から令和5年度(2023年度)までの施策の実施状況を資料編の「5.施策の実施状況及び評価」に示します。 第3節 計画の評価 1.目標値の達成状況 本計画の計画期間のうち、令和2年度(2020年度)から令和5年度(2023年度)までの計画目標値の達成状況は、表2-24に示すとおりです。 事業系ごみ排出量において、令和3年度(2021年度)以降は目標を達成することはできませんでしたが、それ以外のすべての項目において目標値を達成しています。 事業系ごみ排出量が目標達成できなかった要因は、事業者直接資源化量の把握を積極的に進めたことにより、把握できる資源物の量が増加したことが考えられます。これにより、事業系ごみ排出量が増加した一方で、リサイクル率の上昇につながっています。また、つくばエクスプレス沿線開発の影響により、産業用地が増加していることも事業系ごみ排出量が増加した要因として考えられます。 表2-24 計画目標値の達成状況 2.計画策定時のごみ量等の比較 令和元年度(2019年度)の計画策定時と令和4年度(2022年度)のごみ排出量等の比較は、表2-25に示すとおりです。 おおむね全ての項目で順位が上がっています。 表2-25 計画策定時のごみ排出量等の比較 第2章 ごみ処理の課題 ごみ処理の現状を踏まえた本市におけるごみ処理の課題は、以下のとおりです。 1.排出抑制・資源化 ●本市のごみ総排出量(事業者直接資源化量を含む場合)は横ばいで推移していますが、生活系ごみ排出量は人口の増加に関わらず減少傾向にあります。また、計画目標の指標である1人1日当たりの生活系ごみ排出量も年々減少傾向にあり、目標を大幅に達成しています。これは、「ごみの出し方カレンダー」や「3Rニュース」、ごみ分別アプリ「さんあ〜る」等による情報発信、生ごみ処理容器等の購入補助、段ボールコンポストの無料配布等の施策により、計画策定時に想定していた以上に市民の協力が得られたためと考えられます。 ●一方、事業系ごみ排出量は横ばい傾向にあり、茨城県内の自治体と比べても非常に多くなっています。計画目標の指標である1日当たりの事業系ごみ排出量も、令和3年度(2021年度)以降は目標を達成できておらず、事業系ごみの減量が依然として課題です。事業者を対象としたアンケート調査結果より、事業所で実践できる減量化・資源化の情報や業種別の減量方法を示したマニュアルの作成・配布など、具体的な取り組みにつながる情報の提供が求められています。 ●総資源化量、リサイクル率ともに、年々増加傾向にあり、計画目標を達成できています。これは、多量排出事業者による資源化量の把握と焼却残渣の資源化を積極的に進めたほか、市民及び事業所のごみの減量化に対する継続的な努力と評価できます。 ●燃やせるごみを対象とした組成分析調査を実施した結果、前回調査の結果と比べて、資源化可能なもの、入れてはいけないものの混入率は改善傾向にあるものの、生活系ごみで約25%、事業系ごみで約37%と依然として高く、分別を徹底し、資源化に回すことで、更なる燃やせるごみの減量化につながる可能性があります。 ●プラスチック類の資源化量が、全国平均と比べて低い状況です。プラスチック製容器包装の収集量は年々増加していますが、市民アンケート調査において、分別方法や汚れ具合による排出可否がわかりにくいという回答も多く、わかりやすい周知を行う必要があります。 ●市民がスーパーの店頭回収等に出した資源ごみ量については、ごみ排出量には含まれていません。事業者と連携してこれらの店頭回収量の把握に引き続き努め、本市全体におけるごみの流れの実態を正確に把握することが望ましいです。 2.収集運搬 ●集積所の管理に関して、集積所管理等の課題(一部の区会では、区会に入らないと集積所を利用できない、新住民の受入れは行わない等)について、区会等と連携し、解決を図る必要があります。 ●ごみ出しが困難な高齢者等への支援策について、今後検討していく必要があります。 3.中間処理 ●つくば市クリーンセンター(焼却施設)は、定期的な維持管理点検が行われていますが、竣工後27年が経過し、一部の設備・装置等において経年劣化が著しい状況です。安定的な稼働に懸念があることから、計画的な更新等も視野に今後検討を行う必要があります。 4.最終処分 ●本市は、最終処分場を有しておらず、民間の最終処分場に処分を委託しています。また、焼却灰の一部は民間の処理施設で資源化を行っています。最終処分量は年々減少していますが、委託先の残余容量等を継続的に把握し、長期展望に立って安定的な委託先の確保を図る必要があります。 ●更なる最終処分量の削減に向け、焼却灰の資源化拡大を継続して検討していくとともに、資源化後の利用先における環境への影響や安全性を調査し、十分に確認する必要があります。 5.その他 ●廃棄物排出者の公平負担のため、引き続きごみの排出状況や他自治体の取り組み等を注視しつつ、ごみの有料化(生活系ごみの有料化、事業系ごみの処理手数料の見直し)を検討することが必要です。 ●委託費の増加により、ごみ処理経費は増加しています。「一般廃棄物会計基準」を導入し、一般廃棄物の処理に関する事業に係るコスト分析を行い、事業の効率化を図る必要があります。 第3章 ごみ処理基本計画 第1節 基本理念、基本方針 社会経済活動の高度化に伴い、大量生産・大量消費・大量廃棄型社会となった影響から、ごみの排出量の増大や質の多様化が進み、循環型社会への転換が求められています。国においては、環境基本法や循環型社会形成推進基本法の制定をはじめ、廃棄物処理法、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)の改正、各種リサイクル法の制定など、法整備等を通じて循環型社会形成を目指してきました。 近年、国の廃棄物・リサイクル行政においては、循環型社会の形成に向けて、従来の延長線上の取り組みを強化するのではなく、経済社会システムそのものを循環型に変えていくことが必要とされており、持続可能な形で資源を効率的・循環的に有効利用する循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が求められています。循環経済への移行によって資源循環の取り組みが一層進めば、製品等のライフサイクル全体における温室効果ガスの排出低減につながることから、気候変動対策や脱炭素社会の実現の観点からも重要とされています。 本市は、令和4年(2022年)2月に「つくば市ゼロカーボンシティ宣言」を行っており、さらなる資源循環や循環経済(サーキュラーエコノミー)、ごみ減量等への取り組みを通じて、持続可能な脱炭素社会の形成を目指します。 本計画では、基本理念を「資源循環から持続可能な社会をめざすまち」とし、基本方針を「地域全体での協働」、「3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進」、「適正な処理・処分体制の構築」として、具体的取り組みを設定します。 図2-11 循環経済実現時の資源の有効活用の取り組みイメージ 基本理念 資源循環から持続可能な社会をめざすまち 基本方針 1 地域全体での協働 持続可能な社会を形成するために、市民・事業者・行政の協働を進めます。取り組みにおいては行政のみではなく、地域の市民や事業者の民間活力も積極的に活用し、役割分担の中でより良い取り組みを目指します。 2 3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進 ごみの発生段階、排出段階、処理段階における減量化、資源化の推進により一層取り組むことにより、循環型社会の形成を目指します。 3 適正な処理・処分体制の構築 安全かつ適正な処理・処分体制を構築し、環境負荷の低減と処理コストの削減を目指します。 第2節 関連法令、計画 1.循環型社会形成推進のための法体系 循環型社会の形成を推進するための法体系を図2-12に示します。 図2-12 循環型社会形成推進のための法体系 2.国の関連計画 (1)第五次循環型社会形成推進基本計画 第五次循環型社会形成推進基本計画は、循環型社会形成推進基本法第15条に基づき、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために定められるものです。 令和6年(2024年)8月に閣議決定した「第五次循環型社会形成推進基本計画」では、循環経済への移行を関係者が一丸となって取り組むべき重要な政策課題と捉え、「循環型社会の全体像に関する指標」と5つの柱(重点分野)別に「循環型社会形成に向けた取組の進展に関する指標」を設定しています。循環型社会形成のための指標・数値目標のうち、本計画に関連する指標の抜粋を表2-26に示します。 表2-26 第五次循環型社会形成推進基本計画の数値目標(抜粋) (2)廃棄物処理基本方針 廃棄物処理法第5条の2第1項の規定に基づき、「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「廃棄物処理基本方針」という。)」が定められています。 令和5年(2023年)6月には、2050年カーボンニュートラルに向けた脱炭素化の推進、地域循環共生圏の構築推進、ライフサイクル全体での徹底した資源循環の促進等、廃棄物処理を取り巻く情勢変化を踏まえ、方針が変更されました。 なお、廃棄物の減量化の目標量については、第四次循環型社会形成推進基本計画に掲げられた目標等を踏まえ、当面令和7年度(2025年度)を目標年度として進めていくとされています。 (3)廃棄物処理整備基本計画 廃棄物処理施設整備計画は、令和5年度(2023年度)から令和10年度(2028年度)を計画期間とした、廃棄物処理施設整備事業の計画的な実施を図るため、廃棄物処理法第5条の3に基づき策定されるものです。 令和5年(2023年)6月に閣議決定した新計画では、「(1)基本原則に基づいた3Rの推進と循環型社会の実現に向けた資源循環の強化」、「(2)災害時も含めた持続可能な適正処理の確保」、「(3)脱炭素化の推進と地域循環共生圏の構築に向けた取組」の基本的理念を掲げたうえで、廃棄物処理施設整備事業の実施に関する重点目標を設定しています(表2-27)。 表2-27 廃棄物処理施設整備事業の実施に関する重点目標(抜粋) 3.県の関連計画 (1)第5次茨城県廃棄物処理計画 第5次茨城県廃棄物処理計画は、令和3年度(2021年度)から令和7年度(2025年度)を計画期間とした、県内の廃棄物の減量その他適正処理に関する法定計画であり、「茨城県総合計画〜『新しい茨城』への挑戦」の部門別計画に位置付けられています。 循環型社会の形成に向けた各施策等の着実な実施を図るため、廃棄物処理に関する代表的な指標を「代表指標」として設定し、計画期間において達成すべき数値目標を定めています。また、各施策の効果等を評価する際、その要因の分析を補助する観点から、各主体の取り組み等に関し、モニタリングすべき指標等を「補助指標」とし、施策の柱ごとに設定しています。本計画に関連する数値目標を表2-28に示します。 表2-28 第5次茨城県廃棄物処理計画の数値目標(抜粋) 4.本市の関連計画 (1)第2期つくば市戦略プラン 第2期つくば市戦略プランは、令和2年度(2020年度)から令和6年度(2024年度)を計画期間とした、本市の全分野のまちづくりの指針となる「つくば市未来構想」の実現に向け、特に重点的に取り組む施策や取り組みをまとめた計画です。第3期つくば市戦略プランにおいても推進していきます。 表2-29 第2期つくば市戦略プランの数値目標(抜粋) (2)第3次つくば市環境基本計画 第3次つくば市環境基本計画は、令和2年(2020年)4月から令和12年(2030年)3月までを計画期間とした、「つくば市未来構想」を環境面から具体化するものであり、つくば市の環境に関する計画の中で最も上位の計画です。 「豊かなつくばの恵みを未来につなぐ 持続可能都市 〜つくばの強みを活かして、多様な主体の協働でSDGsの達成に貢献する〜」を目指すべき将来像に掲げ、基本目標3「資源を賢く使う循環型社会に近づく」のもと、「3Rの推進」と「廃棄物の適正管理」を2つの施策の柱に位置づけています。ごみに関連する数値目標を表2-30に示します。 表2-30 第3次つくば市環境基本計画の数値目標(抜粋) (3)つくば市地球温暖化対策実行計画(区域施策編) つくば市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)は、令和2年度(2020年度)から令和7年度(2025年度)を計画期間とした、地球温暖化の主な要因とされる温室効果ガスの削減と、猛暑や洪水等の気候変動に対して、どのように取り組むべきかを示した計画です。 「全員参加でつくる低炭素かつレジリエントなスマートシティ」を将来像に、柱の一つに「高い環境意識をもち、持続可能なライフスタイルが確立しているまち」を掲げ、「持続可能なライフスタイルの推進」の取り組みにおいて、「廃棄物発電及び余熱利用の検討」「プラスチックごみの減量化とリサイクル促進」を施策として位置づけています。ごみに関連する進捗管理指標を表2-31に示します。 表2-31 つくば市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の数値目標(抜粋) (4)脱炭素先行地域づくり事業 脱炭素先行地域づくり事業は、令和5年(2023年)11月7日に環境省の脱炭素先行地域(第4回)として選定された計画に基づいて実施される、つくば中心市街地(TXつくば駅を中心とした概ね半径500mの範囲)を対象エリアとして2030年の脱炭素化を目指す取り組みです。 脱炭素先行地域づくり事業では廃棄物に関連して、廃食用油の地域冷暖房ボイラー燃料としての活用、魚油を燃料とするバイオマス発電、芝を燃料とするバイオマス発電のCO2フリー電気の利用等に取り組んでいきます。 (5)気候市民会議提言ロードマップ 気候市民会議提言ロードマップは、令和5年度(2023年度)に開催された「気候市民会議つくば2023」で採択され、提言書として提出された74の提言を実現するために、令和6年(2024年)10月に策定したロードマップのことです。提言のうち、ごみに関連する提言は表2-32のとおりです。 表2-32 気候市民会議提言ロードマップの提言(抜粋) 第3節 数値目標 本計画では、以下4つの数値目標を定めています。 @生活系ごみ:1人1日当たりの生活系ごみ排出量 A事業系ごみ:1日当たりの事業系ごみ排出量 Bリサイクル率 C最終処分量 計画の改定に当たっては、前節までの本計画の数値目標の達成状況、過年度のごみ処理の実績、現状で推移した場合の将来ごみ量、関連法令・計画等を踏まえて精査し、必要に応じて新たな数値目標を設定します。各数値目標の設定の考え方及び数値目標を以下に示します。 1.生活系ごみ:1人1日当たりの生活系ごみ排出量 (1)計画目標の達成状況 1人1日当たりの生活系ごみ排出量(生活系ごみ排出量原単位)は、年々減少傾向にあり、令和5年度(2023年度)の実績値(614g/人・日)は、計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値(648g/人・日)を既に達成しています。 (2)数値目標の見直し 令和5年度(2023年度)時点で計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値を既に達成しているため、新たに目標値を設定します。新たな目標値は、過年度の生活系ごみ排出量原単位の削減率の実績を踏まえて設定します。 令和5年度(2023年度)の生活系ごみ排出量原単位の実績値(614g/人・日)に対し、計画の基準年度である平成30年度(2018年度)の実績値は695g/人・日で、直近6年間の生活系ごみ排出量原単位の削減率は、約11.7%となっています。 計画目標年度(令和11年度(2029年度))までに、直近6年間と同様、生活系ごみ排出量原単位を11.7%削減することを目標として設定した場合、令和5年度(2023年度)の実績値614g/人・日に対し、令和11年度(2029年度)は542g/人・日と、約72g/人・日の生活系ごみの削減を進めなければならなくなります。令和4年度(2022年度)の生活系ごみ排出量原単位の全国平均値は620g/人・日であることを鑑みても、過度な目標であり、達成は困難な見込みです。 そのため、より現実的な目標値とするために、計画目標年度(令和11年度(2029年度))までの今後6年間で、生活系ごみ排出量原単位の削減率の約半分に該当する5.8%について、生活系燃やせるごみの排出抑制を図ることとし、計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値は、578g/人・日と設定します(表2-33)。これは、令和5年度(2023年度)実績比で約36g/人・日減、現状推移した場合の令和11年度(2029年度)推計比で54g/人・日減に該当します。 表2-33 数値目標(1人1日当たりの生活系ごみ排出量) 図2-13 1人1日当たり生活系ごみ排出量の将来予測 2.事業系ごみ:1日当たりの事業系ごみ排出量 (1)計画目標の達成状況 1日当たりの事業系ごみ排出量は年々増加傾向にあり、計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値(91.51t/日)は令和5年度(2023年度)時点では達成できていません。また、現状のまま推移した場合、計画目標年度の目標値の達成は困難な見込みです。 (2)数値目標の見直し 令和5年度(2023年度)時点で計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値を達成していないため、新たな目標値は設定せず、当初の目標値を据え置き、計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値は、91.51t/日と設定します。これは、令和5年度実績比で約11.2t/日減量(10.9%減量)、現状推移した場合の令和11年度(2029年度)推計比で12.24t/日減量(11.8%減量)に相当します(表2-34)。 表2-34 数値目標(1日当たりの事業系ごみ排出量) 図2-14 1日当たり事業系ごみ排出量の将来予測 3.リサイクル率 (1)計画目標の達成状況 リサイクル率は、年々増加傾向にあり、令和5年度(2023年度)の実績値(26.6%)は、計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値(25.0%)を既に達成しています。 (2)数値目標の見直し 令和5年度(2023年度)時点で計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値を既に達成しているため、新たに目標値を設定します。新たな目標値は、令和6年度(2024年度)に実施したごみ組成分析調査結果や焼却灰の資源化量の実績を踏まえて、設定します。 (ア)生活系ごみ 生活系燃やせるごみの組成分析調査結果より、生活系燃やせるごみには資源化可能なものが約25%含まれていることが明らかとなっており、紙類(12.01%)及びプラスチック類(5.42%)がその約2割を占めています。 市民に対して、紙類及びプラスチック類の分別徹底を促進することにより、計画目標年度(令和11年度(2029年度))までに、生活系燃やせるごみに混入している紙類及びプラスチック類の各々10%を資源ごみとして分別排出し、資源化を図ることで、生活系燃やせるごみの減量化を目指します。 (イ)事業系ごみ 事業系燃やせるごみの組成分析調査結果より、事業系燃やせるごみには、資源化可能なものが約37%含まれていることが明らかとなっており、紙類(30.75%)がその約3割を占めています。 事業者に対して、紙類の分別徹底を促進することにより、計画目標年度(令和11年度(2029年度))までに、事業系燃やせるごみに混入している資源化可能な紙類の10%を資源ごみとして分別排出し、資源化を図ることで、事業系燃やせるごみの減量化を目指します。 (ウ)焼却灰の資源化 令和5年度(2023年度)の焼却灰の資源化量は2,594t/年で、焼成処理及び溶融固化により資源化を行っています。計画目標年度(令和11年度(2029年度)まで、2,500t/年の焼却灰の資源化を継続して行うことにより、最終処分量の削減を図ります。 上記(ア)(イ)(ウ)の実施により、計画目標年度(令和11年度(2029年度))は、30.7%の達成を目指します。これは、令和5年度(2023年度)実績比で約4.1ポイントの向上、現状推移した場合の令和11年度(2029年度)推計比で4.9ポイントの向上に該当します。 表2-35 数値目標(リサイクル率) 4.1人1日当たりの最終処分量 (1)計画目標の達成状況 1人1日当たりの最終処分量は、年々減少傾向にあり、特に令和元年度(2019年度)以降、焼却灰の資源化を積極的に推進したことで、令和5年度(2023年度)の実績値(74g/人・日)は、計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値(107g/人・日)を既に達成しています。 (2)数値目標の見直し 令和5年度(2023年度)時点で計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値を既に達成しているため、新たに目標値を設定します。新たな目標値は、前述の生活系・事業系ごみの排出抑制、生活系・事業系燃やせるごみに混入している資源化可能な紙類等の資源化の促進、ならびに、焼却灰の資源化の継続実施を前提に設定します。 計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値は、66g/人・日と設定します。これは、令和5年度(2023年度)実績比で約8g/人・日減量(10.8%減量)、現状推移した場合の令和11年度(2029年度)推計比で18g/人・日減量(21.4%減量)に該当します。 表2-36 数値目標(1人1日当たりの最終処分量) 第4節 施策の方向性 ごみ処理基本計画の施策体系図を図2-15に示します。 図2-15 ごみ処理基本計画の施策体系図 1.減量化・資源化計画 市民及び事業者に対する、発生及び排出段階における減量化・資源化の方向性及び施策を以下に示します。 【減量化・資源化の方向性】 循環型社会を構築していくため、市民・事業者・行政がそれぞれの役割と責任を果たし、お互いに協力して減量化・資源化を推進します。また、本市の研究学園都市という特性を反映し、先進的な減量化・資源化事業に取り組みます。 ごみの減量については、生活様式や消費スタイルを見直し、ものを買う際に本当に必要なものかどうか考えて購入するなど、不要なものを家に持ち帰らず、ごみとなるもの自体を減らす行動、すなわち、発生抑制の推進を最優先とします。次に、使い捨て商品よりも繰り返し使える商品を選択し、再使用する行動を推進します。これらにより、ごみを極力減量した上で、廃棄しなければならないものについては、分別の徹底による再生利用を推進します。 1-1 市民・事業者への意識改革の推進 1-1-1 ごみの分け方・出し方の周知 (ア)「つくば市ごみの出し方カレンダー」の発行(外国語版を含む) 市民を対象にしたアンケート調査結果より、「つくば市ごみの出し方カレンダー」が、ごみに関する情報源として、市民に最も活用されていることが確認されました。引き続き、「つくば市ごみの出し方カレンダー」等の内容を充実させ、全戸に配布することで、ごみの分け方・出し方の周知を図ります。 また、カレンダーには、令和6年度(2024年度)時点において、7カ国語(英語、中国語(簡体)、韓国語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語)の説明書きを掲載しています。必要に応じて新たな外国語を追加するとともに、内容を更新します。 (イ)「ごみの分け方・出し方ハンドブック」の精査、改定 「ごみの分け方・出し方ハンドブック」の内容を精査し、必要に応じて改定します。 (エ)雑がみ及びプラスチック製容器包装の回収促進に向けた周知強化 燃やせるごみ組成分析調査の結果、依然として、生活系、事業系ともに燃やせるごみに資源化可能な紙類が多く含まれていることが明らかになりました。雑がみの分別を市民に動機づけするため、啓発用の雑がみ回収袋を配布し、雑がみの分別回収を推進します。 プラスチック製容器包装については、令和4年(2022年)10月より収集頻度を増加し、回収量も年々増加していますが、市民を対象にしたアンケート調査結果では、依然として洗浄の要否や分別方法がわかりにくい等の課題が指摘されています。より分かりやすい情報提供と周知啓発により、更なる回収量増加を図ります。 1-1-2 ホームページや市広報紙等による情報発信 (ア)ホームページ等による情報発信 市民を対象にしたアンケート調査結果より、市ホームページや市広報紙は、ごみに関する情報源として活用されていることから、ホームページ等の内容を充実させ、積極的に情報発信を図ります。 また、より多くの市民がごみへの意識や関心をもつように、引き続き、市ホームページにおいて動画による情報提供を行います。 (イ)「3Rニュース」の発行 ごみとリサイクルに関する情報紙である「3Rニュース」を発行し、区会回覧を実施するとともに、市ホームページで公開します。 (ウ)ごみ分別アプリ「さんあ〜る」の活用 ごみ分別アプリ「さんあ〜る」を活用した情報発信を強化し、周知啓発に努めます。 (エ)効果的な情報発信方法の検討 高齢者が増加していること、学生など短期での転入転出者が多いこと、外国人が多く居住していることなど、本市特有の特性を考慮し、例えばごみ分別の習慣が異なる外国人居住者向けの分別ルールの周知といった特徴を踏まえた効果的な周知方法を検討、実施します。 1-1-3 市民向けの環境プログラムの拡充 (ア)区会や市民団体等への出前講座の実施 区会や市民団体等に対し、地域、対象にあったごみとリサイクルに関する出前講座を実施します。また、様々な媒体で、出前講座実施についての周知を行います。 (イ)つくばサステナスクエアでの見学者受け入れ つくばサステナスクエアにおいて、見学者の受け入れを行います。また、市ホームページや市広報紙において、施設見学について周知します。 (ウ)リサイクルイベントの開催 廃棄物の減量化や資源化を推進するためには、排出者の3R意識の向上が大切です。そのため、排出者に対する働きかけとしてイベント等でのPRの実施を継続するほか、各種団体等と連携した各種キャンペーンや環境プログラムの拡充を図ります。 1-1-4 小中学生への環境教育の拡充 (ア)小中学校での牛乳パック回収事業の実施 小中学校に牛乳パック回収ボックスを設置し、児童・生徒の家庭から排出される牛乳パックの回収を行います。牛乳パック回収促進のため、牛乳パックリサイクルチラシを作成し、各学校へ配布します。学校側の協力が不可欠であるため、関係機関と連携して継続的に促進します。 (イ)小中学校への出前講座の実施 出前講座の実施を通じて、小中学生への環境教育の拡充を図ります。講座の実施に当たっては、学校の授業内容の把握と現状に見合った講座の展開を図ります。学習により、子どもたちがごみを身近な問題として理解を深め、自ら行動を起こせるよう、ごみの減量、分別に対する意識を高めます。また、様々な媒体で、出前講座実施についての周知を行います。 1-1-5 大学生への情報提供や意識啓発 (ア)大学や不動産管理会社等を通じたごみ減量及び分別促進 大学の学生宿舎への「ごみの出し方カレンダー」の配布やごみ分別アプリ「さんあ〜る」を大学生へ周知することにより、ごみの適正な分別を図ります。また、大学生が多く居住するエリアに管理物件を有している不動産管理会社と連携して、ごみ減量及び分別を促進します。 (イ)ごみ減量及び分別促進についての講義等の開催 ごみ減量及び分別促進等をテーマとした学生向けの講義やワークショップ等を実施します。 (ウ)大学の活動グループとの連携 大学の活動グループと連携し、大学内外でのごみ減量及び分別を促進します。 (エ)家具等の不用品リユース情報の提供 つくば市リサイクルセンターにおいて、リユース品の活用方法を構築し、大学生をはじめ市民に対し、家具のリユース情報の提供等を通じて、意識向上と利用の活性化を図ります。 1-1-6 事業者への情報提供や意識向上の強化 (ア)事業者への情報提供や意識向上の強化 事業者に対しては、事業系一般廃棄物の適正処理及びごみ減量、分別促進のための冊子を配布し、事業者及び従業員一人一人のごみ減量及びリサイクル意識の向上を図ります。 1-2 市民・事業者が主体的に取り組む仕組みづくり 1-2-1 ごみの減量や資源化に関する活動支援 (ア)市民団体等の活動支援 資源物集団回収は、資源物回収量の向上や市民自治の形成推進、子供たちの環境教育に役立つため、集団回収の奨励を継続して実施し、ごみ減量及び資源化促進に取り組んでいる市民団体等の活動を支援します。 (イ)生ごみ処理容器等購入費補助事業の推進 引き続き、家庭用生ごみ処理容器等の購入費を補助する事業を推進し、生ごみの減量化・資源化を図ります。 (ウ)エコ・ショップ認定制度の推進 環境にやさしい商品の販売やごみ減量化、リサイクル活動に積極的に取り組んでいる小売店舗を「エコ・ショップ」として認定し、ごみの減量や資源化に関する活動を支援します。 (エ)不用品等のリユースの促進 リユース品の活用方法を構築し、市民等に対し、家具のリユース情報の提供等を通じて、不用品等のリユースの促進を図ります。 (オ)家庭用廃食用油の回収及びBDF精製事業の実施(脱炭素先行地域づくり事業関連) 市役所、交流センター、商業施設等の拠点において、家庭用廃食用油の回収を行い、廃食用油からBDFを精製し、作業車両や回収車両に使用します。 また、脱炭素先行地域づくり事業の取り組みとして、BDFに精製し車両等の燃料として活用できなかった廃食用油についても地域冷暖房施設のボイラーの燃料として有効活用します。 (カ)優良事業者の取組の紹介、評価・表彰制度の検討(気候市民会議提言関連) 店頭回収を実施している事業者や家庭系ごみの資源化に協力している事業者、量り売りや過剰包装の抑制を実施している事業者等を優良事業者として認定する制度を設け、市として広報することにより、活動を推進します。(食品ロス削減推進計画 施策2-4にも掲載) (キ)民間事業者と協力した資源化の推進、民間ノウハウの活用 民間事業者と協力し、小売店の店頭での資源回収やいわゆるリサイクルショップを介したリユースの展開を推進します。 また、学生の多い本市の特徴を踏まえ、引っ越し時期に発生する家具、家電等の耐久消費財のリユース支援として、民間で実施できる部分を把握し調整するなど、行政の収集との役割分担も考慮しながら、市全体での資源化推進体制を構築します。 1-2-2 広報拠点の充実 (ア)情報提供拠点の設置検討 市中心部への情報提供拠点については、引き続き設置検討を進めるとともに、情報提供強化のため、ポスター、チラシ等情報掲示箇所の拡大も進めます。 (イ)つくばサステナスクエアでの広報の実施 つくばサステナスクエアを活用した積極的な情報提供に努めます。つくば市リサイクルセンターにおいては、異物の混入状況など処理において問題となる不適切な分別事例などを映像、画像等でわかりやすく情報提供するとともに、広く活用します。 1-3 将来的な施策に向けた調査・検討 1-3-1 プラスチック類の資源化の推進 (ア)プラスチック類の資源化の調査研究・再構築 ごみとして排出されたプラスチックの有効活用をより進めるため、製品プラスチックの分別収集・再商品化、民間活用も含めた拠点回収の実施検討、有効利用の可能性調査など、実効性のある手法を調査研究します。加えて、現行のプラスチック製容器包装のみを分別収集するシステムから、製品プラスチックを含めたプラスチック類全体を視野に入れた新しい資源化システムへの再構築とその実施に向けた検討を進めます。 1-3-2 生ごみ等の資源化の推進 (ア)生ごみ等の資源化の調査研究 生ごみの更なる資源化を図るため、自家処理以外の堆肥化・バイオマス燃料化等の手法を調査し、収集から再資源化までのルート構築について検討を進めます。 1-3-3 剪定枝等の資源化の推進 (ア)剪定枝等の資源化の調査研究(脱炭素先行地域づくり事業関連) 剪定枝はチップ化等を行えば、園芸・家庭菜園・農作物の栽培などでの堆肥や土壌改良材、燃料として活用できるため、剪定枝のリサイクル手法を調査し、事業実施に向けた検討を進めるとともに、脱炭素先行地域づくり事業の取り組みとして、芝についてもバイオマス燃料としての活用を進めます。 1-3-4 減量化・資源化における先進的な取組 (ア)資源化における都市鉱山取組 希少金属(レアメタル)等が含まれている小型家電の回収を促進し、市内の研究機関等と連携して希少金属の再資源化を推進します。 (イ)紙おむつの資源化の調査研究 紙おむつは、組成分析調査の結果より、生活系燃やせるごみの約5%を占めており、今後、高齢化により排出量が更に増加していくことが予想されます。衛生的な面から減量化には限界がある一方、全国的には紙おむつメーカーと連携して使用済み紙おむつのリサイクルに取り組んでいる自治体もあります。先進的な取り組みを調査し、導入に向けた検討を行います。 (ウ)先進的な減量化・資源化の取組(気候市民会議提言関連) ライフスタイルの変容や社会課題に対応するため、ごみ自動分別技術の導入検討等、研究学園都市としての市の特性を生かし、収集や処分方法に関して調査研究や事業手法の検討を行います。 1-3-5 生活系ごみ有料化の検討 (ア)生活系ごみ有料化の検討 1人1日当たりの生活系ごみ排出量は、全国の平均的な排出量と同程度となっています。今後も市民のごみ減量化に係る動向を注視しつつ、排出量が増加するようであれば、排出者負担の公平化等を図り、ごみの減量化の意識が働くよう、生活系ごみ処理手数料の有料化導入を検討します。 1-3-6 事業系ごみ処理手数料の見直し (ア)事業系ごみ処理手数料の見直し つくばサステナスクエアへ搬入される事業系ごみの量は減少していますが、今後、著しく増加するようであれば、事業系ごみの減量化及び処理経費の適正な配分を目的に事業系ごみ処理手数料の見直しを検討します。事業系ごみの排出量等のデータ分析に加え、周辺市町村の処理経費等も参考にしながら検討します。 1-4 公共施設におけるごみの発生抑制と資源化の推進 (ア)公共施設におけるごみの発生抑制と資源化の推進 「公共施設のごみ減量・リサイクル推進方針」に基づき、全庁挙げてごみ減量・リサイクル推進に取り組みます。また、公共施設からのごみ排出量の変化を把握し、施策の効果を検証します。 2.収集運搬計画 減量化・資源化計画及び中間処理計画に対応したごみの収集運搬を、効率的、経済的に実施するための方向性及び施策を以下に示します。 【収集運搬の方向性】 住民サービスの充実を図るとともに、環境負荷の低減やコスト削減を踏まえた、安全かつ効率的な収集運搬を行います。 2-1 生活系ごみの排出管理の徹底 2-1-1 収集頻度の適正化 (ア)収集頻度の適正化 生活系ごみの各品目について、排出量やコスト等を考慮し、必要に応じて収集頻度の適正化を検討します。 2-1-2 ごみ集積所管理の推進 (ア)ごみ集積所管理に係るシステム化の推進 ごみ集積所の管理については、区会等による管理体制を推進しており、適切に維持管理されています。しかし、市民を対象にしたアンケート調査結果より、「分別のルールを守らない人がいる」、「利用者以外の人(通行人など)がごみを捨てている」、「排出時間を守らない人がいる」などの問題も指摘されています。ごみ集積所の管理状況の調査や、各集積所に分別の徹底を呼び掛けるため看板の配布等により、集積所管理に係るシステム化を検討し、推進します。 (イ)資源ごみ持ち去り防止対策 資源持ち去り防止シートの配布、また、市のホームページより資源持ち去り防止シートをダウンロード可能とすることで、資源物持ち去り防止対策を実施します。 (ウ)地区別排出実態の把握 本市は地区ごとに生活様式が異なり、ごみ排出や資源分別状況も異なる状況にあります。減量化、資源化を推進する上で地区ごとの違いも踏まえ、効果的な広報に取り組むため、収集運搬業者と連携しつつ、各ごみ集積所における排出状況の調査など、地区別の排出実態の把握を進め、地区別の周知方法について検討します。 2-1-3 収集運搬体制の再構築 (ア)適正な分別品目ごとの収集について業者への指導の強化 つくばサステナスクエアで定期的に搬入検査を行い、生活系ごみの分別が適正に行われていないにも関わらず収集している場合には、各種ごみの混入がないよう収集運搬業者へ指導を行います。 (イ)排出困難者に対する戸別収集の検討 高齢者や障害のある方等、排出困難者への対応について、戸別収集の実施を含め、他自治体での取り組みを調査し、実施を検討します。 2-1-4 有害ごみの回収体制の再整備 (ア)有害ごみ、危険なごみの排出体制及び回収体制の検討 有害ごみ(乾電池・蛍光管等)は、市役所庁舎のほか各窓口・交流センター等に設置した回収ボックスにより回収し、資源として有効利用を図っています。引き続き、より市民の利便性、排出場所の安全性、管理の容易性を確保できる排出体制を検討します。 (イ)有害ごみ、危険なごみの排出方法に関する周知 近年、全国で充電式電池(リチウムイオン電池等)、スプレー容器やライター等によるパッカー車や処理施設での爆発火災事故が相次いでいます。分別区分や回収方法を改めて検討するとともに、市民に対し、排出方法や混入の危険性について周知徹底を図ります。 2-2 事業系ごみの排出管理の強化 2-2-1 事業系ごみの分別及び排出の適正化 (ア)つくばサステナスクエアにおける事業系ごみの搬入検査・指導の実施 つくばサステナスクエアにおいて事業系ごみの搬入検査を行い、産業廃棄物の混入や資源化可能なもの等が搬入された場合は収集しないよう指導を強化します。 (イ)事業所への分別強化の協力依頼 事業系ごみの分別及び排出の適正化を図るとともに、排出事業者への訪問指導を実施します。 (ウ)多量排出事業者に対する指導 多量排出事業者に対して、「つくば市事業系一般廃棄物減量化等計画書」を提出するよう要請するとともに、提出された計画内容を精査し、必要な指導、情報提供を行います。 2-2-2 事業系資源ごみの資源化の促進 (ア)紙類等の資源化の促進 事業系燃やせるごみの中の30.75%は資源化可能な紙となっています。紙類の民間のリサイクルルートについての情報収集を行うとともに、事業所から排出される紙類等の資源ごみの回収システムについても検討します。 (イ)多量排出事業者以外の中小事業所や飲食店等のごみ排出量と排出先の調査の検討 多量排出事業者以外の中小事業所や飲食店等のごみ発生量と排出先の調査を実施し、事業系資源ごみの資源化を促進します。 3.中間処理計画 本市のごみ処理施設としてごみ処理の中核を担う、つくばサステナスクエアに係る中間処理の方向性及び施策を以下に示します。 【中間処理の方向性】 将来的なごみ量・ごみ質の変化、環境負荷の低減や処理コストの削減を踏まえた安全かつ効率的なごみ処理を行うとともに、焼却施設で発電した電気の活用により脱炭素社会の実現を図ります。 3-1 つくばサステナスクエアの適正な運転維持管理 (ア)つくばサステナスクエアの安定運転・長寿命化 市内から排出されるごみを確実に処理できるよう、各施設において安定した運転を維持するとともに、今後も適正な維持管理を行い、現有施設の長寿命化を図ります。更には、焼却施設で発電した電気をつくばサステナスクエア内で自家消費するとともに、公共施設に供給する電力自己託送事業等を行うことで、コスト削減と脱炭素社会の実現を図ります。 (イ)ダイオキシン類等の影響調査の実施 ダイオキシン類等の影響調査を定期的に実施し、周辺環境の保全に努めます。 4.最終処分計画 本市は、最終処分場を有しておらず、民間の最終処分場に処分を委託しています。最終処分の方向性及び施策は以下のとおりです。 【最終処分の方向性】 循環型社会を構築していくため、積極的な減量化・資源化を推進し、埋立処分量の削減に努め、環境負荷の低減や処分コストの削減を踏まえた安全かつ安定的な処分を行います。 4-1 最終処分量の削減 (ア)焼却灰の再資源化の推進 現在、一部の焼却灰を資源化しています。焼却灰の資源化は、最終処分量削減効果が見込めるため、今後も、溶融処理、焼成処理等による焼却灰の資源化を実施し、最終処分量の削減に努めます。 4-2 安定的な最終処分先の確保 (ア)最終処分場の現地確認の実施 本市より排出した焼却灰や不燃残渣等が適正に処理されているかを確認することは本市の責務です。搬出先となる民間の最終処分場を1年に1回訪問し、処分状況を確認します。 (イ)最終処分先の確保 引き続き、搬出先となる民間最終処分場の残余容量や資源化委託先の動向等を継続的に把握し、長期展望に立って最終処分場を確実に確保します。また、新たな最終処分先の選定に当たっては、現地を確認の上、最終処分地としての適性やコスト、環境対策等を勘案し、適切な最終処分場の確保に努めます。 (ウ)最終処分の在り方の方針の検討 引き続き、長期的な視点での本市における最終処分の在り方について検討します。 5.その他の廃棄物関連の計画 減量化・資源化計画、収集運搬計画、中間処理計画、最終処分計画以外の廃棄物関連に係る方向性及び施策は以下のとおりです。 5-1 一般廃棄物会計基準の導入 (ア)一般廃棄物会計基準の導入による事業コストの検討 一般廃棄物会計基準は、一般廃棄物の処理に関する事業に係るコスト分析等を行うものです。一般廃棄物会計基準を活用することにより、本市が行う一般廃棄物の処理に関する事業に係る会計の客観的な把握が可能となります。 今後、国が提供する「一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツール」に基づき、一般廃棄物会計基準に基づく財務書類の作成を行い、経済的に効率的な事業となるよう努めます。 5-2 災害廃棄物対策 (ア)災害廃棄物処理計画に基づく平時の備え 地震や風水害等の自然災害が発生した際には、一時に大量の廃棄物が発生するため、市災害廃棄物処理計画に基づき、がれき等の災害廃棄物を迅速かつ適正に処理し、市民の生活環境の保全及び公衆衛生の維持を行うとともに、早期の復旧・復興を目指します。 また、発災に備え、平時より他市町村、県、民間業者等との協力体制を構築していくほか、仮置場候補地を定期的に見直します。また、市民等に災害廃棄物の処理について啓発・広報を行います。 5-3 不法投棄対策・不適正処理対策 (ア)不法投棄パトロールの実施、不法投棄厳禁看板の配布 不法投棄は、地域の景観、良好な地域環境を損ない、周囲に悪影響を及ぼすものです。不法投棄を未然に防止するため、不法投棄が重大な犯罪であることについて周知徹底を図るとともに、不法投棄監視パトロールの実施、不法投棄厳禁看板の配布を継続し、地域住民、事業者とも協力しながら投棄されにくい環境づくりを進めます。 (イ)環境美化活動の実施 市内一斉清掃を実施し、市内の環境美化に努めます。 第5節 施策の推進計画 【施策の推進計画の方向性】 各施策を適正に推進し、本計画をより実効性のあるものとするため、進捗状況の管理を行います。 計画の数値目標については、年度毎に実態把握を行い、達成状況の確認を行います。実態の動向を見極めながら、施策の効果を検証するとともに、検証結果を踏まえ、目標が達成されるよう必要な施策展開を柔軟に行います。 本計画で検討、実施するとした施策については、優先度を考慮しつつ、年次スケジュールを作成し、毎年度の状況と翌年度以降に向けた課題の把握に努めます。 また、現状を分析し、課題を抽出することにより、今後の施策についての取り組み方を検討します。重点施策の進捗状況や本計画で検討するとした施策の進捗状況、目標達成状況は、毎年、つくば市一般廃棄物減量等推進審議会に報告し、実施状況をPDCAサイクルにより、継続的に点検、評価、見直しを行います。 第3編 食品ロス削減推進計画 第1章 計画策定の趣旨 第1節 計画策定の目的 我が国では、まだ食べることができる食品が生産、製造、販売、消費等の各段階において、日常的に廃棄され、大量の食品ロスが発生しています。食品ロス発生量の推移を図3-1に示します。令和4年度(2022年度)では、全国で472万tの食品ロスが発生しています。 食品ロスに関しては、平成27年(2015年)9月に国際連合で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で定められている「持続可能な開発目標」(SDGs)の1つに「持続可能な生産消費形態を確保する」ことが掲げられ、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」ことがターゲットとなるなど、食品ロス削減は、国際的にも重要な課題となっています。 国内では、「食品リサイクル法に基づく基本方針」(令和元年(2019年)7月公表)において、家庭系及び事業系の食品ロスを令和12年度(2030年度)までに平成12年度(2000年度)比で半減するとの目標が定められています。なお、令和4年度(2022年度)時点で半減目標は達成できていますが、中長期的な推移の注視が必要とされています。 また、食品ロス削減推進法に基づき令和2年(2020年)3月に閣議決定された「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」では、地域における食品ロス削減の取り組みを推進していくために、市町村は食品ロス削減推進計画を策定することが求められています。 茨城県が策定した「第5次茨城県廃棄物処理計画」では、廃棄物の減量化を促進する観点から県が取り組むべき食品ロス削減対策を網羅的に定めています。 このような流れを受け、本市においても食品ロス削減の取り組みを総合的かつ計画的に進めるために、食品ロス削減推進計画を策定します。 図3-1 食品ロス発生量の推移 第2節 食品ロスとは 食品ロスとは、食品廃棄物から不可食部(=「調理くず」(野菜・果物の皮、肉・魚の骨など))を除いた、本来食べられるにもかかわらず捨てられる食品のことであり、発生要因ごとに「直接廃棄(手付かず食品)」、「過剰除去」、「食べ残し」の3つに分類されます。食品ロスの対象を図3-2に示します。 図3-2 食品ロスの対象 食品ロスには、家庭から生じる食品ロスと事業活動から生じる食品ロスがあります。事業活動から生じる食品ロスは、主に食品関連事業者(食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業(飲食店宿泊業・飲食店、宿泊施設等))から発生し、「事業系一般廃棄物に区分される食品ロス」と食品製造等の特定の事業活動に伴う「産業廃棄物に区分される食品ロス」があります。 本計画で対象とする食品ロスは、「家庭から生じる食品ロス(家庭系食品ロス)」と「事業系一般廃棄物に区分される食品ロス(事業系食品ロス)」とします。 第2章 食品ロスの現状 第1節 燃やせるごみ組成分析調査に基づく食品ロスの割合 本市は、令和6年度(2024年度)に、本市内の生活系燃やせるごみ及び事業系燃やせるごみを対象にごみ組成分析調査を実施しました。当該調査では、燃やせるごみのうち、厨芥類に含まれる「食品ロス」(直接廃棄、過剰除去、食べ残し)についても分析調査を行いました。結果を以下に示します。 1.家庭系食品ロス @燃やせるごみに占める厨芥類の割合(前回調査との比較) 生活系燃やせるごみの組成調査結果について、令和元年度(2019年度)に実施した結果と令和6年度(2024年度)に実施した結果の比較を図3-3に示します。 生活系燃やせるごみにおける厨芥類の割合は、令和元年度(2019年度)が約32%であるのに対し、令和6年度(2024年度)は約29%となっており、若干少なくなっています。 図3-3 生活系燃やせるごみの組成割合(前回調査との比較) A燃やせるごみに含まれる食品ロスの割合 生活系燃やせるごみに含まれる「食品ロス」の割合を図3-4に示します。 市全体では、燃やせるごみに含まれる「食品ロス」の割合は、重量比で全体の13.3%を占め、うち直接廃棄5.3%、食べ残し5.3%、過剰除去2.7%となっています。 地区別では、東地区及び西地区において、燃やせるごみに含まれる食品ロスの割合が15%を超え、都市部において食品ロスが多く発生している傾向となっています。 図3-4 生活系燃やせるごみにおける食品ロスの割合 B厨芥類における食品ロスの割合 厨芥類における「食品ロス」の割合を図3-5に示します。 市全体では、厨芥類における「食品ロス」の割合は、重量比で46.4%を占め、うち直接廃棄18.7%、食べ残し18.4%、過剰除去9.3%となっています。 図3-5 厨芥類における食品ロスの割合(生活系燃やせるごみ) C食品ロスの割合 家庭系食品ロスの各項目の割合を図3-6に示します。 市全体では、直接廃棄44.9%(100%残存:33.2%、50%以上残存:6.6%、50%未満残存:5.1%)、食べ残し37.9%で、重量比で全体の約8割を占めています。 地区で比較すると、北地区では、「直接廃棄」、特に手付かずに廃棄された100%残存の割合が最も高くなっています。一方、南地区では、「食べ残し」の割合が最も高くなっています。東地区及び西地区では、「過剰除去」の割合が比較的高くなっています。 図3-6 家庭系食品ロスの割合 D直接廃棄されたものの消費・賞味期限 家庭系食品ロスの直接廃棄(100%残存)における消費・賞味期限の状況を図3-7、直接廃棄全体(100%残存、50%以上残存、50%未満残存)における消費・賞味期限の状況を図3-8に示します。 直接廃棄(100%残存)における消費・賞味期限については、4地区とも表示なしが最も多く、表示があるものについては、消費期限、賞味期限ともに期限切れのものが、期限内のものより多くなっています。 直接廃棄全体の消費・賞味期限についても、直接廃棄(100%残存)と同様の傾向となっています。 図3-7 直接廃棄(100%残存)における消費・賞味期限の状況(家庭系食品ロス) 図3-8 直接廃棄全体(100%残存、50%以上残存、50%未満残存)における消費・賞味期限の状況(家庭系食品ロス) 2.事業系食品ロス @燃やせるごみに占める食品ロスの割合(前回調査との比較) 事業系燃やせるごみの全体組成調査結果について、令和元年度(2019年度)に実施した結果と令和6年度(2024年度)に実施した結果の比較を図3-9に示します。 事業系燃やせるごみにおける厨芥類の割合は、令和元年度(2019年度)、令和6年度(2024年度)ともに約24%で、ほぼ同じ割合となっています。 図3-9 事業系燃やせるごみの組成割合(前回調査との比較) A燃やせるごみにおける食品ロスの割合 業種別の事業系燃やせるごみにおける「食品ロス」の割合を図3-10に示します。 事業系燃やせるごみにおける食品ロスの割合は、宿泊業・飲食店で30.2%と最も多く、次いで販売店21.7%、医療・福祉施設17.5%となっています。学術研究・学校教育施設及びオフィスでは6%前後となっており、食品ロスの発生は限定的となっています。対象事業所を無作為に抽出した事業系一般では、8.1%となっています。 図3-10 事業系燃やせるごみにおける食品ロスの割合 B厨芥類における食品ロスの割合 事業系燃やせるごみにおける食品ロスの割合が多かった販売店、宿泊業・飲食店及び事業系一般の厨芥類における「食品ロス」の割合を図3-11に示します。 販売店では、厨芥類における「食品ロス」の割合は72.5%で、このうち直接廃棄45.1%が最も多く、次いで食べ残し21.3%となっています。一方、宿泊業・飲食店では、厨芥類における「食品ロス」の割合は60.9%で、このうち食べ残し42.6%が最も多く、次いで過剰除去12.3%となっています。事業系一般(事業所を無作為抽出)では、食品廃棄物(調理くず)が66.1%を占め、厨芥類における「食品ロス」の割合は33.9%となっています。 図3-11 厨芥類における食品ロスの割合(事業系燃やせるごみ) C食品ロスの割合 販売店、宿泊業・飲食店及び事業系一般における「食品ロス」の各項目の割合を図3-12に示します。 販売店では、「直接廃棄」、特に、手付かずに廃棄された100%残存の割合が最も高くなっています。一方、宿泊業・飲食店では、「食べ残し」の割合が最も高くなっています。事業系一般では、直接廃棄、食べ残し、過剰除去が各々約30〜36%とほぼ同じ割合となっています。 図3-12 事業系食品ロスの割合 D直接廃棄されたものの消費・賞味期限 販売店、宿泊業・飲食店及び事業系一般における事業系食品ロスの直接廃棄(100%残存)における消費・賞味期限の状況を図3-13、直接廃棄全体(100%残存、50%以上残存、50%未満残存)における消費・賞味期限の状況を図3-14に示します。 直接廃棄(100%残存)における消費・賞味期限については、販売店は「消費期限・期限切れ」のもの、宿泊業・飲食店は「賞味期限・期限切れ」のものが最も多くなっています。事業系一般では、表示なしが最も多くなっています。 直接廃棄全体の消費・賞味期限についても、直接廃棄(100%残存)と同様の傾向となっています。 図3-13 直接廃棄(100%残存)における消費・賞味期限の状況(事業系食品ロス) 図3-14 直接廃棄全体(100%残存、50%以上残存、50%未満残存)における消費・賞味期限の状況(事業系食品ロス) 第2節 食品ロス発生量 1.家庭系食品ロス量 (1)推計方法 家庭系食品ロス量は、各年度の生活系燃やせるごみ排出量に、令和6年度(2024年度)に実施した生活系燃やせるごみの組成分析調査結果に基づく、生活系燃やせるごみ排出量に占める食品ロス量の割合(13.25%)(表3-1)を乗じて、推計しました。 推計式を以下に示します。 【推計式】 家庭系食品ロス量(t/年) =各年度の生活系燃やせるごみ排出量(t/年) ×生活系燃やせるごみ排出量に占める食品ロス量の割合(13.25%) 表3-1 生活系燃やせるごみ排出量に占める食品ロス量の割合 (2)推計結果 家庭系食品ロス量の推計結果を表3-2及び図3-15に示します。 令和5年度(2023年度)の家庭系食品ロス量は6,030t/年と推計され、生活系燃やせるごみ排出量の減量に伴い、令和2年度(2020年度)に対して約300t減少しています。 表3-2 家庭系食品ロス量の推計結果 図3-15 家庭系食品ロス量の推移 2.事業系食品ロス量 (1)推計方法 事業系食品ロス量は、各年度の事業系燃やせるごみ排出量1日当たりの事業系燃やせるごみ排出量に、令和6年度(2024年度)に実施した事業系燃やせるごみの組成分析調査結果(事業系一般)に基づく、事業系燃やせるごみ排出量に占める食品ロス量の割合(8.15%)(表3-3)を乗じ、それに各年度の年間日数を乗じて、推計しました。 推計式を以下に示します。 【推計式】 事業系食品ロス量(t/年) =各年度の事業系燃やせるごみ排出量(t/年) ×事業系燃やせるごみ排出量に占める食品ロス量の割合(8.15%) 表3-3 事業系燃やせるごみ排出量に占める食品ロス量の割合 (2)推計結果 事業系食品ロス量の推移を表3-4及び図3-16に示します。 令和5年度(2023年度)の事業系食品ロス量は1,803t/年と推計され、令和2年度(2020年度)以降おおむね横ばいで推移しています。 表3-4 事業系食品ロス量の推計結果 図3-16 事業系食品ロス量の推移 第3節 食品ロス削減の実施状況(アンケート調査結果) 本計画の策定にあたり、令和6年(2024年)6月に、市民及び事業者を対象にアンケート調査を実施しました。食品ロスに関連する事項の概要を以下に示します。なお、事業者アンケートの対象は、宿泊業・飲食店や食品を扱う小売業等の事業所です。 1.家庭系食品ロス (1)家庭における食品ロスの発生要因 家庭において食品ロスが発生した要因を図3-17に示します。 「買ったことを忘れたまま、賞味(消費)期限が切れてしまった」ためが最も多く、次いで「安売りや大袋サイズなどで大量に買ってしまい、食べきれなかった」が多くなっています。 図3-17 家庭における食品ロスの発生要因 (2)家庭における食品ロス削減に向けた取り組み状況 家庭における食品ロス削減に向けた取り組み状況を図3-18に示します。 回答者の85.3%が家庭において「普段食品ロスを減らすために何か心掛けている」と回答しており、多くの市民が家庭において食品ロス削減を実践しています。取り組み内容としては、「買い物に行く前に冷蔵庫の中身を確認している」が最も多くなっています。 図3-18 家庭における食品ロス削減に向けた取り組み状況 2.事業系食品ロス (1)事業所における食品ロスの発生要因 事業所において食品ロスが発生した要因を図3-19に示します。 「お客さんの食べ残し」が最も多く、次いで「食材の販売期限・消費期限切れ」、「売れ残り・仕入れた食材の余り」が多くなっています。 図3-19 事業所における食品ロスの発生要因 (2)事業所における食品ロス削減に向けた取り組み状況 事業所における食品ロス削減に向けた取り組み状況を表3-5に示します。 取り組み内容としては、「調理ロスの削減」が最も多く、次いで「売り切りの実施」、「需要予測の精度向上」となっています。 表3-5 事業所における食品ロス削減に向けた取り組み状況 第3章 食品ロスの課題 食品ロスの現状を踏まえた本市における食品ロスの課題は以下のとおりです。 1.家庭系食品ロス ●本市における家庭系食品ロス量は、令和5年度(2023年度)で6,034t/年と推計され、燃やせるごみ排出量の約13%を占めています。特に、都市部(東地区、西地区)において食品ロス発生割合が多い傾向にあり、周辺部(北地区、南地区)の約2倍となっています。家庭系の食品ロス削減は、都市部を中心に、計画的な買い物・管理・使いきり等の啓発に取り組む必要があります。 ●家庭系食品ロスのうち、「直接廃棄」と「食べ残し」が全体の約8割を占め、「直接廃棄」については、手付かずで廃棄された100%残存の割合が最も高く、その多くは消費・賞味期限切れのものとなっています。 ●市民の約85%が家庭において食品ロス削減を心掛けて取り組んでいますが、「賞味(消費)期限が切れてしまった」、「大量に買ってしまい、食べきれなかった」等を理由に、食品ロスが発生している状況にあります。 2.事業系食品ロス ●本市における事業系食品ロス量は、令和5年度(2023年度)で1,803t/年と推計され、事業系燃やせるごみ排出量の約8%を占めています。 ●業種によって食品ロスの発生割合は大きく異なっており、特に宿泊業・飲食店及び販売店で食品ロスの発生割合が多くなっています。また、宿泊業・飲食店では食べ残しが多く、販売店では直接廃棄が多いなど、業種によって食品ロスの発生要因も異なります。 ●一部の事業所では、調理ロスの削減等、食品ロス削減に向けて取り組んでいますが、限定的となっています。業種に応じた具体的な食品ロス削減の取り組み事例の紹介や啓発等を推進する必要があります。 第4章 食品ロス削減推進計画 第1節 基本方針 食品ロスの削減は、ごみ処理基本計画と共通の基本理念「資源循環から持続可能な社会をめざすまち」のもと、食品ロス削減に対する市民及び事業者の意識を高め、さらには具体的な行動につなげていくことで、食品ロスの発生抑制と減量化を図ります。 食品ロス削減推進計画における基本方針は、以下のとおりとします。 【基本方針】 基本方針 内容 食品ロスの発生抑制・減量化の推進 食品ロス削減に対する市民及び事業者の意識を高め、家庭及び事業所からの食品ロスの発生抑制と減量化を図ります。 第2節 関連法令、計画 1.食品ロス削減推進のための関連法令 (1)食品リサイクル法及び食品リサイクル法に基づく基本方針 「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(以下「食品リサイクル法」という。)は、平成13年(2001年)5月に制定され、食品廃棄物について発生抑制と減量化により最終的に処分される量を減少させるとともに、飼料や肥料などの原材料として再生利用するため、食品関連事業者(製造、流通、外食など)による食品循環資源の再生利用などを促進しています。 食品リサイクル法に基づく基本方針は、食品循環資源の再生利用等を総合的かつ計画的に推進するため、概ね5年ごとに国が策定しているもので、令和6年(2024年)2月に新たな基本方針が公布されました。この基本方針における食品循環資源の再生利用等を実施すべき量に関する目標を表3-6に示します。 表3-6 食品リサイクル法に基づく基本方針の数値目標 (2)食品ロス削減推進法及び食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針 食品ロス削減推進法は、食品ロスの削減に関し、国、地方公共団体等の責務等を明らかにするとともに、基本方針の策定、その他食品ロスの削減に関する施策の基本となる事項を定めること等により、食品ロスの削減を総合的に推進することを目的に、令和元年(2019年)10月に施行されました。当該法第13条において、市町村は、基本方針及び都道府県食品ロス削減推進計画を踏まえ、市町村食品ロス削減推進計画を定めるよう努めなければならないものとされています。 「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」は、食品ロス削減推進法第11条の規定に基づき、食品ロスの削減の推進の意義及び基本的な方向、推進の内容、その他食品ロスの削減の推進に関する重要事項を定めるもので、令和2年(2020年)3月に閣議決定されました。この方針の食品ロスの数値目標を表3-7に示します。 表3-7 食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針の数値目標 2.国の関連計画 (1)第五次循環型社会形成推進基本計画 第五次循環型社会形成推進基本計画は、循環型社会形成推進基本法第15条に基づき、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために定められるものです。 第五次循環型社会形成推進基本計画では、「資源循環のための事業者間連携によるライフサイクル全体での徹底的な資源循環に関する指標」のうち、「素材等別のライフサイクル全体における資源循環状況」を把握するために、入口側の循環利用率、出口側の循環利用率、最終処分量を指標として定めています。一方、計画のフォローアップに当たっては、今後数年で特に取り組みの進展が望まれる品目・取り組み内容や、循環経済工程表等で設定された品目・取り組み内容・目標についても併せて個別に進捗を把握することとし、「食品ロス量半減」がその例として挙げられています。 3.茨城県の関連計画 (1)第5次茨城県廃棄物処理計画 第5次茨城県廃棄物処理計画は、令和3年度(2021年度)から令和7年度(2025年度)を計画期間とした、県内の廃棄物の減量その他適正処理に関する法定計画です。 廃棄物の減量化を促進する観点から、県が取り組むべき食品ロス削減対策を「食品ロス削減推進計画に関する事項」として網羅的に定めています。 なお、県域での食品ロス量を効率的に把握できる状況に無いことから、茨城県における食品ロス削減に関する目標とすべき指標については、廃棄物処理計画に掲げる排出側の指標である「ごみ排出量」及び「産業廃棄物排出量」を目標としています。 4.本市の関連計画 (1)第2期つくば市戦略プラン 第2期つくば市戦略プランは、令和2年度(2020年度)から令和6年度(2024年度)を計画期間とした、本市の全分野のまちづくりの指針となる「つくば市未来構想」の実現に向け、特に重点的に取り組む施策や取り組みをまとめた計画です。第3期つくば市戦略プランにおいても食品ロス削減を推進していきます。 (2)第3次つくば市環境基本計画 第3次つくば市環境基本計画は、令和2年(2020年)4月から令和12年(2030年)3月までを計画期間とした、「つくば市未来構想」を環境面から具体化するものであり、つくば市の環境に関する計画の中で最も上位の計画です。 当該計画では、基本目標3「資源を賢く使う循環型社会に近づく」のもと、施策の柱の一つである「3Rの推進」において、食品ロスの削減を位置付けています。評価指標となる数値目標には、市民1人当たりのごみ排出量やリサイクル率が掲げられていますが、食品ロス削減に関する数値目標は定めていません。 (3)つくば市地球温暖化対策実行計画(区域施策編) つくば市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)は、令和2年度(2020年度)から令和7年度(2025年度)を計画期間とした、地球温暖化の主な要因とされる温室効果ガスの削減と、猛暑や洪水等の気候変動に対して、どのように取り組むべきかを示した計画です。 つくば市の将来像に基づく柱の一つに「高い環境意識をもち、持続可能なライフスタイルが確立しているまち」を掲げ、「持続可能なライフスタイルの推進」の取り組みにおいて、地元産農作物の積極的な消費や家庭や事業所からの食品廃棄の減量化を進める「地産地消の推進と食品廃棄の減量化」を施策として位置付けています。食品ロス削減に関する数値目標は定めていません。 (4)気候市民会議提言ロードマップ 気候市民会議提言ロードマップとは、令和5年度(2023年度)に開催された「気候市民会議つくば2023」で採択され、提言書として提出された74の提言を実現するために、令和6年(2024年)10月に策定したロードマップのことです。提言のうち、食品ロスに関連する提言は表3-8のとおりです。 表3-8 気候市民会議提言ロードマップの提言(抜粋) 第3節 数値目標 食品ロス削減推進計画における数値目標は、国や本市の関連計画で掲げられた指標を踏まえ、以下のとおり定めます。 1.食品ロス量 国の指針(食品リサイクル法に基づく基本方針)では、平成12年度(2000年度)に対して令和12年度(2030年度)に食品ロスの排出量を半減させることを目標としています。 本市の計画目標年度(令和11年度(2029年度))の将来人口予測は272,027人で、平成12年度(2000年度)の人口に対し、約9万人増加することが予想されています。また、人口増加に伴い、ごみ処理基本計画の数値目標を達成した場合においても、計画目標年度(令和11年度(2029年度))の食品ロスを含む燃やせるごみの排出量は、平成12年度(2000年度)に対し、約3,000t増加することが想定されます。国の目標を踏襲して、平成12年度(2000年度)に対して令和12年度(2030年度)に食品ロスの排出量を半減させることを目標として設定した場合、令和5年度の実績値(推計)7,833tに対し、令和11年度(2029年度)は4,006tと、約3,800tの食品ロス減量を進めなければならなくなり、達成が困難です。 そのため、本市の人口動態等を考慮し、食品ロス量を半減させるのではなく、平成12年度(2000年度)の1人1日当たりの家庭系食品ロス量及び1日当たりの事業系食品ロス量に対して、令和12年度(2030年度)にそれぞれ半減させることを目標とします。 食品ロス量の実績値(推計)及び将来推移を表3-9及び図3-20に、計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値を表3-10に示します。 表3-9 食品ロス量の実績値(推計)及び将来推移 図3-20 目標達成時の食品ロス量の推移 表3-10 食品ロス量の目標値 計画目標年度:令和11年度(2029年度) 5,142t/年 2.食品ロス削減に取り組んでいる市民の割合 国の「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」では、食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合を80%以上にすることを目標としています。 本市における食品ロスに取り組んでいる市民の割合は、令和6年度(2024年度)で85%となっています。計画目標年次(令和11年度(2029年度))は、これを90%以上とすることを目指します。 表3-11 食品ロス削減に取り組む市民の割合及び目標値 第4節 施策の方向性 食品ロス削減推進計画の施策体系図を図3-21に示します。 図3-21 食品ロス削減推進計画の施策体系図 1.家庭系食品ロス 1-1 食品ロス削減に係る情報発信 市ホームページでは、食品ロスの現状や削減による効果、本市の取り組みのほか、市民が日常生活において食品ロスを減らすための行動等について掲載しています。今後も、市ホームページのほか、市SNS、市広報紙、「3Rニュース」、ごみ分別アプリ「さんあ〜る」等を通じて、市民に対し、食品ロス削減に係る情報発信を積極的に進めます。 1-2 「3きり運動」の推進 生活系燃やせるごみの約30%を生ごみが占めており、生ごみ削減の取り組みとして、1.買った食材を「使いきり」、2.食べ残しをしない「食べきり」、3.生ごみを出す前にもうひとしぼりする「水きり」の「3きり運動」を推奨し、生ごみ減量に向けた意識の向上を推進します。 1-3 「食べきり運動」の普及・啓発(気候市民会議提言関連) 茨城県では、「おいしく、残さず食べよう!!」を合い言葉に、料理の食べ残しなど捨てられてしまう「食品ロス」の削減に協力いただける宿泊業・飲食店や宿泊施設を「いばらき食べきり協力店」として登録しています。「いばらき食べきり協力店」への登録を推進し、取り組みを市民に広く周知していきます。 また、本市は「全国おいしい食べきりネットワーク協議会」に加入しており、「食べきり運動」の普及・啓発等に引き続き取り組むとともに、他自治体等の食品ロス削減に関する取り組みや成果の情報共有により、本市により有効な施策の検討を行います。 1-4 環境に配慮した調理方法の推進 使わずに捨ててしまう食材を生かした、生ごみの排出が少なくなるような調理方法など、家庭で実践できるごみの減量方法について情報提供を行い、家庭での取り組みを促進します。 1-5 消費期限・賞味期限の認識の向上 食品の購入に当たっては、消費期限・賞味期限に関する正しい理解を深め、適量の購入等により食品ロスの削減に資する購買行動を実施するよう広報していきます。 1-6 「30・10(さんまる・いちまる)運動」の推進(気候市民会議提言関連) 「30・10(さんまる・いちまる)運動」は、宴会時の食べ残しを減らすためのキャンペーンのことで、開宴後30分と閉宴前10分は食事を楽しむ時間として、普及啓発を図ります。 1-7 フードバンク・フードドライブの推進 フードバンクとは、「食料銀行」を意味する社会福祉活動で、まだ食べられるのに、さまざまな理由で処分されてしまう食品を、必要としている施設や人に届ける団体や活動のことです。 本市では、フードドライブキャンペーンを実施したり、NPO法人フードバンク茨城と連携して公共施設に「きずなBOX」(食品収集箱)を設置しています。引き続き、実施可能な取り組みみを確認するとともに、フードバンク・フードドライブについて周知し、未利用食品等の提供等の協力を促します。 2.事業系食品ロス 2-1 事業系食品ロス削減に係る情報発信 市ホームページで、事業者に対して食品ロスの現状や削減による効果、食品ロスを減らすための行動等について掲載し、食品ロス削減に係る情報発信を積極的に進めます。 2-2 事業系食品ロスの実態把握(気候市民会議提言関連) 宿泊業・飲食店、食品販売店等、各業種から発生する事業系食品ロスについて、引き続き実態把握に努めるとともに、食品ロスに取り組む事業者への支援の方法を検討します。 2-3 多量排出事業者への指導 食品廃棄物を多量に排出する事業者には、事業所訪問による排出状況の確認、つくばサステナスクエアでの搬入検査等を実施し、食品廃棄物の減量や再生利用について助言や指導を行います。 2-4 優良事業者の取組の紹介、評価・表彰制度の検討(気候市民会議提言関連) 店頭回収を実施している事業者や家庭系ごみの資源化に協力している事業者、量り売りや過剰包装の抑制を実施している事業者等を優良事業者として認定する制度を設け、市として広報することにより、活動を推進します。(再掲:ごみ処理基本計画 施策1-2-1(カ)) 2-5 公共施設等における食品廃棄物の減量化・資源化の推進(気候市民会議提言関連) 学校の給食は、食品廃棄物を継続的に発生させている主体の一つであり、食品ロス削減等の取り組みについての教育を推進し、地産地消や規格外の農産物の活用を促進します。また、調理くずや食べ残しなどの食品残渣について、減量化を図るとともに資源化について調査研究を行います。 第5節 施策の推進計画 【施策の推進計画の方向性】 各施策を適正に推進し、本計画をより実効性のあるものとするため、進捗状況の管理を行います。 計画の数値目標については、年度毎に実態把握を行い、達成状況の確認を行います。実態の動向を見極めながら、施策の効果を検証するとともに、検証結果を踏まえ、目標が達成されるよう、必要な施策展開を柔軟に行います。 本計画で検討、実施するとした施策については、優先度を考慮しつつ、年次スケジュールを作成し、毎年度の状況と翌年度以降に向けた課題の把握に努めます。 また、現状を分析し、課題を抽出することにより、今後の施策についての取り組み方を検討します。重点施策の進捗状況や本計画で検討するとした施策の進捗状況、目標達成状況は、毎年、つくば市一般廃棄物減量等推進審議会に報告し、実施状況をPDCAサイクルにより、継続的に点検、評価、見直しを行います。 第4編 生活排水処理基本計画 第1章 生活排水処理の現状 第1節 生活排水処理の現状 1.生活排水の処理フロー 本市における生活排水の処理フローは、図4-1に示すとおりです。 公共下水道へ接続している一般家庭及び事業所から発生したし尿及び生活雑排水は、公共下水道に送り、終末処理場において処理されています。単独・合併処理浄化槽から発生したし尿は、各浄化槽で処理後、浄化槽汚泥はし尿処理施設へ搬入され、処理を行っています。 汲み取り便槽から発生したし尿は、し尿処理施設へ搬入され処理した後、公共下水道に送り、終末処理場において処理されています。 図4-1 生活排水の処理フロー 2.生活排水の処理主体 生活排水処理施設別の処理主体を表4-1に示します。 公共下水道及びし尿処理施設は本市が、合併処理浄化槽及び単独処理浄化槽は、浄化槽管理者である個人等が処理主体となっています。 表4-1 生活排水の処理主体 3.処理形態別人口 処理形態別人口の推移は、図4-2、表4-2に示すとおりです。 公共下水道水洗化人口及び合併処理浄化槽人口は増加傾向にあり、単独処理浄化槽人口及びし尿汲み取り人口は減少傾向にあります。 令和5年度(2023年度)末時点の計画処理区域内人口(行政区域内人口)は254,949人で、そのうち、239,038人が生活排水を公共下水道または合併処理浄化槽により適正に処理しています。これにより生活排水処理率は93.8%※となっています。 ※生活排水処理率=(公共下水道水洗化人口+合併処理浄化槽人口)÷計画処理区域内人口×100 =(210,955人+28,083人)÷254,949人×100=93.8% 図4-2 処理形態別人口の推移 表4-2 処理形態別人口の推移 4.生活排水処理施設 (1)下水道 下水道には、主に流域下水道、市単独の公共下水道及び特定環境保全公共下水道があり、生活環境の改善、河川・湖沼の水質保全等、快適な生活環境の確保のために必要不可欠な施設です。 本市の下水道は、自前の処理施設を持たない流域下水道方式であり、集めた汚水(分流式)は、茨城県が整備した「霞ケ浦常南流域下水道」と「小貝川東部流域下水道」の流域幹線に接続し、各処理場で浄化され、利根川(霞ケ浦常南)、小貝川(小貝川東部)に放流しています。本市では、平成25年度(2013年度)に「つくば市公共下水道全体計画」を策定し、計画に基づいた管渠等の整備が進められています。 令和5年度(2023年度)における下水道整備状況を表4-3に示します。令和5年度(2023年度)の水洗化率(下水道への接続率)は、平成30年度(2018年度)に対して0.6%増加しています。 表4-3 下水道整備状況 (2)合併処理浄化槽 公共下水道事業認可区域外においては、河川・湖沼の水質汚濁を防止するため、合併処理浄化槽の普及を促進しています。本市の合併処理浄化槽人口普及率は、平成30年度(2018年度)の約12%に対し、令和5年度(2023年度)は約11%となり、微減しています。 (3)単独処理浄化槽 単独処理浄化槽については、浄化槽法の改正(平成13年(2001年)4月1日施行)により浄化槽の定義から削除されたため、以降新設する浄化槽としては合併処理浄化槽の設置が原則として義務付けられています。ただし、維持管理などについては従来の規制を継続する必要があることから、既設単独処理浄化槽については、浄化槽法上の浄化槽とみなすことになっています。既設単独処理浄化槽を使用する者は、原則として合併処理浄化槽への設置替えまたは構造変更に努めなければならないとされています。また、浄化槽(合併処理浄化槽を含む)は、定期的な維持管理(保守点検・清掃)と定期検査(法定検査)の実施が義務付けられています。 本市の単独処理浄化槽人口は、表4-2に示すとおり、年々減少しています。 (4)農業集落排水施設 本市では、令和6年度(2024年度)時点で農業集落排水施設はなく、将来的にも同施設の整備は予定していません。 5.収集運搬 (1)収集運搬体制 し尿及び浄化槽汚泥の収集運搬は、全て許可業者により行っています。令和6年(2024年)4月時点で、許可業者は12社となっています。 (2)し尿・浄化槽汚泥処理量の実績 し尿・浄化槽汚泥処理量の推移を図4-3、表4-4に示します。 し尿の処理量は、平成30年度(2018年度)までは年々減少していましたが、以降は増減しながら推移しており、令和5年度(2023年度)は約1,600kL/年となっています。浄化槽汚泥の処理量も、増減しながら推移しており、令和5年度(2023年度)は約17,000kL/年となっています。 1人1日当たりのし尿量は、平成30年度(2018年度)まで減少傾向でしたが、以降は微増傾向にあり、令和5年度(2023年度)は0.89L/人・日となっています。1人1日当たりの浄化槽汚泥量は、令和2年度(2020年度)まで増加していましたが、以降は減少に転じて、令和5年度(2023年度)は1.19L/人・日となっています。 図4-3 し尿・浄化槽汚泥処理量の推移 表4-4 し尿・浄化槽汚泥処理量の推移 6.中間処理 本市が管理しているし尿処理施設の概要を表4-5に示します。 本市内には2ヶ所のし尿処理施設があり、それぞれの処理施設でし尿及び浄化槽汚泥を処理しています。処理水は公共下水道に放流しています。本市のし尿処理施設は、2施設あわせて120kL/日の処理能力を保有していますが、2施設とも供用開始後40年以上経過しています。適宜、処理設備等の補修を行っていますが、経年劣化による老朽化が懸念されます。 表4-5 し尿処理施設の概要 7.最終処分 し尿処理施設では、し尿等の処理に伴い、し渣や余剰汚泥が発生します。これらは脱水し、つくば市クリーンセンター(焼却施設)で焼却処理を行っています。焼却処理後の焼却残渣は、民間業者の施設で資源化又は埋立処分しています。 第2節 計画の評価 1.目標値の達成状況 本計画では、生活排水処理率を計画目標の指標として設定しています。令和2年度(2020年度)から令和5年度(2023年度)までの計画目標値の達成状況を表4-6に示します。令和5年度の計画値は91.2%、実績値は93.7%となっています。 表4-6 計画目標値の達成状況(生活排水処理率) 第2章 生活排水処理の課題 1.生活排水処理率の向上 本市の生活排水処理率は計画目標値を上回っており、公共下水道や合併処理浄化槽への転換が計画策定時に想定していた以上に進んでいるものと考えられます。 しかし、単独処理浄化槽やし尿汲み取り便槽を利用している人口も一定数存在することから、引き続き、公共下水道の整備を進めるとともに、公共下水道への接続や合併処理浄化槽への転換を促していく必要があります。 2.合併処理浄化槽及び単独処理浄化槽の適正管理 合併処理浄化槽及び単独処理浄化槽は、処理機能を十分に発揮させるために、定期的な維持管理(保守点検・清掃)と定期検査(法定検査)が必要とされています。そのため、市のホームページ等を通じて周知し、適正管理を徹底していく必要があります。 3.収集運搬計画の見直し 平成26年度(2014年度)から令和5年度(2023年度)にかけてし尿及び浄化槽汚泥の排出量は増減しながら推移しています。本市の人口増加や公共下水道への接続、合併処理浄化槽への転換により、し尿・浄化槽汚泥の排出量は今後も変動すると予測されます。これらの排出量の変化に対応した収集運搬体制を適宜検討していく必要があります。 4.し尿処理施設の搬入量減少及び老朽化 本市のし尿処理施設は、2施設あわせて120kL/日の処理能力を保有していますが、令和5年度(2023年度)のし尿・浄化槽汚泥の搬入量は約51kL/日(約18,620kL/年)で処理能力の半分以下となっています。また、2施設とも供用開始後40年以上経過しており、適宜、処理設備等の補修を行っていますが、経年劣化による老朽化が懸念されます。 今後も適正な処理を継続するために、し尿処理施設の整備方針について検討していく必要があります。 第3章 生活排水処理基本計画 第1節 計画策定にあたっての検討事項等 生活排水を適切に処理していくためには、生活排水の種類別、処理主体別に目標を定め、生活排水処理全体の整合を図りながら、地域特性に応じた生活排水処理施設を整備していくことが重要なポイントとなります。 本市では生活排水処理対策として、下水道施設の整備、合併処理浄化槽の設置などを中心に施設整備を進めています。 しかし、これらの設備を利用していない一部の家庭あるいは事業所などでは生活雑排水を未処理のまま放流しているため、公共用水域への影響が懸念されます。そのため、本市の特徴でもある豊かな自然環境を保全するために、生活環境における保全意識の高揚を図るとともに、生活排水の計画的な処理が必要です。 本市における生活排水の処理が経済的かつ効果的に実施されるよう、以下に示す項目について検討します。 @既存施設及び既存計画との整合性の検討 A地域環境保全効果の検討 B経済的要因の検討 C社会的要因の検討 D投資効果発現の迅速性の検討 1.既存施設及び既存計画との整合性の検討 本市の生活排水処理施設に関しては、今後も引き続き下水道施設の整備や接続、合併処理浄化槽への転換を推進します。 なお、公共下水道事業計画区域外の地域においては、新規に建築される住宅は全て合併処理浄化槽とするように指導し、同時に国の廃棄物処理施設整備計画等に合わせ、より一層の周知活動を通じて、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を図ります。 本計画では、諸計画との整合性に留意しますが、個々の既存計画の持つ特性や計画策定年次が異なり、それぞれ計画条件に相違が見られることから、庁内の関係部局と調整のうえ、現段階において最も適切と思われる計画条件を採用します。なお、「つくば市環境基本計画」及び「つくば市都市計画マスタープラン」では、下水道整備とともに合併処理浄化槽の普及推進が盛り込まれています。 また、現在、し尿及び浄化槽汚泥は、2つのし尿処理施設で処理していますが、将来的にはし尿及び浄化槽汚泥量が変動することも想定されることから、これらのことも勘案しながら次期し尿処理施設の在り方について検討します。 2.地域環境保全効果の検討 生活排水が公共用水域に与える影響は、河川の自流量や自然浄化能力等によっても左右されますが、処理施設の種類も大きく関係します。 地域環境保全の観点から、公共下水道区域以外の地域においては、合併処理浄化槽の設置を促進します。 3.経済的要因の検討 本市では、公共下水道及び合併処理浄化槽の整備による生活排水の処理を推進しています。 原則として個別処理の場合は合併処理浄化槽の設置を推進していくこととなりますが、集合処理の場合には、対象となる地域の地理的条件や人口密集度によって各処理施設の利害損失に相違が生じる可能性があります。そのため、本市の財政状況を考慮しつつ、建設費、交付金制度の交付率、交付対象範囲、起債充当率、起債償還のための財政負担、交付税措置の状況等を検討した上で、最適な処理施設を選定します。 基本的には、処理施設ごとに以下のように方針を定めるものとします。 ○合併処理浄化槽については、従来どおり設置の促進を図る。 ○下水道については「公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」の適用等により事業を推進する。 4.社会的要因の検討 生活排水処理施設の整備にあたっては、市民の合意形成が不可欠です。 合意形成を図るためには、水質汚濁の進行状況や生活排水対策の重要性、合併処理浄化槽の助成制度等に関する情報の積極的な提供が必要です。 その他、社会的要因については、具体的に次のような事項について検討します。 ○社会的な要因について 1.歴史的な背景からみた水との係わり 2.市民参加型地区または公共主導型地区 3.市民定着型または非定着型 4.区会等の市民参加活動と将来の動向 5.ごみ問題等他の類似の市民活動を支える基盤の有無 6.人口増加地区または人口減少地区 ○地域市民の意向について 1.水洗化に対する要望 2.水質改善(保全)についての要望・苦情等 3.過去から現在までの水質汚濁の進行状況に対する意識 4.水質改善を望む重点的な地区の有無 5.生活排水の処理方式に対する意向 6.市民負担についての意向 5.投資効果発現の迅速性の検討 下水道に限らず、集合処理を行う場合には小規模な施設でも3年程度は要することから、投資効果の発現までには個別処理と比較して相当な期間が必要となります。 それに対して、合併処理浄化槽は投資効果の発現が極めて早い施設であり、今後も積極的に普及に努めます。また、公共下水道の未整備区域(下水道事業計画区域を除く)においては、高度処理型合併処理浄化槽の設置を促進します。 このように、生活排水対策の効果をできる限り早く発現させるため、生活排水対策の要望等を調査し、事業計画の検討を行います。 第2節 生活排水処理に係る基本方針 ごみ処理基本計画と共通の基本理念「資源循環から持続可能な社会をめざすまち」のもと、適正な処理を目指すものとします。 生活排水処理基本計画の基本方針は、以下のとおりとします。 生活排水処理の重要性を認識し適正に処理するために、公共下水道区域内の地域については公共下水道への接続を推進し、上記区域外の地域については合併処理浄化槽の設置を推進します。 公共下水道への接続、合併処理浄化槽の設置に当たっては、市民に対して生活排水処理対策の必要性の周知を行い、市民の協力のもと進めていくことにより、身近な生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ります。 生活排水処理対策の基本は、適正に処理を行うことであり、処理施設の適正な維持管理を行うとともに、将来にわたって安定的な生活排水処理体制の構築に向けた検討を行います。 【基本方針】 基本方針 内容 1 生活排水処理施設の整備と適正な維持管理 生活排水を処理する施設の整備及び適正な維持管理を促進します。 2 効率的な収集運搬体制の整備 下水道や浄化槽の普及に伴う処理量の変化を考慮し、効率的な収集運搬体制の整備に努めます。 3 安定処理のための施設整備 安定した処理を継続するため、今後変動するし尿・浄化槽汚泥量に対応できる施設整備に向け検討します。 4 安全かつ安定的な最終処分 適正な処理に努め、環境負荷の低減や処分コストの削減を踏まえた安全かつ安定的な処分を行います。 5 生活排水に係る啓発・情報発信 市民一人一人の生活排水に対する意識向上を図り、生活排水の発生源において対策が実施できるように広く啓発・情報発信を行います。 第3節 関連法令、計画 生活排水に関連のある主な法令・計画等は、以下のとおりです。 本計画は、廃棄物処理法に準拠する計画ですが、施策の実施に当たっては、下記の法律及び施行令、施行規則並びに関係する県、市の条例等との関連について十分に留意します。 1.関連法令 (1)環境基本法 この法律は、環境保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とします。 また、この法律は、法形式としては一般の法律と同じで、他の法律の上位ではありませんが、実質的には、その対象分野において他の法律に優位する性格を持ち、他の法律が誘導される関係となります。 なお、水質汚濁に係る環境基準は、環境基本法によって規定されています。 (2)廃棄物の処理及び清掃に関する法律 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とします。 し尿及び浄化槽汚泥は一般廃棄物となるため、収集、運搬、処理、処分にあたっては、この法律の適用を受けます。なお、本計画は、この法律の第6条の規定に基づき策定されるものです。 また、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」が平成14年(2002年)12月1日から施行され、この改正によって、産業廃棄物の明確化やし尿等の海洋投入処分の禁止及び委託契約書の保存義務の追加等が定められました。 (3)下水道法 この法律は、流域別下水道整備総合計画の策定に関する事項並びに公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置、その他管理の基準等を定めて、下水道の整備を図り、もって都市の健全な発展及び公衆衛生の向上に寄与し、合わせて公共用水域の水質の保全に資することを目的とします。 なお、下水道法には、水洗便所への改造業務等(第11条の3)も定められています。 (4)浄化槽法 この法律は、浄化槽の設置、保守点検、清掃及び製造について規制するとともに、浄化槽工事業者の登録制度及び浄化槽清掃業の許可制度を整備し、浄化槽整備士及び浄化槽管理士の資格を定めること等により、浄化槽によるし尿等の適正な処理を図り、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的とします。 浄化槽汚泥の引き抜き清掃は、浄化槽法によって浄化槽の種類ごとに回数が定められています。また、浄化槽法第3条では、下水道、し尿処理施設で処理する以外は、浄化槽で処理した後でなければ、し尿を公共用水域に放流してはならないと規定しています。 (5)都市計画法 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続き、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とします。 都市計画法第11条により、都市計画区域における都市施設として必要なものを定めるものとされており、下水道やし尿処理施設等が都市施設の対象となっています。 (6)水質汚濁防止法 この法律は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出(排出基準)及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によって、公共用水域及び地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。)の防止を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とします。 なお、し尿処理施設、下水道終末処理場、処理人員が500人を超える浄化槽は、水質汚濁防止法による特定施設に該当するため、法の適用を受けることとなります。 (7)下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理等の合理化に関する特別措置法 この法律は、下水道の整備等によりその経営の基礎となる諸条件に著しい変化を生ずることとなる一般廃棄物処理業等について、その受ける著しい影響を緩和し、併せて経営の近代化及び規模の適正化を図るための計画を策定し、その実施を推進する等の措置を講ずることにより、業務の安定を保持するとともに、廃棄物の適正な処理に資することを目的とします。 2.関連計画 (1)茨城県生活排水ベストプラン(令和5年3月第4回改定) 茨城県生活排水ベストプランは、茨城県内における各汚水処理施設の整備を一体的に推進するための整備構想です。令和5年(2023年)3月には、急激な人口減少や厳しい財政事情等といった社会情勢の変化に対応するとともに、さらなる事業の効率化を目指して第4回の改定がなされました。 当該プランにおける中期計画(目標年度:令和14年度)及び長期計画(目標年度:整備完了時)の汚水処理施設の普及率の事業種別目標のうち、県全体の目標を表4-7、本市の目標を表4-8に示します。 表4-7 整備人口と普及率の事業種別目標(県全体) 表4-8 整備人口と普及率の事業種別目標(本市) (2)流域別下水道整備総合計画(下水道法第2条の2) 流域別下水道整備総合計画は、環境基本法第16条に基づく水質環境基準の類型指定水域について、水域内の環境基準を達成・維持するための下水道整備に関する総合的な基本計画です。茨城県は、常磐海域流総、利根川流総、那珂川・久慈川流総、霞ケ浦流総の4つの流域に分かれており、それぞれ流域別下水道整備総合計画が策定されています。 茨城県内の流域図を図4-4に示します。 本市は、利根川流総と霞ケ浦流総に位置しています。 図4-4 茨城県内の流域図 第4節 数値目標 1.数値目標 本計画では、「生活排水処理率」を数値目標として定めています。計画の改定に当たっては、現行計画の数値目標の達成状況、関連法令・計画等を踏まえて精査し、必要に応じて新たな数値目標を設定します。数値目標の設定の考え方及び改定後における数値目標を以下に示します。 (1)計画目標の達成状況 生活排水処理率は、年々向上しており、計画目標年度(令和11年度(2029年度))には、計画目標値(94.4%)を達成できる見込みです。 (2)数値目標の見直し 計画目標年度には本計画の目標値を達成できる見込みであるため、新たに目標値を設定します。新たな目標値は、茨城県生活排水ベストプラン(令和5年3月第4回改定)の数値目標を踏まえて設定します。 茨城県生活排水ベストプランでは、令和14年度(2032年度)に、生活排水処理率(汚水処理人口普及率)を96.0%まで向上させることを目標としています。これを踏まえて、本市においても、引き続き生活排水処理率の向上を図り、令和14年度(2032年度)に、生活排水処理率(汚水処理人口普及率)を96.0%まで向上させることとします。計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値は、令和5年度(2023年度)の実績値(93.8%)から令和14年度(2032年度)の目標値(96.0%)まで直線補間を行い、設定しました。 計画目標年度(令和11年度(2029年度))の目標値を表4-9に示します。 表4-9 数値目標(生活排水処理率) 計画目標年度:令和11年度(2029年度) 生活排水処理率 95.2% 2.数値目標達成時の処理形態別人口及び処理量 (1)処理形態別人口 前項に示した数値目標達成時の処理形態別人口は、図4-5、表4-10に示すとおりです。 図4-5 数値目標達成時の処理形態別人口 表4-10 数値目標達成時の処理形態別人口 (2)処理量 前項に示した数値目標達成時のし尿・浄化槽汚泥の処理量の予測結果は、図4-6、表4-11に示すとおりです。 図4-6 し尿・浄化槽汚泥処理量の予測 表4-11 し尿・浄化槽汚泥処理量の予測 第5節 各主体の役割 生活排水の適正な処理に向けて、市民、事業者、本市がそれぞれの役割を理解し、主体的に取り組む必要があります。 各主体の役割を表4-12に示します。 表4-12 各主体の役割 市民及び事業者の役割 ・生活雑排水の排出抑制及び適正排出 ・公共下水道への接続 ・単独処理浄化槽及び汲み取り便槽から合併浄化槽への転換 ・浄化槽の適正な維持管理 ・事業活動に伴って発生する排水の適正排出及び適正処理 本市の役割 ・公共下水道の整備及び適正な維持管理の実施 ・し尿及び浄化槽汚泥の適正な収集運搬体制の継続 ・し尿及び浄化槽汚泥の適正な中間処理、最終処分の継続 ・生活排水に係る情報発信の継続 第6節 施策の方向性 生活排水処理系基本計画の施策体系図を図4-7に示します。 図4-7 生活排水処理基本計画の施策体系図 1.施設整備・維持管理計画 生活排水処理率を向上していくためには、引き続き、生活雑排水未処理人口から生活排水処理人口への転換を促すことが重要です。そのためには、今後も引き続き、公共下水道事業計画区域内では接続の推進、それ以外の区域においては汲み取り便槽や単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を図ります。 生活排水処理施設の整備の方向性及び施策を以下に示します。 【生活排水処理施設の整備と適正な維持管理の方向性】 生活排水を処理する施設の整備及び適正な維持管理を促進します。 1-1 下水道施設の計画的整備 本市の下水道事業は、茨城県生活排水ベストプラン(令和5年3月第4回改定)に基づき、引き続き公共下水道の整備を計画的に進めます。 1-2 合併処理浄化槽への転換の推進 霞ヶ浦や牛久沼、小貝川などの水質汚濁防止を図るため、市ホームページ等を活用して、汲み取り便槽及び単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を推進します。 本市では、高度処理型合併処理浄化槽を設置する場合、設置費用の一部を補助しています。また、単独処理浄化槽または汲み取り便槽から高度処理型合併処理浄化槽に切り替える場合、撤去費用として上乗せ補助を行っています(ただし転換の場合に限ります。)。引き続き当該制度の周知を行い、高度処理型合併処理浄化槽の整備を促進します。 1-3 浄化槽の適正管理 浄化槽は各管理者が清掃等の適正な管理を行うことによって、安定的に衛生的な処理が可能となります。浄化槽の管理者には、浄化槽法で義務付けられている保守点検・清掃・法定検査が適正に行われるよう周知を行います。 2.収集運搬計画 し尿及び浄化槽汚泥の収集運搬は、市民の衛生的で快適な生活環境を維持するうえで、なくてはならない重要な行政サービスです。収集運搬業務は、下水道や浄化槽の普及に伴う処理量の変化を勘案したうえで計画的に収集を行い、効率的な収集運搬体制の整備に努めます。 し尿等の効率的な収集運搬体制の整備の方向性及び施策を以下に示します。 【効率的な収集運搬体制の整備の方向性】 下水道や浄化槽の普及に伴う処理量の変化を考慮し、効率的な収集運搬体制の整備に努めます。 2-1 収集運搬体制の整備 し尿・浄化槽汚泥の収集運搬業務については、許可業者が行っています。し尿については非定期の収集を実施しており、浄化槽汚泥は浄化槽の清掃時に収集を行っています。 今後も、し尿及び浄化槽汚泥は、許可業者による収集運搬を継続します。その際、し尿及び浄化槽汚泥の収集予測を踏まえて、許可業者に対し、効率的な収集運搬業務を行うように指導します。 2-2 収集運搬機材の確保 し尿・浄化槽汚泥の処理量は、年々減少していくことが予測されます。 従って、収集運搬の対象となるし尿・浄化槽汚泥の処理量の動向を見極めながら、法令によって定められた浄化槽汚泥の引き抜き清掃回数を勘案し、安定的に収集運搬業務が遂行できる車両台数を確保します。 3.中間処理計画 し尿・浄化槽汚泥の中間処理は、公衆衛生の向上と水環境を保全するうえで、重要な処理工程です。一方、合併処理浄化槽による処理は、アメニティ豊かな都市環境整備には必要不可欠であり、他の生活排水処理施設とあわせて、適正な整備を図っていくことが必要です。 し尿・浄化槽汚泥の中間処理は、本市が有する2つのし尿処理施設によって行われていますが、処理量に対して過大な処理能力となっているため、変動するし尿・浄化槽汚泥量に対応した適正な中間処理設備の整備を検討していく方針とします。 また、2施設とも老朽化が顕著であるため、基幹的設備改良工事の実施や新処理施設整備を含め、効率的な処理体制の確立を目指すものとします。 し尿等の安定処理のための施設整備の方向性及び施策を以下に示します。 【安定処理のための施設整備の基本方針】 安定した処理を継続するため、今後変動するし尿・浄化槽汚泥量に対応できる施設整備に向け検討します。 3-1 安定処理のための施設整備の検討 2つのし尿処理施設は、供用開始後、40年以上が経過しており、施設耐用年数を考慮すると、施設更新を計画する時期に入っています。また、浄化槽汚泥の混入率などは、当初の設計条件から大幅に変わっています。 施設の老朽化が進行している状況にあることから、安定した処理を継続するため、適宜、補修等を行うとともに、今後のし尿等の発生量を考慮した施設整備を進めます。 施設整備については、交付金制度が利用できる「汚泥再生処理センター」への整備が考えられますが、交付金制度上の整備では、汚泥再生処理設備を前提に二次処理、三次処理の設備が必要となる可能性もあり、施設整備費が高騰することも考えられるため、市の財政事情や技術的な見地から、市単独整備も検討する必要があります。 整備については、次頁に示すとおり、市内2施設の統合を検討するとともに、新規施設整備を検討します。また、災害時の対応も念頭に置きつつ施設整備の検討を行います。 第1段階 市内2施設の統合検討 第2段階 新規施設整備の検討(施設の更新) 4.最終処分計画 し尿等の処理工程で排出されるし渣や余剰汚泥は、脱水工程を経て、本市の焼却施設(つくば市クリーンセンター)で焼却処理し、その焼却灰は資源化又は埋立処分しています。なお、本市は最終処分場を有していないため、民間事業者の最終処分場に委託処分をしています。 安全かつ安定的な最終処分の方向性及び施策を以下に示します。 【安全かつ安定的な最終処分の方向性】 適正な処理に努め、環境負荷の低減や処分コストの削減を踏まえた安全かつ安定的な処分を行います。 4-1 適正な最終処分の実施 将来における最終処分の方法は、今後も基本的には現行体制を継続することとし、し渣及び余剰汚泥は本市の焼却施設で焼却処理し、焼却灰は民間事業者へ資源化又は埋立処分を委託します。 4-2 汚泥の有効利用 現行体制を継続する一方で、汚泥そのものの有効利用方法について検討します。 中間処理後の汚泥の再生利用は、従来からの堆肥化利用のほか、下水道汚泥や家庭からの生ごみを含めたメタン発酵による発電システムの構築等バイオマス利用も選択肢として挙げられます。し尿処理施設からの余剰汚泥発生量は少ないため、効率性も加味して、引き続き有効利用方法を検討します。 5.その他 本計画の目標達成には、市民一人一人が自ら生活する周辺の側溝や水路などの身近な水環境のみならず、河川などを含めた地域全般の水環境に関心をもってもらうことが重要です。 生活排水に係る啓発・情報発信の方向性及び施策を以下に示します。 【生活排水に係る啓発・情報発信の方向性】 市民一人一人の生活排水に対する意識向上を図り、生活排水の発生源において対策が実施できるように広く啓発・情報発信を行います。 5-1 市民に対する広報・周知 市民に対し、以下に示す事項等の広報、周知を実施します。 ●市民が排出する生活排水のうち、台所や風呂場からの排水(生活雑排水)が汚濁の大きな要因となっていること。 ●身近な水路や河川の水質保全には家庭内や地域での取り組みにより、生活雑排水からの汚濁を削減することが重要であること。 ●下水道への接続や合併処理浄化槽の設置・転換に対して助成制度があること。 ●浄化槽の定期的な維持管理と定期検査が義務付けられていること。 5-2 発生源対策に係る具体的取組の啓発 生活排水の発生源である家庭において実施できる以下のような具体的な取り組みについて、市ホームページ等を活用して啓発を図ります。 ●三角コーナーには、さらに目の細かい水切り袋、ろ紙袋等をかぶせ、食物残渣等の排水中への混入を防止する。 ●廃食用油はなるべく市の回収拠点に排出するなどして資源化に努め、市の回収拠点に排出できないものについては、油固化剤で固めたり、キッチンペーパー等に吸い込ませたりするなどして、直接排水しない。 用語集 【あ行】 一般廃棄物会計基準 廃棄物処理法基本方針において、市町村の一般廃棄物処理事業の3R化を進めるため、事業に係る資産・負債のストック状況の把握、事業に係るコスト等について標準的な分析手法を定めるもの。 一般廃棄物処理実態調査 一般廃棄物行政の推進に関する基礎資料を得ることを目的として、環境省が全国の市町村等に対して毎年度行う調査のこと。調査結果は、ごみ・し尿の排出処理状況、事業経費・人員、処理施設の整備状況等について取りまとめ、公表されている。 一般廃棄物処理実施計画 一般廃棄物処理基本計画を推進するため、ごみ排出量の見込み、収集運搬から処理・処分、再資源化の方法等を年度ごとに定めた計画。 茨城県生活排水ベストプラン 生活環境の改善や公共用水域の水質保全を図るために、下水道や農業集落排水施設、合併処理浄化槽等の汚水処理施設を最も効率的(ベスト)に配置して、整備や維持管理を進めるための県構想。 エコ・ショップ 環境にやさしい商品の販売やごみ減量化・リサイクル活動に積極的に取り組んでいる小売店舗のこと。 SDGs SDGsは、Sustainable Development Goalsの略称。2015年9月の国連サミットで採択されたもので、2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、「誰一人取り残さない」を理念とし、経済、社会、環境を巡る広範囲な課題に取り組むもの。 SDGs未来都市 自治体によるSDGsの取組を推進するため、経済・社会・環境の三側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市・地域を「SDGs未来都市」として国が選出している。選出された自治体は、「自治体SDGs推進関係省庁タスクフォース」からの支援や、多様なステークホルダーとの連携等により、SDGsの達成に率先して取り組むことが期待される。本市は、令和元年(2019年)6月、茨城県で最初の「SDGs未来都市」として選定された。 温室効果ガス 大気を構成する成分のうち、温室効果をもたらすもの。主に二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類がある。 【か行】 カーボンニュートラル 温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすること。排出量を全体としてゼロとは、二酸化炭素等の温室効果ガス排出量から、森林などによる吸収量を差し引くことで、実質ゼロとすることを意味している。2020年10月に政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言している。 核家族 夫婦のみの世帯(世帯主とその配偶者のみで構成する世帯)、夫婦と未婚の子のみの世帯(夫婦と未婚の子のみで構成する世帯)、ひとり親と未婚の子のみの世帯(父親又は母親と未婚の子のみで構成する世帯)をいう。 合併処理浄化槽 汚水や生活雑排水(風呂、台所等からの汚水)を、微生物の働きなどを利用して浄化し、きれいな水にして放流するための施設。 公共下水道などが整備されていない地域で浄化槽を新たに設置する時には、原則として合併処理浄化槽の設置が義務づけられている。 家庭ごみの有料化 市民がごみの減量やリサイクルを進めるきっかけになるよう、例えばごみ袋に処理料金を上乗せする等して、ごみ量に応じたごみ処理料金を負担する制度。 管渠 水路の総称で、主に地中に埋設した水道の排水や取水管(上水管と下水管)、または地表に出ている側溝のこと。下水道の管渠は、家庭や工場などから集めた汚水を処理場まで運ぶ役割を担う。 環境基本計画 環境基本法第15条に基づき、政府全体の環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定めるもの。 環境基本法 環境に関する基本法。「公害対策基本法(昭和42年)」 と「自然環境保全法(昭和47年)」を合わせて発展させた法律。環境に関する施策の基本的な方向を示す規定で構成され、廃棄物の増大や地球温暖化、オゾン層の破壊などといった環境問題に対処し、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に進めることを目的としている。 環境白書 環境基本法第12条に基づき、環境省が毎年発行するもので、環境の状況、環境の保全に関して講じた施策及び講じようとする施策を取りまとめたもの。「循環型社会白書」、「生物多様性白書」との合冊となっている。 環境負荷 人間が環境に与える負担のこと。単独では環境への悪影響を及ぼさないが、集積することで悪影響を及ぼすものも含む。環境基本法では、環境への負荷を「人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。」としている。 乾式消石灰噴霧 排ガス処理の一種で、ごみ焼却施設から排出される排ガス中の酸性ガス(HCl、SOx)を除去するために、焼却炉から煙突までに配置された煙道に消石灰を噴霧すること。 基幹的設備改良工事 ごみ処理施設やし尿処理施設を構成する重要な設備や機器について、概ね10〜15年ごとに実施する大規模な改良事業。 気候市民会議 無作為に抽出された市民が専門家等からの情報提供を踏まえて話し合い、気候変動対策をまとめて提言する会議。欧州各国で広がり、日本国内でも札幌市、川崎市、武蔵野市、所沢市、つくば市などで開催され、広がりを見せている。 拠点回収 市役所や交流センターなどを拠点として資源物等を回収すること。 汲み取り便槽 便器下に据え付けられた便槽にし尿を貯留し、定期的に人力あるいは機械によって汲み取る形式の便所一式を指す。 好気性消化処理 し尿処理施設の一次処理設備として用いられる処理方法で、し尿等を長時間ばっ気を行うことで、酸素を必要とする微生物に有機物を二酸化炭素と水に分解させることにより浄化する処理方法。 公共下水道水洗化人口 汚水や生活雑排水(風呂、台所等からの汚水)を公共下水道に排水している人口。 高度処理型合併処理浄化槽 窒素を高度に除去ができる合併処理浄化槽のこと。本市では、高度処理型合併処理浄化槽を設置する場合、設置費用の一部を補助している。 高度リサイクル 高度なリサイクル技術の適用により、温室効果ガスの排出を削減し、より効率的かつ環境負荷の少なく再資源化を行うこと。 ごみ組成分析調査 ごみ減量や再資源化推進のための基礎データを得ることを目的に、排出されたごみを項目ごとに仕分けして、重量割合を調べる調査。リサイクルできる資源物がどの程度混入しているか分析することもできる。 コミュニティ・プラント 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に規定されたし尿処理施設の一種であり、散在性集落または既成市街地から離れて建設される各家庭や団地等から、し尿と生活雑排水を管路によって収集し、集合的に処理する施設であり、市町村が設置・管理するもの。 【さ行】 災害廃棄物 地震や洪水などの災害によって、倒れたり焼けたりした建物の解体撤去に伴い発生する廃棄物のこと。がれき類や木くず、コンクリート塊、金属くずの他、家財道具等も含まれる。 最終処分場 一般廃棄物及び産業廃棄物を埋立て処分する場所及びその施設・設備をいう。処分場には、安定型(廃プラスチック等)、管理型(汚泥等)、遮断型(埋立基準値以上の有機物質を含む)がある。 再使用(リユース) 一度使用された製品や部品、容器等を再使用すること。具体的には、(1)あるユーザーから回収された使用済み機器等をそのまま、もしくは修理などを施したうえで再び別のユーザーが利用する「製品リユース」、(2)製品を提供するための容器等を繰り返し使用する「リターナブル」などがある。 再生利用(リサイクル) 廃棄物等を原材料として再利用すること。効率的な再生利用のためには、同じ材料の物を大量に集める必要があり、特に自動車や家電製品といった多数の部品からなる複雑な製品では、材質の均一化や材質表示などの工夫が求められる。なお、再生利用のうち、廃棄物等を製品の材料としてそのまま利用することをマテリアルリサイクル、化学的に処理して利用することをケミカルリサイクルという。 再生利用率(リサイクル率) ごみの総排出量に対する資源化された量(再生利用量)の割合。再生利用量には、分別収集による資源物量、中間処理による資源物量、集団回収された資源物量、事業者間で直接資源化した資源物量が含まれる。 雑がみ 新聞、雑誌、段ボール、紙パック以外のリサイクルできる名刺サイズ以上の紙のこと。本市では、雑がみは、月2回の「古紙・古布」の収集日に出すことができる。 サプライチェーン 原料調達に始まり、製造、在庫管理、物流、販売等を通じて、消費者の手元に届くまでの一連の流れを指す。 事業系一般廃棄物減量化等計画書 つくば市廃棄物の減量及び適正処理に関する条例第10条に基づき、事業系一般廃棄物の多量排出事業者(日量100キログラム以上の一般廃棄物を排出する事業者)に対して毎年4月30日までに提出を求めている計画書。 事業系ごみ 事業活動に伴って生じる廃棄物で、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分けられる。本計画は、事業系一般廃棄物を対象としている。 事業者直接資源化量 事業者がつくばサステナスクエア以外の民間の資源化施設に搬入している資源物量のこと。 資源有効利用促進法 循環型社会を形成していくために必要な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取組を総合的に推進するための法律。特に事業者に対して3Rの取組が必要となる業種や製品を政令で指定し、自主的に取組むべき具体的な内容を省令で定めている。 し渣 し尿、浄化槽汚泥をし尿処理場で処理したあとに残る汚泥以外のもの。 市内一斉清掃 主に地域の道路わきにポイ捨てされているごみの回収を目的とし、本市が年2回実施している清掃活動のこと。 し尿 人の小便・大便を合わせた呼び方。 集合処理 汚水や生活雑排水(風呂、台所等からの汚水)を管渠により終末処理場まで導水し、処理する方式。本市は、利根川流域及び霞ケ浦流域の終末処理場(流域下水道処理施設)で処理している。 集積所 生活系ごみを出す場所で、ごみ収集車が回収する。本市には7,169箇所(令和6年3月末時点)の集積所が点在する。 集団回収 子ども会や自治会などの団体がかん・びん・新聞紙・段ボール・雑誌・古布などの資源として再利用できるものを集めて、民間の回収業者に引き取ってもらう活動のこと。 終末処理場 下水を最終的に処理して公共用水域または海域に放流するために設けられる施設。 循環型社会 「大量生産・大量消費・大量廃棄型」の社会に代わるものとして提示された概念。循環型社会基本法では、第一に製品等が廃棄物等となることを抑制し、第二に排出された廃棄物等についてはできるだけ資源として適正に利用し、最後にどうしても利用できないものは適正に処分することが徹底されることにより実現される、「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」としている。 循環型社会形成推進基本法 循環型社会を構築するにあたっての国民、事業者、市町村、政府の役割が規定された法律。 循環経済(サーキュラ―エコノミー) 従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すもの。 焼却残渣 ごみ焼却施設でごみを処理した後に発生する焼却灰や飛灰(集塵装置で捕集された灰)の総称。 焼却灰 ごみ焼却施設でごみを処理した際に残った燃え殻。 焼成処理 ばいじんなど特別管理一般廃棄物の法に定められた処理方法の一つ。焼却残渣を温度(1,000℃〜1,100℃)で焼成(固体粉末の集合体を融点よりも低い温度で加熱すると、粉末が固まって緻密な物体になる現象)することで、重金属類を揮散させ、ダイオキシン類を分解し、土木資材(人工砂等)を製造する。 食品リサイクル法 法律名称は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」。食品製造工程から出る材料くずや売れ残った食品、食べ残しなどの「食品廃棄物」を減らし、リサイクルを進めるため、生産者や販売者などに食品廃棄物の減量・リサイクルを義務付けた法律。 食品ロスの削減の推進に関する法律 令和元年5月31日に令和元年法律第19号として公布され、令和元年10月1日に施行された。本法律は、食品ロスの削減に関し、国、地方公共団体等の責務等を明らかにするとともに、基本方針の策定その他食品ロスの削減に関する施策の基本となる事項を定めること等により、食品ロスの削減を総合的に推進することを目的としている。 3R(スリーアール) リデュース(Reduce):発生抑制、リユース(Reuse):再使用、リサイクル(Recycle):再生利用の3つの頭文字をとったもの。環境省では、3R推進に対する理解と協力を求めるため、毎年10月を3R推進月間と定め、広く国民に向けて、普及啓発活動を実施している。 生活系ごみ 家庭の日常生活から発生する廃棄物。 生産年齢人口 15?64歳の人口のことで、生産活動の中核的な担い手として経済と社会保障を支えていると考えられている層。 接続率 公共下水道を利用できる区域の人口のうち、公共下水道に接続している割合。 セメント原料化 ごみ焼却施設で生じた焼却灰をセメントの原料として有効利用すること。 【た行】 脱炭素社会 カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)を実現した社会のこと。 政府は、令和2年(2020年)10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言した。 つくば市は、令和4年(2022年)2月、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を目指すことを宣言した。 脱炭素先行地域 2050年カーボンニュートラルに向けて、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、我が国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域で、「実行の脱炭素ドミノ」のモデルとなる地域。 つくば市は、TXつくば駅を中心として概ね半径500mの範囲を対象として、令和5年(2023年)11月に選定された。 多量排出事業者 日量平均100kg以上の一般廃棄物を排出する事業者。 単独処理浄化槽 トイレの排水だけを処理する浄化槽。生活雑排水(風呂、台所等からの汚水)は未処理のまま放流される。浄化槽法の改正により、現在は合併浄化槽のみが「浄化槽」として位置づけされ、単独浄化槽は、原則として新たな設置ができなくなった。 地域循環共生圏(ローカルSDGs) 都市も地域も多くの課題が山積するなか、それぞれの地域が主体的に「自ら課題を解決し続け」、得意な分野でお互いに支えあうネットワークを形成していくことで、地域も国全体も持続可能にしていく「自立・分散型社会」のこと。地域で環境・社会・経済の課題を同時解決する事業を生み出していくことから「ローカルSDGs」とも呼ばれている。 地球温暖化対策実行計画 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、地方公共団体が、国の地球温暖化対策計画に即して策定する計画。 地方公共団体の事務事業に伴う温室効果ガスの排出の量の削減並びに吸収作用の保全及び強化のための措置に関する計画である「事務事業編」と、その区域の自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの排出量削減等を推進するための総合的な計画である「区域施策編」の2つがある。 厨芥類 食べ物のくず。生ごみ。 中間処理 収集したごみの焼却、下水汚泥の脱水、不燃ごみの破砕、選別などにより、できるだけごみの体積と重量を減らし、最終処分場に埋め立て後も環境に悪影響を与えないように処理すること。さらに、鉄やアルミ、ガラスなど再資源として利用できるものを選別回収し、有効利用する役割もある。 直接搬入量 ごみを排出者自らが処理施設に直接持ち込んだ量のこと。 つくば市一般廃棄物減量等推進審議会 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)」の第5条の7第1項の規定に基づき、本市の一般廃棄物の減量、分別、リサイクル等について調査審議するために設置された諮問機関。 つくば市都市計画マスタープラン 本市のまちづくりの基本的な指針となる構想である「つくば市未来構想」に基づき、都市計画区域の長期的な視点にたった都市の将来像である「研究学園都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」に即した内容で、本市における各種の都市計画を定めていくための指針となるもの。 出前講座 市民が主催する集会等に、本市の職員が講師として出向き、暮らしに役立つ内容や市の業務、施策について話をするシステム。 特定環境保全公共下水道 公共下水道のうち、主として市街化区域外で設置され、農山漁村あるいは自然公園区域等の都市計画区域が設定されていない地域でも実施可能な公共下水道のこと(対象人口が、1,000人〜10,000人まで)。ただし、1,000人未満でも水質保全上特に下水道整備を必要とする区域も含む。 都市下水路 主として市街地における下水(主に雨水)を排除するために自治体が管理している下水道(公共下水道および流域下水道を除く)のこと。 都市鉱山 使用済みの家電、携帯電話、パソコンその他の製品から金属材料を回収し、再利用すること。都市の廃製品から資源を得るため、これを鉱山での採掘に例えてこのように呼んでいる。 【な行】 認可区域外 下水道事業計画区域外のこと。 農業集落排水施設 農業用排水の水質保全、農業用排水施設の機能維持並びに農村生活環境の改善を図り、併せて、公共用水域の水質保全に寄与するための、農業集落におけるし尿、生活雑排水等を処理する施設をいう。なお、農業集落排水施設は、浄化槽法に規定される浄化槽の一種である。本市には存在しない。 【は行】 バグフィルター ろ布と呼ばれる織布や不織布を用いて処理ガスに含まれる微細なダストや粒子を捕集する装置。 破砕 砕いてこなごなにすること。本市では、リサイクルセンターで不燃ごみ、粗大ごみを破砕処理している。 パッカー車 ごみ収集車。 発生抑制(リデュース) ごみの発生そのものをおさえることで、再使用(リユース)、再利用(リサイクル)に優先される。 発生抑制のためには、事業者には原材料の効率的利用、使い捨て製品の製造・販売等の自粛、製品の長寿命化など製品の設計から販売に至るすべての段階での取り組みが求められる。また、消費者は、使い捨て製品や不要物を購入しない、過剰包装の拒否、良い品を長く使う、食べ残しを出さないなどライフスタイル全般にわたる取り組みが必要である。 BDF(バイオディーゼル燃料) 廃食油などの油脂を原料として製造された軽油代替燃料のこと。本市では、家庭から出る使用済みサラダ油や、賞味期限が切れて古くなった油などの食用油を回収し、バイオディーゼル燃料を精製し、サステナスクエアで利用する作業車などの代替燃料として活用している。 PDCAサイクル 目標を設定し、実施すべき対策、施策を立案すること(Plan)にはじまり、その計画に則り適切な措置を講ずることで施策を実行すること(Do)に続き、その実施状況や得られる効果等を定期的に把握すること(Check)を行い、さらにその結果を考慮し見直しをすること(Act)を一連のサイクルとして実施することで、継続的な改善を推進するマネジメント手法のこと。 飛灰 ごみ焼却施設でごみを処理した際に発生する排ガス中に含まれるばいじんの総称。 フードドライブ 家庭で余っている食べ物を学校や職場等などに持ち寄り、それらをまとめて地域の施設、団体等に寄付する活動のこと。 不燃残渣 ごみの中間処理等で残ったカスで、本市の焼却施設で焼却できないごみ。 不法投棄 廃棄物を法律が定める方法に従って適切に取り扱わず、山林や水辺などに投棄すること。 プラスチック製容器包装 容器包装リサイクル法(「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」)で対象とされた「容器包装」のうち、プラスチック製のもの。なお、「容器包装」とは、商品を入れたり包んだりする「容器」や「包装」のうち、商品を消費したり商品と分離した場合に不要となるもので、具体的には、たまごパック、ペットボトルやチューブ容器などのキャップ・ラベル、お菓子やパン、冷凍食品の外装などを指す。 分流式 汚水や生活雑排水(風呂、台所等からの汚水)と雨水をそれぞれ別の管渠(汚水管と雨水管)で集め、汚水は下水処理場へ,雨水は川や湖へ流す方式。なお、汚水や生活雑排水を一つの管渠で集める方式を合流式という。 【ま行】 無触媒脱硝 ごみ焼却炉で発生する窒素酸化物(NOx)の低減方法の一つで、脱硝剤(尿素やアンモニア)を焼却炉内に吹き込み、窒素酸化物(NOx)を無害な窒素と水に還元する技術。 【や行】 山元還元 溶融処理された飛灰から非鉄金属(鉛、カドミウム、亜鉛等)を回収・再利用する処理技術。 有価物 価値の有る物で、自分で使用できる、もしくは他人に有償で売却できるもの。 有害ごみ 蛍光管、乾電池、水銀体温計等の人体に害を及ぼす物質を含む廃棄物のこと。 溶融(固化)処理 焼却灰等の焼却灰等の廃棄物を加熱し、概ね1200℃以上の高温条件下で有機物を燃焼させるとともに、無機物を溶融した後に冷却してガラス質の固化物(溶融スラグ)とする技術。 溶融スラグ 溶融固化によって生じる固化物。 【ら行】 リサイクル法 「資源の有効な利用の促進に関する法律」の略称。当初、資源の有効利用を進めるために「再生資源の利用の促進に関する法律」として制定され、業種や製品ごとに事業者に対するリサイクルを進めるための判断基準や表示基準を定めた。その後、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の積極的導入を図るために改定された。 リサイクル率 ごみの総排出量のうちリサイクルされた量の割合。 リチウムイオン電池 正極と負極を持ちその間をリチウムイオンが移動することで充放電を行う電池のこと。小型電子機器のバッテリーとして近年、急速に普及してきている。一般に、繰り返し充電して使用できる電池を二次電池、使い切りのものは一次電池と呼ばれる。 流域下水道 効率的に汚水や生活雑排水(風呂、台所等からの汚水)を排除し処理するため、二つ以上の市町村の公共下水道からの汚水等を収集し一括処理するもの。 レジリエント デジタル技術を活用して都市のインフラや施設、運営業務などを最適化し、災害やその他の課題に柔軟に対応できること。 つくば市一般廃棄物処理基本計画 令和7年(2025年) 月 編集・発行 つくば市 生活環境部 環境衛生課 〒305-8555 茨城県つくば市研究学園一丁目1番地1 TEL:029-883-1111(代表)