つくば市一般廃棄物処理基本計画概要版(案) [令和6年度(2024年度)改定版] 令和7年(2025年) 月 〔対象期間〕 令和2年度(2020年度)から令和11年度(2029年度)まで はじめに 〜つくば市一般廃棄物処理基本計画とは〜 つくば市(以下「本市」とします。)では、令和2年4月に、ごみ処理と生活排水処理からなる「つくば市一般廃棄物処理基本計画」(以下「本計画」とします。)を策定し、長期的な視点に立って、ごみ及び生活排水の発生から最終処分に至るまでの適正な処理を進め、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に資するための基本的な方向性を定めています。 本計画の計画期間は、令和2年度から令和11年度までの10年間で、計画の策定から5年が経過し、中間目標年度を迎えることから、市民の生活意識や産業活動の変化及び自然災害等、本市の地域特性に対応した廃棄物行政を進めていくために、計画の見直しを行いました。 また、令和元年10月に施行された食品ロスの削減の推進に関する法律で市町村は食品ロス削減推進計画を策定することが求められているため、食品ロス削減推進計画を内包することで他計画と一体的に取り組むこととします。 ■計画の位置付け 本計画は、ごみ処理基本計画、食品ロス削減推進計画、生活排水処理基本計画から構成されるもので、各種法令や国・県の関連計画等を踏まえるとともに、本市の関連計画等との整合性を図るものとします。 ■計画の推進 本計画で定める施策を適正に推進し、より実効性のあるものとするため、進捗状況の管理を行います。 施策の進捗状況や計画の数値目標の達成状況は、毎年、つくば市一般廃棄物減量等推進審議会に報告し、点検、評価、見直しを行います。 ごみ処理基本計画 ■ごみ処理の現状 ごみの総排出量 生活系ごみと事業系ごみを合わせたごみの総排出量は、横ばいで推移しています。生活系ごみ排出量は、減少傾向にあります。事業系ごみ排出量は、おおむね横ばいで推移しています。ごみ総排出量に占める割合は、家庭系ごみが約6割、事業系ごみが約4割となっています。 1人1日当たりのごみ排出量 1人1日当たりのごみ排出量(生活系、事業系含む)は、減少傾向にあります。しかし、事業者直接資源化量を含んだ場合の1人1日当たりのごみ排出量は、茨城県平均、全国平均より多くなっています。 事業者直接資源化量とは 事業者がつくばサステナスクエア以外の民間の資源化施設に搬入している資源物量 リサイクル率 リサイクル率は、上昇傾向にあり、茨城県平均、全国平均を上回っています。これは、生活系ごみの分別促進に加え、事業者直接資源化量の把握と、焼却残渣(灰)の資源化を積極的に進めた結果と考えられます。 最終処分量 最終処分量(t/年)及び1人1日当たりの最終処分量(g/人・日)は、いずれも減少傾向にあります。これは、燃やせるごみの減量化及び焼却残渣(灰)の資源化を積極的に進めた結果と考えられます。 ■計画の評価 令和2年度から令和5年度までの計画目標値の達成状況は、下表に示すとおりです。 事業系ごみ排出量において、令和3年度以降は目標を達成することはできませんでしたが、それ以外のすべての項目において目標値を達成しています。 事業系ごみ排出量の目標を達成できなかった要因は、事業者直接資源化量の把握を積極的に進めたことにより、把握できる資源物の量が増加したことが考えられます。これにより、事業系ごみ排出量が増加した一方で、リサイクル率の上昇につながっています。また、つくばエクスプレス沿線開発の影響により、産業用地が増加していることも事業系ごみ排出量が増加した要因として考えられます。 ■ごみ処理の課題 ごみ処理の課題を以下に示します。 1.排出抑制・資源化に関する課題 ●事業系ごみ排出量は横ばい傾向にあり、茨城県内の自治体と比べても非常に多くなっています。計画目標の指標である1日当たりの事業系ごみ排出量も、目標を達成できておらず、事業系ごみの減量が依然として課題です。 ●燃やせるごみ組成分析調査の結果、資源化可能なもの、入れてはいけないものの混入率は改善傾向にあるものの、生活系ごみで約25%、事業系ごみで約37%と依然として高い状況にあり、分別を徹底する必要があります。 ●プラスチック製容器包装の収集量は年々増加していますが、市民を対象としたアンケート調査の結果、分別方法や汚れ具合による排出可否がわかりにくいという回答が多くあったため、わかりやすい周知を行う必要があります。 ●事業者と連携して、市民がスーパーの店頭回収等に出した資源物量や、事業者が資源化回収業者等に直接排出している直接資源化量の把握に引き続き努め、本市全体におけるごみの流れの実態を正確に把握することが望ましいです。 2.収集運搬に関する課題 ●集積所管理等の課題について区会等と連携し、解決を図る必要があります。 ●ごみ出しが困難な高齢者等への支援策について、今後検討していく必要があります。 3.中間処理に関する課題 ●つくば市クリーンセンター(焼却施設)は、定期的な維持管理点検が行われていますが、竣工後27年が経過し、経年劣化が著しい状況で、安定的な稼働に懸念があることから、計画的な更新等も視野に今後検討を行う必要があります。 4.最終処分に関する課題 ●最終処分量は年々減少していますが、委託先の残余容量等を継続的に把握し、長期展望に立って安定的な委託先の確保を図る必要があります。 ●更なる最終処分量の削減に向け、焼却灰の資源化拡大を継続して検討するとともに、資源化後の利用先における環境への影響や安全性を調査し、十分に確認する必要があります。 5.その他の課題 ●廃棄物排出者の公平負担のため、ごみの排出状況や他自治体の取組等を注視しつつ、ごみの有料化を検討することが必要です。 ●ごみ処理経費が増加しているため、「一般廃棄物会計基準」を導入し、一般廃棄物の処理に関する事業に係るコスト分析を行い、事業の効率化を図る必要があります。 ■基本理念、基本方針 近年、廃棄物・リサイクル行政においては、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が求められています。循環経済への移行は、気候変動対策や脱炭素社会の実現の観点からも重要とされています。 本市は、令和4年2月に「つくば市ゼロカーボンシティ宣言」を行っており、さらなる資源循環や循環経済(サーキュラーエコノミー)、ごみ減量等への取組を通じて、持続可能な脱炭素社会の形成を目指します。 ごみ処理基本計画における基本理念及び基本方針を以下のとおり定めます。 基本理念 資源循環から持続可能な社会をめざすまち 基本方針1:地域全体での協働 持続可能な社会を形成するために、市民・事業者・行政の協働を進めます。取り組みにおいては行政のみではなく、地域の市民や事業者の民間活力も積極的に活用し、役割分担の中でより良い取り組みを目指します。 基本方針2:3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進 ごみの発生段階、排出段階、処理段階における減量化、資源化の推進により一層取り組むことにより、循環型社会の形成を目指します。 基本方針3:適正な処理・処分体制の構築 安全かつ適正な処理・処分体制を構築し、環境負荷の低減と処理コストの削減を目指します。 ■数値目標 ごみ処理基本計画における数値目標を以下に示します。数値目標の設定に当たっては、目標の達成状況、過年度のごみ処理の実績、現状で推移した場合の将来ごみ量、関連法令・計画等を踏まえて精査し、必要に応じて新たな数値目標を設定しました。 計画目標年度:令和11年度(2029年度) 1人1日当たりの生活系ごみ排出量 578g/人・日 1日当たりの事業系ごみ排出量 91.51t/日 リサイクル率 30.7% 1人1日当たりの最終処分量 66g/人・日 ■施策の方向性 ごみ処理基本計画の施策体系図を以下に示します。 1.減量化・資源化計画  1-1 市民・事業者への意識改革の推進 1-1-1 ごみの分け方・出し方の周知 1-1-2 ホームページや市広報紙等による情報発信 1-1-3 市民向けの環境プログラムの拡充 1-1-4 小中学生ヘの環境教育の拡充 1-1-5 大学生への情報提供や意識啓発 1-1-6 事業者への情報提供や意識向上の強化 1-2 市民・事業者が主体的に取り組む仕組みづくり 1-2-1 ごみの減量や資源化に関する活動支援 1-2-2 広報拠点の充実 1-3 将来的な施策に向けた調査・検討 1-3-1 プラスチック類の資源化の推進 1-3-2 生ごみ等の資源化の推進 1-3-3 剪定枝等の資源化の推進 1-3-4 減量化・資源化における先進的な取組 1-3-5 生活系ごみ有料化の検討 1-3-6 事業系ごみ処理手数料の見直し 1-4 公共施設におけるごみの発生抑制と資源化の推進 2.収集運搬計画  2-1 生活系ごみの排出管理の徹底 2-1-1 収集頻度の適正化 2-1-2 ごみ集積所管理の推進 2-1-3 収集運搬体制の再構築 2-1-4 有害ごみの回収体制の再整備 2-2 事業系ごみの排出管理の強化 2-2-1 事業系ごみの分別及び排出の適正化 2-2-2 事業系資源ごみの資源化の促進 3.中間処理計画  3-1 つくばサステナスクエアの適正な運転維持管理 4.最終処分計画  4-1 最終処分量の削減 4-2 安定的な最終処分先の確保 5.その他の廃棄物関連の計画 5-1 一般廃棄物会計基準の導入 5-2 災害廃棄物対策 5-3 不法投棄対策・不適正処理対策 食品ロス削減推進計画 ■食品ロスとは 食品ロスとは、食品廃棄物から不可食部(=「調理くず」(野菜・果物の皮、肉・魚の骨など))を除いた、本来食べられるにもかかわらず捨てられる食品のことであり、発生要因ごとに「直接廃棄(手付かず食品)」「過剰除去」「食べ残し」の3つに分類されます。 食品ロスは、生産、製造、販売、消費等の各段階において日常的に廃棄されています。食品ロス削減推進法に基づき、「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」では、市町村は食品ロス削減推進計画を策定することが求められているため、食品ロス削減の取り組みを総合的かつ計画的に進めるために食品ロス削減推進計画を策定します。 本計画で対象とする食品ロスは、「家庭から生じる食品ロス(家庭系食品ロス)」と「事業系一般廃棄物に区分される食品ロス(事業系食品ロス)」とします。 ■食品ロスの現状 食品ロスの発生量 令和6年度に実施したごみ組成分析調査結果を用いて推計した結果、令和5年度における食品ロス発生量は7,833t/年(家庭系食品ロス量:6,030t/年、事業系食品ロス量:1,803t/年)と推計されます。 家庭における食品ロス削減に向けた取り組み状況 令和6年度に実施した市民アンケート調査によると、回答者の85%以上が「普段食品ロスを減らすために何か心掛けている」と回答しており、家庭において食品ロス削減に向けた様々な取組がなされています。 ■食品ロスの課題 食品ロスの課題を以下に示します。 1.家庭系食品ロスに関する課題 ●本市における家庭系食品ロス量は、燃やせるごみ排出量の約13%を占めています。特に、都市部(東地区、西地区)において食品ロス発生割合が多く、周辺部(北地区、南地区)の約2倍となっています。家庭系の食品ロス削減は、都市部を中心に、計画的な買い物・管理・使いきり等の啓発に取り組む必要があります。 ●食品ロスのうち、「直接廃棄」と「食べ残し」が全体の約8割を占め、「直接廃棄」については、手付かずで廃棄された100%残存の割合が最も高く、その多くは消費・賞味期限切れのものとなっています。 ●市民の約85%が家庭において食品ロス削減を心掛けて取り組んでいますが、「賞味(消費)期限が切れてしまった」「大量に買ってしまい、食べきれなかった」等を理由に、食品ロスが発生している状況にあります。 2.事業系食品ロスに関する課題 ●本市における事業系食品ロス量は、事業系燃やせるごみ排出量の約8%を占めています。 ●業種によって食品ロスの発生割合は大きく異なっており、特に宿泊業・飲食店及び販売店で食品ロスの発生割合が多くなっています。また、宿泊業・飲食店では食べ残しが多く、販売店では直接廃棄が多いなど、業種によって食品ロスの発生要因も異なります。 ●一部の事業所では、調理ロスの削減等、食品ロス削減に向けて取り組んでいますが、限定的となっています。業種に応じた具体的な食品ロス削減の取組事例の紹介や啓発等を推進する必要があります。 ■基本方針 ごみ処理基本計画と共通の基本理念「資源循環から持続可能な社会をめざすまち」のもと、食品ロスの発生抑制と減量化を図ります。食品ロス削減推進計画における基本方針を以下のとおり定めます。 基本方針:食品ロスの発生抑制・減量化の推進 食品ロス削減に対する市民及び事業者の意識を高め、家庭及び事業所からの食品ロスの発生抑制と減量化を図ります。 ■数値目標 食品ロス削減推進計画における数値目標は、国や本市の関連計画で掲げられた指標を踏まえ、以下のとおり定めます。 計画目標年度:令和11年度(2029年度) 食品ロス量 5,142t/年 食品ロス削減に取り組んでいる市民の割合 90%以上 ■施策の方向性 食品ロス削減推進計画の施策体系図を以下のとおり定めます。 1.家庭系食品ロス  1-1 食品ロス削減に係る情報発信  1-2 「3きり運動」の推進 1-3 「食べきり運動」の普及・啓発 1-4 環境に配慮した調理方法の推進 1-5 消費期限・賞味期限の認識の向上  1-6 「30・10(さんまる・いちまる)運動」の推進  1-7 フードバンク・フードドライブの推進  2.事業系食品ロス  2-1 事業系食品ロス削減に係る情報発信  2-2 事業系食品ロスの実態把握  2-3 多量排出事業者への指導  2-4 優良事業者の取組の紹介、評価・表彰制度の検討 2-5 公共施設等における食品廃棄物の減量化・資源化の推進  生活排水処理基本計画 ■生活排水処理の現状 処理形態別人口の推移 公共下水道水洗化人口及び合併処理浄化槽人口は増加傾向にあり、単独処理浄化槽人口及びし尿汲み取り人口は減少傾向にあります。 生活排水処理率は、上昇傾向にあり、令和5年度は93.8%となっています。 生活排水処理率とは 計画処理区域内人口(行政区域内人口)に対して、生活排水が下水道及び合併処理浄化槽等の生活排水処理施設で処理されている人口の割合のことです。 し尿・浄化槽汚泥処理量の推移 し尿の処理量は増減しながら推移しています。浄化槽汚泥の処理量は、令和元年度以降、減少傾向にあります。 1人1日当たりのし尿量は微増傾向にありますが、1人1日当たりの浄化槽汚泥量は微減傾向にあります。 ■計画の評価 本計画では、生活排水処理率を計画目標の指標として設定しています。令和2年度から令和5年度の計画目標値の達成状況は、下表に示すとおりです。 令和5年度の計画値は91.2%で実績値は93.8%となっています。 ■生活排水処理の課題 生活排水処理の課題を以下に示します。 1.生活排水処理率の向上に関する課題 ●単独処理浄化槽やし尿汲み取り便槽を利用している人口も一定数存在することから、引き続き、公共下水道の整備を進めるとともに、公共下水道への接続や合併処理浄化槽への転換を促していく必要があります。 2.合併処理浄化槽及び単独処理浄化槽の適正管理に関する課題 ●合併処理浄化槽及び単独処理浄化槽は、処理機能を十分に発揮させるために、定期的な維持管理(保守点検・清掃)と定期検査(法定検査)が必要とされています。 3.収集運搬計画の見直しに関する課題 ●し尿・浄化槽汚泥の排出量の変化に対応した収集・運搬体制を適宜検討していく必要があります。 4.し尿処理施設の搬入量減少及び老朽化 ●本市のし尿処理施設は、処理能力の半分以下の処理しかなされておらず、また、2施設とも経年劣化による老朽化が懸念されます。 ■基本方針 ごみ処理基本計画と共通の基本理念「資源循環から持続可能な社会をめざすまち」のもと、適正な処理を目指すものとします。生活排水処理基本計画における基本方針を以下のとおり定めます。 基本方針1:生活排水処理施設の整備と適正な維持管理 生活排水を処理する施設の整備及び適正な維持管理を促進します。 基本方針2:効率的な収集運搬体制の整備 下水道や浄化槽の普及に伴う収集量の変化を考慮し、効率的な収集運搬体制の整備に努めます。 基本方針3:安定処理のための施設整備 安定した処理を継続するため、今後変動するし尿・浄化槽汚泥量に対応できる施設整備に向け検討します。 基本方針4:安全かつ安定的な最終処分 適正な処理に努め、環境負荷の低減や処分コストの削減を踏まえた安全かつ安定的な処分を行います。 基本方針5:生活排水に係る啓発・情報発信 市民一人一人の生活排水に対する意識向上を図り、生活排水の発生源において対策が実施できるように広く啓発・情報発信を行います。 ■数値目標 生活排水処理基本計画の数値目標を以下に示します。新たな目標値は、茨城県生活排水ベストプラン(令和5年3月第4回改定)の数値目標を踏まえて設定しました。 計画目標年度:令和11年度(2029年度) 生活排水処理率 95.2% ■施策の方向性 生活排水処理基本計画の施策体系図を以下のとおり定めます。 1.施設整備・維持管理計画 1-1 下水道施設の計画的整備 1-2 合併処理浄化槽への転換の推進 1-3 浄化槽の適正管理 2.収集運搬計画 2-1 収集運搬体制の整備 2-2 収集運搬機材の確保 3.中間処理計画 3-1 安定処理のための施設整備の検討 4.最終処分計画 4-1 適正な最終処分の実施 4-2 汚泥の有効利用 5.その他 5-1 市民に対する広報・周知 5-2 発生源対策に係る具体的取組の啓発 つくば市一般廃棄物処理基本計画 概要版 令和7年(2025年) 月 編集・発行 つくば市 生活環境部 環境衛生課 〒305-8555 茨城県つくば市研究学園一丁目1番地1 TEL:029-883-1111